日曜劇場19番目のカルテ
第二話
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### TBS日曜劇場『19番目のカルテ』第2話の感想と医学的批評
#### **はじめに**
* この放送は、TBS日曜劇場『19番目のカルテ』の第2話について、現役の内科医(心療内科医)である話者が医学的な観点から感想と批評を述べるものである。
* 内容はあくまで話者の個人的な見解であり、特定の組織を代表するものではない。また、ドラマの内容に関する重大なネタバレを含む。
* 話者は原作漫画を読んでおらず、あくまでドラマ版を視聴した上での感想である。
#### **全体的な感想**
* SNSなどでは絶賛の声が多いが、自身にとってはツッコミどころが満載の回だった。
* 特に医学的な観点から看過できないと感じた問題点が大きく3つあったため、解説する。
#### **批評①:オピオイドの描写に関する大きな懸念**
* **問題のシーン**: カンファレンスの場面で、整形外科の医師が「父親が腰痛でオピオイドを服用しており、その精神的な影響が…」と言いかけたところ、他の医師に「今は関係ない」と話を遮られる描写があった。
* **問題点**: この描写は、オピオイド治療を受けている実際の患者さんに対し、「オピオイドは精神に悪影響を及ぼす怖い薬だ」という誤った印象を与え、「オピオイド恐怖」を不必要に煽る可能性がある。
* **医学的見解**: オピオイドは、医師の管理下で適切に使用すれば非常に有効で安全な鎮痛薬であり、がん性疼痛や難治性の痛み治療において不可欠な薬である。
* **結論**: 「精神的な影響」というネガティブな側面だけを切り取って提示し、それ以上の説明なく話を終わらせる演出は、視聴者に誤解を与える非常に不適切な描写であり、やめていただきたい。
#### **批評②:「機能性神経症状症」の診断描写に関する重大な問題**
* **問題のシーン**: 今回の患者が、最終的に「機能性神経症状症(FNSD)」と診断され、精神的なアプローチによって歩けるようになるというクライマックス。
* **問題点1(除外診断の欠如)**: 機能性の病気(心理的要因が身体症状を引き起こす疾患)を診断する際は、大前提として、脳腫瘍や神経変性疾患などの「器質的疾患」がないことを徹底的に検査して除外する必要がある。しかし、ドラマではこの最も重要なプロセスが極めて不十分に描かれていた。
* **問題点2(専門医連携の欠如)**: この疾患は脳神経内科や精神科の専門領域であり、総合診療医が一人で診断を下すのは非現実的。「総合病院」という設定にもかかわらず、専門医へのコンサルト(相談・依頼)を行わずに診断する描写は「けしからん」と言える。
* **問題点3(誤診のリスク)**: このような安易な診断は、背景に隠れている本当の病気を見逃す「誤診」につながる危険性がある。診断に至るまでの過程を省略したような描写は、医療ドラマとして非常に問題が大きい。
#### **批評③:「心身相関」というキーワードを使わなかったことへの違和感**
* **問題のシーン**: 主人公が患者に病状を説明する際、「脳と体はつながっている」「心と体はつながっている」といった表現が使われた。
* **問題点**: まさにこのような状況を説明するために、心療内科では「心身相関(しんしんそうかん)」という専門用語(キーワード)がある。心療内科医の視点からすると、この重要な場面で「心身相関」という言葉を使わなかったことに強い違和感を覚えた。
#### **総括**
* ヤングケアラーという社会問題を取り上げた点や、俳優陣の演技は評価できる。
* しかし、医療監修が入っているにもかかわらず、医学的に重要な部分の扱い方が不適切だと感じた。医療従事者の中でも絶賛する声があるが、あえて苦言を呈したい。
サマリー
ポッドキャストでは、「日曜劇場19番目のカルテの第二話」に対する医療的見解や懸念が述べられています。特に、機能性神経症状やオピオイドの取り扱いに関する問題が指摘され、心身相関の重要性が強調されています。