道徳授業の目的と準備
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日は371回、道徳の授業で生成AIにアシスタントしてもらおう、ちょっとの工夫で共同的な学びに、というタイトルでお届けしたいと思います。
私は11月23日の日曜日、広島でICTイベントを開催しまして、その中のロイロのコーナーで12、3分ぐらいでミニミニ実践報告をしてきました。
その中で、私は道徳の授業でAIをアシスタントとして使ったので、今日はその内容について配信したいと思います。
まずは簡単に私の自己紹介をした後で、今回のことの発端となったいきさつについてお話をしました。
こないだも配信しましたように、私は10月の中旬に京都に修学旅行を引率することになったんですね。
京都の修学旅行で自由行動がありまして、そこで生徒たちが4、5人のグループになって自由行動をすると。
そういった内容がありまして、私はもうここで嫌な気持ちになりまして、不安でしかないわけですよ。
まだ幼い中学生、いたずら盛りのやんちょ坊主たちが、規範意識が低くて何かをしでかすのではないかと思ったので、
事前指導をやっぱりしておいて、何かあった時のために備えておこうと思って、道徳の時間にはそういうふうな決まりを守るという、そういう単元のコーナーもありますので、そこにかこつけまして、
道徳の授業で修学旅行の事前指導を行うことにしました。それでどうしようかな、どうしようかなと考えたわけですよ。
生徒たちのトラブル想定
普通はやっぱりマナーブックみたいなのを作って、生徒にこういうことやっちゃダメなのよ、ああいうことやっちゃダメなのよ、みたいになりがちじゃないですか。
それか、またはケースをポンと投げて、それでグループワークして発表するみたいになるわけですけれども、
そういうケース投げて終了じゃ、他のケースが起きた時への対応もできないし、ちょっと網羅的にやりたいなというふうに思ったわけなんですね。
そして悩んでいる時に、やっぱりこういう時には神が降りるわけですけれども、これやっぱり生徒から問いを出させて、それで自分たちで解決策を出させたらいいんじゃないかと。
まさに課題発見解決型の授業じゃないかということで、早速私は修学旅行のお約束ごと集、トラブル対応マニュアルというのを作成しましょうということで、
想定されるトラブルをカードにいくつも書いて、ロイロノートの提出箱に提出させることにしまして、
案の定生徒たちはたくさんのトラブル想定をしまして、大量のカードが集まりました。
やっぱりね、本当に自由奔放でワンパク盛りなんで、トラブルを書けって言われたらね、想定されるトラブルを書けって言われたらもう嬉しそうにジャンジャンジャンジャン書きまして、
もう本当自由奔放な男子中学生らしい自己中心的なトラブルが大量に集まりました。
はぐれた時どうするのかっていうね、そういう同じことの内容なんだけど、勝手に帰る奴がいたらどうするとか、
それから観光中大声や常識の範囲外になるような行動があったらどうするかとかですね、お金を全部使っちゃったとか、
ホテルの人とホテルで一般の人と迷惑がかかるかもしれないとか、もう早速ねそういうトラブルを思いついてジャンジャン書いていくわけですね。
この大量のロイロノートのカードをどうしたかというと、ロイロノートにはPDFでデータを回収する機能があるので、
すべて選択して書き出しPDFということで、すべてのコメントをPDFで回収しました。
その後はノートブックLMにPDFをアップロードします。
この辺はもう定番中の定番なんですね、私の中ではね。
ノートブックLMのアップロード可能なデータ形式はPDFはもちろんのこと、テキスト形式はマークダウン、音声でもいいし、
それから当然のことながらワードファイルでもいい、画像も大丈夫なんですね。
様々な形式に対応しているので、最近はね、手書き文字のスキャンPDFデータも可能になりましたので、
私も最近は手書きをよくさせることがあるので、手書きのPDFをジャンジャンノートブックLMに入れて再構成し直して教材に使っていますし、
Googleスプレッドシートでも可能になったので、Googleワークスペースを使っていらっしゃる人たちはGoogleフォームで回答を回収して、
スプレッドシートに吐き出させて、それを繋いでも可能だと思います。
あとはノートブックLMに指示しました。
このデータは修学旅行中に想定されるトラブルについて生徒がいろいろと書いたものです。
種類別に分類し、それぞれタイトルをつけてまとめてください。
網羅してお願いしますというふうに頼んだところ、ちゃんと表になって、それからラベリングもされて、美しい状態でまとめてくれました。
例えば金銭、貴重品の紛失と盗難に関するトラブルとかいうタイトルをつけて、金銭がなくなった場合、落とした場合とかいうふうにちゃんと分けて、素晴らしい形でまとめてくれましたので、
これをGoogleスプレッドシートやExcelに貼り付けると、マトリックス状になっています。
AIによる解決策の評価
右側に解決方法の欄を一つ設けて生徒が記入できるように成形して、それをコピー&ペーストしてロイロのカードに貼り付けて、
班のメンバーを書くところとか、ナンパンとか書くところとか、解決方法にこうやって書くのよみたいなカードを小さく貼っておくとかして、
あとは共有ノートを各班ごとに作成して、いたずら防止のためにそれぞれの共有ノートに編集権限を範囲だけ入れて、
個別設定して8班作成して、生徒に話し合いながら対応例をみんなで入力していきましょう、後で発表してもらいますっていうふうにスタートしたわけです。
生徒は非常に収穫旅行を楽しみにしていたので、わいわい言いながら活発に話し合っていました。
特に自由行動班でやったので、やっぱりリアルなんですよね。この班で行くからもし何かあったらこうしようねみたいな、
そういった問題意識がリアルだったので、本当に活発に話し合いをしていました。
ところが、不適切事案が発生してしまいました。私はこの時、イベントの中で何が起きたんでしょう?というふうに尋ねたんですけど、誰も答えられなかったですね。
その不適切事案というのは、コメントを悪ふざけしてエスカレートして不適切書き込みをしてしまうという、そういう事案だったんです。
例えば、お金がなくなったらというところの解決策に、他校の人に借りるとかね、悪ノリしてエスカレートしてこんななっちゃうんですよね、中学生ってね。
それから、勝手に帰るやつや単独行動するやつへの対応策としては、〇〇くんが怒ってくれるというふうに個人名を挙げて、解決をおちゃらけモードにしてしまうという、そういうふうな悪ノリの中学生。
実はあるあるなんですけれども、この雰囲気をどうかしたいなと思って、私が注意してもうるせえなみたいな、そんな感じで終わっちゃうので、考えに考え抜いた結果、やっぱり神が降りるわけですね、ここでね。
そうだ、不適切かどうかAIに診断してもらおうということで、今からコメントをコピペしてAIに診断してもらいます、と診断してもらったんですよ。
そしたらね、さすがね、やっぱりAIは神ですね。
お金がなくなったら他校の人に借りるというコメントについては、他校の人に金銭を借りることを提案するのは不適切です。
これは金銭トラブルを複雑化させるだけでなく、生徒が監督者の目の届かない範囲で外部の人と金銭のやり取りをするという、安全管理上好ましくない行動を推奨する可能性があります、というふうにバシバシ駄目出しをしてくれました。
それから、単独行動を取った生徒に対して、「〇〇くんが怒ってくれる」とかいう、そういうふうな解決策を提示したことについて、ノートブックLMはどういうふうに答えたかというと、
解決策や対応策の一つとして、特定の範囲の感情的な反応や個人の権威に解決を委ねるような技術を含めることは、問題解決に対する真剣さや集団管理の原則から逸脱しています、とバッサリやってくれました。さすがAIです。
それを立て続けに私が示しましたところ、生徒たちは、「やべえ、AIやべえ!」と言いながら修正をし始めたということで、その後は健全なコメントにまとまっていきまして、それぞれの各班で自慢のトラブル対応集を2つずつ前に出て発表して共有をしました。
ということで、私がノートブックLMを大いなる偉大なアシスタントとして活躍してもらったというお話なんですけれども、やっぱりこういうAI活用とかICT活用の根底には、しっかりとした授業デザインというのが根底にないといけないなというのを今回のことで改めて思いました。
今回、やっぱりAI活用が有機的に働いた背景には、生徒の生活から課題を立ち上げたこと、そして生徒の問題意識を吸い上げて問い出しをしたこと、そしてそれを自分たちで共同的に解決策を出そうとして頑張ったこと、そして最終的にアウトプットとして発表の場を設けたという、そういう課題発見解決型のデザインというのが根本的にあって、
そこにAIを使ったということが、やっぱり有機的に働く一つのポイントだったのではないかと思います。
ということで、簡単にAI活用を見せたわけですけれども、こういう基本的なオーソドックスな、そしてシンプルな形を皆さんにお示しして、AI活用のあり方について皆さんといろいろ考えていけたらいいなと思っています。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。
