リニューアルの背景と意義
This is Reina Moro's Podcast. 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone, this is Reina Moro. 皆さんこんにちは、ニューヨークと東京、シンガポールを拠点にするグローバルリベーションファーム、I&CO、共同創業パートナーのレイ・イナモトです。
目まぐるしいスピードで世の中が変化する中、この番組は日本人が世界で必要不可欠な存在となるためのヒントを探ります。
今回は、Mindshift 発想の転換をお届けします。 このコーナーでは、ビジネスシーンで実際にクリエイティブ思考を使って問題を解決した実例をご紹介します。
今日もこの番組のプロデューサー、竹村幸子さんと一緒にお届けしたいと思います。
はい、レイさんよろしくお願いします。 今回も前回に引き続き、日経ビジネス電子版の編集長、原隆さんにお話を伺います。
前編では、「ジャーナリズム・メディアビジネスの未来とは?」について原さんにお伺いをしたんですが、そちらの方をまだお聞きでない方はぜひぜひ聞いてみてください。
今回は、マスメディアからマイクロメディアについてお届けします。 では早速お話を伺いましょう。
今回のリニューアルをする上で、原さんがご自身でこのメディアとを見て向き合って大事にしてたこととか、もしくはここは絶対変えた方がいいとか考えてらっしゃったポイントってありますか?
そうですね。結構メディアのビジネスっていろんなものが複雑に絡んでるというか、
当然広告収益みたいなものもありますし、高読者の方からもらうお金もありますし、いろんな要素が絡み合うので、当然いろんな人からいろんなことを言われるんですよね。
今も言われてますけど。
ただ、一つ自分たちのこれまで読者っていうふうに呼んでた人たちを、今回リニューアルするにあたって顧客って置き換えて考えた時に、見える風景って違うんじゃないかっていう仮説が一つあって、
それはメディアっていわゆる書き手と読者がいて、それはすごく独特の世界というか、世の中の会社とは違って独特の世界で生きてる人たちみたいなところって当然あるし、実際そういうところもあると思うんですよ。
だけど顧客って置き換えることによって、おそらく世の中の多くの知見がもしかしたら取り入れられるかもしれないっていうのはやっぱり考えましたよね。
私も昔デジタルマーケティング系の媒体にいたので、その時取材してた世界って、やっぱりその顧客のことをよく理解して、顧客に対してこういう施策をやって、PDCAを回してどんどんよくしていきましょうとか、データをしっかり蓄積してそこから知見を得てとかですね。
いろんな記事で書いてたことがあるんですけど、それとやっぱり自分たちの会社でやってることって結構改良をしてたんですよね。
だからそこがやっぱり顧客って置き換えることによって考え方っていうのはやっぱり変わるというか、そういうのはありましたね。
どの辺がコアターゲットになるんですか?
もともとやっぱり日経新聞もそうですし、日経ビジネスもそうなんですけど、まず働いてる人なんですよね。
働いてる人にとって価値のあるものを提供するというところだったんですけど、
日経ビジネスは今、経営者、より経営者にターゲットを絞ってコンテンツを提供していこうという形で今、住み分けをしています。
そういう時って10人聞けば10個の意見とか感想出てくると思うんですけども、
例えば記事の作り方とか動画の作り方とかコンテンツの作り方で、そういうちょっと特別なところにあえて注目していくのか、
ターゲットとコンテンツ戦略
もしくはそういう人もいるけど、でもやっぱり短いほうがいいよねっていうことでそっちに行っていくの。
そういう判断はどうされてるんですか?
そうですね。
誰に合わせるかというのは。
やっぱりより多くの人に対してみたいな観点でいくと、どうしても平凡なものになってしまうというところもあるので、
ある程度もうエッジを利かせて、この人にみたいな観点でコンテンツを作っていった方がいいのかなという感じはしてます。
なるほど。
これって多分うちだけじゃなくて、メディアっていろんな当然メディアがあって、何がそのコンテンツなのかとか何がニュースなのかって本当にターゲットに違うんですよね。
だからある人にとってはこれはすごくニュースだけど、ある人にとってはどうでもいいものっていうのがいっぱいあって、
一番ローカルなもので言うと回覧パンもメディアじゃないですか、地域の情報をね。
それって地域の人にとっては日経ビジネスの記事なんかよりもよほど重要だったりもしますし、
一方で地方紙とかだったらお悔やみ欄みたいなところで非常にコンテンツとして意味があるんですよね。
葬式にお花を出すみたいな、それがある種のコミュニティの中で大事にされることなので、
その人たちにとって重要なこと、我々の読者にとっては重要じゃなかったりとかってことを考えると、
ニュースとかコンテンツみたいなものって場所が違ったり年齢が違ったりターゲットが違ったら全然違ってくるので、
そこを見極める上でもかなり絞ってこの人にっていう観点でコンテンツを作っていったほうがいいかなって思ってますけどね。
動画コンテンツの可能性
そこでじゃあ具体的にこの人でって言ったときに、具体的には例えばこういう特集を組むとか、
それってどういうアウトプットに最終的に落としてるんですか?この人に寄り添った、この人に刺さるような。
完全にそれができてるかどうかわからないですけど、自分がやっぱり記事を書いて特集を書いたりとかね、
そういうときにやっぱり常々言われてたのは、最終的に業界の話を書いていたとしても、ちゃんと一般化をしろと。
一般化。
一般化というかですね、その業界じゃない人が読んでもためになるようにしないと、
ある業界のことはある業界のことで終えた記事であれば、それは多分経済史がやることではないってことはありましたね。
どっちかというと専門誌で。
専門誌なんですよね。ただしっかりその中の法則であったり、そこから出てきた答えみたいなものをちゃんと消化させて、
その消化させたものを最後しっかり伝えることによって、異なる業界の経営者でもそれを読んで、
なるほど、この考え方はうちの業界に当てはめるとこういうことかとかですね。
考える一つのフックになると思いますよね。
顧客っていうことは、すごく難い言い方をすると、それは例えば購買でお金をいただいてるっていう、そういう視点ですか。
そうですね。どちらかというとブランドっていうものに対する顧客ですよね。
ブランドは大事だと思ってたんですけど、読者っていう立ち位置だと、当然その雑誌を通じてのブランドとかになってしまうんですけど、
顧客って置き換えたときに、もし仮にメディアが本当にブランドビジネスだとするならば、
そのメディアから出されるものすべてが多分接点になるわけですよね。
それは雑誌もそう、電子版もそう、開催するセミナーとかカンファレンスとか書籍もそうかもしれない。
つまり日系ビジネスっていうブランドがついたもの、すべてが顧客とブランドの接点になるので、
そうするとすべてのチャンネルが大事になるというか、そういう考え方になりますよね。
っていうところで、そのエンゲージメントを高めていくところにフォーカスすると、
原さんなりの視点でどういうところを工夫されていますか。
仮説と検証を繰り返していくしかないので、これっていうものは特にないんですけど、
やっぱり今回の電子版のリニューアルを通じて、やっぱり視点として今も大事にしなきゃなと思っているのは、
情報を受け取る側の生活スタイルであったり、その人たちが一体どういう動きをしていて、
どういうタイミングでどういう形でその情報を受け取ると一番幸せに感じるのかみたいな、
そういう観点は結構意識してやってます。
で、当然なんとなく動画って短い方がいいのかななんて思って始めた動画、
当然それは続いてるんですけど、やっぱりリニューアルの過程でユーザーインタビューしたときに、
30分以上動画ないと僕は見ませんみたいな人がいて、そういう人が2人いたんですよね。
なんでかなと思って聞いてると、風呂に入るときに見れるものってそんな観点は全く考えたことがなくて、
できる限り短くできるだけポイントを抑えた動画をやった方がいいんだろうなと思ってたのが、
やっぱり日本人って風呂でなんか見るんですね。なんかわかんないですけど、
風呂ってキーワードがこんな2つも出てくるのかと思って、
そうするとやっぱり、風呂に入るときに見れるものってどういうものがいいんだろうなとか、
当然考えるヒントになりますしね。
なるほどね。
今、オンラインメディアっていうところで考えると、
若者でもなくても文字よりかは動画の方がいいみたいな流れが結構あるじゃないですか。
特に最近ここ5年、6、7年、TikTokみたいなものが出てきて、
それまでにはなかったようなコンテンツの紹介のされ方、
特に動画っていうコンテンツの紹介があって、
いろいろな、特にオンラインのメディアを見てると、
みんな動画をどんどん押せばエンゲージメントが高くなってシェアされて、
我々のコンテンツも見てもらえるようになるみたいなところがあると思うんですけど、
その辺は日系ビジネスさんとしては、そっちをもっと押していかなきゃいけないとかっていうのは考えてるじゃないですか。
動画はやっぱり考えますよね。
ただ動画をやるにあたっても、動画って当然、制作コストはすごくかかるので、
そこをしっかり動画を始めて、コストかかるなみたいな、やめるかみたいになると、
もうどうもこうもないので、しっかり我々がテレビ局ではないので、
しっかり質の高いけどコストがなるべくかからない動画のあり方ってどうなんだろうとかですね、
そういったものを考えながら多分やっていったほうがいいかなと。
あとやっぱり経営者が動画を見るタイミングって、どういうときに動画を見るんだろうと。
それこそさっきのクロなのかもしれないし、わからないですよね、どこで見るのか。
例えば、わからないです。運転手がいる車で移動する方だったら、もしかしたら移動中なのかもしれないですし、
で、はたまた地方の経営者とかだったら、自分で運転される方も結構多いので、
アメリカなんかも結構ね、車で動くとかですけど、
そうなってくると今度は動画じゃなくて、音声のほうがもしかしたらいいかもしれないなとか、
やっぱり経営者のそういうライフスタイルにしっかり合った形で、合った長さで、
そこで聞きたいものはどういうものなのかとか、そういったものを考えながら作っていければいいなと思います。
今回のさっきのお風呂の話じゃないですけど、それが2人から出てきたっていうところで結構驚きだったと思うんですけど、
プロジェクトの気づき
なんかそういう驚きの気づきとか、考え方を変えなきゃいけないなとかと思われたのって、
このプロジェクトを通して何かありました、そういうのは。
そうですね。ユーザーインタビューみたいなものは当然、これまでも別の部署がやってたりとかするんですね。
メディアマーケット部隊がやってたりはするんですけど、
やっぱり編集部の人間がユーザーインタビューのところに立ち会って、
自分たちの読者でこういうことを考えてるんだとか、そういったものを知るきっかけってなかなかなかったので、すごく勉強になりました。
当然、ユーザーインタビューを通じて、我々のメディアの接点じゃない部分の生活、
この人はこういう生活してるんだとかっていうものから得られる気づきってものも当然ありましたし、
あと何より意識の統一というか、難しいんですけど、
読者にとってこれは良いことなんだろうか、良くないことなんだろうかみたいな、
今回だった顧客に対して良いことなんだろうか、良くないことなんだろうかっていう一つの判断軸というかができるのはすごく大きいなと思っていて、
やっぱりこれまで自分たちはこういうものを提供すべきだっていう供給者的な目線的なところも当然あったので、
そこに対して顧客にとってこれは本当に幸せなことなんだろうかっていうことを共通の問いとして持つことで、
判断がいろいろできるっていうのは大きかったですよね。
経営者をターゲットに
なるほどね。
ちょっと先を見据えて、2年3年とかのちょっと未来のことを考えると、
これもなかなかはっきりとした答えが出ないかもしれないですけども、
原さんがその編集者として、そしてこのビジネスという業界の中でのジャーナリストとして、
メディアがどうなってると思いますか、3年後ぐらい。
3年後ぐらいですか。
3年後、自分がどうなってるかもわからないですけどね。
逆にどういうふうになってたいですか。
どういうふうになってたいか、そうですね。
やっぱり日経ビジネスというブランドのことを考えると、経営者の人はみんな読んでもらいたいですよね。
それがやっぱり日経ビジネスに載ってたものをあれ読んだとか、あれについてどう思うとか、
そういうのを経営者間で話に出てくるように、よりなってほしいなと思いますし、
一人でも多く経営者の人に読んでもらいたいなっていうのはあります。
ただ、そこの経営者っていろんな経営者がいて、
例えば日経ビジネスだと東京とか大阪とか愛知県とか、あの辺はすごく読者多いんですけど、
地方にも当然経営者がいるわけですよね。
だからそういうエリア的なところもより広げていきたいですし、大企業も経営者も経営者ですけど、
当然スタートアップの経営者も経営者なんですよね。
当然そこの経営者によって抱える課題って全然違うと思うので、
そこの会社の規模とか業種とかそういったものに問わず、経営者に読んでもらえるものをどうやって作っていくのかなというのは考えますけどね。
さてここまでお送りしてきましたレイナモトの世界のクリエイティブ思考。
今回はマインシフト発想の転換をお届けしました。
クリエイティブ思考の中でもどう発想を転換してビジネスに活かしているかということをメインにお話を伺っているわけですが、
ニュースメディアの読者離れっていう問題をクリエイティブ思考で捉え直して、
読者ではなく顧客、そしてこの顧客は経営者そうなんだっていうところでサイトをリニューアルしたっていうことですよね。
そうですね。だからもちろんたくさんの人に読んでいただきたいので、ビジネスに何らかの関わりがある方ってすごく数が多いので、
そっちに広げた方が読者の数が増えるかなっていうふうに思われると思うんですけども、
あえて絞って、それも経営者となるとどんどんどんどん絞られていくので、そこに絞っているっていうのは、
特に今の時代いろんな情報があふり返っているので、そういうふうに絞っていくのって大事だったなっていうのは、
僕もしっくりくるんですけども、でも原さん、そして原さんのチームがその記事を作るとき、書くときに大切にしていることは、
知識は一般化して書くっていうことをおっしゃってたんですね。
おっしゃってましたね。
なので、そこもある意味発想の転換かなとは思いまして。
確かにターゲットは経営者というふうに狭めたとしても、いろんな業界の経営者の方がいるわけですもんね、
人へに行っても会社の規模も違えば業界も違うということで、
そういった人たちがみんな誰が読んでも分かるような分かりやすい記事にするためには、
一般化、なるほどなというふうに思いました。
だからそのターゲットは絞るんだけども、知識そのものは誰もが読んでも分かるものにするっていう、
ちょっと逆の視点をバランス取りながら作っていらっしゃるんだなっていうのを今回の話で改めて気づかれました。
レイさんはブランディングのプロなわけですけれども、ターゲットをどこまで絞り込むのかとかって、
そういう何か基準があったりとか、絞り込めば絞り込むほどいいのかとか、
でもそうするとあんまり人数がいないとビジネスとして成り立たないなとか、
いろいろバランスって難しいと思うんですよね。
この辺はどんなふうに考えらっしゃいますか?
そのターゲットっていう言葉もカテゴリーの枠をちょっと外して考えていかないと、
じゃあその人がどんな人なのかっていうことがイメージが湧かないっていう、
その表面的なこういう職業を持ってる人ですよとか、これぐらいのお金稼いでる人ですよってことになると、
結構表面的なターゲットになっちゃって、
やっぱり絞れるんですけどもどういう人なのかっていうのがイメージが湧かないところが少なくないんですよね。
だからもうできるだけ絞って、もう本当この人なんだ、
例えばこの企業のこの人なんだとか、こういうオーディエンスのこの人なんだっていうのを、
そのもう名指しで言えるぐらい絞っちゃって、
そこからその人をイメージしながら広げていくっていうのがスタート地点としてあるといいのかなと思います。
だから今回のこの後編のテーマがマスメディアからマイクロメディアへっていうことなんですけど、
読者ではなくて顧客の人に日系ビジネスだからこその信頼と価値は何なのかっていうことを常に意識して、
そしてそれをデザインというもので可視化していくっていうところなのかなと思います。
世界のクリエイティブ志向、お相手は麗奈本と竹村由紀子でした。
デジタルガレージは危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを創業以来大事にし続けています。
これからくるWeb3、オープンソース時代を見据えたテクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。
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