■日本認知・行動療法学会
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内科医たけおです。この放送は、医療に関する皆様からのご質問やリクエストにお答えするラジオです。
今回は、先日参加した「第51回日本認知・行動療法学会」の感想をお話しします。この学会は大阪で開催され、私は昼過ぎまで参加しました。公認心理師の資格を持つ医師として、心理系の学会にも関心を持っており、今回は現地でしか得られない学びを求めて足を運びました。
まず驚いたのは、会場の凄まじい熱気です。心理業界がこれほど賑わっているのかと感心するほど活気に満ちていました。参加者は1000人を超えている印象で、特に若い先生方が非常に多く、若手の登竜門的な発表も活発に行われていました。以前参加した日本心理学会が基礎心理学系の研究発表が中心だったのに対し、今回の学会はほとんどが臨床家の先生による発表でした。「こういう患者さんにこのような対応をしたら改善した」といった具体的なポスター発表が数多くあり、私自身の臨床にも直結する内容で、非常に楽しめました。
特に印象深かったのが、「慢性疾患におけるケース・フォーミュレーション」をテーマにした自主企画シンポジウムです。これは、私が日頃からお世話になっている勉強会「フィサップ」の先生方が企画されたもので、会場は超満員、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。心理職の方は精神科領域での活動が多いイメージがありましたが、身体疾患や慢性疾患というテーマにこれだけ多くの関心が集まっていることに、大きな喜びと刺激を受けました。
「ケース・フォーミュレーション」とは、一般の方には聞きなれない言葉かもしれませんが、心療内科でいう「病態仮説」とほぼ同じものです。つまり、ある患者さん(クライエント)が抱える症状が、どのような要因やメカニズムによって引き起こされ、維持されているのかを、多角的に整理して理解するための枠組みのことです。
シンポジウムでは、認知行動療法(CBT)的なモデルをどう活用するかが議論されました。私自身、研修医などに病態仮説の立て方を教える際、完全に自由に考えさせるのは難しいため、CBTモデルやBPS(生物・心理・社会)モデルなどをヒントとして提示することがあります。しかし、これらはあくまで物事を理解するための一つの「切り口」に過ぎません。例えば、リハビリテーションの領域ではICF(国際生活機能分類)というモデルが使われます。同じ一人の患者さんでも、どのモデルで見るかによって解釈は変わります。多職種で連携する際には、それぞれが用いるモデルは違っても、「その人を全人的に理解しよう」という根本的な目的を共有することが重要だと改めて感じました。
また、指定討論の先生がおっしゃっていた「診断とケース・フォーミュレーションは違う」という言葉は、まさにその通りだと共感しました。患者さんの中には、診断名や画像所見に強くこだわる方が少なくありません。しかし、特に慢性的な痛みなどでは、診断名が治療方針を大きく左右しないことも多いのです。大切なのは、診断名に固執することではなく、「なぜこの症状が起きているのか」という病態仮説を専門家と患者さんが共有し、それに基づいて治療の枠組みに乗っていただくことです。このプロセスを丁寧に踏むことの重要性を再認識しました。
学会を通じて多くの学びと刺激を得ることができ、非常に有意義な時間となりました。
サマリー
日本認知・行動療法学会の第51回大会が開催され、参加者は1000人以上で活気に満ちています。特に身体疾患や慢性疾患に焦点を当てたケースフォーミュレーションに関するシンポジウムが注目され、様々な専門職の視点からの議論が行われています。