相続の名義の問題
こんにちは、河野翔です。このチャンネルでは、行政書士、宅地建物取引士としての仕事や、日常の中で、相続や不動産、事業について考えたことを言葉にしています。
今日は、仕事をしていて本当によく出る、かなりあるあるな話をしようと思います。専門的すぎない、生活に近い話です。
今回のテーマは、相続で名義がそのままになっている不動産の話、です。最初に結論からお話しすると、不動産の名義って、そのままでも、普段の生活ではあまり困らないことが多いんですけど、困るときは、ある日まとめて一気に困る、ということが本当に多いです。
まず、名義がそのまま、というのは、例えば、親が亡くなった後も、不動産の名義が親のままになっているとか、もっと前の、祖父や祖母の名義のままになっている、そういう状態です。
住んでいる人がいて、固定資産税も払っていて、特にトラブルも起きていない、そうすると、今は特に支障ないし、そのうちでいいか、となりやすいんです。
実際、それで何年も問題なく過ぎているケースもあります。なので、名義がそのまま、イコールすぐ大変、という話ではありません。それでも、後から大変になることが多いのには理由があります。
一つ目は、時間が経つほど関係する人が増えていくことです。例えば、祖父名義の不動産を父が使っていた、でも名義は変えないまま父も亡くなった、そうすると、祖父の相続と父の相続、二つ分をまとめて考えないといけなくなります。
相続人というのは、亡くなった人の配偶者や子供が基本ですが、世代が進むと、その子供、つまり親名、いとこまで関係してくることがあります。二つ目は、人間関係がだんだん薄れていくことです。
昔はよく会っていた親戚でも、今は連絡先がわからない、何年も会っていないということは珍しくありません。名義を変える、つまり相続統計をしようとすると、原則として相続人全員が関係してきます。ここで一人でも連絡が取れないと、話が止まってしまうことがあります。
三つ目は、情報が失われていくことです。誰がどう使っていたのか、どんな経緯だったのか、そういう話を知っている人が亡くなってしまうと、後から確認するのがとても大変になります。ここで実務でよくある例を一つお話しします。
祖父名義の家に父が長年住んでいました。父の感覚としては自分の家なんですけど、名義は祖父のまま、父が亡くなってから初めて子どもたちが名義のことを考え始める。すると、祖父の相続人の中に既に亡くなっている人がいて、その子どもたちも関係してくる。人数も多くて考え方もバラバラです。
売りたい人、残したい人、そもそも状況をよく分かっていない人、話し合いがまとまらず、その不動産は何年も逃がせないというケースです。こういう話をすると、最近必ずと言っていいほどこんな質問を受けます。
相続登記の義務と制度
相続登記が義務化されたと聞いたんですけど、じゃあすぐ名義変更しなければダメなんですか?という質問です。ここははっきり整理しておきたいところです。
結論から言うと、相続で不動産を取得した場合、名義変更、つまり相続登記は法律上の義務です。なので、基本的にはできるだけ速やかにやった方がいいという前提になります。
昔はそのうちでいいと言われていた部分が、今はそうではなくなりました。ただ、だからといって、すぐに誰が引き継ぐかを全部決めなければいけない、そうじゃないとダメというわけではありません。
実務上、すぐに話し合いがまとまらないケースもたくさんあります。相続人が多いとか関係が複雑だとか、そういう事情もありますよね。
そういう時のために用意されているのが相続人申告登記という制度です。これは簡単に言うと、自分は相続人の一人ですよということだけをひとまず法務局に届けている手続きです。
この手続きをしておくと、すぐに遺産分割、つまり誰が不動産を引き継ぐかを決めなくても、相続登記の義務については一定の猶予が与えられます。
なので、全部決めないと何もできないというわけではありません。まずは相続人として名乗り出る、その上で時間をかけて話し合いをするという段階的な進め方もできるようになっています。
大事なのは、何もしないまま放置することではなくて、今の状況にあった形で前に進むことだと思っています。
相続登記は義務なので、できるだけ早くやったほうがいい、その一方で使える制度を使いながら現実的に進めていけばいいという話です。
名義変更はただの手続きではなくて、将来不動産を活用するための選択肢を整えるための整理だと思っています。
何も考えないまま時間だけが過ぎてしまうと選択肢がどんどん減っていく、その点だけは知っておいてほしいなと思います。
今日は相続で名義がそのままになっている不動産について、実務の現場で感じていることをお話ししました。
今回はここまでです。今回の内容が少しでもあなたのお役に立っていたら嬉しいです。