スライドをやめる流れ
おつかれさまです。経営企画のたばこ部屋 42 回目の配信です。この番組では、戦略コンサルから事業会社の経営企画FP&Aに転身した私、きりんが、今日も経営企画のニッチな話題をお届けしております。
今日の話題は、スライドを書くのをやめた話なんですけれども、そういう話をする流れとしまして、これまで私が、そうですね、もう5年前になりますけれども、コンサルティングファームに所属していた時の話でして、
コンサルもですね、あまりスライドを書くのをやめようという、そんな潮流に乗り始めた時期だったかと思います。
今もそれがまた、スライドを書くことに前振りするようにはなっていないと思います。その潮流は今も続いているんじゃないかとは思いますが、
スライドではなくて、あんまりものを書くのではなくてですね、メッセージや示唆、それ自体に価値が宿るのである。
あまりスライドを書いて物量で勝負するのをやめようという、そういう考え方が主流になってきたのかなと思います。
それの方がですね、むしろ負荷はある種高まるんですけれど、知的な負荷ですね。単に手を動かしていればなんとかなるっていうものではなくなるので、むしろ大変にはなるんですけれども、
その方がですね、お客様への本質的な価値が高まるという、そういう考え方でひいてはスライドの作成の時間も減るだろうと、
働き方改革に一躍買うだろうという、そんな思想でコンサルモスライドを書くのをやめようと、少なくしようと、キースライドぐらいにしようと、そういうような話が当時ありました。
その思想をですね、私も結構受け継いでいて、事業会社でも極力そういうふうにあんまりスライドを書いて満足するような働き方はしてはならないだろうなと思って、
できるだけスライドを書かないようにというふうに最近は心がけているんですね。
で、この間ちょうど予算作成、予算の会議がありましたので経営会議とかで、あえてスライドを書かずに全てワードベースの資料で報告をしてみたっていう、そんな話でございます。
ちょっと前置きが長くなりましたけれども、結論ですね、全然別にワードベースでも何でも全く問題がありませんでした。
数字とかはもうですね、別に結論というか、今期の売上ってあったりとか、あらり、営業利益、そういった段階利益の数字をちゃんと書いておいて、内容を他、深掘りされた時にですね、画面を他に切り替えてスライドだったりとか、
あとはスプレッドシートですね、に切り替えてみせればいいじゃないかと。
もちろん必要なスライドと言いますか、ヒースライドだけは置いてるんですよ。これは別にその報告のために作ったものというよりは、普段の日常の業務の中で担当者が書いて用意していたものっていうものがたまたまあるのでそれを使おうとか、そういうものですけれども、
そういう感じでワードベースで報告をするとですね、むしろ図解とかグラフとか、それっぽいパッケージの資料がないからですね、気まずいわけですよ、基本的には。
だから緊張感は高まるんですけれども、その分ですね、見る方は文章の方だけをちゃんと読めば伝わるという意味では、結構いい報告にはなるのかなと思っています。
そもそもスライドって何のために書くんでしょうかっていうところの本質の話と言いますか、さかのぼればですね、そもそもスライドというのは伝えたいことを相手に伝えるための補助ツールであると、
それ自体目的ではなくて、目的はちゃんと相手に対して伝えたいことを伝えるっていうことであると。
なのでその相手によって伝えたいこととか伝わり方とかですね、得意な媒体とか聞くのが好きとか読むのが好きとかいろいろあると思うんですけど、
そういうその方々の特性に応じてですね、例えば数字や文章の羅列だけでそれで十分伝わるのであれば、もうスライド化するだけそれは無駄じゃないですかっていう、そういうことを言いたいわけですよ。
最も極端な話で言えば、今日何か食べたいなっていうことをですね、いつもご飯を作ってくれる人が家にいたとして、その方に伝えるとするじゃないですか。
口で言えば伝わるじゃないですか、今日はカレーが食べたいと。
それをあえてスライドにしてカレーが食べたい、なぜならば理由は3つあってとかっていうスライドを書かないじゃないですか。
これは口で言えば伝わるからであって、別にこれは仕事であっても同じだと思いませんか。
スライドを書くか書かないかではなくて相手に伝わっていればそれでいいじゃないかっていう、何か報告だからスライドを用意しなければならないっていうそんな先入観にとらわれなくていいじゃないかっていうことが今日一番言いたいことですね。
スライド作成もそうやって伝わるのであれば、あえて使わなくていいじゃないかっていう話なんですけれど、なぜそもそもそれだけスライドというものが世の中にあふれてしまったのかと。
スライドの弊害
パワーポイントというものが世の中にあるからこそこういう無駄な仕事が世にあふれてしまったんだと、それをむしろ受頂したのはコンサルなんじゃないかっていうふうな思いもあるわけなんですが、コンサルはコンサルでですね、やっぱり無形の商材を売る、サービスを売るということでどうしても形として残るそのスライドが稚拙なものだとやっぱり舐められるというか、そういう部分で気にするわけですね。
やっぱりそれが商品なので仕方がないんですけれど、やっぱりあまりそういうものなので、あまり素人が手を出して正しく使いこなせる類のものではないというふうに思ったほうが本当はいいと思ってます。
あまり偉そうなことは言いたくないんですが、本当にスライドというものはすべてのオブジェクト、図形にも意味がありますし、文字だったり影とかグレー、色ですね。色とかすべてに意味を持たせて、なぜそこにその文字や図形があるのかというのはすべて論理的に説明がつくような状態になって初めて読みやすい、伝わりやすい資料というものができるんですけれども、
そんなことを普段実務に追われている立場の方は気にする必要がないわけですよ。コンサルの人がやればいい話なので、あんまりそんなことに手を出さなくてよくてですね。
だからそういう基礎的なことをあまり知らない状態で思い思いにスライドを作ってしまうとですね、色の定義が書いてないとか、やっぱり図解をしようとしてもいろんな解釈ができてしまったりとか、むしろ混乱を招くことも多いわけですね。
だからスライドであまり頼らない文字でちゃんと伝えるということに特化したほうがみんな幸せなんじゃないかなと思います。あれこれマウスでいじくってですね、パワーポイント作る時間って仕事してるっぽいんですけれども、本質的な価値は生んでないぞということを伝えたいなと思っています。
やっぱり経営とか事業にコミットしている人への報告であれば、スライドなんかなくてもですね、究極的にその報告に対して本当に意味というか興味がある方々なんで、文章の羅列であってもなんでもですね、隅から隅まで読んでくれる人が多いんじゃないですかね。
報告を受けなければならなくて、あまり集中してない人っていう人に報告する場合は別ですが、基本的にはそういう形で興味がある人が聞く前提であれば、それこそスライドじゃなくて文字とかでしっかりと必要な重要な情報を書いてあるっていうので十分だと思います。
場合によるとは思いますけれども、皆さんの会社でも試していただきたいなと是非思うところです。やっぱり仕事をしている感が出てしまうので、スライドっていうものはあんまり頼りたくないところですよね。
今の事業会社に来てもですね、私も最初はよくきれいな資料なんて作らないでくれって言われたものでして、どうしてもやっぱりスライドに頼ってしまう癖が抜け切らなかったんですが、
コミットしている事業の部長の方ですとか、それこそ経営人の方ですと、もうどれだけややこしい数字の羅列を見てもですね、一発でやっぱり見抜くんですよね。
この事業がどうなっていて、こういうことだろう、何々さんどうなっているとかっていうことをもう仮説まじりでスパッと聞いてくるわけですね。
スライドの重要性
数字が間違ってたら前回の数字と違うとか、これぐらい変わったのはなぜだとかっていうことをもう記憶ベースで指摘してくるわけですよ。恐ろしいわけですね。
だからそんな人にスライドをきれいに見せてうんぬんとかではなくて、もう本質的な話だけしようじゃないかと、無駄な仕事でスライドを作るとかそういうことはもう抜きにしようというのは、
なぜきれいな資料とかあんま作らなくていいよって言われたのかっていうのは後でこういうふうに理解することになったということでした。
ちらっと先ほども言ったんですけれども、この相手の属性、このうちの会社の場合は読んで理解するっていうことに非常に得意な経営人の方が多いんですけれども、
そういった資格優位の方に対してはあんまりこう話をして伝えようとするのではなくて、必要なものをちゃんとスライドというかワードベースでですね、書いて文章で伝えるということをするといいと思います。
あんまりそれを読み上げるということはせずですね、必要な最低限の補足だけしてあとは読んでもらうのを静かに待つみたいな、そんなプレゼン手法が結構望ましいのかなという所感ですね。
でも書いている途中にいきなりさえげられて質問するんですよ、だいたいそういう人って。
だいたいそういうので資格優位なのか聴覚優位なのかというのはわかるとは思います。
聴覚優位な人もいると思いますね。
耳で聞くことの方が得意な人。
だからあんまりそういう人って細かく書き込んでもあまり読んでくれずですね、自分が何を喋るのかその人の口から出てきた言葉を中心に聞いて理解しようとする人。
これ結構顕著な例がありまして、私がコンサル時代に報告をしていた相手の事業部長の方だったんですけれども、色々コンサルとしてスライドを書いて持っていくわけなんですけれど、全然その資料を見てくれなくてですね。
その代わりどこを見ているかというと私の目をずっと見ているわけですよ。
そういう感じで全然下見てくれないなと思いながら一応報告を続けながらですね、私の本気度を見ているっていう風に言うんですよね。恐ろしいですね。
新規事業の提案だったんですけれども、どれだけ考えて本気で検討してきたのかっていうその熱意というかそういう部分を資料よりもお前の目を見ていたってことは後で言われるわけなんですけれども。
まあ恐ろしいとこういうこともありました。その方は聴覚優位というかちょっと別の話にはなってしまいましたが、視覚優位とか聴覚優位とかそういう形の相手の属性伝わりやすいメディアと言いますか、そういうものを見極めて治療のタイプあるいはプレゼンのタイプを選ぶというのは有用かなという、そんなお話もしてみました。
ここまでいろいろとお話はしましたが、結局ですね、相手に伝えるということを一番大切にするためにはスライドなのかワードなのかとかそういうレベルでもないんですね。
一番大切なのは日本語を過不足なく正しく読みやすく、主語とか目的語とかですね、そういうことをはしょらずに明確に記述すること、これに勝るものはないと思っています。
メディアとか媒体が云々ではなくてです。そういう正しい日本語を正しく使う、それに越したことはないんだということを最後に言わせていただければというところでした。
図解されていてもですね、日本語がズタズタだったら結局何を言いたいのかわからないということになってしまうので、あまり小手先のテクニックとかそういう話にこだわるのではなくて、日本語をとにかく日本人なら、ビジネスマンなら磨きましょうということを最後に申し上げたい次第でございました。
情報伝達の手法
日本語に関してはいろんな書籍が出ていますけれども、私が一番勉強になったのはですね、本田克一さんの日本語の作文技術という本がありまして、あれはですね、一文を正しく書く、わかりやすく読みやすく書くためにどういった修辞技法がいいのかということを詳細に説明された本でして、これは本当に勉強になりましたのでぜひ皆さん手に取っていただければと思います。
ちょっと取り留めのない話が続いてしまいましたが、今日はスライドを書くのをやめた話と、根本的に人にものを伝えるということはどういうことなのかという、そんな話までちょっとしましたけれども、皆さんの報告にもある程度で何か役に立つことがあれば、ぜひ取り入れてみていただければと思います。
本日は以上となります。
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それではお疲れ様でした。