| 今回は、小児外科医である松永正訓の『運命の子 トリソミー』です。 本書との出会いは、街録chでの配信がきっかけでした。 このラジオを通じて、 ・松永先生の生きる姿勢や ・障害児をもつ両親の葛藤と受容するプロセス を深めていきたいと思います。 街録chでの放送回 https://youtu.be/a7pmeD86ML0?si=WoWGvha7-drqt0R5 |
サマリー
このエピソードでは、朝陽くんの誕生にまつわる独特な家族の心情が描かれています。妊娠37週での異常発見や緊急手術、そして出生時の困難な状況を通して、親たちの葛藤や受け入れの過程が語られています。また、障害児である朝陽くんとその家族の心情についても描かれています。特に、母親の恵子さんが抱っこを通じて朝陽くんの命の意味を感じ始める瞬間や、家族がコミュニケーションを取りながら受け入れていく様子がテーマとなっています。さらに、朝陽くんの誕生後、家族が不安と喜びをどのように体験するかが描かれています。看護師たちのサポートと家族の絆が、困難な状況を乗り越える力となったことが強調されています。
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こんにちは。
こんにちは。
はい。
じゃあ前回に続き、運命の子取書に扱っていきたいと思います。
はい。
あれですね、前回の収録から1週間半経ちまして。
こちら側ではそうですね。
そうですね、こちら側ではですね。
なので、私もちょっと前回の配信時の時、収録時の時にはまだ全部読めてなかったんですけど、一応全部読めまして。
何か使いたいところいくつかピックアップしたので、今日入っていけたらなと思っておりますと。
朝陽くんの誕生の緊急事態
第3章からいきたいなと思っています。
第3章はですね、朝陽の誕生ということで。
これ13通りそみ、主人公の朝陽くんの生まれるところの章が第3章なんですね。
じゃあ早速入っていきましょうかね。
お願いします。
読んでいきますね。
なんて言ったらいいのかな。
これ第3章の第2節。
2節って言ったらいいのかな。
そこから入っていきます。
有告の帝王節解って書いてあって、そこから読んでいきますね。
2011年2月21日。
妊娠は37週に入っていた。
その日、三婦人科を受診すると、担当医師は若先生だった。
彼は聴音波検査をしながら、「おかしい。」と言い始めた。
37週の割に赤ちゃんが小さすぎる。
それにけいこも高血圧になってタンパク尿が出ていた。
すぐに大きな病院で見てもらいなさいと言われて、千葉市立海浜病院の産科を紹介された。
幕張新都心のそばの海岸にほど近い場所にある病院だ。
この日は仕事がなくて、信人氏は家にいた。
夫婦は驚きはしたものの、それほどの緊急事態であるという認識はなかった。
近所に住む信人氏の両親に長男を預け、二人は海浜病院に直行することになった。
この時、けいこは車から笑顔で、義母に、ギリの母に手を振っている。
だがけいこと胎児を受診した産科の医師はたちまち緊迫した表情になった。
赤ちゃんがあまり動いていない。
用水が少ない。赤ちゃんの心拍数が落ちている。
最大の血流も乏しい。最大ってへそ脳ですね。の血流も乏しい。
産科の医師が言った。
赤ちゃんを低応切開ですぐ出しますから、このまま入院してください。
夫婦はびっくり仰天した。まったく想定していなかった。
このまま赤ちゃんを子宮の中に置いたままにしても、どうにもなりません。と、
産科医はダメを押すように強く言った。
夕刻の病棟にけいこは入院となり、すぐに手術の準備の気配で慌ただしくなった。
一息つく間もなく手術室に搬送され、背中から麻酔の針を刺された。
手術が始まった。全身麻酔ではないから意識はきちんとある。
しばらくするとお腹を強く押され、耳から入ってくる音で赤ちゃんが取り出されたことがわかった。
だけど赤ちゃんの泣き声がしない。けいこは医師に聞いた。
赤ちゃん呼吸してますか?
すると看護師が、
赤ちゃん息してますよ。大丈夫ですよ。と答えてくれたが、
手術室の中は異様に静まり返っていた。
医師たちも一切無言であった。けいこは何かおかしいと感じた。
そのうち赤ちゃんを抱いた看護師が、
生まれましたよと言いながらけいこの顔の前に赤ちゃんを差し出した。
だがそれは全く一瞬の動作でパッと差し出してパッと持っていかれてしまった。
けいこは、あれ?なんだろうこの看護師さんの態度は?と思った。
そして赤ちゃんの顔の映像を思い出すと、
鼻の下に何か丸い肉の塊のようなものがあったような気がした。
何かが違うのかもしれないとけいこはその時初めて感じた。
赤ちゃんが生まれると、普通は医師や看護師から性別が告げられる。
だがこの時誰からもそういう言葉がなかった。
そこでけいこは近くにいた医師に尋ねた。
女の子ですか?するとその医師は、え?と声を上げた。
そして口こもりながら、男の子かな?という曖昧な返事をよこした。
そして逆に、女の子って言われていたんですか?と尋ねてきた。
けいこは、はいと返事をしたが会話はそこで終了してしまい、
手術室は再び沈黙に包まれた。
看護師が医師に告げる、体重1597gという声が聞こえてきた。
赤ちゃんが手術室から去り、金属音がガチャガチャと聞こえる中で、
けいこはお腹の傷を縫われながら、
赤ちゃんの鼻の下のところは手術をしてきれいにすることになるのかなとぼんやりと考えていた。
もちろんそれで感知すると信じて疑わなかった。
赤ちゃんは新生児科の医師の手によって手術室からNYCUに搬入されることになった。
というところまでは第2説のところでございました。
その当時の、その日の独特な空気感。
病室の、手術室か、とか。
じゃあご両親はその日、まさかそこで手寄せ返してするなんて思わず、
病院に行かれて、そこからっていう話だったんですね。
そうなんですよ。
すごいね。
医師たちも一切無音で、手術室の中は異様に静まり返ったっていう感じだったみたい。
でもまだこの時は、このお母さんのけいこさんは、
そこまで深刻だと思ってなかったんだよね、息子が。
息子じゃないか、これ。
あ、でも息子か。
このコブが少しあるけど。
高信号回律だよね。
そうそうそう。
じゃあちょっと続き、次第3説。
病名を知る瞬間
スマートフォンで知った病名。
読んでいきますね。
信人氏が手術室の前のエレベーターホールで待ち構えていると、
医師に突き沿われ、保育機に入った赤ちゃんが現れた。
医師は、お父さんですね、と声をかけてきた。
信人氏が赤ちゃんに近寄ると、医師は、赤ちゃんはご覧のような状態です、と言って赤ちゃんに目を向けた。
高信号回律と言って、かぬの下から口まで裂けている状態ですが、
他にもいくつか問題がありそうです。
男女の性別もわかりません。
詳しくは検査してからになりますから、しばらく奥様の病室でお待ちください。
エレベーターが到着すると、医師たちは保育機とともに扉の向こうに消えた。
手術室から稽古が出てくるのを待つ間、信人氏はスマートフォンを取り出した。
検索サイトで、「口が裂けている。染色体異常。」という言葉を入力した。
染色体異常は医師に言われた言葉ではない、彼が自分で思いついた言葉だった。
画面に並ぶ様々な言葉、その中に彼が見たのは13トリソミーだった。
見たこともなければ聞いたこともない言葉だ。
だが信人氏は、もしかしたらこれかもしれない、と思った。
そして次に検索ワードを13トリソミーにしてみた。
そこには13トリソミーの解説や患者家族が書いたブログが並んでいた。
13トリソミーの赤ちゃんは、本来2本しかない13番染色体が3本に増えているということを初めて知った。
そして、この病気には様々な器系が合併すること、抗心豪害率も頻繁に起こること、そして赤ちゃんは断命に終わるということが記載されていた。
こうして信人氏は、医師に告げられるより先に13トリソミーという病名を知った。
この病名は5時間後、医師団から正式に告げられて確定することになる。
ちょっとまだ途中ですけど一旦ここで区切りますね。
どういうことが起きていたと。
なんか描写が本当に本人が書いたような。
これ松永先生が書かれてるやつ。
そうなんですよね。
ですよね。
だから本当にその日のリアルな感じが、ひしひしと伝わってくる。
そうだね。
松永さんもやっぱり小児科医として働いてるから、病院のその雰囲気感とかもよくご存知でしょうし。
ご両親の様子は聞きながら書いてるから、それも相まって。
こういうのってまずお父さんに告げられるんですね。
お母さんはやっぱり述語、ある意味身体的な負担がある状態で。
障害を持った子を産んでしまった自分を責めるっていうのが、母のある話でもあると思うから、
ショックを受ける前にまずはこのお父さんにみたいなことがあるのかもしれないですね。
お父さんすごいなと思ったのが、まだお医者さんは抗心合外率しか言ってないんだよね。
にもかかわらず、染色体異常ってことを自分で検索して、
その中から13トリソミンを直感的に選んでるんですね。
すごくないですか、これ。このお父さん。
そうですね。
そういうお仕事されてるわけでもないのかな。
そうだと思う。あんまり詳しく書いてなかったような気がするけど、土木系とかそういう仕事だったと思う。
そうですね。
このお父さんちょっとすごい人なんだよな。
他、読んでてもそう感じる。
お母さんはやっぱり本当に人間らしい葛藤を持ってるんですけど、
お父さんはやっぱり客観してる方で、
こういうところも直感的に。
直感力じゃないですけど、直感的なね。
続き読んでいきますね。
家族の心情と葛藤
抗心交外率の他にも、左手の指が一本多い。左の耳タブがない。
閉じたままの目は明らかに小さい。
正気を見ても、男か女かはっきりしないが、どうやら男児らしい。
聴音波検査を行ってみると、脳の中に水が溜まっており、脳の発達も未熟である。
また心臓には動脈管改善という奇形があった。
NICUに通された信斗氏は、なぜか冷静であった。
自分でもその理由がよくわからない。
染色体以上の子供が生まれてくる、などという予感はみじんもなかった。
だがこうして、重症危機への赤ちゃんが生まれてみると、
このことはあらかじめ用意されていたもののような気がした。
この現実を受け入れなければ前には進めないし、
そしてこの子はうちの家族の一員としてやってきてくれたのだと、落ち着いた心で考えた。
だが心は平静だと自分では思いながら、
信斗氏はふと気がついてみると赤ちゃんの体を隅々まで観察していた。
それはあたかも荒探しをしているようで、そういう自分の行動に嫌悪感を覚えた。
医師たちから聞いた言葉と自分の目で見たものを、
信斗氏は病室に戻り、稽古に伝えた。
ショックを受けないように、たいしてひどい危機系ではないかのようにできるだけ言葉を選んだ。
赤ちゃんの可愛らしさを強調しようとした。
慶子は泣いた。泣いて何度も何度も信斗氏に謝った。
信斗氏は、「慶ちゃんのせいじゃないよ。」と静かな声で妻を慰めた。
信斗氏は自分の両親に電話を入れた。
父は落ち着いた態度であったが、母は泣き崩れた。
そして次に慶子の姉にも電話を入れた。
慶子の両親はすでに他界しており、信斗氏夫妻は慶子の姉と親しく付き合いをしていた。
その姉も電話口で泣いた。
時刻はもう24時に近づいていた。
信斗氏は慶子を懸命になだめて、お兄ちゃんを迎えに行くため帰宅することにした。
というところで、第3節が終わります。
何かこれについて語ることがないといえばないね。
語ってないなって改めて思ったし、
現実に直面した方のしさいな、平静な心と、
だけどそこに荒探ししてしまっているんじゃないかっていうような、
そういうところも含めたいろいろなこと。
お父さんやっぱりすごいですよね、これ。
なぜか冷静でやった。自分でもその理由がよくわからない。って書いてあって。
こういう子が生まれてくるっていう予感はみじんもなかったが、
生まれてみると、このことはあらかじめ用意されていたようなものの気がした。
すぐ需要してるんですよね。
だけどその後やっぱり見ちゃってたみたいな話なんですよね。
その両方があるっていうのが。
なんかね、お父さん、
信斗氏さんってね、これ第三章の始めに書いてあるんですけど、
どこいう人かっていうとね、ちょっと読みますよ、これ。
家族の始まりってところで、信斗氏さんと慶子さんがどう出会ったかってところが書かれてあるんですよ。
信斗氏さんのことはこういうふうに書かれてあるんですよ。
高校を中退した信斗氏は食後てんてんとして生活を送っていた。
だがある日彼は物理と仕事を辞めて、それまでに働いていた貯金を使い、
仕事をせずに親元に引きこもってしまった。
夕方になると目を覚まし、その頃に友人がやってくる。
酒を飲み始めて、深夜0時には友人が帰る。
その後も信斗氏は酒を飲み続け、眠りにつくのは朝であった。
外出するのは酒かタバコを買いに出るときだけであった。
こういう引きこもりの生活が2年も続いた。
書かれてるんですよ。
こう見ると、一見世の中的には、
自分勝手なダメな男だなみたいな感じに見えるじゃないですか。
でも今聞いてて、そこって繋がんないんだなと思いました。
そういうことなんですよ。
変な理論で、そういうことをしている人はこういう時はこうなんじゃないか、
って実は本当は繋がってないのに、繋がってるように社会では。
そうなんですよ。
やっぱり全然繋がんないんだなと思う。
そうなんですよ、本当に。
その人がどういう仕事をしているか、仕事をしていないかとか、
こういう状況になった時にどう受け止めるかってことに、
別にそんな関係がない。
我々もよく自己紹介で、大体この仕事を何してるんですかみたいなことになりますけど、
そんなことどうでもいいんですよね。
学歴とかね。
このお父さんって世間の価値観から一致してるんですよね。
それがここに出てる気がしてて、世間の視線とか気にしないんですよ、もう。
仕事で無職になっててみたいなことも全く気にしてない。
自分は人生のフェーズで今そういうフェーズなんだって思ってるだけだと思ってるんですよ、おそらくね。
なるほどね。
一方でさっきの朝日くんのやつの一瞬の両方の心みたいなものとか、
そういうある種の矛盾みたいなものとかもあったりするのかもしれないし。
そこの矛盾の大きさはお母さんの方が感じるんですけれども、
お父さんも矛盾がゼロではないとは思いますけど、
そこまででも矛盾してる感じにはあんまり見えない。
何で矛盾してないように見えるかっていうと、やっぱりどっちかに最後スタンス取れるんですよね、スッと。
人間が本当に大事なことは何なのかってことを分かってる人のような感じがする気がする。
愛とか感謝みたいなものとか、人間が体現すべきことを体現してるような感じに見える。
へーすごいね。
僕もなんでこの生まれた瞬間にこんだけ冷静だったんだろうかってことをちょっと考えてみたくなって、
すごくこういうことに対するケイパビリティが高い人に見えるんですよ。
これ、何だろうな、色々あるんだとは思うんですけど、
僕読んでて一つはね、奥さんがやっぱり困惑するじゃないですか。
そうすると自然とそれと逆の役割を担おうとするみたいなこともあるのかなーみたいなこともちょっと思ったんですよ。
なるほどね。
奥さんを支えないといけないし慰めないといけないしっていうことで、
自分が冷静になってその役割をしないといけないってことも書かれてないけどなんか感じてたんじゃないかなーみたいなこととかね。
確かにね。
でもそうお礼ができる人とそうできない人の差は何から生まれるのかっていうかね。
でもこれもさ、のぶとしさんのが素晴らしいけどさ、全員がこうあらなきゃいけないって思うのも苦しそうだよね。
そうですね。
この状況においても。
例外的ですよね。
できない。
僕は思っちゃうし、自分だったら。
そうですね。
そう、そこののぶとしさんの人生も気になってきちゃうね。
ねー、ほんとねー。
まあこれ、お母さんの葛藤みたいなものは本当に世の中一般の感覚に近いから、
もうめちゃくちゃ感情移入してくる、そこは本当に。
だからもうちょっと続き読んでいきましょうかね。
はい。
4節。朝日に出会う。
朝陽くんとの初対面
この夜、恵子は一睡もできなかった。
一体何が悪かったのかと、いろいろなことに思いをやった。
自分が高年齢であることも関係があるのかもしれない。
だが恵子は、何一つ集中して物事を考えられる状態ではなくなっていた。
夜を徹しで涙を流し続けた。
カーテンの向こうがうすらと明るくなった。
恵子が入院している部屋は産科病棟の一番左側の個室だった。
カーテンを開けると朝日が目に入った。
陽の光を浴びて、海面がどこまでもキラキラと銀色に光っている。
恵子は涙を拭って、この子に朝日という名前を付けようと決めた。
書いてあるんです。
これが名の由来ですね。
で、ちょっと続き読んでいきますね。
信人氏が病院にやってくると、恵子は車椅子に乗って、
二人で朝日君に面会に行くことになった。
恵子は朝日君に会うことを恐れた。
夫から聞いていた話では、我が子はまるでモンスターのようだ。
早く会いたい気持ちと、怖くて目を向けたくない気持ちで、恵子は胸がつぶれそうになった。
保育機の中で朝日君を見て恵子は驚いた。
ちっとも怖くない。いや、案外可愛い。違和感がない。
耳をちっちゃくて可愛いし、六本の指だって可愛い。自分の子だ。
ほっとした恵子の表情を見て信人氏も安堵した。
だが、この頃の朝日君は生命が危ぶまれる状態を繰り返していた。
無呼吸発作が頻発し、その都度医師たちから酸素バッグで肺に酸素を送って、
朝日君の状態を持ち直させていた。
だから恵子がようやく朝日君を抱っこできたのは生後四日目のことだった。
そして恵子は朝日君を抱っこした瞬間に、心の中で何かがわかった気がした。
朝日の命には何か意味がある。何かの役割を持って我が家に生まれてきたのだと。
それが具体的にどういうものなのか、今の段階ではよくわからないが、いずれ明らかになるように思えた。
というところで終わります。
最後の抱っこのシーンは印象的ですね。
カンガルーケアって言って、生まれた瞬間に抱っこするんですよね。
そうすることによってすごくいろんな効果があって、子供にとっても母さんにとっても。
でもそういうのができてない。
四日?四日くらいできなかったって書いてあって。
でも抱っこすると何か起きるんだね。
何かがわかったんだね。その何かっていうか、この生まれてきた意味っていうか、予感だね。
でもこれ、すごい描写だなと思って。
わが子はまるでモンスターのようだ。早く会いたい気持ちと怖くて目を向けたくない気持ちで、けいこは胸がつぶれそうだった。
でも見てみると案外かわいい。
この時点で恐れと小さな需要が、その両方が平存して起きていってる。
違和感がないっていう言葉も印象的でしたけど。
思うとあれですね、お母さんも。お母さんもすごい意識ですね、改めてこう読むと。
すごい。
そういうその時間の4日でしょ。4日の中でそうやって受け入れの難しい場合もあるんじゃないかなって普通に想像しますし。
もちろん葛藤はそれも続いていくと思うんですけど、その中でも何か受け入れることが始まってるような描写だったので、
なんか十分にすごいと思ってしまいましたね。
抱っこするって大事なんですね。
またちょっと後半の章になってくると、信戸市のお母さんが抱っこした話が出てきて、確か。
その時もね、抱っこして変わったって言ってたんですよ。
お父さんのお母さんが朝日君を抱っこした。
それもね、やっぱり恐れてたんですって、だけど抱っこしたら授業したんですって。
抱っこって行為がもう授業の行為なのかもしれないですね。
先にね、身体的に先にまず。
先に笑顔になって嬉しくなるみたいな感じ。嬉しいから笑顔じゃなくてみたいな。
あるのかもしれないですね、これ。
確かに頭の中だけで授業、授業って考えても難しいですよね。わからないっていうか。
ハグするとか、触れるみたいなことですよね。
抱っこってあんまり意識したことないけど、そう考えると確かに生まれた瞬間両親にしてもらってて、
すごく奥深い行為に思えてきましたね。
前考えたことなかったんですけど、抱っこってちょっと深そうだなって思いましたね。
でもそうやって身体的なところから少しずつ始まっていくんですね、その家族の物語じゃないですか、ストーリーが。
じゃあちょっと第5節、兄への告知いきますね。
これ兄っていうのは朝日君のお兄さんですね。
この頃兄は第1子がまたいて、第2子が朝日君だったんだよ。
なるほど。
兄への告知
慶子が初めて朝日君を抱っこした頃、信斗氏には長男に赤ちゃんの病気を伝えるという重い仕事が待っていた。
染色体異常という言葉や13トリソニーという言葉は5歳のお兄ちゃんに理解できるはずがない。
病気とか、危険とか、障害とか、様々な言葉があるがどれもしっくりこない。
だから信斗氏は長男に朝日君の姿をそのまま伝えることにした。
ただ話をする前からお兄ちゃんは何か変だと思っている様子だった。
それは母親が急遽入院になったり、長男が話しかける言葉に信斗氏が構っていられなくなったりしたことで、
彼は自分なりに異変を悟ったようだった。
信斗氏はお兄ちゃんと一緒にお風呂に入りながら彼に語りかけた。
赤ちゃんは口の形が変わっていて黒目のところがグレーなんだ。
髪の毛がチリチリで可愛いんだよ。
左手の指は6本もあってすごいんだよ。
男の子か女の子かまだわからないんだ。
でも男の子かな。
手術をすれば治るところもあるんだけど、
手術をしても治らないところもあるんだよ。
お兄ちゃんはうつむき、やがて涙を流し始めた。
赤ちゃんの誕生を心待ちにしていた長男の心の中で、
世界観が覆るような変動が起きていると信斗氏は感じた。
家族の兄とかに伝えるっていうプロセスもそうだよね。あるよなって。
どう伝えるか難しいですよね。
でも信斗氏さんのお風呂の中での伝え方はなんだろうな。
なんていう言葉で表現したらいいんだろうな。
フラットって言うとちょっと違う気もするんですけど、
何かそんなものを感じまして。
病気とか危険とか障害とかどれもしっくりこないって。
すごいですね、信斗氏さんね。
でもこれね、この5歳のお兄ちゃんもすごいんですよね。
思いました。
子供って大人が思ってる以上にわかってるんですよね。
お兄ちゃんもこれ、うつむいて涙を流し始めたって。
お兄ちゃんもわかってるんですね。
じゃあちょっとこれ続き読んでいきますよ。
在宅医療の始まり
6節。試験外泊から退院へって。
試験外泊っていうのは試しにまず外泊してみようってことですね。
読みます。
傷の癒えた恵子は酸化病棟を退院となった。
朝日君の無呼吸発作は次第に回数が少なくなっていき、
誕生から2ヶ月後、大型連休の前に、
同じ診施室の中のGCUへ出ることができた。
GCUっていうのは回復治療室らしいです。
恵子は幼稚園の年長組である長男を送り出すと、
開品病院のGCUへ面会に通った。
看護師にケアのポイントを教えてもらい、
目浴を行ったり胃管の入れ方を学んだ。
人形を使ってマスク換気の練習もした。
開品病院の医師団の方針は当初から決まっていた。
朝日君を長期に病院へ置いていくことはせず、
在宅療養に持ち込むという考えであった。
恵子は朝日君と一緒に2時間近くを過ごすと、
お兄ちゃんの迎えのために帰っていくというのが日課であった。
この頃、朝日君には月に1回の頻度で無呼吸発作があると、
恵子は聞かされていた。
そしてある時、恵子が面会している最中に発作が起きた。
看護師が3人がかりで酸素バックを押して朝日君を蘇生させ、
恵子はそれを見て呆然となった。
在宅介護になって本当に自分たちでアンビューを押せるのか不安が込み上げてきたが、
後戻りするという道は存在しなかった。
アンビューっていうのは無呼吸発作が起きた時に、
もう呼吸してない状態がガッといきなり起きて、
アンビューっていう酸素バックみたいなやつで肺に酸素を戻していって、
そしたらしばらくまた呼吸が戻ってくる。
器具みたいなことですからね、そういう。
そうそうそうそう。
でもこれが見て衝撃だったんだよ。
呆然となった。
これはできないって、そういう感じが不安が思ったんだけども、
でも後戻りする道はなかった。
もうできるとかできないとかじゃなくて、
もう生きるか死ぬかの問題だからやるしかないっていう状況なんですけど。
後戻りっていう選択肢もあったんじゃないかと思ったんだけど、
そういうことじゃないんだ。
この決意って意味なのかな。
病院がすごいと思うんだよね、これ。
送り出すというかそこに在宅。
最初から病院の方針決まってて、在宅医療に持ち込むって言ってるから、
これたぶんすごいことなんだと思う。
病院によってはこういう重酸トリスミの人はさ、
もう治療行為をせずに終わっていくっていうみたいなこととかが昔はあって、
今もそういうところがあるっていうのを動画でもね、
安永さん先生言ってた気がするから。
その方針に従って。
方針に従ってる。
じゃあちょっと続き読んでいきますね。
季節は真夏になり、朝日くんは生後6ヶ月に近づいた。
完全に在宅介護に移る前に、まずは練習が必要になる。
朝日くんは試験的に自宅へ2日間の配白をすることになった。
病院から借りた簡易型のモニターや酸素ボンベ、
そして吸引機と酸素バッグを自宅に用意した。
いよいよ朝日くんに会えるお兄ちゃんは、
ハイテンションで街に待っていた。
朝日くんの誕生と家族の緊張
だが両親は緊張の拠地だった。
朝日くんが自宅のベビーベッドにやってくると、
夫婦はほとんどパニック状態だった。
モニターに目をやる。朝日くんの顔に目をやる。またモニターに目をやる。
朝日くんの喉がゴロゴロすれば、恐る恐る吸引機でタンを取る。
タンを取っている最中にモニターの数値が下がれば心臓がドキドキする。
稽古はベビーベッドの前に食い付けになり、トイレも我慢する始末だ。
また万が一の事態を夫婦で考えてしまう。
朝日くんが急変したらどういう手順で救急車を呼ぼうかと、
2人でシミュレーションをした。
酸素バッグを押すのが先か、救急車を手配するのが先か、
段取りを話し合ってみるものの、いろんなパターンを考え始めるとキリがなかった。
次の瞬間に何が起きるのだろうかと考えると、気持ちはますます張り詰めるばかりだった。
その一方で、お兄ちゃんは自宅に朝日くんを迎えて大はしゃぎだった。
彼の喜ぶ顔を見ているうちに、稽古と信人氏は精神的に少しずつ楽になっていった。
長男の笑顔がなければ、2日間の試験外泊は途中でギブアップだったかもしれない。
これすごいですね、この長男の。
この長男のこうしてにしかできない役割があって、
これのおかげでこのご両親、試験外泊できたんですね。
退院と新たな生活の始まり
ご両親ももちろんすごいけど、
こういうお兄さんのこういう、お兄さんは意識的にやってるわけじゃないと思うけど、
お兄さんの存在みたいなこともすごい大きかったんですね。
不思議だなぁと思いながら聞いてますね。
じゃあちょっと続きを読んでいきますね。
秋になって新生児科もついに卒業となった。
10月3日から7日まで朝日くんは小児科医の個室に移った。
退院に向けての準備である。
GCUとは異なり、今度は母親が24時間つき添うことになる。
稽古は朝日くんと一昼夜を共にしたが、
この時はあまり不安や戸惑いは感じなかった。
看護師たちが身近にいたからだろう。
こうして退院の日が迫った。
改品病院の看護師たちは朝日くんと家族に本当によくしてくれた。
彼女たちは稽古や信人氏の気持ちを理解しようと、
優しくそして積極的に関わってきた。
その気持ちがダイレクトに2人の胸に響いた。
朝日くんが生まれた瞬間から、
悲しい思いも辛い思いも怖い思いも何度も経験したが、
稽古も信人氏も看護師たちに救われた部分が
とても大きいと感じている。
病院とはこんなにも人間見あふれる優しい場所なのかとしみじみ思った。
退院の日、新政治家の部長医師が朝日くんの個室を見舞った。
その先生は稽古にとっては怖い医師だった。
これまでも何度も、
短命だからね、いつ急変するかわからないと言われ続けてきた。
その医師が退院の日に持ってきてくれたものは、
綺麗に押した四ツ葉のクローバーだった。
稽古はその心の優しさに感動した。
こうして、2011年10月7日、朝日くんは生後7ヶ月で自宅に帰った。
というのが第三章でございました。
これね、この本には朝日くんのケース以外にも入ってくるんですよ、途中から。
青鬼病院ってピンキリというかね。
いろんな病者があるんですか、そういう病院の。
それがよく伝わってきたんですけれども、
今回この病院は本当に良い病院だったみたいですね。
これ読んでるとね、本当に。
松永先生が書くからね、実情もご存知の先生が書くから、
本当に良い病院だったんでしょうね。
これ石井大介さんもあれですね、本当に。
稽古にとっては怖い石だったってね。
短命だからとか言われ続けて。
でも最後には四ツ葉のクローバーを持ってきてくれたって。
この石井さんがちょっとどんな、この部長石井がどんな人かちょっとわからないけれども、
石井には石井の辛い役割がありそうだなって感じましたね、やっぱり。
伝えないといけないことはちゃんと伝えないといけないし、
最悪のことをちゃんとしっかり想定してもらえないかといけない関わりをするし、
だけども実際の関わりは愛情深く関わっていくというか。
何に脅しではないというか。
そういうこともその石井にとっての優しさということもあったのかもしれませんね。
そうか。
3章はそういうふうに朝日くん誕生から病院を出ていくところ、
最後7ヶ月で病院出ていくところまでが描かれているっていうことなんですね。
じゃあ続き、次は第4章に入っていきたいと思いますが、第4章は短命という名の運命ですね。
ここからこの短命ということとどう向き合っていくかっていうか、
その葛藤みたいなことに入っていきます。
じゃあ一旦ここで切り口で区切りましょうかね。
次回第4章ということでいきたいと思います。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
41:26
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