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2024-01-23 18:33

#062 「ナイキに学ぶ、感情で共鳴するストーリーテリング」

第62回は、ナイキに27年間勤務してチーフマーケティングオフィサーを務め、2023年に出版した「感情をデザインする ナイキで学んだマーケティング」が世界14カ国で発売されるほどの大ベストセラーになっているGreg Hoffmanさんがゲストで登場。今回は、なぜナイキはリスクのあるキャンペーンを仕掛けるのか?ターニングポイントに直面した時の考え方は?感情でつながるとはどういうことか?について、お話を伺いました。


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ナレーター:佐藤一司

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This is Reina Moro's Podcast. 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone, this is Reina Moro. 皆さんこんにちは、ニューヨークと東京を拠点にするグローバルイノベーションファーム、
I&CO、共同創業パートナーのReina Moroです。 この番組では、世界で活躍するトップランナーのクリエイティブ思考に迫り、21世紀を生き抜くヒントを探ります。
今回のゲストも先週に引き続き、ナイキに27年間勤務して、チーフマーケティングオフィサを務め、 昨年出版したマーケティングとブランディングに関する本
Emotion by Design Creative Leadership Lessons from a Life at Nike 日本語版では感情をデザインする、ナイキで学んだマーケティングが世界14カ国で発売されるほどの
大ベストライダーになっているグレッグ・ホクマンさんです。 グレッグさんは現在ブランディングについてのアドバイスを行う会社、モダンアリーナを創業され、様々な企業の成長に貢献されています。
今回のエピソードはですね、彼のそのナイキでの活躍についてなんですが、 デザイナーからマーケターになったっていう立場の方って意外と少ないんですよね。
彼はもう本当にスケッチでロゴを作ったり、そういうところから最終的にはそのクリエイティブの道で行くのか、そうではなくてクリエイティブという背景を持ってマーケティングの道に行くのかっていう選択肢があったそうなんですが、
そこでマーケティングというもっとビジネス寄りの道を選び、最終的にはチーフマーケティングオフィサー、そこまで登り詰めるという、そういうキャリアの持ち道です。
今回はそんなグレッグさんに感情で共鳴するストーリーテリーについてお話を伺いました。
So, let's get started.
クリエイティブ・ボイス
Nike is a brand known for taking a lot of risks.
What are some of the risks that you've taken as a leader and as a brand that…
グレッグさんはナイキで働いていた27年間の中で何度もリスクを取ってきたと思います。
リスクを取ることの重要性についてどのようにお考えですか?
Taking the risk, leading from the front, carried through into the way the brand approached certainly innovation,
telling stories, and engaging with customers in the world, and which means that…
ナイキが大切にしている精神の一つがリード・フロム・ザ・フロントです。
私はこの言葉をナイキに入ってすぐ、インターンシップのオリエンテーションで知りました。
ナイキが創業後、初めて契約を結んだランナーはスティーブ・プリフォンテン選手だったんですが、
彼はリスクを犯してでも、先頭に立って走ることを大切にしていました。
後ろから追い上げていくのではなく、先頭に立ってみんなを導く存在だったんです。
リード・フロム・ザ・フロント。
ナイキはブランドとして、その精神を大切に受け継いでいます。
03:04
自分自身の立場で、クリエイティブなリスクを受け継いで生きていくというイデアを見ることができました。
個人的な立場で、私はデザインの道筋を下げるか、マーケティングの道筋を下げるかを決める必要がありました。
私のキャリアもリスクを取ることで前進してきました。
2010年、そのままデザインの道を歩むのか、それともマーケティングの道に進むのか、大きな決断を迫られたんです。
マーケティングの道に進むのはリスクがありました。
ブランドのアイデンティティを世界にどう届けていくのかという大きな責任が伴いますし、成功の保証はありませんでした。
ただ、私は最終的にマーケティングの道を選びました。
自分ならクリエイティブなリーダーシップを発揮することができると思ったからです。
フェイリアーは成功の道筋でありません。
フェイリアーは成功の道筋でありません。
リスクを取って良い結果が出なかったとしても、それは失敗ではありません。
成功へたどり着くための単なるステップだと思います。
陸上競技だってビジネスだって同じです。
失敗のように見えたとしても失敗ではありません。
イノベーションを生み出すためには避けては通れない道のりなんです。
ナイキは昨日よりも今日が良くなるように、みんなのために社会のために信念を持ってリスクを取っています。
いつもうまくいくとは限りませんが、リスクが伴っても誰かが最初の一歩を踏み出さなければいけないんです。
スポーツの世界を見ればリスクを取ることの重要性は明らかです。
サッカーのブラジル代表のプレーを思い浮かべてください。
他の多くのサッカーチームが選手の個性を排除し、それぞれの役割に徹することを求めますが、ブラジルは違います。
素晴らしい試合をするために、選手それぞれの創造性や個性を尊重した上で、自由なプレーを許しているんです。
そういうリスクを取ったからこそ、世界で唯一、ワールドカップで5回も優勝するという偉業が成し遂げられるんです。
ビジネスでも同じように、素晴らしい結果を生むためには安全なことばかりしていてはいけません。
リスクを取ることが重要です。
06:08
サッカーのブラジル代表チームと仕事をしたときのことを教えてください。
ナイキがサッカーのブラジル代表のプレースタイルを世界中の人々に紹介するというキャンペーンを行ったときのことです。
そのとき、私はカメラマンたちとブラジルに行って、スタジアムの中で撮影をしていたんですが、そこで思わぬハプニングがありました。
スタジアムのセキュリティがしっかりしていなかったので、撮影の様子を見ようと地元の人たちがフェンスを越えて押し寄せてしまったんです。
私たちは予想外の出来事にハラハラしました。
でも、選手の方を見てみたら、入れてあげればいいんじゃないかという感じだったんです。
そのときに、ブラジルの選手とファンの絆の強さに気づかされました。
ブラジル代表が強いのは、応援するファンの夢や希望を選手一人一人が背負っているからだったんです。
サッカーの持つ素晴らしい団結力がチームのみならず、国民全体を一つにしていました。
そこで私は、ナイキのキャンペーンにも応援を頂きました。
今まで試合でしかブラジル代表を見たことがなかった世界中の人たちに、
選手の人間的な魅力、ブラジルのサッカーファンの国民性など、新たな魅力を届けることができたんです。
そのために、私はブラジル代表を選手一人一人に見せてもらいました。
そして、私はブラジル代表を選手一人一人に見せてもらいました。
全く予定外のことでしたが、リスクをとって成功法ではない道を選ぶことで、
より奥深い作品を作ることができました。
見た人の心を揺さぶり、感情的につながってこそ、忘れられないストーリーとして、
人々の胸に刻まれるんだと思います。
アメリカンフットボールのコリーン・キャパニック選手を起用した
Dream Crazy、バカげた夢を見ようというキャンペーンも、
ナイキがリスクをとった代表例ではないかと思います。
2016年、キャパニック選手は、
国人をはじめとした有色人種への差別に抗議するために、
NFLの試合で国家斉唱中に起立することを拒否し、
その抗議の仕方については世間で賛否が分かれていました。
09:04
こうしたハイリスクなキャンペーンを行った際、社内ではどんな議論が行われていたのですか?
歴史を振り返ると、ヨーロッパのサッカー界が
人種差別で大きく揺れていった2006年頃から、
ナイキ選手にとっては、
ヨーロッパのサッカー界が人種差別で大きく揺れていた
2006年頃から、ナイキは人種差別に対して、
声を上げることが大切だ、立ち向かおうというメッセージを発信し続けてきました。
そして2017年には、平等をテーマにしたキャンペーンを実施しました。
フィールドやコートでは対等なのに、なぜそこを一歩出ると対等に見てもらえないのか、
そういった黒人のアスリートの声を届けてきました。
こうした流れの中で、2018年、ナイキはJust Do Itというスローガンの30周年キャンペーンで、
キャパニック選手の何かを信じろ、たとえそれが全てを犠牲にするとしても、
という力強いメッセージを紹介したんです。
Just Do Itの30年目の節目で、大きな夢を見ることの大切さを改めて訴えたいと考えていました。
子供の頃はみんな大きな夢を持っていますが、大人になるにつれて私たちは夢を見失い、
リスクを犯さず安全な選択をするようになっていきます。
そんな中、キャパニック選手は人種の平等という大きな夢を描き、
リスクをとって信念を貫いたわけですから、彼の言葉は多くの人の胸に響くのではないかと思ったんです。
ナイキにとって、抗議の仕方について賛否両論あったキャパニック選手を起用することにリスクがなかったわけではありません。
ただ、ナイキは常にリスクをとってきたブランドなので、特別なこととは考えていません。
今振り返ってみても、素晴らしいキャンペーンだったと思います。
私は個人的にもキャパニック選手と共通点が多いんです。
二人とも黒人と白人の両親の下に生まれ、養子に出されて白人家庭で育ちました。
育った地域にほとんど黒人がいなかったことも似ていて、私たちは人種差別に立ち向かいながら生きてきました。
彼とランチをした時には、まるで若い時の自分を見ているような気持ちになったことです。
そのくらい境遇が似ていました。
だから、ドリームクレイジーのキャンペーンについて議論していた時も、
マーケティングのトップとしてだけ考えるのではなく、
人種差別を経験した当事者の目線でも、嘘偽りのないストーリーを伝えることの意義を冷静に考えました。
12:07
大切なのは、見た人の心を揺さぶり、決して忘れられないような作品を世に送り出すことだと思います。
ここまでお送りしてきましたレイナモトの世界のクリエイティブ思考。
今回はグレイク・ホフマンさんに、感情で共鳴するストーリーテリーについてお話しを伺いました。
では、今日の3つのまとめなんですが、まず1つは、趣味だけでは試合は勝てない。
2つ目に、勝つだけではなく勝ち方が重要だ。
そして3つ目に、人間的であれ、感情をデザインせよ、レガシーを残せ。
まずこの1つ目の、趣味だけでは試合には勝てない。
英語ではですね、always on the offenseという言い方なんですが、
これはナイキの社内の行動指針のいくつかあるんですが、その中にも書かれている言葉なんですね。
そしてこれに関して、彼が共有してくれたお話の1つで、
Dream Crazyというアメフトのコリン・キャパニック選手を起用したキャンペーンがあるんですね。
コリン・キャパニック選手はアメフトの選手で、サンフランシスコオー・フォーティーナイナーズのクォートバックなんですが、
黒人の若者に対する警察の暴力に抗議をするために、
アメフトの試合の最初に、どの試合でもアメリカの国歌が流れるんですが、
その時って観客も選手もすべて皆さんを含めて立って起立をして胸に手を当てるという、
そういうジェスチャーをするのがしきたりになっているんです。
そこであえてそれをせずにひざまついて、
そしてその警察たちの特に黒人の若者男性に対する暴力に反対をするという抗議を、
言葉を使わずにそういうジェスチャーで表現し始めたんです。
ただそれはですね、NFLの掟に反することだということで、
彼が出場を停止されちゃうんですが、
自分のそのキャリアをリスクに取ってまで、
その自分の信じていることを貫く、
このDream Crazyというキャンペーンの裏側には、
すべてを棒に振ってでも何かをちゃんと信じることが大切だ、
信念を持てというそういうメッセージが込められたキャンペーンなんですが、
その姿勢というのが常に守備で守るだけではなくて、
ちゃんと攻撃をするということを、
姿勢を表すということが大事だということをグレイクさんはおっしゃっていたので、
このAlways on the Offense、
彼も話していても前のめりで話していたりとか、
威圧するというよりかは常にリラックスしているだけではなくて、
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常に攻めの精神を持っているというのがすごく伝わってきました。
2つ目に、勝つだけではなく勝ち方が重要だという言葉なんですが、
これは英語で言うと、
これはブラジルのサッカーチームが体現している言葉なんですね。
サッカーというのはチームごとの色というかチームのスタイルがあって、
それって結構国ごとにすごく出るところがあるんです。
ブラジルのチームというのはプレーの仕方がすごくクリエイティブで、
見ていてワクワクするようなサンバの踊りのような感じで、
ブラジルのポルトガル語ではジンガという言葉があるんですが、
それはスタイルだったりとか自信を持ったジェスチャーの表し方みたいな言葉なんですが、
ジンガを持ってプレーを楽しもうぜみたいな、
そういう精神がプレーにも出ている。
なので、ただ勝つだけではなくて勝ち方が重要なんだということはグラゲさんおっしゃっていて、
ナイキも90年代後半だったと思うんですが、
ブラジルチームをスポンサーするというビジネスプランを立てるんですが、
ブラジルのチームのプレーの仕方がナイキのプレーの仕方にすごく似ているということで、
スポンサーになったというのはマーケティング戦略として、
もちろんお金はかかることなので、なかなか簡単にできることではないとは思うんですが、
すごくいいエピソードだなと思いました。
そして3つ目、
これは英語では、
という言葉でまとめられているんですが、
これは僕からあまり付け加えるというよりかはですね、
本の一番最後のまとめでこのフレーズが使われているんですね。
人間的であれ、感情をデザインせよ、レガシーを残せ。
彼の今までの仕事の掟がここにまとまっています。
本の内容もこのほんの少しの言葉でまとまっているので、
ぜひ皆さんに本を読んでいただきたいんですが、
この3つの言葉、人間的であれ、感情をデザインせよ、レガシーを残せというのは、
これはマーケターの人、ブランディングに関わっている人だけではなくて、
もう人生の教訓として非常に参考になるのではないかなと思います。
ぜひ皆さんこの言葉を覚えておいてください。
ではまとめます。
今日のブレイク・ホグマンさんとの会話の3つのまとめ。
1つ目は、守備だけでは試合には勝てない。
2つ目、勝つだけではなく勝ち方が重要だ。
そして3つ目、人間的であれ、感情をデザインせよ、レガシーを残せ。
今回の話、前編と後編にすごく深い、濃い話だったんですが、
これはですね、編集してくださった竹村さんも非常に時間をかけて、
すごく丁寧にしてくださったので、ぜひぜひ皆さん、前編も後編も聞いて、
18:02
人生の、そして仕事の参考にしてみていただけると、我々も嬉しいです。
次回もどうぞお楽しみに。
世界のクリエイティブ思考、お相手はリーナウトでした。
デジタルガレージは、危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを、
創業以来、大事にし続けています。
これからくるWeb3、オープンソース時代を見据えた、
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