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皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この配信では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日は夜にちょっと録音してるんですけど、普通はですね、私は早起きで、夜になると体力ヘロヘロでバタン急で寝るっていう毎日なんですけど
皆さん、二学期始まりましたけど、ハードな始まりですよね。何とか乗り越えていきましょう。
ということで、今日は先日配信した例の、ミロのビーナスの導入と集結のマイ決定版という配信の中で、絵画の謎解きをやったんです。
ちょっとだけ紹介したんですけど、その絵画の謎解きについて、今日は補足として詳しく説明したいと思います。
私は、この絵画の謎解きは小説の導入によく使ってきました。先日配信したのは、ミロのビーナスっていう美術作品の評論の導入として用いたんですけど、小説の導入にも用いることができます。
今日はそれをちょっと説明しますね。まず今回用いたのは、フェリペ・プロスペロ王子の肖像というベラスケスの絵です。
これは17世紀のスペイン王朝のハプスプルーケの王子の肖像画なんですね。
この王子が2歳の時に肖像画を描かせたものですけど、この王子様は短命で4歳で病死してしまったということなんですね。
生徒にはこの絵を見せて、いろんなことをね、感想を言わせて、いろいろと応答するんですけど、先に謎をちょっと明かしますと、
このスペインハプスプルーケっていうのは、血族結婚を繰り返してきて、それで生まれてくる子供が女の子も男の子も短命だったんですね。
特に男の子の方がよく早く死んでたんです。
男の子が生まれて、四次が生まれることになるから、長く生きてほしいなという願いを込めて、比較的長生きをした女の子のドレスを着させて、
死神が男の子だとさらっていくので、女の子だと思わせるためにドレスを着させるという風習があったそうです。
なのでこのフェリペ・プロスペロ王子は、女の子のドレスを、王女のドレスを着さされているんですよね。
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さらによく見ると、ドレスには鈴と、それから薬袋、ハーブの入った薬袋が吊り下げられていて、
これは魔除けとして吊り下げられているみたいですね。
ということで、血族結婚を繰り返してきたハプスプルグ家の呪われた血を表しているわけですね。
それからしっかりと、豪華な調度品の椅子に手をかけて、こちらを見つめている王子の表情は非常に落ち着いていて、
2歳とは思えない老成した表情です。
これはもう2歳にして成長しきっているという、そういうことを表していて、
この王子が2歳にして20歳、いや40歳ぐらいかな、もう達観しているということは、
この王子は2歳にして人生を悟っているような、老成したようなもう追い先、短い身だということが、
まあちょっとなんとなく表現されているわけですね。
そしてその背景が暗い背景で、この王子は暗い世界に吸い込まれていくように描かれているので、
呪われた王家の王子の運命をなんとなく表現しているように感じられます。
こんなふうに、王子をベラスケスは精密かつ洗練されたテクニックで描いているんですけど、
ここに呪われた王家の血を皮肉を込めて意地悪く描いてるんじゃないかなっていう、
ベラスケスの権力に対する反骨精神みたいなものが読み取れるんですけれど、
これは中野京子さんの分析を私なりにちょっとさらにいただきながら、私なりに付け加えたものなんですけど、
そういう肖像画なんです。
この肖像画を生徒に見せて、これは有名な詩なんだけど謎がいっぱいあると。
皆さんまず最初にどう思う?って聞いたら、
大概の子がですね、男の子、王子なのに女の子の服を着さされているとか、
この男の子は2歳とは思えないとか、
それからやっぱり雰囲気が暗いとか、豪華な調度品に囲まれているとか、そういったことを言います。
そのたんびに実はこれが意味があってね、というふうに謎解きをしていきますと、
生徒はそんなことが隠されているのかという表情で、だんだんと身を乗り出して聞くようになるんですね。
そして私はその後、やっぱり一流の作品とか古典っていうのは、
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知識や歴史や文化をちゃんとバックボーンに持って分析しないと、
ちゃんとわかったことにならない、干渉したことにならないということを言い、
これから小説を読むんだけれど、描かれている素材がどういうふうな意味を持っているのか、
そして歴史や背景は、というようなことを質問しながら、
しっかり小説を読んでいきましょうということでスタートするんですね。
特にこれを用いてスタートさせる小説は、木の先にてとかレモンとか、
そういった小説のスタートでこれをよく使います。
大体の木の先にてもレモンも若干難解なわけで、
だけどその中に描かれている風景とか素材とかがメタファー、
何らかを象徴しているものですから、それをしっかり捉えながら読んでいこうということでよく使います。
そうすると生徒も興味を惹かれて、一体このアイテムには何の意味があるんだろうというふうに、
しっかり視点が定まるわけですね。
これをやってスタートさせた木の先にてでは、
やっぱり蜂とかネズミとかイモリとかっていうものが一体何を表すのかとか、
川の流れが上流から下流ってどういう意味なんだろうとか、
それから私がだんだん向かっていく先が青白くなっていくっていう雰囲気は何を指しているんだろうとか考えるようになります。
ということで小説を見る目の視点が備わった状態でスタートするので、
生徒の小説の文章一つ一つを読んでいく気構えと視点が養われたという点では非常に効果的でした。
ということで中野京子さんの怖い絵っていう本、ぜひぜひ一度読んでみて小説教材の導入に使われてはいかがでしょうか。
きっと木の先にてとかレモンとか、私なんか他にも安倍公文とか、
そういった少し難解な小説に使うと面白い効果が出るんじゃないかなと思います。
というようなことを言っていたらですね、やっぱり木の先にてとかレモンの教材分析が非常に重要になってきますよね。
また教材分析については機会があれば配信できたらなと思っています。
もしそういうふうな需要があるとか、そういう教材分析を語ってほしいっていうような要望があれば、
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私ごときのレベルでいいんだったらお話ししたいと思いますので、
ぜひ星を押していただくとか、コメントいただくとかしていただければ考えていきたいと思います。
じゃあ今日はちょっと短めでお話ししました。
皆さんまだまだ残書厳しいですけど、厚い厚い残書を乗り越えてなんとか2学期乗り越えていきましょう。
それでは今日はこの辺で。ありがとうございました。またお会いしましょう。