越境問題の基本
こんにちは、河野翔です。このチャンネルでは、行政書士、宅地建物取引士としての仕事や、日常の中で、相続や不動産、事業について考えたことを言葉にしています。
今日は不動産の現場では、割とよく出てくるんですが、事前に知らないと、後で困りやすいテーマについてお話しします。
今回のテーマは、不動産売買時の越境問題、です。
隣の土地にはみ出している建物があっても売れるのか、とか、越境している物件を買って大丈夫なのか、とか、誰が直すべきなのか、こういった疑問を持つ方はとても多いです。
越境って聞くと、なんだか揉めそうで、できれば関わりたくない問題に感じるかもしれませんが、実は、きちんと整理すれば対応できるケースも多いです。
今日は、売る側、買う側の両方の視点で、越境の考え方を整理してみたいと思います。
結論から言うと、越境がある不動産でも売買はできます。
ただし、越境を放置したまま、説明や合意が不十分だと、価格交渉や契約トラブルにつながりやすい、というのが正直なところです。
なので、大事なのは、越境があるかどうかを正しく把握して、どう扱うのかを事前に決めておくことです。
なぜ越境が問題になるかというと、理由は大きく3つあります。
1つ目は、所有権の問題です。
土地や建物は、それぞれ所有者が決まっていますから、境界線を越えている状態は、他人の土地を使っていると見られる可能性があります。
2つ目は、建築や建て替えへの影響です。
建物の一部が越境していると、将来建て替えをするときに、設計が制限されたり、そもそも建築確認が通らなかったりすることもあります。
3つ目は、契約上の責任です。
売り主が越境の説明をしていなかった場合、後から契約不適合、つまり契約内容と違う、という問題になる可能性があります。
この3つが重なると、話が大きくなりやすいんですね。
実務でよく見る越境の例としては、屋根や日差し、バルコニーの先端が少しだけ林地の上空に出ているケース、それからブロック塀やフェンスが境界線をまたいでいるケース、
意外と多いのが、エアコンの室外機や配管、ガス管などの設備関係です。
あとは樹木の枝が伸びて林地にかかっているというケースも典型的ですね。
逆に自分の土地に隣のものが入ってきている状態は非越境と呼ばれます。
普段住んでいると気にならなくても、売買や建て替えのタイミングで一気に問題が表に出てきます。
ここからはもう少し具体的に話をしていきたいと思います。
まず、売り主側の立場で考えてみます。
越境があるかもしれない不動産を売るときに大事なのは順番です。
最初にやるべきなのは、境界と越境の有無をきちんと確認することです。
測量図を確認したり、現地で塀や建物の位置を見たり、必要に応じて土地家屋調査士に相談するのが現実的です。
次に越境を解消できるかどうかを検討します。
樹木の剪定や設備の移設など、比較的簡単に直せるものは売却前に対応した方が話が早いです。
建物自体が越境している場合は、費用や期間も含めて慎重に考える必要があります。
そして重要なのが隣地との覚書です。
現状を容認するのか、将来の建て替え時に解消するのか、書面で残しておくと買い主の安心感が全く違います。
最後に売買契約書に越境に関する特約を入れること、誰がいつどこまで責任を負うのかを曖昧にしないことが大切です。
次に買い主側の視点です。
買主の視点とリスク評価
越境があると聞くと、それだけで避けたくなる気持ちもわかります。
ただ、全部が危険というわけではありません。
まず見るべきなのは、どんな越境なのかという点です。
枝なのか、塀なのか、建物なのかでディスクは大きく変わります。
次に隣地との合意が書面であるかどうか、覚書があってその内容が自分にも引き継がれるかは重要なポイントです。
さらに将来建て替えたいと思ったときに支障が出ないか、最後に契約書の条文をしっかり読むこと、越境是正の費用や交渉義務が全部自分にのしかかっていないかなど必ず確認したいところです。
越境物件をやめた方がいいという意見もあります。
それも一つの考え方ですし、無理に選ぶ必要はありません。
ただ、整理されていない越境が危険なのであって、整理されている越境まで一律に避ける必要はないというのが私の実感です。
越境トラブルを防ぐ一番のコツは、事前に知って早めに動くことです。
境界を確認する、専門家に相談する、隣地と丁寧に話す、この三つを意識するだけで後戻りのリスクはかなり減ります。
越境は誰か一人が悪いというより、昔の監修や測量制度の問題で起きていることも多いです。
不動産売買の越境はあってはいけないものというより、きちんと向き合うべき課題です。
売り主は把握して説明し合意を整える、買い主は内容と条件を見て冷静に判断する、この姿勢が安心した取引につながります。
今回はここまでです。
今回の内容が少しでもあなたのお役に立てたら嬉しいです。