試用期間のイメージ
こんにちは、遠藤克樹です。向井蘭の社長は労働法をこう使え、向井先生よろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
さあ、ということで、今日もね、来たいと思いますけれども、今日は久々に向井先生の持ち込みという形でね、やっていきたいんですけれども、Xのポストでね、ちょっと軽くバズった内容があるので、話をしていきたいなと思っております。
はい、あの、使用期間って、皆さんどのようなイメージ持たれているかわかんないんですけど、解雇、使用期間中に仕事ができない、あんまり期待していたほど成果が上げれないとなると、解雇ができるみたいなイメージがあると思うんですよ。
ただ、実際はこの平成の前半とか昭和の時代は、使用期間中の解雇ってかなり会社が負けてて、イメージでいくと8割ぐらいの裁判例で会社が負けてたかな、7割ぐらいかな。
私大手の人事、少しだけやってたことある経験からすると、イメージは使用期間は使用期間という名前なんで解雇できるものと思ってるけど、実体はそうじゃなくて、使用期間という名前なのに、実体はもう雇用契約始まって解雇できないですっていうようなイメージで、むしろそれが常識って感じのイメージですけどね。
そうなんですよ。
解雇できないっていう感じですよ。
おっしゃる通りなんですよね。だから、使用期間だけど解雇できないんですよって僕らも説明してて、話し合いで解決を頑張ってしてたんですね。
実は令和になってから風向きが変わりまして、令和元年2年ぐらいから、ぽつぽつと使用期間中の解雇有効裁判例がどんどん管理データベース、有料で契約してデータベース見れるものがあるんですけど、
データベースにちょくちょく上がってて、僕の知ってるだけでも令和以降で、5、6件、6、7件ぐらい解雇有効の裁判例あるんですよ。
へー。
6、7件はあると思いますね。
ほうほうほう。
それでですね、あれなんかおかしいなと思って、なんか気のせいじゃなくて、使用期間中の解雇は有効にする裁判官増えたんじゃないかなと思って、いろいろ注目して調べてるんですけど、
最近ですね、去年の令和6年9月18日にですね、株式会社ダイトクっていう会社さんの使用期間中の解雇事例があって、
製造業なんですけど、この機械工の方ですね、NC旋盤とか計測機、ノギスとか使えるって経験があって入社した人なんですけど、
その人の仕事のやっぱり能力不足を理由にですね、10日間で解雇しちゃったんですよ。
10日って。
実動10日目。
本当にもう言葉通りの使用期間中ですね。
そうです。
10日で解雇?
2週間いっぱいギリギリいたぐらい。
平日だけで5日働いてってことでしょ。
さすがに早くないと。
それはアメリカとかだったらよいのかもしれないけど、日本でしょ、ここと。
それ無理じゃないのって思ったんですよ。
そしたら、なんと結論は解雇有効だと。
流れ的にね。
流れ的にね。今の話で無効だったら。
時間返せみたいな話なんですけど。
ちゃんと解雇有効の判決書いてて、解説しますとですね。
この労働者の方は自分はNC旋盤とか専門のノギスっていう計測機の使用経験があるって言って入社してきたんですね。
当然どこの会社も人手不足なんで、すぐNC旋盤の加工作業とか寸法計測やってもらったらしいんですよ。
3日目に事故が起きて、あれ?
4日目、5日目にまた事故が起きて。
処死したってことですか?
この人がやった作業で事故が起きちゃって。
材料の接着ミスとか、加工途中なのに材料取り出しちゃって、機械の芯がずれるとか。
当然安全担当者とか上司が飛んできて、危ないからそういうことやっちゃダメだよと。
寸法計測ってこうやってやるんだよとか。
NC旋盤ってとっても危険だからこういう手順でやってくださいよって何回も教えてあげたらしいんですよ。
経験者だから分かると思ったらしいんですよ。
あんたできるんじゃなかったんだっけって感じたんですかね。
そう。
そしたら1日に計測ミス何回も繰り返して、言っても言っても直んないらしいんですよ。
すみませんとか言わなくて、ノーリアクションでずっと毎日が過ぎてきて。
同僚もやっぱり見てるじゃないですか。新人の人が入ってきて、この人どのくらいできるんだろうなみたいな。
結構製造業あるあるなんですよ。他の人結構見てるんですよ。
どこでも新入りっていうのは3ヶ月半年はいられますからね。
結構職人の世界だからこういうNG旋盤とか低速機の。
お手並み拝見ってやつですね。
お手並み拝見的な世界があるんですよ。
俺らそうですよね。
ここの画面にみんなの意見聞きたいと。
あの人ちょっとうちで無理なんじゃないのって聞いた。
皆さんに聞いたらいや無理だと思いますとこういうことがあってこういうことがあるとこうこうこういう理由で無理だと思いますって結構みんな一致したらしいんですよ。
これも改善まず根本的なところが分かってないし、経験があるって言ってもとてもちょっと経験者と言えないようなレベルだし、改善の可能性がないと。
やっぱり製造業って事故が起きちゃうんですよね。
人命に関わっちゃう事故が起きる。
そうですね。旋盤の方だとなおさら切削加工とかするんでしょうしね。危ないですよね。
危ない危ない。
で、いきなりでも10日目に解雇しちゃったんですよ。
で、普通それで諦めちゃうんだけどこの方の訴訟を起こしてですね。
ということですね。
お願いして弁護士さんお願いして訴訟を起こして。
で、裁判官をですね、要はこの人とっても重要なこのNC旋盤の作業の安全性、寸法計測の正確性とか、そういう基本的なことができないと。
で、注意書道を受けても改善が見られないということで解雇有効と判断したらしいんですね。
したらしいというか判断したんですよ。
それで何か判決文を読むとですね、何かこう言ってることも裁判中もどんどん言うことが変わっちゃったらしくて。
原告の言うことを信用できないとまで判決に書かれてるんですよ。
そのレベルなんですね。
だからやっぱ分かってないから自分がこのぐらいちゃんとできるんだってことも言えないと。知識不足で。
ということで結構裁判官ドライに解雇有効と判断した。
判例情報の変化
ここはでもちょっと専門家としての観点がわからないんですけども。
それでも今みたいなケースでも昔ちょっと一昔前であれば、それこそ5、6年前より遡れば、解雇は無理だろうっていう感じなんですか?
感じですね。
そうなんですね。今のでも。
要は10日?もうちょっとなったら、だって3ヶ月でしょ?年寄期間。
3ヶ月まるまるとは言わないけど、2ヶ月から2ヶ月半ぐらいちょっと頑張って仕事をさせたらみたいな。
そういう裁判官多かったんですけど。
10日で解雇有効っていうのはびっくり行程ですね。
やっぱそうなんですね。そういった事件なんだ。
これやっぱり見たら令和6年9月18日って出てるんで、本当に結構新しいですね。
いやもう本当に今ね、インターネット時代でして当たり前ですけど、雑誌に載せる必要ないんですよ、判例を。
ネットにピョってアップして終わりだから、早いんですよ、昔と違って。
昔は何?こういった事件の情報が広まるまでにも意外と放送界でも時間かかってたんですか?
めちゃくちゃ時間かかりました。
そういうもんなんですね。
まず取材に行って、雑誌社がコピーもらって、それをデジタルデータにして、それを紙の雑誌にして、
紙の雑誌出たらインターネットの判例データベースの会社がアップするみたいな。
紙からやっとネットに上がるんですね。
試用期間の解雇基準の変化
紙、ネット、ネット、紙、紙、ネットみたいな、よくわかんないまどろこしいことしてたんですけど、
今は紙からネットでいきなり情報サイトにアップするんですよ。
なんで即広まり、そして今やGPTとかもあるんで一瞬にしてという流れが加速的にあるんですね。
そうですね。
確かに労働法の事件って、この番組でもずっとやってきてますけど、いつの事件ですか?それみたいなの結構多いイメージあるんで。
そうなんですよ。古いのは良いんですけどね、内容が良ければ。今頃こんなことをわかったの?みたいな。
それ1年前、2年前に教えてよみたいな。あるあるです。
こんな1年も経ってない事件とかがこうやって番組に取り上げられるっていうのは、そういった側面でもすごい新鮮ですね。
いやもうほんとスピード時代ですよ、今。
だというぐらいかなり新しい事件で、かつそういった流れがこの5年間ぐらいの間に、ちょうどコロナ期間ぐらいから流れが変わってる感じ。
そうですね。僕の推論ですけど、裁判官が世代交代してるって当たり前ですけど、ありますよね。
どんどん僕が年取ってるだけなんだけど、裁判官自体は30代40代20代が多いですから。
だから彼らの感覚、年代の裁判官という人種の人がだんだん変わってきてるっていうのがありますね。
あともう一つは、使用期間中の揉め事が飛躍的に増えてるんですよ。実は。
いわゆる人手不足で、とりあえず雇おうかみたいな事例がすごく多いんですよ。
未経験者だけど、なんか経験者って言ってるけど本当かなって思いつつ、もうでも今この人雇わないともう人来ないとか。
で、雇ったら。
うっかり取っちゃうと。
雇ったらあらら、事故、クレーム、同僚とのいさかいみたいな。そういうの結構裁判所に来てるんだと思うんですよ。事例として。
実態わかってるから、だんだんドライになってきちゃうのかなって東京地裁にいると。
あと、要は使用期間って短いじゃないですか。
やり直せそうな気しますよね。
解雇されたとしても、すぐにまた就職活動してとかってことですね。
20年勤務して解雇されるのと、3ヶ月勤務して解雇されるのって、法律的には解雇で変わんないんですけど、ちょっと社会的には意味が違いますよね。
まあ確かにね。3ヶ月で住宅ローン組んじゃってたら、ちょっと科学的にやべってなるかもしれないですけど、なかなかないでしょうね。
ないですよね。20年だったら定年まで、私はもう前提に人生設計立ててましたみたいな。
そうなりますね。
3ヶ月だったら、ちょっと諦めてどうですかと再就職してみるか。
使用期間って言ってるやんっていう話でもありますから。
本当に世の中っていうか、使用期間に関しては労働裁判連が変わりつつあるなって思います。
労働者の権利と経営者の課題
これは大事な、一つのターニングポイントとして抑えておくべき流れの話ですね。
そうですね。
労働者側の権利主張がものすごい強くなって、経営者側が大変だっていう話ばっかりが、どちらかというと5年間やり続けてた感覚がありましたけど。
一方で使用期間みたいなところは逆に違うんですね。
急にね。僕は変わった気はしますね。
いうことですか。
もちろん私の仮説なんでわからないんだけど、私はそう感じますよね。明らかにね。
労働主張に何十年も足を置いてる感じの向井さんですからね。
向井先生の肌感は今までも全部当たってきてるというかね。実体感なんでしょうからね。
そうですね。
またちょっと大きな動き等ありましたら随時共有開放していきますので。
お話を受けてぜひ活かしつつ、何か質問ありましたらお待ちしております。
はい。
ということで終わりましょう。ありがとうございました。
ありがとうございました。
本日の番組はいかがでしたか。
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