水に対する恐怖と克服
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日は298回、私が泳げるようになった理由というタイトルでお届けしたいと思います。
この配信は、前回の私が音楽を聴かなくなった理由という配信と対になっていまして、
私が何とか泳げるようになった理由を語ることによって、教育について焦点を当てていきたいと思います。
私は実は、小学校の6年生まで5メーターぐらいしか泳げませんでした。
というのも、幼稚園の時に親に海に連れて行ってもらって、
海で泳いでいる時に浮き輪から体がズルズルと滑り落ちてしまって、溺れかかったんですね。
父親が助けてくれたんですけれども、海に上がった途端、親戚の人とか親がそれを見て大笑いしているのを見て、
私自身はもう溺れてしまって恐怖を感じているのに、みんなに笑われてしまったという悔しさから、
多分水が本当に怖くなったんだと思います。
小学校1年生になってプールの授業が始まったんですけれども、水に顔をつけることも怖いですし、
耳に水が入ったり鼻に水が入ったりすることもとても怖くて、本当に水が恐怖で、
プールで泳ぐということが恐怖心を克服できずにできなかったんですね。
まあやっぱりね、なんだかんだ言いながら、感受性が人一倍その頃は鋭かったんだと思うんですけれど、
水が怖いということがどんどんエスカレートしてしまって、とうとう目が見えないとか言い出して、
その恐怖とかストレスでプールのシーズンになると、何かしら不調を訴えてプールに入るということを避けるような
自己防衛反応が働いていたように思います。
ということで、幼稚園時代に溺れてしまって周囲に笑われたという、そういうトラウマから、
もう全然水に入るプールで泳ぐということを身体的にも、もちろん心的にも避けに避けていて、
恐怖が克服することができずに、小学校6年生まで5メーターしか泳げなかった。
5メーターというのは、息止めてバーっと勢いで行けば5メーターぐらい行くじゃないですか。
本当に一瞬恐怖を我慢して、息を止めて息継ぎしないで、そのまましぐらにバタ足で泳ぐということぐらいしかできなかったんですよね。
本当に私、プールが嫌で嫌で、本当に自分のそういう恐怖心を克服できないまま小学校時代を送りました。
そして中学校に入ったんだけど、中学校でもプールの授業がありまして、私は全然泳げないということで、
惨めな惨めな1学期の7月の授業を終えました。
そしたら夏休みに入ったらプールの補習に呼ばれまして、体育の先生に泳げないメンバーを5人ぐらいピックアップされて呼ばれて、
しょうがないなということでプールの授業に補習に行ったんです。
体育の先生で、私は前回の放送でも言ったんだけど、国立大附属の教育実習生を大量に入れるような教育研究の中学校・高等学校に通ってたんで、
体育の先生は本当に教育のプロだったと思います。
今でも名前も覚えてるんだけど、ふさまえ先生っていう先生が、私にマンツーマンで月切りで教えてくれました。
私が顔を水につける恐怖を覚えてるっていうことを見取ったわけで、
説教することなく楽しみながら、ゲームっぽく一つ一つ教えてくれるわけです。
足の動かし方とか、手の覚悟とか、それから息継ぎの仕方とか、
それから段階を追ってビート盤を使いながら、手の動き足の動きを補助的にやったり、
時々先生が手足を持って動かし方を教えてくれたい。
その先生は本当に厳しいけど優しいっていう感じで、私を甘やかさず、
さりとって厳しくせずに、楽しく厳しく、一つ一つ的確に泳げるようになる指導をしてくださったんですね。
たぶん3日間ぐらい通ったと思うんですけど、なんとものその指導のおかげで私泳げるようになりまして、
25m泳げるようになりました。
息継ぎもコツがあるわけなんですよ。
なんのことはない。先生はおっしゃってましたけど、なんのことはないんですよ。
水面に顔を上げるときに息を吐けば水が入ってくることはないからって教えてくださって、
当たり前なんですけど、恐怖心があったのでそういうふうなことも全然できないまま、
ボコボコボコボコ溺れてばっかりだった私をその先生はちゃんと付き合ってくださって、
なんと平泳ぎまで教えてくれて、3日目には平泳ぎまで泳げるようになったわけですよね。
今にして思えば優秀な指導者に3日間ほぼ満通なんで水泳の指導を受けたようなものです。
これで私は25mも平泳ぎとクロールで泳げるようになって、水泳の授業で全く劣等感を感じることもなく、
体格的には結構恵まれていたので筋力もそこそこあったから、コツをつかんだらトップとは言わないけど、
トップから5人目ぐらいの速さを出せるようになって、プールの不得意な感覚がなくなりました。
教育の重要性
本当に教えてくれた深前先生には感謝しています。
ということで、このプールの補修で私はプールが苦手ということを克服できて、
それから大人になってからフィットネスクラブに入った時ももちろんプールを泳ぐことはできたし、
フィットネスクラブに入ってからは2キロでも3キロでも力を抜きさえすればスイスイ泳げるようになったわけです。
なので今現在もプールとか泳ぐということに対する苦手感覚はなく、
生涯にわたってプールを楽しむことができるというスキルを授けてくださった先生方には感謝感謝です。
今にして思えば先生方も非常に教育熱心だったし、
おまけに泳ぐ技術を教えてあげるということは、
その子が本当に自分の身体を守るスキルを身につけることでもあるから、
先生方は本当にこの子たちのために必要だと思って教えてくださったに違いありません。
まさしく本当に生涯にわたって自分の身を守るだけの威力と、
それから生涯、水泳というものを楽しめるスキルを授けてくださったということで、
やっぱり教育というのは偉大だなあって今更ながら思います。
私があれだけ水が恐怖だったのに、そのことについて押しつけるでもなく、
それから甘やかすでもなく、ちょうどいい具合に生かさず殺さずという、
最接近領域で教えてくれた先生のスキル、指導力には、
先生になった今現在でも尊敬の念を禁じ得ません。
ということで、この私自身の経験を通して、やっぱり教えるということ、
この素晴らしさ、教えるということの大切さ、重要さを再認識して、
私自身も生徒に当たっていきたいと思います。
私自身が抱いた劣等感をいつまでも忘れずに、
いろんな生徒に対して創造力を働かせながら対応していくことが大事なんじゃないかなと思っています。
それでは今日の配信はここまでです。
聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。