1. 小松正史『耳の保養』
  2. 禅のように音楽をつくる
2024-08-12 05:02

禅のように音楽をつくる

いま、ここだけに集中して音楽に向き合う。そうすると、今までの常識にとらわれていた音楽表現ががらりと変わります。普段の生活でもそうした心持ちで世界が広がるのではないでしょうか。
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みなさん、こんにちは。作曲家で大学教員の小松正史です。
今日は、禅のように音楽をつくってみる、のような話をしてみたいと思います。
この禅っていう概念、これ日本独特のものですけれども、僕が思うんですね。
禅っていうのは、あまり作為とかですね、具体的な意図を伴わずに、あるがままにね、今ここに集中して、その都度、何か目の前にあることに対して、深い洞察をしていくっていうような、
ちょっと抽象的ですけど、そんなことを考えているんですね。禅の思想を音楽に入れてみるってことを考えるとね、どんなやり方でそれが実現するかと言えばですね、
自分の音楽を作りたい、こんなメロディーを奏でてみたいっていう気持ちを全く無しにして、もうそこのゼロの地点で音楽を作るっていうことをするんですよ。
こんなこと言っても、なかなかまだ抽象的ですけど、具体的に言うとですね、僕はピアノを演奏するんですけれども、ピアノを演奏するときにですね、即興をやります。
即興っていうのは、その場で曲を作ったりね、出まかせで曲が生まれるっていうような、そこから曲らしい展開になったりとか、手癖みたいなことも含めて曲が生まれてくるわけなんですけれども、
最初の段階で自分の手を適当に鍵盤の前に置くんですよね。この音を弾く、ドミソを弾くじゃなくて、適当に手が目の前にある鍵盤をポッと触るぐらいな感じで、もう無作為に入れていくってことをするんですよね。
これ、なかなか演奏をすることが緊張したりとかね、初心者の方は、そんなこと次の音どうするのってよく思うことあると思うんですけど、いやいやそこはね、もう全然考えずに適当に置くと。
すると、猫でもピアノって押さえると音が出ますよね。猫が悪いとか良いとかそういう意味じゃないんですけども、どなたが押しても音が出るわけですよね。そこから次の展開を考えるわけですよ。この音が出たと。
そうしたら次は別の音を入れてみようかなとかね、そんな風にして次から次へと、もうその都度その都度新たに作曲するみたいな感じでやっていくっていう方法が多分僕にとってのね、善としての音の作り方だと思うんですね。
これね、なかなか修行がいるっていうことが特に実はあって、まずは一人で誰も聞かない状態でやるんですけれども、人前で演奏するあるいは配信で演奏するとなると独特の緊張感が出てくるわけですよ。
緊張感が出た場合に、もう次から演奏できないっていうタイプと、頭の中で快楽物質というかドーパミンが出てきて、さらにしようかなっていう風な、そんな風になることもあるので、僕はその後者の方なんですね。
なので、そういう公開の場というところでドーパミンを出してですね、次から次へと音が出てしまうっていう、そんなことをしたりしてますね。
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他にはですね、かつて録音したり作曲の前のスケッチっていうのがあるんですけど、それを途中途中で引っ張り出してですね、適当に聞くんですよ。スケッチの音源の中間地帯とかね、そこら辺で取り出してですね、やっていくと、あれ、こんな音が出たなとかね、あれ、こんな風な音をしてたっけみたいな、自分で演奏したはずの音が新しく聞こえてくることがあるんですよね。
そうしたときに、そこからまた新しいインスピレーションが湧いてくるっていうのがあるので、何かね、これ、普段の生活の中でも何気なくするところを、ちょっと距離を置いてですね、新しく何か始めるとか、別のルートを行ってみるとか、違う世界に行くみたいな感じで展開していくとですね、意外と音楽の今日話はしておりますけど、
普段の生活の中で違ったルートで、そして違った意識で何か物事を進めていくとですね、何か思いもしないような結論とか世界とか、そういうところに向かうんじゃないかなと思うんですね。
これ、お店とか、自分の普段好きなところとか、結構皆さん持ってると思うんだけど、別のお店に入るとかね、そこだけでも結構違うと思うんですよね。別の人と話をしてみるとか、そういう1日の些細の中でちょっとしたところでね、変えていくと、結構ね、新しい世界にね、たどり着くっていうのがあるので、チャンスオペレーションっていうのはジョン・ケージが言った言葉なんですけど、偶然性に身を委ねる勇気を持ってですね、
善のように音楽を作る善の思想で生活をしてみるってことがめちゃくちゃいいのかなと思って、今日はそんなお話をしてみました。
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