教育の問い直し
みなさん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、
多様な教育現場に長年勤めてきたオールラウンダーな教員、黒瀬直美が緩やかに語っています。
今日は309回、教育は再帰性なんだよね、というタイトルでお届けしたいと思います。
先日から自由進路学習についての配信が続いていますが、自由進路学習をいろいろ取り組んでみて、
結局、私自身の従来型である単元学習、あれをちゃんとやっていれば、
その中に自由進路学習というのが入っているなというふうに思いましたし、
それから中央大学の樋口万太郎先生もおっしゃっていたけれども、
しっかりした授業の構造化と、それから教員の支援、これがなければ自由進路学習は成立しないというふうにおっしゃっていたので、
やっぱりきちっとやるべきことをやらないと自由進路学習は上に乗ってこないし、
何よりもベースには安心安全な場、教員と生徒の信頼関係、
そういうふうなのがないと上には乗ってこないというようなことをずっと配信で言い続けてきました。
改めて思ったのは、結局教育ということは、この分野は同じことの問い直しできているんじゃないかなというふうに思ったということです。
例えば今から10年ぐらい前に、うちの県では学びの変革アクションプランというのが策定されまして、
いわゆる現行の学習指導要領、これを先取りしていこうという、そういうふうなプランが出されて、
教育現場ではそれに向けて先取りでいろいろな授業作り、授業改善をしていこうということになりました。
そのときにそのアクションプラン及び新学習指導要領、それを読んできたわけなんですけれども、
読んでいるうちに、これ別に探求型とか課題解決発見授業をやろうやろうと言っているけど、
大村浜先生の探検学習と一緒じゃねって思ったんですよ。
でもそれそのままやって、それやれば課題解決発見学習だし、それやればもう探求型だしということで、
私にとっては真でも何でもなかったという、そういう思い出があります。
なので、スムーズに私の中では新学習指導要領、当時ですね、今では現行学習指導要領はスーッと入ってきたわけです。
ということで、前あったことがさらに問い直されているというこの図式、これは大きな大きな教育界の流れでもそうでした。
ずっと前に調べたことがあったんですけど、昭和20年代ですね、戦争が終わって新しい教育をやらなくちゃいけないということで、
アメリカから経験主義教育というのが入ってきたんです。
経験を通して学んだことは生きて働く力になりますよということで、学習指導要領は変えられたんですね。
ところがこれは、活動あって学びなしという言葉を生んで、活動するばっかりで学力がついてないじゃないかという、そういう批判が出てきた。
そこで能力主義という方向に転換してしまって、特に国語では説明文の読解力を育てましょうという、そういう指導がどんどん開発されるという、そういう昭和30年代。
それから昭和40年代になると高度経済成長期に入って進学というものに注目されてきて、ここで今度は逆に能力主義でやっちゃうと落ちこぼれの問題が発生してしまったわけですね。
これから能力主義の教育から一人一人主体的に学ぶ学習というのが重視されるようになりました。
そして昭和50年代を経て、いじめや校内暴力、学級崩壊というのが言われたし、今度はゆとりゆとりと言われるようになったわけですね。
そして総合的な学習の時間というのが作られるようになりました。
言語活動を重視しようということが言われるようになりました。
そして平成に入ると今度は学力が低下しちゃったので、基礎学力の低下から揺り戻しが来たと。
また学力学力と言い出したというように、この教育界では経験主義という生活に基づいて課題を設定してそこから勉強していこうという、
そういうふうな経験主義と、いやそれじゃダメだと、国語の能力やスキルを上げていきましょう、
という教えること重視の能力主義というのが振り子のように増えてきたという、そういうふうな歴史があったわけですね。
ということで結局教育というのは再規制、問い直し、そういうふうな歴史を経てきているんだというお話をしました。
教育の普遍性
でもねこれね、あることに似ていてファッションにも似てるなと思ったんですよ。
私たちが昔着ていた服、これを若い人が新しいと思って流行ったりとかですね、ちょっと古臭いなと思っているような、
そういったことでも新しさを見出されたりというように、ファッションも再規制がある。
ということで歴史は繰り返すではありませんが、教育もこうやってまた問い直し、問い直しがいつもされているということが分かりました。
ということはやっぱりその歴史的に問い直しがされている中で変わらないもの、普遍的なものは何なのかということをしっかり私たちは見据えていかないといけないと思いますね。
私自身が今思っていることは、歴史的にあるいは変わらないこと、歴史的に変わらないことというのは、生徒が一生懸命主体的に取り組むということですね。
ここだけは変わらないんじゃないかと。その中でどうするかということは、時代の流れによっていろいろ変わってきているし、問い直しとか、あるいは文言が変わっただけという取り組みだったりね。
そういうことなんだけど、生徒が主体的に取り組むということだけは普遍的なんじゃないかなと。
それはなぜかというと、生徒が主体的に取り組まないと吸収しないからだと思うんですよね。
ということで、教育は結局再規制なんだなというお話を脳原稿でしました。
結構、脳原稿がうまくなってきたなと思うので、このままポートキャストを続けていって、自分の話す力というのをバージョンアップしていきたいと思います。
それでは、今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。