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2017-09-07 23:46

第109回「時事ネタ:年俸制1700万円の医師に残業代支払い?最高裁判決」

第109回「時事ネタ:年俸制1700万円の医師に残業代支払い?最高裁判決」
弁護士の向井蘭が、経営者の立場に立って、労働法の基礎だけでなく、ビジネスに関する法律の問題をわかりやすく解説する番組です。
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向井蘭の社長は労働法をこう使え 法律のもとで展開されるビジネスの世界
ポッドキャスト社長は労働法をこう使えは、弁護士の向井蘭が経営者の立場に立って、経営者が知っておくべき労働法の基礎だけでなく、
ビジネスに関する法律の問題をわかりやすく解説します。
こんにちは、遠藤和樹です。向井蘭の社長は労働法をこう使え、 向井さん、本日もよろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
さあ、今日はですね、ちょっと質問ではなくて、向井さんの方から時事ネタを持ってきてくださったので、それについてお話をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
はい、七夕のですね、今年の七夕に出ました最高裁判決で、
7月7日、最高裁第二小法廷。
このお話、ちょっと回を申し訳ながら忘れてしまったんですが、以前7月7日に絶対最高裁判決出ますよっておっしゃってたやつですよね。
そうです。
絶対出るから、見ててくれと。本当に出たんですね。
そうです。
ぜひ、そこのご説明をいただきたいなと。
はい。40代の男性医師が、2012年の4月から9月まで神奈川県の私立病院に勤務をして、6ヶ月ですね。
320時間の残業代が支払われていないと。約320時間の訴訟を提起をしたという事案ですね。
あと、解雇もされてるんですけども、解雇は有効と判断されています。
解雇は有効?
はい。残業代だけ最高裁で判断されたんですね。
はい。一審二審が残業代は払わなくていいですよと。
払わなくていいと。はい。
1700万でした。
700万。
そこに残業代は含まれているという話だったのが、今回最高裁で。
はい。最高裁で。
多くのお医者さんはですね、年報契約で月割りで、おそらく省与も言えて、年報契約で月割りか省与かわからないですけど、
年間いくらと契約していることが多いと思うんですよね。
この方は1700万だったと。
5時半から9時まで残業を毎回していたとおっしゃるんですが、契約書には書いてないわけですね。
はい。
その残業代をどうし、何時間分含まれているとか何万円含まれているとか書いてないし、病院も労働時間を管理して支払うということをやってなかったんですね。
03:11
うん。
それで争われまして、一審と二審は非常に高額の所得で高待遇であるから、これは労働時間、残業時間については今の給料に含まれているという病院の主張を認めてですね、
で、東京高裁も一審の判断を支持して、最高裁に上がったんですね。
なるほどですね。
一審二審の逆転判決というものとなりました。
これは労働分野における弁護士の方々からするとどういうふうに捉えられているんですか?
実はですね、昔外資系の、ポッドキャストでもご紹介したと思うんですけど、外資系の高額所得者の方の残業代訴訟があったんですよ。
ありましたね、その話。
えーと、モルガンスタンデ。
そうですね、ありましたね。
で、年収3000万だったかなと思うんですよ。
はい。
年収3000万。
はい。
その方が、どういう結論?
その方が結局ですね、今の給料に残業代含まれてますと判断されて、労働者の方が負けちゃったんですね。
で、この判決がどうして有名かというと、今までの最高裁判決は、残業代とそれ以外をきちんと区分して、最低限区分しないといけないと。
そういうルールがあったんですけど、全然3000数百万だから区分してないんですよ。
給給が183万円ですね。
この方?
はい。
1200万くらいになるんですかね?
ボーナスが高いんですよ、この人、僕の記憶では。
そうそうそう、少ない年で年30万米ドル。
ドルだからね、まず。
30万米ドルですか?
そもそも契約がドルで、円で払ってるんでしょうけど、ドルで表示されてるらしいですよ。
なるほど、そこはまあまあ、労働者はかけないですけどね。
初年度88万ドル、1億円。
っていう方の残業代は訴訟においては払われなかったと。
払われないというか含まれると。
要は給料は高いでしょうと。
それでそのミーティングの時間が残業代だから請求するとか、ちょっとおかしいんじゃないかと。
こういう問題だったんですね。
それがだいたいいつぐらいの話になるんですかね?
もうだいぶ前ですね、10年ぐらい前、平成17年。
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ちょうど10年前ですね。
というのがあった中で、今回12年越しにその判決とは全然違うものが出てきたというわけですね。
東京地裁ってやっぱりすごく有名で、他の裁判所も東京地裁が言ってるんだったら、
大丈夫かな?みたいに思っちゃうんですよね。
権威あるわけですね。
権威あるんですよ。
東京地裁は特に労働部があって、労働事件ばっかり扱う部があって、
そこの裁判官は非常に件数もこなしてるし、勉強もしてるから、
そこで出た判決は間違いなかろうということで、一審も二審も肯定したんですね。
ところが年収の要件なんかないわけですよ、労協には。
これって僕は当時から疑問で、だってそんなの裁判官勝手に作っていいの?と。
どこからがそんな曖昧にしても許される高収入者かもわかんないし、
最高裁判決にはここから食い違うし、
結論は確かにね、そんな年収1億とか3000万最低でももらってるような人がもらうっていうのはおかしいんじゃないかってわかるけど、
でも法律を完全に超えてる解釈だから、私はすごい疑問だったんですよ。
裁判官って自分より給料高いと厳しいのかなっていう、勝手に僕なんか思い込んでて。
思わざるを得ない感じになってしまいますよね。
ですのですごく疑問に思ってたんですけど、今回最高裁が年収高くても関係ないよと。
時間でちゃんと計算できるような仕組みにしてないと、何時間含まれるとかいくら何万円含まれるとか、
そういうのちゃんと書いて運用してないとダメだよと。
ということで負けたんですね。
そうすると法的な解釈からすれば今回の判決はそうだよなという妥当性がなんとなくあるなという感じなわけですね。
ただし現実問題を考えていくと、これは要は以前もご質問ありましたけど、
医者の方々、すごい過重労働してるみたいな話があったじゃないですか。
多分全国中でお医者さんたちが忙しい方が多いでしょうから、
皆さんが対象になってくるっていうことですよね。
これは経営者サイドの病院、病院の経営者サイドとか管理する側からするとオットットっていうことではないんですか?
そうでしょうね。何も準備してないと思いますね。
ですからいつ訴訟が起きてもおかしくない状態でしょうね。
問いわたりに関しては向井先生としてはどういうふうに?
まず一つはですね、長時間労働の問題と今回の問題は切り離す。
09:03
考え方としては?
ごちゃごちゃになってるから切り離して、要は未払い残業代の訴訟ってエクセルの世界なんですよ。
と言いますと?
エクセルおじさんですよ。
最近流行ってませんかそれ。
エクセルおじさん。
言ってやったって顔してないですけどね。
エクセルおじさんの世界です。
エクセルおじさんの世界ですよ。
よく分からないんですけれども。
要は労僑票って時間で決まるような仕組みなんで、時給が決まれば自動的に計算できるような仕組みなので、時給が分かるような契約内容にまずすればいいんですよ。
労働時間を置いといて。
具体的に言うと?
具体的に言うと、私計算したんですけども、この1,700万の方は12ヶ月で割ると、あれ?1,600で計算したんですか?
1,600で計算しました。
ちょっと1,600で計算したんで、その点を例えでね。
1,600を12で割ると133万なんですよね。なかなかの給料だと。
例えば毎月の平均所定労働時間が170だとします。就業規則に書いてある時間が。
残業代込みの設定を45時間にするとします。
でも実際は60時間働いているとしますね。
15時間の残業代の誤差があるわけですね。
定額残業代は批判が強くて、45までは許されてるんだけど、60、80が許されるかわからないんですよ。やってみないと。
45は許されてる裁判でもありますから。
ですので安全を見て45で設定して、実際は60とか70働いてますから差額を払うと。
そういう仕組みを導入するとですね、一時方程式を作るんですよ。
時期をxにして所定労働時間が170じゃないですか。
x×170足す。
例えば実際に払うお金。病院としては年収1600万。なかなかの金額ですよね。
できればこれ以上払いたくないという場合は、例えばこの方は月60時間残業してたみたいなので。
実態が。
仮に60働くのを想定すると、x×割増率が1.25だとすると、1.25×60なんですね。
なるほど。
で、イコール133万で計算すると、xは5306なんですよ。
時給ですね。
時給が。なかなかのやっぱり更新ですね。
時給5306って本当ですね。
そうするとですね、基本給はこれでxを代入すると90万だいたい。
残業代が30万。
するとね、45時間の残業で払ったことなんです。契約書に総額と。
12:03
基本給は90万ですよと。
そっちに合わせちゃうんですか。
あなたは残業45時間分は30万ですよと。
で、計算すると、あなたは45時間残業すると120万もらえますよと。
これ契約書に書くんですね。
で、オーバー、いやそう言っても石は45じゃ終わりませんよと。
60、70ありますよと。それは別途計算して払うんですよ。
払ったところで結果的にその計算してるから1600万でも落ち着きますよね。
だいたい落ち着くわけですね。
60時間で終わるからね。
これを計算して特担の方一人一人回ってサインしてもらえばいいんですよ。
これは未来については要望はできますね。
差額払わないとダメだけどね。
これもうそんなもんなんですか。
そんなものなんですよ。長時間労働とは別の世界なんで。
消しからん健康被害が出る出ないとは別で、エクセルおじさんの世界だから。
残業代の支払いに関しては。
最近京都弁護士会と京都地方裁判所がエクセルの書式発表したのよ。
残業代の。
これね、弁護士会も公表してると思うんですけど、
Googleで京都地裁残業エクセルみたいな検索していただけます?
残業エクセル。私たちも検索をさせていただいておりますので。
京都第一の先生の出てくるんだけど、
弁護士会でも検索すると出てくるんですよ。
残業代請求事件の給与第1による。
これ、渡辺先生っていう有名な先生が作ってるんですが、
渡辺先生が作ったもの。
これがね、日弁連で書式を公開して使っていいことになったんですよ。
前は渡辺先生がここに書く漢字では、
労働者側以外には使わないでくれと、
渡辺先生当時はおっしゃってたと記憶してまして、
我々使えなかったんですが、
要は裁判所としては統一フォーマットが一番いいじゃないですか。
だから統一フォーマットでやりましょうよってなって、
京都の一番いいよとなって全国フォーマットになったの。
すごいですね。それで残業代計算ソフトまで出ちゃってます。
計算ソフトも出てます?
今おっしゃっていた京都第1です。
京都第1無料のね。
そこが給与第1というソフト。
京都ソフト。京都ソフトって平仮名でね。
京都が平仮名でソフトがカタカナ。京都ソフトで検索していただけます?
はい。京都が平仮名。
15:02
ソフトのあれがですね。
これが今後ですね、全国フォーマットについになりました。
なりました。
こういうのは何を意味させるんですかね。
全国でもう残業代の計算はあまり悩む点はたくさんあるんですが、
非常に今までエクセルの計算式を独自に作ったんですよ、うちの事務所も。
それですごい毎回悩んでいたのが、悩まなくて良くなったんですね。
全国一律でこのソフトが、どこがお墨付きになるんですか?
日弁連も裁判所もですよ。
本当にフォーマットが。
京都ソフト。
ありますあります。
京都ソフト。これが出て、それで請求できるようになったんですね。
なるほど。本当ですね。本当にエクセルですね。
エクセルですよ。
エクセルのフォーマットを認定されたという。
そうなんです。
なるほど。
これが今後スタンダードになりますね。
これは経営者の方々だったり管理部門にいる方々は、どういう風に取り扱っていくといいんですかね。
実務でも使えると思いますよ。仕事、今後。
これダウンロードできます?
昔は会社側の弁護士は使っちゃいけないっていう感じだったんだけど、いいですよってなったんですね。
弁護士が使っちゃダメ?
みんな使っていいです。
当時は誰がダメだったんですか?
当時は会社側はダメですよ、これ使わないでくださいっていう。
なんでですかそれ。
わかんないね。弁護士以外の資料は使っちゃいけないって書いてる。
面白いですね。
ちょっと整理させていただきたいんですけども、このソフトは誰が何のために使うようにまずフォーマットを作ったんですか。
まずは渡辺先生という京都の先生が自分で作ったんですね。
それを無料公開して、労働者の方と労働者側の弁護士さん向けに公開したんです。
結局ぐちゃぐちゃになるわけですね。
いろんな人がいろんなフォーマットを作って、裁判所は渡辺先生が使ってるやつに統一しようとなって、
京都でまず始まって、京都でやってることを全国でやろうとなって、全国になったんです。
残業代請求をする時に計算するためのフォーマットなんですね。
そうそう。
なるほど。
これが弁護士の世界ではフォーマットになったので、今後非常に広まると思いますね。
簡単な使い方は結構簡単じゃないですか。
これ自体を使うかどうかは、経営者の方々とかに置いておいても、
そういうフォーマットで計算されてくるというのが一つ知っておいた方がいいかもしれません。
18:04
そうでしょう。今はそんなに難しくないんですよ。
そういうものが出ていますので、もしご興味ある方は是非チェックしていただきつつ、
今回の趣旨は自治問題として、今回出た最高裁判決の医者の…
契約内容を変えないと早急に可能性があって、
特にこのモルガスター事件と、今回の神奈川の病院の事件、
共通点は懲戒解雇です。
どちらも懲戒解雇されているの。
懲戒解雇しかも有効になっているのよ。
でもなんですね。
だからそこが甘いわけですよ、はっきり言うと。
いやいや、うちが楽しんだと、うちがこんなひどい目あって、
こんなとんでもねえと最高裁判で争う。
これがこの結果ですよ。
争うのはいいけど、相手もパンチしてきますよ。
黙ってないですよ。
パンチして黙っている人とは限らないですよ。
これだと業界が相当変わりますよね。
本当ですよね、これ一件で。
これね、弁護士業界にも影響がある。
ああ、そっか、弁護士もだってほとんど野放し状態ですから。
似たような働き方ですもんね。
弁護士業界も関係あって。
広がってくるかもしれないよね。
高所得で、だけど雇用みたいな形態が、
この最高裁使って請求できちゃうわけですよね。
この人、残業時間が少ないから、いくらですか?
200万くらい?
残業で何時間でしたっけ?
360時間。
360時間だったら。
360時間で。
210万ですか?
200万弱くらいですかね。
190万くらいですね。
でもこれ120時間残業とか、2年分請求したら、
1000万いくんですよね。
それも懲戒解雇は認められても、
そうじゃないとこで今回こういうことになる。
関係ないからね、懲戒解雇と関係ないから。
だから一つはやっぱり懲戒解雇、
自分が正しいって思うときほど危ないんですよ、人間は。
これはもう絶対うちが正しいっていう場合が結構危ない。
違うところで足払いをするんですね。
その正義が本当に通用するかはわからないから。
危ないんですよ。
懲戒解雇されるような方だったんだから、
残業代も払う必要ないと思ってたら、
僕だったらね、ドイツじゃんか知りませんけど、
いや、これ残業代絶対請求されるよと。
21:01
これ解雇したら。
大丈夫ですか?と。
僕はこのモルガンスター・ネイの事件は疑問に思ってて、
いつでもひっくり返されると思いますと。
これ争われると業界問題になるけど、
大丈夫ですか?って言って、
大丈夫って言ったらやりますけど、
いや、そんなの嫌ですねと。
考える必要ないわけですよ、こんな大事になるなんてね、当時は。
まさか業界を激震させるような案件になるとは思わないから、
言わないと。
これ変わりますよと。
あげたら。
パンドラの箱を開ける可能性ありますけど、
大丈夫ですか?と。
って言って、解雇しないとダメですね。
それができないんだったら、
懲戒解雇別にやる必要ないんだから。
話し合いで退職したって、
やめてもらえればいいんだから。
ね、と思いますよ。
ここら辺がちょっとね、
だから解雇、
ドクターのリストラ、ドクターの解雇、
これは要注意ですね。
普通に円満にやってる分は、
そんな請求する人はいないと思うんですけど、
解雇、リストラは間違いなくカウンターパンチでボーンってきますよ。
1人1000万、1500万。
しかも高所得者ですからね。
1000万、1500万軽くいくから、
10人ぐらいドクターやめてもらうと、
残業代1億円くるんだもん。
すごいよね。
弁護士引き受けるもん、そんな。
そんな集団訴訟ね。
というわけで、
今回はですね、
最高裁判決が出たということで、
7月7日七夕に出た話をさせていただきました。
今後、高所得者の方々病院のみならず、
医師のみならず、
そういった話が出てくるかもしれませんのでね、
ちょっと経営者の方々は注意が必要ですし、
残業代と支配をするというのは、
別で考えるというところもポイントだったと思いますので、
ぜひ注意して留意していただきたいなと思っております。
というわけで、また新しいものがありましたら
次々ネタを紹介していきましょう。
というわけで、本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
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