寝ている人とのコミュニケーション
今日は、寝ている人とコミュニケーションを取ることはできるのか、みたいな話をしていきたいと思うんですね。
古典的な睡眠の定義っていうのは、外界の刺激に反応できないっていうことなんです。
でも、その外界の刺激を受け取ることはできるんですね。
いや、もちろん目覚まし時計が鳴っていれば起きるわけで、聞こえるのは聞こえているんです。
他にも、起きている時ほどではないんですけれども、感覚需要はちゃんと行われているっていう研究がたくさんあるんです。
さらには、聞こえてくるものから情報を受け取ることもできて、
寝ている間に情報の連合、
結びつけっていうのもできるということなんですね。
だから、例えば言葉を学ぶみたいなこともできるんです。
その結果、起きた後に行動が変わるみたいな、そういう研究はすでにあるんです。
でも、おおむねそういった情報の需要は、
自動的、無意識に起こるというふうに考えられています。
で、しかも、寝ている間に外界の刺激に反応をしているわけではないんです。
でも最近、寝ている間でも言葉を聞いて、それに対して反応ができる。
つまり、寝ている人、夢を見ている人とコミュニケーションが取れるかもしれないっていう研究が発表されたので、
今日はその話をしていきたいと思います。
今日はその話をしていきたいと思います。
ホットサイエンティストへようこそ、小名谷です。
そもそも睡眠とはっていうところから話していこうと思うんですけれども、
レム睡眠とノンレム睡眠があるっていうのは、よく聞くところだと思います。
そのレム睡眠の間は目がよく動くんですね。
で、脳は活発に働いていて、
でも体は動かないっていう状態で、
夢っていうのは主にレム睡眠の間に見るとされています。
で、ノンレム睡眠の方は4段階あるんですね。
N1からN4まであって、
眠りが浅い状態から深い状態まで分けられているんです。
で、睡眠とはどう定義されているのかというと、
睡眠の定義と段階
睡眠とはどう定義されているのかっていうところなんですけれども、
誰でもこれは寝てる状態だねって思い描くものがあるんですよね。
でもそれが厳密に何なのかっていうのを定義するのは難しい問題なんです。
古典的には刺激への反応の低下とか、
意識の低下が睡眠であると言われています。
意識の低下が睡眠であると言われています。
言われているんですけれども、
そもそも意識とは何なのかみたいな問題もあるので、
なかなかこれが何を意味するのかが難しいというところなんです。
で、睡眠の研究が行われる場合には、
ポリソムノグラフィというのを使って判断をするっていうことなんです。
これいろんな計測器がまとめられたものなんですけれども、
脳波とか筋肉の、
状態とか目の運動を測定するんですね。
で、基準があって、
特定の状態であれば睡眠中であると、
そうでなければ覚醒しているというふうに分けられて、
で、さらに睡眠のどの段階であるかっていうところも、
この機械でもって判断をすることができるというふうになっているんです。
ただ、後でまた触れようと思っているんですけれども、
こういうふうに機械で判断したとしても、
やっぱりそもそも睡眠とは何かっていう問題が残るんです。
誰でもこれは寝ていると判断する状態があって、
その時の脳波がどうだったから、
こういった脳波である時には寝てると判断するみたいな順番で決まっているので、
そもそも睡眠は何なのかっていう、
という問題がこの手法では解決されていないわけなんです。
でも、大体の場合は、
このポリソモノグラフィーを使った判断の仕方でうまくいくので、
こういうふうに判断するっていうのが標準になっています。
で、寝ている人に刺激を与えた時に反応することができるかっていう話なんですけど、
実験結果と反応
一応、すでに研究があるんですね。
寝る前に、寝ている時に音を聞いたら腕を動かしてみたいな指示を与えてどうなるかっていうのを見た実験があって、
N1っていう浅い眠りの時には反応できるっていうことを示した研究があるんです。
でも、深い眠りになると、
そう、手とか足の筋肉っていうのはあまり動かせなくなるんですね。
だから、こういった研究には限界があったんです。
でも、動かせる筋肉っていうのがあって、
目を動かす筋肉って働くことができるし、
顔の筋肉っていうのは、深く眠っている時でも動かすことができるんです。
で、今日紹介する、
この研究では、実験参加者に顔の筋肉を動かしてもらうことで反応を検出するというやり方をとっています。
この論文なんですけれども、パリ脳研究所のバシャク・トゥルケルラによる研究で、2023年10月にネイチャーニューロサイエンスに掲載されたものです。
この論文の前に、同じグループが関与した研究というのがあって、ナルコレプシーという日中突然寝てしまう病気の人で、こういうような実験をしたものがあるんですね。
今回の論文というのは、その研究の続報で、睡眠障害のない人でも実験を行っています。
なぜナルコレプシーの人で研究をしていたかというところなんですけれども、ナルコレプシーの人は、明石無というのをよく見るんですね。
明石無というのは、自分が夢を見ているということを自覚していて、夢の中で意識的に行動することができる状態です。
この状態だったら反応はどうだろうか。
みたいな実験が以前の研究で行われて、今回の実験でもそれも行われています。
今日紹介する論文で行われた実験の内容なんですけれども、
ナルコレプシーの人と、そうじゃない健康な人に、睡眠状態をモニターするポリソムノグラフィーをつけてもらって、その状態で昼寝をしてもらって、
モニターをしています。
寝ている最中に刺激を与えていくんですけれども、普通の単語、もしくは意味を持たない言葉を聞かせているんです。
寝る前に指示が与えられているんですね。
普通の意味のある単語を聞いたら、しかめ面を3回してください。
意味のない。
偽物の単語を聞いた場合は、笑顔を3回作ってくださいっていう、そういう指示だったんです。
バランスを取るために、逆の組み合わせの指示を受けた人も半分いて、意味があったら笑顔、偽物だったらしかめ面っていう形だったんですね。
眠った状態でも、目が覚めていてもこれをやってくださいっていう、そういう指示だったんです。
そういう指示を受けて、
絶対実験参加者が寝っ転がっているわけですね。
単語、もしくは偽物の言葉がランダムに流れます。
10秒おきに流れるんですけれども、それが流れている時間と、音が全く流れていない休憩の時間があったんです。
与えられた反応をしていたかどうかを測定していくわけなんですけれども、
それには顔の筋肉にセンサーが入っているんです。
センサーをつけて判断しています。
しかめ面の時に動く筋肉と、笑顔の時に動く筋肉が違うので、
それぞれのセンサーの波形を見て、どっちをしたのか、あるいは何も反応していないのかっていうのを判断していったんです。
さらに、これでもって答えが合っていたかどうかも判別していきました。
実験が終わると、
参加者が起きるわけなんですけれども、
そしたら、夢を見てたかどうかとか、
名責務だったかどうかとか、
あとは言葉は聞こえたかなどを聞き取りします。
この結果なんですけれども、
まず、覚醒状態、寝ていない状態の人はどうだったかというところですね。
そういう状態の時は当然反応をしていて、
80%程度、
80%程度で、その声に対して反応をしていたんです。
単語を流していない休憩の時間では、ほとんど反応をしていなかったということですね。
さらに、正答率も8割程度だったそうです。
眠っていない状態とは言っても、
たぶんぼんやりしている状態なので、そんなもんかという、
というところです。
じゃあ、寝ている人はどうなのかというところですけれども、
まず、ナルコレプシーの人ですね。
N1、浅い睡眠のところでは、
50%以上で反応が見られたということです。
レム睡眠でも30%程度で反応していて、
名責務の場合は50%程度だったということです。
正答率もすべて70%以上でした。
正答率って、ランダムに答えていたとして50%だから、
言葉に反応する睡眠中の人々
それよりはそれなりに高い正答率だったということになります。
だから、ナルコレプシーの人だと、
結構よく反応してたっていうことなんですよね。
じゃあ、ナルコレプシーではない、
睡眠障害のない人ではどうだったかですね。
N1で20%程度の反応があったということです。
レム睡眠中は6.7%の反応があったんです。
これ結構低いんですけど、
でも刺激がないところ、
その単語が聞こえてこないところでは、
2.2%、
だったので確かに反応はしているんです。
これも正答率は70%以上だったということです。
ただ、やっぱり昼寝なので、
N3とかN4とかレム睡眠みたいな深い状態の睡眠まで到達しているのが少なくて、
サンプルが少ないせいでその辺りのデータはないということになります。
というわけで、
ナルコレプシーの人っていうのは、
寝ているときでも言葉を聞いてちゃんと判断してよく反応しているっていうことなんですね。
睡眠障害のない健康な人でも、
少ないんだけど反応を確かにしているっていう結果だったんです。
どれぐらい意識をして反応しているものなのかっていうところなんですが、
起きた後に聞いているわけなんですね。
で、ナルコレプシーの人では、
言葉を聞いたのを覚えているケースっていうのがあったんです。
それなら確かに意識をして反応しているっていうことだと思われるんですね。
でも健康な人では、その記憶があった人はいなかったので、
よくわからないということなんです。
意識をしているかどうかははっきりしないんですけど、
考えてはいるっていうことを示す証拠はあるんですね。
ちょっと考えてほしいんですが、
意味のある単語かそうでないかっていうのを判断するときに、
意味のある単語っていうのはすぐそうだってわかるんですよね。
でも変な言葉を聞いたときには、
一瞬考える必要があるんです。
それで、
その単語を聞いてから反応するまでの時間に違いがあるかっていうのを調べたんです。
で、その結果、
ナルコレプシーの人でも障害がない人でも、
意味のない言葉を聞いたときの方が、
表情を作るまでに時間が長くかかったということでした。
だから、やっぱり考えていそうだっていうことまでわかった。
だから、この結果から寝ている人でも、
言葉を聞いて考えて、
それに対する反応をしているっていうことなんですよね。
ただ、ちょっと考えないといけないことがあって、
言葉を聞いて反応するときに、
一瞬覚醒している可能性があります。
ただ、
計測器を使った測定で、
一瞬でも覚醒してそうだと判断された部分があるときには、
その寝ている側のデータには入れないようにしたんですね。
だから、少なくとも標準的な判別の仕方では、
寝ている状態の人が反応していたということになります。
もちろんこれは定義の問題なんですよね。
もし、古典的な考えのように、
外界の刺激に反応しないことが睡眠の定義であるのであれば、
反応しているので、これは目が覚めているっていうふうに言うこともできるわけです。
それから、寝ているあるいは寝ていないっていう2つに分けられるっていう前提で話をしているわけなんですけど、
睡眠中のコミュニケーションと夢の研究
そもそも寝ている状態と起きている状態っていうのは、
連続していて、そうはっきり分けられないのかもしれないっていう、
そういう可能性もあるわけなんです。
でも、今回の研究っていうのは、
普通は寝ていると判断される状態でも、
外界の刺激に反応できるっていうことが示されたわけです。
さらに、この研究では、
ノウハウを詳しく解析して、
反応しているときにどういうことが、
起きているのかを調べていってます。
で、睡眠中でも認知機能が高い時間とそうでない時間があって、
機能が高いタイミング、
あの、明石夢を見ているときなんかはそうなんですね。
で、そういうタイミングでは反応ができているという結果だったんです。
だから、睡眠中でも外界に通じる扉が開いて、
反応できるタイミングがあるみたいな解釈だったんです。
で、こういった研究をする意味なんですけど、
寝ている人とコミュニケーションを取る方法ができたので、
夢って何なのかっていう研究に使えるっていうことなんですね。
その睡眠の研究っていうのは増えてきているんですけれども、
夢の研究って、
まだまだ少なくって、
で、それを進める手法ができたというところがあります。
それから、こういうふうに寝ている間に外界に反応できるのであれば、
睡眠学習はできるのか、
そしてできるのであればどうやってやったらいいのかっていう研究につながると考えられるわけです。
ただ、役に立つかどうかは別として、
で、寝ているとき、
夢を見ているときって別世界にいるっていう感じなんですけど、
でも実はその状態でも現実の外界とコミュニケーションが取れるっていうのは、
なんかSFっぽい不思議さがあるなと思いました。
じゃあ今日はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。