P4Cの紹介
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日は374回、p4cを少しだけやってみた、というタイトルでお届けしたいと思います。
p4cというのは、Philosophy for Childrenの略になります。
これは世界各国で展開されているんだけど、主にこのメソッドはアメリカの方で開発されたんじゃないかと思うんだけど、
子ども哲学ということですね。
考え・議論する道徳ということで、宮城県を中心に取り組みが進められていて、全国に広まっていったと私は認識しております。
ここに本があるんですけども、子どもたちの未来を開く、探求の対話、p4c。
これちょっと購入して、これが一番わかりやすかったなと思うんだけども、p4cの実践について具体的に書いてありまして、
これとても参考になるので、もし興味のある方はこちらの本を手に取っていろいろと勉強されるといいと思います。
私がこの本を買ったのは多分4年くらい前だったと思うんですけども、ある先生、社会科の先生に面白いよって報告されまして、
ちょっと私も面白そうだなと思って勉強しまして、本を読んでね。
ただ、やっぱりどこでこれを導入するかというのをずっと悩んでいまして、
今のところ、やっぱり自分の授業がうまくいっていったりすると、なかなか取り組むきっかけがないし、
それから道徳ということで、当時は高等学校の教員だったので、ホームルームでやるということぐらいしか念頭になかったわけですけども、
皆さん高等学校の教育は、もうシェラバスがガチガチに組まれていて、こういうのをゆとりをもってやろうという、そういうふうなシーンがないわけで、
P4Cなんかをやろうものなら横並びって言われて、他の学年にも、他のクラスにも横並びでやらなくちゃいけないということで、
新しいことを嫌う先生にとっては、ものすごい嫌な思いのするP4Cという取り組みだから、
まあちょっと私単独でできる機会を失っておりました。
ところが、私立に転席しまして、なんとなく自分自身で独自で先進的な取り組みを取り入れてできるというチャンスが多くなりまして、
それでいろいろやってみてきてはいたんですけど、このP4Cだけはちょっと難しいなと思っていて、
中学生との対話
中学生だから結構やんちゃなわけですよね。教室が安心安全な場っていうふうになっているような感じになかなかできなかったんですけれども、
この度中学校3年生のクラスを持たせてもらいまして、メンバーにも恵まれまして、安心安全な場作りが進んできまして、
特に中学旅行後は本当に仲良しになって、やっぱりお互いがお互いを認め合っているなということで、
安心安全な場になってきたから、ちょっとやってみようかなということで、このP4Cを道徳の授業でやってみることにしました。
でもいきなりガチガチのガチガチでやったんじゃ、やっぱり向こうもなんのことやらだし、こっちも勝手がわかんないということで、
とにかくミニミニバージョンのP4Cをやることにしました。
生徒にまず、P4Cって知ってる?っていうふうに聞きまして、小学校の時にちょっとやったことがある子がいたみたいで、
なんかちょっとやったことがあるっていうふうに手が挙がりまして、P4Cは何の略かわかる?っていうふうに聞いて、
Pだけ開けといて、4はFOR、Cはチルドレン。
何々FORチルドレン、子供たちのためのなんとかっていうことで、
わかんないから綴りをだんだんこうね、少しずつ、P、Hっていうように開けていきますと、
フィロソフィーっていうのが少しわかって、フィロソフィーってどうやって訳すのかなって言ったら、
ちょっと勉強ができる子が哲学っていうふうに言って、
今日は子供たちのための哲学をやりますよということでスタートしました。
だいたいこのP4Cはスクール形式じゃなくて円形になってやるんだけども、
私はその場で即興的に自然な流れでやりたかったので、とりあえず初回ということでスクール形式のままでやり始めまして、
今日は皆さんがいろいろ悩んでいることとか困っていることとか、
それから考えてみたいこと、違和感があること、そういったことを出し合ってもらって、
一つにテーマを絞ってみんなで対話をして深めていきたいと思いますっていうことを言いまして、
あのロイロノートに問い出ししてもらったんですね。
みんな何か困っていることとか考えてみたいこととかないということで、
皆さんいろいろ出ましたね。
なぜ勉強しなくてはならないのかとかね、
それからなぜゲームをしてはいけないと大人は言うのかとかですね、
それからなんで才能っていうもので人は違うのかとかね、
それから女性にモテるにはどうしたらいいのかとかね、
そういった中学生らしい素直な問題意識がたくさん出まして、
それをAIではなくて今度はどれが一番自分にとって問題意識があるかということを一つ選んでもらったんですね。
手を挙げたり、それから時々コメントを求めたりしながら、
結局才能っていうのがね、
なんで人の上下を決めるのか、才能って一体何なのかっていう、
そういう問題が考えたいという子が多かったので才能にしました。
それについてみんなが才能についてどう思うって聞いたらやっぱり言葉が少ないので、
なかなかね、才能って人より優れているか優れていないかとかね、
そういった単純な答えしかなかなか出なかったんだけど、
ここで私がベラベラベラベラしゃべっても全然面白くないんで、
AIに聞いてみようということになりまして、AIに聞くことにしました。
AIにじゃあちょっとみんなが思っていることを聞こうかとかいう感じで、
みんなにAIへの質問をお願いしたんですけれども、
ところがね、やっぱり質問出すのが下手なんですね。慣れてないんですよね。
なので、AIに質問するっていうのはどういうのがいいかなって私が聞きながら、
その断片的な答えを私が文章にしましてですね。
で、文章にしてAIに名付けかけたんですね。
そうしたら、例えばゲームが好きなんですけど一生懸命やってもあんまりやらない人よりも下手くそです。
好きだから続けられるって言ってますけど、好きで一生懸命やっても時間たくさんかけてもかなわない人がいますけど、
それはどう考えたらいいんですかって生徒が言ったことを私が文章化して
AIに名付けかけました。
そしたら、AIは努力の質、努力は量だけじゃなくて質で工夫したらどうかとかね。
それから適性っていうものがあるわけだけど、でもそれは他にも自分の適性があるんじゃないかと。
だからその自分の好きにあった質の高い努力っていうのをすることによって自分を活かせるジャンルが見つかるんじゃないかっていうようなね。
そんな答えをAIがしてくれたんですよね。すごいですよね。
だからあとはですね、才能っていうのは結局何なのかっていうようなことを質問する子がいて、
AIは生まれつきの才能とか能力だけではなくて続けられるっていうのも才能なんだというようなことを言ってくれたりなんかして、
生徒はそれ聞くたびにおーとか言いながら聞いてまして、
その他にも2、3、AIと対話したり、
学びの成果
AIが言ってきたことを私がこんなこと言ってるんだけど自分はどう思うっていうふうにいろいろ投げかけたりして、
私はスクール形式で座っている生徒の間に入ってどう思うどう思うとかね、
AIをもう一人のアシスタント先生みたいな形で対話の中に入ってもらって、
生徒に才能についていろいろな感想とか意見とか気づき発見をどんどんどんどん聞いてもらうという、
哲学対話をやりました。
そしたら最終的に終わり際になって、今の流れでずっと才能について話したんだけどどう思うって言ったら、
結構いいことを言うわけですね、深まった感じの。
それでこれはいいわと思って、そのままロイロノートに今日思ったことを書いてもらいましょうということで、
ロイロノートに才能について感じたことを書いてもらいましたら、
これはやっぱり静かにじっくり考えてもらって、まあいい感じで提出箱に提出されましたよ。
ということで、どういうフィードバックがあったかというのをまた、
ロイロノートの記述をノートブックLMに取り込んで要約してもらいました。
まず生徒はね、才能のものっていうものの考え方が変わりましたとか、
才能を超えるために努力の質を変えたり視点を変えたりする、
それから個性を生かすっていうことをもっと考えようとか、
これからの行動っていうものに自分はもう少し考えて、
自分の足りないものにどう工夫していくかっていうことを考えていきたいと、
今持っていないと感じているところにもチャレンジしたいというような感じのことをいい感じに書いておりましてですね、
これを基にしてノートブックLMの動画概要を作成してもらって、
次の時間動画概要を流して、感動のうちに哲学対話の授業が終わったという格好になりました。
ということで、P4C、この授業を思いつきのような形で軽い感じでやったんだけど、
かなりいい感じに終わって、しかもAIアシスタントのおかげで、
今までと違った、もうちょっと切れ味のある取り組みになったなと思っています。
なので、これをもう少し発展させて本格的にP4Cできたらいいなと思うんだけど、
やっぱり根底には安心安全な場作りですね。
これが本当に欠かせないから、私が今まで半年間ずっと耕し続けてきた、
それから雑草を取り続けてきた、それから栄養を入れ込んできた、
この土壌、安心安全な場作りというものがないと、何を上に乗せてもダメということになりますので、
これからもこれに慢心せずに、安心安全な場作りのために、
日常的に私がどのような声かけをして、生徒にどのような道筋を示すのかという、
私自身の耕し力というのがこれからも求められていくんじゃないかなと思います。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。