四国中央市の研修会
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道ス黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日は302回、四国中央市ロイロノートイベント登壇裏話、初めて会う先生方に響くものとは、というタイトルでお届けしたいと思います。
私は先日7月29日火曜日、四国中央市の大研修会に登壇しました。四国中央市では、いつも7月の下旬にロイロノート主催のイベントを、主に四国中央市の教育委員会の方々を中心に開催して、小学校・中学校の先生方およそ150人の方々が参加して行われている大研修会になります。
プログラムとしては、最初に全体会がありまして、講演会をやるんですね。その後、大体登壇者8名ぐらいが40分間のセミナーを3回やるということで、結構一クラス35人ぐらい、ぎっちりと先生方が入って研修会を行います。
この登壇について、裏話を今日はしっかりお話ししたいと思います。
まず昨年、四国中央市のこの研修会に登壇しませんかということで打診がありました。私はすごくいい機会なので、ぜひ登壇させてくださいというふうにお答えして、ミーティングが始まったんですね。
そのミーティングでは、やっぱり四国中央市の教育委員会たちの方々は、正式的な教育を先生方に取り組んでもらって、それで教育会を牽引していこうという、とても情熱的な先生方がいらっしゃるので、一生懸命取り組まれているようで、
オーダーとしては、やっぱり最近とても注目されている自由進路学習や個別最適学習、共同的な学びというふうなオーダーが来ていたんです。
私自身もそういうことをやりたかったので、日頃からそういうことに注目して取り組んできたわけなんですけれども、そういうオーダーなので、そのオーダーに合うような取り組みで焦点を絞って、私の授業の中でやってきたことをきちっと構想して、構成をして、そしてスライドに出していきました。
タイトルは、いつもの国語の授業をちょっとした工夫でアップデート、ICT×個別最適化×共同学習というタイトルだったんですね。今にして思えば、結構ガッツリ目のタイトルだったと思います。
やっぱりレベルの高いオーダーだったので、自分の中でもそのレベルの高い要求に応えようとして、そういうふうな授業のデザインで、そういうふうな中身、そしてそういうふうな工夫、その結果のスライドというふうになったと思います。
そういったスライドでセミナー登壇を終えまして、最後質問があったんですけどね。あるベテランの男性の先生からこういう質問がありました。先生のところは中高一貫校で先取り学習もしているらしいんですね。結構学力の高い生徒が揃っていらっしゃるんでしょうね。国語の時間ってどれぐらいあるんですか?というような質問でした。
私は中高一貫校だから中学校3年生になったらちょっと先取り学習をしますと。国語の時間は週に3回国語A、週に2回国語Bというのがあって手厚くやってますと。そういうふうなお答えをしました。
その先生の質問はね、その裏に私立だから国語に重点的に時間をかけて取り組むことができるし、そしてやっぱりある程度入試というものを経てきた生徒が入学するから比較的安定した生徒実態じゃないんですか?というようなね、そういう中でやった取り組みだからできたんじゃないんですか?というようなやんまりとした批判があったんじゃないかなって思います。
まあそういった質問を振り返ってみるに、やっぱりセミナーでその時登壇したんですけど、どうしてもね、思ったのは参加者の方とちょっと溝があるな、距離感があるなっていうのは感じていました。
それはやっぱりどうしても自治体の感性研修だから、来なくちゃいけない研修だから参加者の方たちはそういうふうな人もいらっしゃるのかもしれないなってそういうふうに思ったんですけれども、もしかしたらこの男性の先生の質問から考えるに参加者の方と私の中で埋められない何かがあるんじゃないだろうかっていうふうに最終的に思ったわけですね。
自由進度学習の提案
ということで、この人たちの求めているものはこれじゃなかったのかもしれないっていうふうにその時私は確信したわけです。
その証拠に、今年度この四国の研修会に参加して1コマだけ参加者の立場で参加することができたんですね。
1個だけお話を聞くことができて、その時に隣にいらっしゃった若い体育の先生とペアワークをすることがありまして。
その先生がおっしゃっていたのは、いつもこの研修会に参加した時には思うんですけれども、私立と公立とでは全然自由度が違っていて、この実践は現実自分にはできない、できない差があるなっていうふうに思ってしまうんですよっていうふうにおっしゃっていました。
やっぱり私立と公立とでは違うんだ。だからこの実践は現実にはできない。そういうふうな意識でいらっしゃるんだなっていうふうに体育の先生おっしゃってたんですけど、その体育の先生は私のセミナーも受講していて、先生だから言うんですよっていうふうにおっしゃってくれました。
というふうなことで、そういった先生にそういうふうに言わしめた私のセミナーはどうだったのかっていうのをお話ししたいと思います。
今年も昨年度の流れで呼んでいただいたわけなんですけれども、ぜひ昨年度の反省を生かして、参加者の先生方との距離を縮めながらのセミナーにならないかなっていうふうに反省を生かした登壇内容にしたいっていうふうな思いでやりました。
そしてタイトルもオーダーがどうしても先進的なそういうふうな学びでレベルの高い要求になってしまうので、ちょっと工夫して国語の授業における緩やかな自由進度学習と個別最適な学習とはというふうなタイトルで副題に持続可能性を求めてっていうふうにしたんですね。
ゆるやかにやりましょうよ、ゆるい自由進度学習でいいじゃないですか、大事ですかっていうようなそういうふうなメッセージを込めました。
特に我々は忙しくて日々大変な過重労働を強いられているような現場実態で、そういった私たちがゆるゆるっと続けて自由進度学習に取り組んでいけたらいいんじゃないかというような提案もタイトルに込めました。
そして私の中では今年こそは参加者の先生方、聞いてくださっている先生方との間を詰めるような提案にしたいと思っていました。
で、登壇はいつものようにオープニングから始まって、皆さん自由進度学習やってますかっていう調査をやったりなんかするんだけれども、自己紹介もするんだけれども、やっぱり今回は私の教員としてのヒストリーを紹介した方がいいということで、コンパクトに3から4分ぐらいでまとめて私の教員としてのヒストリーをお話ししました。
そうすることによって私はどういう位置に立って、どういう視点で教員として働いているのか、そのことを理解していただいてのこの提案なんだということには大きな意味があると思ったんですよね。
教員になりたての頃、教育困難校に赴任して、今まで大した挫折もなく、ノーノーとしたお嬢さんだった私が教育困難校に赴任して悪戦苦闘の日々を送っていたこと。
そして、これまでの優等生では全く通用しない生徒実態に、本当にストレスを感じて疲れ切って、消耗しきって自己肯定感を持てなかった日々だったこと。
そんな日、ある日、女子生徒に、先生、うちらの学校に行きたくなかったんじゃろって言われて、自分の教員としての貧しさを思い知らされたこと。
教員の成長と挑戦
そこから私は自分自身、しっかりもう叩き直して、一人の人間として生徒を見つめよう。そして、生徒と共に成長するようなそういう教員になりたい。
そういうふうに思い直したこと。その次はでも、もっともっと深刻な定時制高校に赴任して苦労や失敗の連続だったこと。
その次に転勤した学校でも、大規模の教育困難校で日々悪戦苦闘したこと。
その中で家事育児をしながら、本当に苦難の連続で17年間ここまで来たこと。
そんな中で月刊国語教育からお声がかかって、漫画を活用した授業に取り組んだことをきっかけにして連載がスタートし、私の中で少し自信が生まれ、
そして次の学校ではやっと普通の授業ができるような学校に転勤して、やっと教員から学び直しが始まったこと。
そして国立大附属中高等学校に交流人事で赴任することによって、本当にレベルアップしていき、授業力がついていったこと。
その後、公立高等学校に移動して、10年間今までの充実してきたそういった実践をしっかりそこで投入して、本当に体を壊すまで一生懸命努め上げたこと。
その次には、またまた教育混乱校で今までの自分の蓄積をしっかりと発揮できたこと。
その間、国語教育学会では全国での発表2回、学会での掲載4回、それから大学の発表でも発表4回、競技会1回、数々の研修館にも自主的に参加し、
自分から全国の先生と一緒にオンライン研修会で開催して、セミナー等の登壇ではオンラインの実習研修会も含めて60回以上を数えるようになったこと。
そして、私立中高一貫校男子校に転席したことによって、中学生を教える難しさを感じ、さらに自分自身気を引き締めて教員として学び直したこと。
その中で、小学校・中学校の先生方はどれほど尊い仕事をなさってきているのかということを身をもって実感したこと。
こういうことをお話しして、最終的に私の強みは、様々な生徒実態を経験して、その多様な生徒実態を経験しているからこそ授業を見る解像度が高くなったこと。
参加者との交流
そういった私が皆さんに提案します、そういった形でセミナーをスタートさせました。
その話をした途端に、やっぱり私と参加者の皆さんとの距離がぐぐぐぐっと縮まっていくような思いがしました。
ということで、やっぱり私のライフヒストリーを語るということは大きな意味があったんじゃないかと思います。
会の終わりに振替のロイドカードを書いてもらいました。
たぶんこの書きぶりだと、若い西洋2,3年目の女性の先生だと思うんですけれども、こういうふうに書いてくださっていました。
自由進路学習は難しいと思っていたのですが、先生のお話を聞いてやってみたいと思いました。
学年が上でないとできないと決めつけていたのですが、先生に教えてもらった方法だけだと、学年に関係なく実施できることが分かりました。
今日学んだフレームリーディングは、この夏休みにまた学び直して、二学期の物語教材で実施してみたいと思います。
先生の経歴かっこいいなと思います、というコメントをくださいました。
最後の言葉のね、先生の経歴かっこいいなっていうのは、これは私に対しては本当に響きましたね。
最大の惨事じゃないかなって思いました。
若い先生がかっこいいと思ってくださるような、そういった教員としての経歴を経てきて、私も若い先生を励まし、ずっとずっとチャレンジし続け、
失敗したり悪戦苦闘したりした、それでも立ち上がって自分の授業を形作ってきたこと、
これをかっこいいと言ってくれたこの先生のために、さらに何かできたらなって思っています。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。
