添削指導の負担
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日は、230回。添削指導は非常に過重負担だけど、たまにはいいかも。というタイトルでお届けしたいと思います。
先日からいろんなことを、論理国語関係の話をお話ししているんですけれど、この間は、Kaname EngineというAIのワークシートを使って、APIキーで添削のフィードバックを返そうと思って、いろいろと頑張ったというお話を配信したと思います。
あの後、プロンプトをいろいろとついて、何回も何回も試行錯誤をして、私が期待するようなフィードバックが返るように頑張ってみましたけれど、私のようなものでは、プロンプトが下手くそで、うまいこと期待したフィードバックが得られていません。
この間思ったんだけど、これもむしろチャットGPとか、それからジェミニンとかに相談してプロンプトを提案してもらおうかなというふうに思っています。
でも私の感覚では、AIにあの難しい日本語の、しかも受験の複雑な評論文教材のその読解をフィードバックするっていうことは無理なんじゃないかなと。
英語ってわりかしシンプルで単純明快な論理でいくじゃないですか。言語的なその文法もわりかしクリアーだし、でも日本語って複雑で飛躍があって含みがあって非常に文脈に複雑さを持っているようなそういう言語なんで、もうそれで書かれている教材、その読解とそれからその読解の上での回答っていうものに対しては、
もう1段階も2段階もかなり難しい過程が入ってきて複雑すぎるんで、AIには処理が難しいんじゃないかなというふうに私思い始めました。
でもこのあたりなことについては、そういうAIの専門家の方に聞いてみたいなとは思っているわけですけれども、そんなプロンプトをついている時間があったら、これもしかして生徒の添削かけるんじゃねっていうふうに思い出して、先日生徒に模擬試験の復習をしたときにもう1回回答再現をしてもらいまして、私の解説とかそれから問題の読解とかをきちっと踏まえた上で回答を書こうということで書いてもらいました。
それをすべて添削して返したわけですね。
そのときに気づいたことをお話ししたいと思います。
まず、添削指導っていうのは非常に過重負担で大変です。
生徒とのコミュニケーション
なので、長い文章を添削するっていうことは、日常的な授業のときには控えたほうがいいなって思います。
私も過去一番添削したのは、夏休みに新聞読書完走文コンクールに提出する800字の作文を120人分添削して返した。
これが過去一番の過重負担労働。大変でした。
で、結局、長い文章であれば長い文章であるほど添削箇所が増えるわけですよね。
漢字の間違いとか語句の間違いとか構成がおかしいとか本当に長い文章であればあるほど添削の労力が爆上がりします。
なので、日常的なこの過行月、つまり一学期二学期授業がある月にやる添削っていうのは、100字とかせいぜい200字までで打ち止めにして、短い文章を添削っていうふうにしたほうがいいと思います。
その次に、毎回毎回というか全部書いてきたものを添削するっていうふうにしない方がいいです。
添削指導、ここは手を入れよう。ここはきちっと1対1でフィードバックしようっていうのを自分で決めて、それすごい大事なところでそこをやるっていうふうに決めて、
その他の時は線を引いてちょっとこう二重丸したりOK出したりナイスって書いたりっていうような本当に短いリアクションで返せるもの。
そういったことを徹底した方が、この先生読んでくれてるなっていうサインになると思うんですね。
そういうふうな日頃はもう本当にショートショート、ちょっとしたことを返すっていう、そういうふうなことに徹底して、ここぞっていう時に添削指導を入れた方がいいなっていうふうに思います。
それから今回私が模擬試験の復習振り返りで行った添削指導、この指導の前にあることをしました。
このクラスはね、うち男子校だから男子ばっかりなんだけど、男子ばっかりいたら似たような子が多くて名前がなかなか覚えられないんですよ。
1年前あの子たちに会った時に3、4ヶ月経っても名前が覚えられないことにびっくりして、
夏休みに古典の教科団の先生に名前が覚えられなくて困ってるんですみたいな雑談したら、その先生が生徒の顔写真が入っているデータくれたんですよ。
これがあるから使ってください。
それちょうどたぶん中学校3年生か高1の最初ぐらいのデータですごい幼い顔だったんですけど、全然そのデータで1対1対応できそうだったんで、
そのデータ全部ロイロノートに取り込んで、名前のところをカードで隠して繰り返しドリルのように覚えるっていうことをやりました。
これはとても効果的で、私のようなだんだんベテラン世代に入ってくると若い人の顔を見分けるのが難しくなってくるんですね。
だから年取ってからの方がドリルやった方がいいなっていうふうに思いましたけれど、あのドリル正解でかなり覚えられるようになってきました。
それでいつもそれで復習して、それで生徒が書いてくるものでいいことを書いてくれたら誰なんだろうと思ったときに、その名前とかを一致させるようにそのドリルを使って、
この子がこういうことを考えているのか、この子は全然幼い書きぶりだけど面白いこと書いてくるなとか、
それからこの子はもうやる気なさそうな感じでダラダラと書いてるけど結構考えてるぞとか、
その文字情報でその子のことを想像できるようになりました。
この子ゆるゆると書いてるけどかなり考えて書くタイプっていうかね、その一人一人の個性がかなりインプットできるようになってきて、
これずっと生徒には言わないでおいたわけなんですけれども、その模擬試験の復習のときに初めて、
実はずっと半年前からこんなことをやってて、一人一人文章を読むときに、
この子はこういうことを考えてるのね、この子はこういう感じの子なんだなとか、
この子は適当に書いててもしっかり考えてるぞとか、一人一人見てきてるから、
今回の添削でもちゃんと書いてるかどうかわかるから、下手くそだと思うかもしれないけど、
その子はずっと成長してきた子はゆるゆる見てるからっていうことで話し始めてからのスタートだったんですけど、
これが多分良かったんじゃないかなと思ってて、添削の出来がすごく良かったんですね。
答え見たんじゃないかっていうぐらい良かったんですけど、やっぱり一人一人を見てくれてるっていうことを生徒がそのときに改めて実感して、
これは適当に書いてはいけないなとか思ったんじゃないかと思うんですよね。
これもっと早く言えば良かったなと思って、実はその写真がちょっと幼くて、
高校3年生になってそんな写真を先生が毎日見てるっていうのは嫌な気分になるんじゃないかなと思って、
効果的な添削方法
この情報は伏せてたわけなんですけれども、
帰ってね彼らが一人一人この先生は見てるならっていうことを分かってくれたということは、
添削指導的には良かったかなって思いますね。
で彼らが本気で書いてきた作文、できるだけ分かりやすい言葉で筋道立てて書こうと意識してきた、
その作文の添削は非常に楽しかったです。
やっぱり読みやすさを考えて書いてきてるんで、
やっぱり添削しやすいですね。
適当に厚手仕事で書けばいいんだろう、書けばみたいな作文だと、
ペンを入れる箇所っていうのがもう本当にどこに入れていいのか分かんなくなる。
なのでここぞっていう添削指導をするときは、本気で書いてきた文章、
これに答えるのが一番だなっていうふうに思いました。
なので添削指導のあり方って本当にいろいろあって大変だなっていう、
そういう部分も多かったんですけれど、
何とかコントロールしながらここぞっていう時に添削指導を入れるっていうことを
これからちょっと考えていきたいなっていうふうに思いました。
ということで今回の配信はここまでです。
聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。