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Lyustyleの知的迷走ラジオ、第20回目の今日は【黎明期回】です。
初期のワープロのことについてお話しします。
はい、始まりました。第20回は【黎明期回】です。
ワープロで人類は生まれ変わったということについてのお話ししますね。
ワープロっていうのはね、タイプライターのような、見てくれですよね。
80年代当時に生きていた人間というのはね、それまで見たことがあるものでしかその意味を捉えられなかったんですよね。
そこにですね、入力と印刷ということのタイミングをずらすことができるということの価値、
それなのがね、ワープロにあるなんていうことはね、全くわからなかったんですね。
そんなすごいものだと思わないで、ぐわぐわと木をね、打っていた。
1984年ぐらいですか。保存ができないという、そういうことのね、意味すらね、わからなかったんです。
ということでですね、驚愕のね、初期のワープロは保存できなかったという、そういうことについてお話をしたいと思います。
保存ができないっていうことをですね、意味不明じゃないですか?聞いていらっしゃる方は。
保存ができないなら、じゃあなんで打つの?と思うわけですよね。
1984年頃までのワープロ、ポータブルワープロはですね、フロッピーディスクドライブがね、ついてなかったんですよ。
でですね、いわゆるパソコンタイプですね、CRTがバンとついたパソコンタイプのね、
ワープロっていうのはね、当時まだあったんですね。見てくれがパソコンですね。
そういうようなね、80万とか90万とかいうようなことをね、してた時代だったんですから、
そもそも私たちの生活に何の意味も、縁もないものとして見向きもしてないんです、私たちがね。
ところがそのポータブルワープロというのが出てきた、自分たちの生活の中に入ってきたんですが、
その時代のポータブルワープロには保存ができなかったんですよ。
その時にですね、それを買った私たちのリーダーの先生がおられました。
その方がね、こう言うんですよ。
ワープロ買ったけん家に来てみあい。
なんだかね、恐ろしい誘われ方ですよね。
でもいわゆる博多弁で言うとね、こうなるんですよね。
一般的にはですね、ワープロ買ったよ、だから家にいらっしゃい、ということなんですね。
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ワープロ買ったけん家に来てみあい、こうなるわけです。
それは置いておいてですね、1984年頃の私というのは、ちょうど24歳ぐらいですね。
当時の40代のそのリーダーの先生からね、家に誘われたんです。
ワープロってあれですか、タイプライターみたいなやつですか。
そうだよ、早く来い。
これを訳するとですね、そうだよ、早くおいでとなるんですね。
決して喧嘩しているわけではないんです。
さて、ワープロはですね、当時テレビのCMでもね、あまり見たことのない代物です。
後年ですね、ワープロブームというのが起こるんですけれども、大爆発して半年ごとに新しいモデルチェンジが行われてですね、どんどん価格破壊が起こっていくという、
一気にですね、次々にいろいろな機能がついてね、爆発していく、そういうブームが来る。
ほんの3年ぐらい前の話なんですよね。
先生のうちで、時代の最先端のワープロというのをね、触らせてもらいました。
何がね、すごいっていうかというとね、キーボードに文字がずっとあるでしょ。
そういうのは、僕たちはタイプライターでしか見たことがないんですね。
タイプライターというのは、キーを押すとですね、それから連動しているスタンプがポンと起き上がって、紙にポンと印字するわけですよ。
要するにキーがスタンプを押すための働きをしていたわけですね。
まさに機械です。キーを押したら、それがテコの原理でですね、ピアノのね、弦みたいなもんですよ。
なんか叩くわけですね。
それが僕らが見たことがあるキーボードだったんですね。
ところがそのワープロというのはですね、押したらなぜかテレビみたいな画面に文字が出るんですね。
なんでと。なんでここに文字が出るのと。
僕たちはキーボードだけじゃなくて、いわゆる液晶とかそういうモニターも見たことがないわけです。
テレビ画面しか見たことがないわけですよ、ああいうのは。
テレビの画面ってね、扱えないじゃないですか、中に出てくるものっていうの。
ただ、向こうが発信している映像が映るだけですよね。
僕たちがそれを何かできるわけがないじゃないですか。
ところが、そういうものしか見たことがなかった私たちの目の前に
キーボードのキーを打ったら文字が出るという理解不可能なことが起こるわけですよね。
要は今は当たり前でなんでびっくりするのって当たり前じゃないのと思われていると思うんですけれども
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見たこともないものを見たときの人類の感覚ってそんなもんなんですよ。
仕組みがわからない。なぜそうなるのと。
ちょっと前にインベーダーゲームっていうのが流行ったんですけど、あれでもびっくりしたんですよ。
手元のレバーを押せば画面が動くって。どうなってんのと。
機械的なつながりも何もないのに。
当時、いわゆるOSがね、プログラムがあって
物理的なものをソフトの中で変換をして映して動かしていくなんていうことを
考えもしたことないわけなんでね。とにかくびっくりしたわけです。
でも受け入れないとしょうがないんでね。押せば出ると。分かりましたと。
次にじゃあ僕はというのを打つわけです。
じゃあボ、ホ押してテン押してクって押してですね。
そして変換キーを打てばボクに変わるわけですね。
もう背中が痺れましたね。なんだこれって。
ボクって打って変換キーを押せば画面の文字がボクっていう漢字に変わるんですよ。
これは一体何が起こっているんだと思ってですね。
で、まあいいやと思って歯を押してやっとボクはです。
で、これ単漢字変換って言うんですよね。
一つ一つの文字を変換していくんです。
だからボクはという変換っていうのはね、文節ごとの変換なんで
文節変換って言うんですね。
で、今日ボクはご飯を食べましたっていうのは
いくつもの文節を一緒に変換するんで
副文節変換って言うんですよね。
まあそのようなね、副文節変換どころか
文節変換すらできなかった単漢字変換の
初期のワープローだったんですね。
で、ボクはですね、1行ぐらい書くのにね
10分ぐらいかかったと思います。
だってキーボードなんて見たこともないんで
どこにどのキーがあるかなんてわからんし
当時ですね、あの、iOAOみたいな
今のような字数の並べ方じゃなくて
iOAO書き漕げ子というようなね
確かそういう並び方になってたと思うんですけども
それでさえね、わからなかったんですね。
で、まあ10分ぐらいかかったと思いますね。
でね、あの、でもね、ディスプレイがね
大きなね、CRTの画面、CRTというかね
今のようなね、大きな画面じゃないんですよ。
当時のポータブルワープロっていうのはね
ディスプレイがね、1行か2行ぐらいしかないんです。
1行か2行ですよ。
その画面、大きい画面に何行も打てるようになるっていうのは
それから5年も6年もしないと出てこないんですよね。
まあそれがその当時の最先端だったというわけで
それだけでもすごいと思ってたわけですけども
まあそれでもね、自分が打った文章というのがね
活字としてですね、電子的にディスプレイに表示されている
本当にすごい体験をね、その時しました。
でね、未来を感じたんですよ。
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人類すげえと思ったんですね。
そう思いましたよ、80年代の最初頃ですね。
でね、僕は何とかかんとかと1行描いたんですね、10分ぐらいかかって。
すごいなあと思ってね、次に思ったのは
で、これどうすんの?ということだったんですね。
で、これどうすんの?と。
そうですよね、僕はなんかご飯を食べましたみたいなことを打ったと思うんですね。
そうするとですね、先輩がですね、得意も得意のような顔をしてですね
印刷と書いてあるキーを押したんですね。
すると、なんかギーという音がして、後ろの方からね
その文字が印刷されて出てくるんですよ。
まだ当時はね、16ドットというね、とんでもない低解像度の文字ですよ。
縦横16です。
まあ印刷用に使えるようになったのはだいたい24ドットになってからなんですけど
16ドットなんていうのはね、もう漢字とかね
例えばお日様の日と目玉の目とかいうかね、ほとんど変わらんみたいなね
そういうような印字ですのでね、ほぼ使い物にならないんですけど
でもね、すごいと、今表示されているものが印刷されて出てくるんですよ。
考えられないんですよね、そういうようなことっていうのは。見たことないんだから。
なんでそんなことになるのと。
例えばですね、鉛筆とかボールペンというのは書いてそのままそれが文字になるんじゃないですか。
ところが鉛筆とかボールペンとかはそんなものを使わないで
紙に文字を見出せるという。
いやー、もうね、何と言っていいのかね、わからなかったですね。
こういう経験というのはですね、タイプライターの国というのは経験済みなんですけども
それでもね、スタンプでポンポン文字を打つので直接的に文字を書いているというのとそう変わらないんですよ。
紙に書いてもそれをスタンプで押してもリアルタイムで文字を打っているというのはね、そう同じようなものなんですね。
ところがですね、ワープロって書くことと印刷することとかね、時間的に完全に分かれているんですよ。
こういうこと考えたことあります?タイムシフトですよ。
ワープロだったら時間の差を生じることができるんですよ。
タイプライターだったらこうはいかないですよね。今打って今印刷ですから。
でもワープロって家で打っておいて、そして職場で文字として生み出すことができるという、タイムシフトができるという。
タイムシフトができるという価値観なんていうのはね、今僕が勝手に勝ちづけているだけで、当時そこまで考えてなかったんですけど
ただね、今目にしている機械というのがね、人類の知的生産の在り方をその後変えてしまう、そんなポテンシャルを持ったもんだなんてね、思いもしなかったんです。
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ただすごいすごいと喜んでいただけなんですね。私が24歳の時のことでした。
そのうちですね、先輩がその職場にね、ワープロ持ってきました。
それ見てね、もうすでに僕が使っているんで、得意げにね、周りの先生より一歩先に行っているわけですからね。
先生、それ貸してくださいって言ったんですね。
私当時サークルの広報を任されていた時だったんですよ。
その原稿をね、ちょうど書こうとしていた時だったんですが、それをね、その原稿をそのワープロで打たせてもらおうと思ったんですね。
そしたらその先生がね、「おう、よかばい。使ってみやい。」って言うんですね。
ちゃんと直すとですね、「おう、いいよ。使ってごらん。」ということなんですね。
おう、いいばい。使ってみやい。
私、喜んでね、そのキーを打ち始めました。
ブラインドタッチなんてね、当然できるわけないですよね。
人差し指でですね、一文字一文字大事にキーボードを押していきましたよ。
単語ごとに漢字を確定します。
そしてですね、A4一枚の文章をね、作り上げました。
2時間ぐらいかかりましたよ。
効率なんてね、全く考えてませんね。
ただ面白かったんです。
こうしてずーっと打ったものが、一気に紙になって出てくる。
こんなワクワクがね、考えられます?
今はそんなものにワクワクしないですよね。
でもその時はね、すごいワクワクだったんですよ。
一気に出てくるんですよ。
さあ、印刷するぞと思ってね、
印刷キー、印刷ボタンにね、指を伸ばして押そうとした瞬間ですね、すごいことが起こりました。
ある先輩がね、私の後ろをそーっと通り過ぎたんですよ。
わかります?この後に起こった悲劇。
はい、その先輩の足がね、見事にワープロにつながっているコードを引っ掛けました。
コンセントが抜けます。
ワープロが一瞬にして電源が落ちました。
真っ黒になりました。
あれ?と思ってね、急いでコンセントを入れて電源を入れ直したんですけど、
はい、2時間の仕事はすべて水の泡ということになってしまいました。
はい、もうね、当時の文書というのはね、保存しておくことができなかったんですよ。
キーボードを打って電源を落とすまでの1回きりだったんですね。
印刷して電気を落とせば、もうそれでおしまいだったんですね。
まあ、保存しておいてね、後で呼び出して更新するというね、
これは人類の知的生産の在り方を一変させたんですが、
その大革命が起こるのはね、その1、2年後です。
私は今回のね、コンセント事件で見事にね、
ワープロをただの文書製造機と決めつけました。
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数年後ですね、職場でタイプライターを導入しようか、
ワープロを導入しようかと議論になった時にですね、
職場の人、みんなね、ワープロと言うんですけど、
僕を含めて3人だけね、大反対側に回りましたね。
ワープロなんて買ってどうするんだと。
そしてもう大反対したんですよね。
はい、当然と言えば当然ですよね。
しかしね、その翌年PTAがね、学校にポータブルワープロ、
ちょっと大きなディスプレイのやつを買ってくれたんですよね。
30万ぐらいするようなやつだったかな。
でね、大事にね、教頭先生の後ろの棚のね、中に大事にしまわれてたんですよ。
僕はね、もう大反対したのにね、もうこんなの買っちゃってと思ってね、
もう冷たい目で見てたんですけどね。
ゴールデンウィークの時に、ちょっと触ってみようかと思ってね、
教頭先生にお願いして、そのワープロちょっと借りて帰っていいですかって聞いたんですよ。
いいよと言われて、持って帰ったんですよね。
それで私は変わりました。
そのワープロというもののポテンシャルというのをその時に初めて感じました。
一体僕がね、その時何を感じてワープロ人間になっていったのか。
これはまた次回にお話ししたいと思います。
はい、第20回、黎明期間、初期の保存できないワープロの話はいかがだったでしょうか。
私はその時に大のワープロハンター屋に回ったんですけれども、
その後、学校に買ってもらったポータブルワープロを家に持って帰って、
人類の知的生産の在り方を変えてしまう、そういう経験をしました。
次回はそのことについてお話をしたいと思います。
それではまた。