クローバックの基本理解
こんにちは、遠藤和彦です。向井蘭の社長は労働法をこう使え、向井先生よろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
さあ、ということで、今日もね、いきたいと思いますけれども、今日はですね、ものすごい熱量と分量もいただいている質問がありますので、ちょっと早速、
はい。
ご紹介させてください。
はい。
30代の女性の方でして、いきたいと思います。
はい。
向井先生、こんにちは。私は現在、労務担当者として勤務しております。
2週間ほど前に初めて本番組をし、それからというもの、毎朝、毎晩、暇さえあればこちらのポッドキャストを聞いて勉強しております。
さて、本日質問したいのは、クローバックについてです。
クローバック、もともとは役員報酬やファンドマネージャーの利益配分金に対して不正会計や業績不信などを理由に支給した一部または全部を返還させる仕組みです。
この仕組みを、対従業員のインセンティブの設計に使うことはできるのでしょうか。
もう一つあります。使うことができる合法だとして、インセンティブ同士で総裁できない場合は、
クローバックで発生したマイナス分を調整給などの項目で基本給から差し引くことに問題はないのでしょうか。
こういうお質問を2ついただいております。
労基法とクローバックの関係
ちょっと向井先生、ここからですね、背景のご説明をしたいんですけど、
ちょっと一言、クローバックっていうのは、労働法の分野のようなものですか。
労働法というより会社法で取締役の報酬の一種で、
役員報酬って高いじゃないですか、高額で、業績連動報酬が結構、役員の場合多いんですよね。
利益が出たら、このぐらいの利益だったら、例えば500万とかですね、上々企業の場合1000万とか結構大きいんですけども、
ところが実はそれは不正会計のおかげというか、不正会計によるものだったとか、
あとは解約が相次いだとか、
過法修正をしたとか、
実際蓋を開けたら何かいろいろ起きてたみたいなことになった場合に、
このお金をですね、返してもらう。
役員に支払ったそのボーナス、インセンティブ的なものを返してねという、バックしてもらうという仕組みってことですか。
クローバックというのは返還請求という意味だと思います。
なるほど、というクローバックについての質問ということですね。
そしてちょっと背景をいただいておりますので、ご紹介したいと思います。
クローバックについて調べると、現在の日本では、
労基法16条に違反するため違法だと出てきます。
しかし社内の別担当者が私業の先生に確認したところ、
周知し個別に同意を取れば合法であるとの回答が返ってきたとのことでした。
ぜひ向井先生のご意見も伺いたいです。
実際に合法的に行う方法があったとしても、社会保険手続きの観点からもとんでもなく面倒で、あまり実務的ではないと考えております。
例えば、インセンティブ発生支給から半年経ってから中途解約があったので、やっぱりいくら返してください、なんてことがあった場合、
そのタイミングで本人の営業成績不振によりインセンティブ支給がない場合など、
インセンティブ残高どうしても差し引きができずに困ってしまいます。
調整給などの項目で安易に基本給から引くのもなんだか違う気がしており、
仮に引いたとしても厳密に言うと社会保険料など訴求修正が発生し、
実務的に面倒なだけで何も良いことがないような気がしています。
退職してしまった後などはどうやって返金をしてもらうのか、余計に大変だと思います。
日々部合給でやる方が多少こういった懸念は少なくなるでしょうが、
本人の成績不振による支給ゼロが続いたりすると、結局基本給に手を付けて差し引くことになる可能性があるのは否めないと思います。
実際社内の元超大手外資出身者は、以前の会社には社員のインセンティブ支給に関して
クローバックのシステムがあったと言っていましたが、細かい仕組みは分からないということでした。
これは私の想像ですが、おそらく年に一度なら一度と支給タイミングを定め、
それまでの算定期間内では、毎月新規契約解約発生に応じて
インセンティブ金額を加算したり減算したりしてクローバックの考え方に基づいている。
支払う時には全て確定させ、支払い後は支払った分に対して
いくら分返せなのか、とはならないようにしているのではないかと思いました。
長文となってしまいますが恐縮ですが、ぜひピックアップしていただけると嬉しいです。
何卒よろしくお願いいたします。
ということでございます。
はい。
一言先生いいですか?
全然ついていけないんです。
あ、そうですか。
お手柔らかによろしくお願いいたします。
私ね、これ初めて知ったのは20年前かな?
22年前?21年前ですね。
外資の保険会社の、外資系の保険会社の営業職員の給料の払い方の法律相談でしたね。
分かりやすく、インセンティブでかそうですね。
そうなんですよ。
で、このクローバッグでマイナスになっちゃう人についてお金を返してもらっていいのかっていうのを
20年前かな?受けてましたね。
僕は全然、そんなアシスタントでついてただけだったんですけど、覚えてます。
まだよちよち歩きの岡井先生ですね。
よちよち歩きですね。
それっていうのは業績の不審によって変化?それとも不正的な話なんですか?
いや、あの、解約ですね。
あ、契約取って新規取ったけど、その通過契約あって、よくありますもんね。
まあ、やっぱ疑わしい契約もあるはあるんですよね。すぐ解約されたりとか。
そういう解約とかになると、実際、ボーナス払った後でも返還請求をするみたいな、そういう仕組みができないかみたいな。
なるほど。
そういう相談でしたね。
なるほど。
よく保険会社なんて、契約取って途中解約、何年以内に解約があった場合っていうのは、何年以内だとナンパ、何年以外だとナンパみたいなのが決まって、返さなきゃいけないって仕組みになってますよね。
なってますね。
あれもその一つ?
そうだと思いますけどね。僕も詳しくないので。
まあ、ていうような。
はい。
で、ってことですね。
はい。
労基法16条っていう条文があって、使用者は労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならないと。
こういう条文があります。
はい。
で、この条文でどういうことを想定しているかというと、例えば、働いている人がですね、突然逃げちゃった。
逃げて仕事ができなくなったから損害賠償請求したいと。
そういう相談は昔からあるんですけど、で、そのために違約金を定めて、逃げるように辞めたら違約金100万払えとか、そういう条項が昔は多かったんですね。
はい。
そういう逃げるように辞めた人に対する、まあ、違約金を禁止したんです。
なるほど。
それはね、やりすぎだと。
この働いている人のね、人身拘束、人権侵害だということで、禁止したんですね。戦後の日本では。
はい。
で、この老朽16条って、ただ曖昧な条文でして、どこまで違約金の定めが違反なのかがはっきりしないんですよ。
うんうん。
で、ただ、例えばタクシー会社で車両事故で会社に損害を犯した時に、じゃあ違約金100万みたいな定めていいかというと、それはアウトっていうのが、まあ、多くの本に書かれている内容なんですね。
なるほど。はい。
例えば、逃げるように辞める以外でも事故を起こしたりした時の違約金、それもこの条文で禁止されていますと言われているんですよ。
で、このクローバックがこの老朽法16条に当てはまるかというと、当然そんなこと、法律を作った当時考えていませんので。
うんうん。
僕もわかんないんですけども、このご質問者の方は本を見たら、あの老朽法16条に違反して禁止されているとあったとあるんですけど、僕は調べた限りは、役員報酬の本には書いてあるんですけど、クローバックは。
僕の見た本にはなかったんですよね。クローバックはね。
そう。
だから、老朽法16条に違反するかというと、私なりの推測ですけども、やっぱり違反すると思うんですね。
あ、そうなんですね。
違反すると思います。あの、やっぱりこう、例えば早期の解約金の契約がなくなったことによる医薬金とか、タクシーの運転手さんが交通事故を起こしたのと、まあ似てなくないけど、仕事上起こした過失または重過失、恋みたいな事故、責任等みたいなものですから、同じだと思うので。
だからやっぱり、老朽法16条に違反するんじゃないかと思いますよね。
それで、このある修行の方に質問したら、同意を得て就職したらいいんだと。
で、これはですね、間違いですね。
あ、そんなにはっきり言っていいですか?
はっきり言っていいですね。
これはですね、修行規則に対して、不利益変更みたいな形で同意をもらって就職すればいいっていう修行の先生のご意見だと思うんだけど、
これ、老朽法に違反する場合は、同意があっても無効なんですよ。
なるほど。
老朽法って強行法規で最低基準を定めてるから、
労働基準法って名前が良くなくて、労働最低基準法なんですよ。
労働基準法って。
なるほど。
最低基準なんで、それに違反してたら、同意があってもいいよと。
全て無効なんですね。
ダメなんです。
なので、このクローバックのお金の変換、例えばこういうことがあったらこのお金返せるみたいな、
具体的な計算式とか、数字が書いてあって自動的に請求できる。
給料から転引できるっていうのは、これは無効だと思います。
なるほど。
違法は無効だと思います。
そうですね。
クローバックの実務上の問題
で、じゃあ適法にやるにはどうしたらいいかと。
簡単なんですね。
簡単と言えば簡単なんですよ。
この話の流れで簡単な方法はあるんですか?
いや、形の上では簡単なんです。形の上では。
要するにクローバックって、一回もらったお金を返してもらうみたいなもんなんで、
お金を次の給料から控除したらいいんですよ。
こういう医薬金、開薬が相次いだから、50万次の給料から減らします。
ボーナスから減らしますみたいな。
で、それをちゃんと理解して分かりました、すみませんでしたって言って、
同意のサインをもらって納得して終わったら、それは適法なんですよ。
ほうほう。
ただし、最高裁判例があって、
自由な意思に基づいたと認められるに足りる合理的な理由が必要だって言われてるんですよ。
なるほど。
で、やっぱり会社に雇われてるから、会社と睨まれたくないんで、
しょうがないなって言ってサインする人が多いと思うんですよね。
自由な意思に基づくかって微妙というか厳しくて、
こと方針のね。
あと拒否する人もいるんですよ。
もらったお金返したくない人って、私この仕事してるとかなり多くて、
返してくれない人多いんですよ。結構もらいすぎても。
だから、形の上では一人一人同意書をもらって、
お金返してもらえばいいんだけど、それはやっぱり難しいんですよね。
この方やっぱりすごい優秀だなと思ったのは、
実際あとこれ適法だったとしても、
社会保険の標準報酬月額とか、
労働保険の算定基礎賃金とか、
例えば給料が遡って変わっちゃうんですよ。
お金を返すから。
そうするとボーナス減ったりするわけですよね。
そうすると金額が変わっちゃうんですよ、保険の。
社会保険、労働保険。
そうすると保険料が下がったりするから、
まだ保険料の調整も必要。
連動するからぐちゃぐちゃになりますね。
超めんどくさいですね。
あと辞めた人からお金取るのは難しいんですよ。
この方おっしゃってる通りですね。
あとさっきここに書いてあった通り、
例えばボーナスから差し引いたりするのはできなくないんだけど、
ボーナスがほとんどない人みたいな、営業不審で。
そうすると実費というか、
返してくださいって本当に言わないといけないですよね。
工場じゃなくて、実際お金をこの口座に振り込んでくださいみたいな。
なおさらそれ払いたくなくなっちゃうんですよ。
すごく気持ちは上がりますよね。
そうですね。
なので、質問者の方が考えている、
年に一度支給タイミングを定めて、
それまでの算定期間内で毎月式契約とか、
解約発生に応じてインセンティブ契約金額を加算したり減算したりして、
要するに長歩上で差し引きをして、
1年間でまとめて、
これがあなたのボーナスですよってやるのが合理的だったんです。
じゃあタイミングタイミングでちゃんと管理をしていきながら。
タイミングを長くするとその間いろんなことが起きますから、
それでプラスしたりマイナスしたりしていって、
最後にボーナス払うみたいなのがいいと思うんですね。
なるほど。
優秀な方ですね、この方ね。
すごいなと思いました。
それだけインセンティブがでかい、
一発大きいような方々、社員さんが多いところのローム担当者なんですね。
そうなんです。おっしゃる通りなんです。
海外本社との関連
なるほど。
こういったロームの頭抱える仕事があるんですね。
本当に頭使う仕事ね。
あるんですよね。これ注意しないといけないのが、
海外の本社の制度そのまま使ってるんですよ。
英語のマニュアルみたいな規則類を翻訳して使ってるんですよ。
外種は?
全然日本の老朽化とか考えてないんですよ。
なるほど。そうですよね。
いや、うちの会社であったよ、お前のなんとかっていう大きな会社でやってたよっていうのは、
それは別に適用だからやってるわけじゃないんですよ。
実際に外種の会社でやってる日本法からしたら違法であることも全然あるんですか?
全然ありません。
全然あるんですね。
外種あるある。
そうですか。
でも聞いてくれないけどね。
だったらもうやめたらぐらいの空気が流れるということですね。
やっぱり英語で、例えば何ですか?
ヘッドクォーターは今シンガポールとか上海だったりするから、
例えば中国人の人とかトップだったりするんですよね。
欧米人の人もいるけど、英語でこれを説明するのはめちゃくちゃ大変ですよ。
できない理由を。
そうね。その動力があるならもういいやってなっちゃいそうですね。
まあ違法でもやるかみたいになっちゃうんですよね。
そういう実態の中で戦われている方からご質問いただきましたので、
非常に番組のレベルを底上げしてくださいましたので。
ありがとうございます。
本当にありがとうございます。
また毎朝毎晩聞いてくださっているそうですので、また会いましょう。
お手柔らかな質問も含めてぜひいただけたら楽しみにしております。
はい。
ということで終わりましょう。ありがとうございました。
本日の番組はいかがでしたか。
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