新たな判例の影響
こんにちは、遠藤和樹です。向井蘭の社長は労働法をこう使え、向井先生よろしくお願い致します。
はい、よろしくお願いします。
さあ、ということでね、今日も行きたいと思いますが、ほぼ最近ね、前回は、ちょっと三政党というかね、三院選から見る労働史上というね、切り口でしたけど、
今度は別で、新たな判例があるということで。
そうですね、あのー、ちょっと衝撃を受けた事案があったので。
最近、判例系衝撃多いですね。前回の三菱UFJ均衡事件ですか?
そう、そうなんですよ。結構、なんか時代が変わってきてんじゃないかなって僕は思ってて。
ただ、私しか言ってないから。私しか言ってないので、自信がないところがあるんですが。
まあ、仮説として、ポッドキャストのリスナーの方だったら許してくれると。
でもね、今までもその辺外れたことないですからね。
ああ、そうですかね。ちょっとわからないんですけど。
この前、何回か前の放送で三菱UFJ均衡事件ってご紹介した?
518回でやっております。
ありがとうございます。それでちょっと簡単におさらいしますと、
三菱UFJで勤めてた年収が2000万から3000万の為替ストラテジストという方がいらっしゃって、
一人で専門業務を行ってたんですけど、三菱UFJ銀行グループとしては、
証券会社に、グループの証券会社に移管して、この仕事はちょっと銀行でやるのはやめようってなっちゃったんですね。
その方の仕事がなくなっちゃったんです。
で、じゃあどうしますかっていう話し合いをして、一つは川瀬のセールスマネージャーかな?
川瀬のセールス。と言ってもですね、年収1500万とかすごい高級取りなんですけど。
3000万からしたら下がるぞ。
それでやりませんかって言ったら嫌だって言って。
もう一個仕事用意したんですけど、川瀬のアナリストだったかな?それも嫌だって言われて。
じゃあ1.5年分の4000万だか5000万の退職金用意しますよって言ったら嫌だって言われて。
どうしたらいい?
じゃあどうしますかって言ったら、いやもう元の仕事をやりたいと。
あなた専門職で入ってるからちょっともう仕事がないのでこのままだと解雇なりますよって言って、物分かれに終わって。
三菱UFJ側は僕が覚えてるのは3回しか面談やってないですよ。
3回って皆様方の感覚から普通だと思うんですけど。
例えばJALが整理解雇したとき50回以上団体交渉やってたんですよ。
それは1対Nですよね?
そうです。
え?なんで?
個別でっていうよりも団体交渉?
団体交渉でね。
団体交渉なんですけど、団体交渉の方が大変じゃないですか?
50回くらいやってるのに3回。
この辺素人としては肌感が合わないところがあるなと思ったんですけど、やっぱり3回少ないんですね?
とても少ないです。
フィデリティ証券事件の詳細
とても少ないんですね。3回くらいやればもうだいたい…って感じじゃないんですね?
違うんですよ。
違うんだ。なるほど。
それで解雇してあっさり有効判決が出たんですけど、理由の一つとしては、
あなたは職務限定契約を積んでるから、あなたがやりたくない場合は仕事はさせられないと。会社としてね。
なるほど。
会社は用意したんだけど、当然年収下がっちゃうわけですよ。
年収下がっても仕方がないと裁判官は言ったんですよ。
それはあなたの本来の仕事じゃないから、給料は維持できないよと。
で、退職金もかなりの金額で。
それを全部断ってんだから、もう解雇はいった仕方ないよねって言って解雇有効判決出したんですね。
もうね、かきぶりがね、すごくドライなんですよ。
三菱UFJ銀行事件。
で、またですね、今週雑誌に載ってたのが…
本当にホヤホヤだ。
先週から?
まあホヤホヤなんですけど、フィデリティ証券事件っていうのは。
フィデリティ証券事件。
フィデリティ証券事件。
内容の…
外資ってことですね。
外資。
で、どういう事案かというと。
この流れですよね。
ユーザーサポート業務。
ITのユーザーサポート業務を行う。
そういう人材を募集して、
で、経験者の人が
自分はITスキルがありますって応募してきたんですね。
それで、仕事をやってもらったんですけども。
適応障害で
休んだんですね。
休職期間に入れて、休職期間が満了に近づいてきたんで
どうしますかっていう話をしたら、いや戻れますと。
診断書が出てきて、戻ったんですね。
ギリギリで戻ったんですよ。
ギリギリで戻ったんだけど。
この辺の話はよく現場でもあるような話ですね。
体調が戻ってなかったんでしょうね。
要は突然トイレに閉じこもったり、
あともう僕は死ぬまで働くんだとか言ったり、
大声でかわからないけど、
ちょっと得意な行動が目立って、
かつ会社としてこの人の
ちょっとスキルに疑問があったっぽくてですね。
演習問題かなんか出してたんですね。IT関連の。
それを全然手をつけてなくて。
これあるあるなんですけど、
そういう演習問題テストとか異常に嫌がるんですよ。
まあいろいろあるんだと思うんですけど、
業務料もすごく少ないんですよ。
全部記録に残してたんですね。
だいぶ条件揃ってますね。
ところがですね、これでも会社は勝てなかったんですよ、今まで。
今までだったらこのぐらいでも勝てなかった。
どうしてかというと、
他の仕事に配置転換できるでしょって言って負けてたんですよ。
ITがダメでも営業があるでしょとか、
総務があるでしょってなったんだけど、
この判決はですね、いきなりここでバッサリ切りまして、
いやいやこの人は専門職で職務限定契約だから、
もうしょうがないよねと今の仕事できなければって言って、
配布を有効にしたんですよ。
労働法の変遷
いやこれ全然僕だけ一人で興奮してるんですけど、
え、こんなんで勝てんのっていうびっくりした内容でしたね。
ありえなかったんですね今まで。
ありえないですね。
両方と共通しているのが、
専門職でこの仕事で入ってますっていう。
昔の日本って総合職的な考えなんで、
ここがダメならあっちがあるでしょって話が出るそうですけど、
ここがダメでその状態だったらもう解雇有効だねみたいな話で、
会社としてずっと守っていこうっていう、
前回の賛成党の長期雇用安定を推進しようじゃないですけど、
そういう考え方は一切ないんですか?
そうなんですよ。
なので職務限定になると急にドライになるんですよ裁判所。
最近ね。
これなんでかっていうと、
滋賀県社会福祉協議会事件っていうのが、
2年前に出たんですけど、
要は職務限定契約の場合は、
労働者の意思に反して、
別の職種とかに配置転換を命じちゃいけないと。
こういう規定が出たんで、
てことは、
働いてる人に有利に思えるんだけど、
違うくてですね。
職務限定契約の影響
それは他の仕事させられないから解雇しかないよねっていう風になりやすい。
なるほど。
あとちょっと段々バラバラになって申し訳ないですけど、
職務限定契約って簡単に認めてくれなかったんですよ。これまで。
ところが、この滋賀県の最高裁判決以降、
かなり簡単に認められるようになっちゃったんですよ。
職務限定契約であることそのものを認めてもらえないから、
その議にならなくなった?
ならなかった。避けてたんですね。
ところが最高裁があっさり認めちゃったんで、
契約書とかに明確に書いてないとこれまで認められなかったのが、
認めてくれるようになったんですよ。
その中身であれば?
要するに採用の方針とか募集経緯とか経歴とかで認めちゃうようになっちゃって。
へー。
うっそーって。これも僕は衝撃なんですよ。
その辺がパズルが結構集まってきて、今回みたいな。
だから僕の今の仮説は職務限定とか勤務時限定、
勤務時限定はちょっと置いといて、
職務限定とかにすると解雇しやすくなるんじゃないかなって仮説があります。
解雇有効になりやすいんじゃないかなと思います。
解雇するために人を雇うわけではないから、
あえて解雇のために職務限定にはしないかもしれませんけど、
職務限定で明らかに取るっていう入り口なんであれば、
そこはちゃんと明記しといた方がいいかもしれない。
僕は今の時代にも合ってると思うんですよね。
やっぱり皆さんこの仕事やりたいって言って転職したり、
新卒の人はともかく転職する時はそうじゃないですか。
もう限定契約にしちゃって、
中途採用した方がいいんじゃないかなと思うんですよね。
今までの労働者たちをどれだけ擁護するんだよっていう、
この経営者たちにとってのすごい苦しいマーケットになってた流れが、
どうしたって感じですね。
流れが僕変わった気がしますね。
何なんですかね。
向井先生流れ見るんで流れそうなんでしょうね。
何が近く変動してるんだろうって感じはしますけど、
裁判官が若返りしてるんですかね。
若返りしなくてこっちが年取ってるだけなんですけど、
僕と同年代の人がだんだんトップになりつつあって、
真ん中に座ってる裁判官がテレビとかで出てくる。
労働法の変化
偉い方ですね。
僕らの世代はそんなに労働者を保護してるような人は、
裁判官少なくて、結構ドライなんですね。
皆さんまだちょっと仮説なんですけど、
職務限定、スキルどうかなとか、
管理職としてどうかなとか、
マネージャーとしてどうかなって時は、
マネージャー限定契約とか、
マネージャーとしてこういう仕事してもらってやれば、
介護は結構しやすくなる気がします。
当たり前の話なんだけど、
当たり前が当たり前じゃないまま曖昧に来たんで、
やっとここまで来たかって感じですね。
当たり前になりそうだぞってことですね。
この番組を通して当たり前じゃないのが当たり前になりすぎて、
今言われてちょっと目覚めましたね。
そうですね。
すごい貴重な。
今あえてチャットGBTに投げてみたら、
まだ出てこないですね。この事件の概要。
そうなんですよ。できたってほやほや。
配信の時には1、2週間ラグがあれば
出てくるかもしれませんけど。
いずれこの判決ネットで誰かが解説するから、
私かもしれないですけど、
それでおそらくGoogleとかが拾ってくれるかなと思いますね。
なるほどね。
こういうことで今回は判例から読み解く、
労働史上の仕様の変わり目という感じでやってまいりましたが、
ぜひその辺も注視しながら、
また何かありましたら開放していきたいと思います。
ということで今日のところは終わりたいと思います。
向井先生、ありがとうございました。
ありがとうございました。
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