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2025-07-05 13:56

#49 経営企画と戦争広告代理店

◆戦争広告代理店から学ぶ情報戦略◆

1990年代のボスニア紛争において、ボスニアはPR会社を活用し、国際社会の関心を引きました。コネクションを最大限に活用し、メディア関係者へ積極的に情報提供を行ったほか、無視できない状況を作り出す工夫も凝らしました。また、首相が分かりやすい言葉で話すよう指導し、記事化しやすいプレスキットを用意するなど、情報の拡散・再生産を意識した戦略が成功の鍵でした。

◆感情に訴えかけるメッセージング◆

合理性よりも感情に訴えかける重要性も示唆されました。具体的な被害状況を写真で伝えたり、アメリカ人の関心の高い環境問題と結びつけて訴えたりすることで、効果的に世論を味方につけました。言葉選びにもこだわり、「民族浄化」といった強い言葉を用いることで、聞き手の心に深く響く発信をしました。

◆経営企画への応用とリソース獲得◆

これらの情報戦略は、経営企画におけるリソース獲得にも応用可能です。社内キーパーソンとの関係構築や、プロジェクトへの関心を高めるためのPR活動が重要です。スライド作成も、自身のコミットメントを示す手段として有効であり、情報が独り歩きして再生産される構造を作り出すことを目指します。社内政治とも言えるリソース獲得競争ですが、本当にやるべきと信じるプロジェクトであれば、積極的に関与すべきだと締めくくっています。


◆Personality:きりん

外資系コンサルティングファームやBIG4系FASにて、新規事業立案プロジェクトに多数従事し、事業計画策定やビジネスケース作成、企業価値算定等に携わる。

ベンチャー・事業会社では経営企画/経営管理として予算策定、予実管理、着地見込や予予管理を中心に企業価値向上を担う。


◆Twitter:⁠⁠⁠⁠https://x.com/kirin_fpa⁠⁠⁠⁠

◆Note:https://note.com/logicalkobo

サマリー

今回のエピソードでは、経営企画における戦略とPRの重要性について語られ、特にボスニア・ヘルツェゴビナの独立を巡る戦争広告代理店の役割に焦点が当てられています。情報を巧みに拡散し、世論を味方につけるプロセスが紹介され、歴史的背景をもとにした興味深い事例が述べられています。ボスニアの紛争を通じて、PRの手法や経営企画におけるリソース獲得の重要性が探られています。また、戦争広告代理店の教訓を経営の文脈にどのように応用できるかについても考察されています。

戦争広告代理店の紹介
おつかれさまです。経営企画のたばこ部屋49回目の配信です。
戦略コンサルから事業会社の経営企画に転身したきりんが、今日も経営企画の日知な話題をお届けしております。
今日はですね、戦争広告代理店という本を読みましたので、それに関してお話をしてみたいと思っています。
雑談会の5回目ぐらいの時にですね、Chronicleさんのポッドキャストが面白いという話をしたことがありますけれども、
その中にニュースコネクトという番組がありまして、ニュース番組ではあるんですが、この中でいろんな雑談があって勧められていた本でした。
戦争広告代理店という本ですね。時代的には今から35年ほど前の1990年とかそれぐらいのあたりの話で、
ユーゴスラビア連邦から独立したいボスニアヘルゼコビナがセルビアと紛争を行ったとか、そういう時代背景のものなんですね。
私もそんなに世界史については全然明るくないですし、ボスニアってどこにあるんだっけぐらいの感じでしたので、
なんていうか敷居が高いなと思ってたんですけれども、テーマがですね、なかなかこれが面白くて、いかにですね、この大国を味方につけて自分の国に有利にしていくかっていう、
そういう視点で戦争とか紛争を描いた時代背景について説明をした本であるということで、
だから別にそのボスニアが云々とかセルビアが云々みたいなことにちゃんと詳しくなかったとしても、
ちゃんと勉強になるような本であるということで、意外と読めたんですね。私でも読めたっていう感じなので、ぜひ手に取っていただければと思いますけれども、
PR会社の戦略
きっかけ的にはですね、この紛争、歴史的な経緯もあってセルビア側が仕掛けたとされているんですけれども、
それでこう、窮地に陥っていたボスニア側がですね、なんとか大国を味方につけたいと、
それでシライジッジさんという方が当時の首相ですね、がいたんで、その国連とかアメリカとかにですね、色んな協力を仰いだんですけれど、
ボスニアという国が世界的にそんなに注目を浴びる国でもなかったですし、現にアメリカ人も当時は関心がなくてですね、
国の場所なんか知らず関心もなく、人口もせいぜい300万人とかそれくらいのものなので、
アメリカとしても世論がついてこないものについて他国の紛争におちおちと口を出すことはできないというふうに断られてしまったというのが時代背景でした。
そこで、でもそうは言ってもなんとかせんといかんというのが当時の首相ですので、PR会社というものを利用されたんですね、PR広告ですね。
ボスニアのその首相はPR会社に協力を依頼をしまして、実際そのPR会社もこのボスニアに倫理的な利があるというふうに判断をして横断をしたということでした。
結果的にはそのPR会社の暗躍と言いますか、情報を拡散していたということがあって、世論を味方につけることができて、
ボスニアが無事なのかな、たくさんの方が犠牲になったとは読みましたけれども、独立をすることができたという、
そういう時代の話でございました。
ここで言いたいのは、この紛争がどうのこうのとか、どちらが正義であるとかという価値判断ではなくてですね、
どのようにこの世論を味方につけることができたのか、それこそ全然ビハインドですよね。
全く自分の国のことについて関心もないし、どこにあるかも知りません、誰ですかあなたみたいなところから逆転ですよ。
大逆転して、このPR会社がうまくその関心を世の中から獲得していったという、そのプロセスが面白いのであって、それについてお話をしていきたいということでございます。
最初まず一つは、コネクションをたくさん持っているというところで、PR会社のハーフさんという方ですね、
いろんなメディアのキーパーソンとつながっていて、100人とか持っているのかな、それぐらいで抑えていて、
その方々に対して、ボスニアの現状であったりとか、こういう現地では現地人の迫害が起きていますとか、そういうことをちゃんと記事にしてですね、送付して、
一社について一人とかそういうレベルではなくて、社内で別に展開されなくても関係ないと、何人でもいいから、そのコネクションがある人に対してはそういう情報を送りつけると、
国務長官に送ったりもするわけですね。その事実を送ったっていうことをですね、他の方にも送って、
この人に無視されたっていうことが仮に起こった場合に、あの人はこの重要な話を無視したんだみたいなことをですね、他の方から後ろ指さされうるみたいなそんな構造も作って、
いわゆる無視したらやばい雰囲気みたいな、そういうものも作り上げたりするらしいんですね。
あとは各局にいろいろと、インタビューに来てもらいたいということはあるんですけれども、単独インタビューですというふうに銘打って、
14日にも訴えてですね、終わったら毎回丁寧なお礼の手紙を添えるみたいなこともやっていたということでですね、いちいち芸が細かいというところです。
コネクションの生かし方という点ではそういう形で、日に入り祭に入りやっていたということでした。
もう一つキーワードがあるとすると、情報の拡大再生産みたいな、そういうキーワードがありまして、
その白井実知首相がですね、分かりやすい言葉でいかにしゃべるかということを丁寧に指導したらしいんですよ。
実際この記録に残っているのだと、4項目の提案みたいな形で、4つですとポイントは4つだみたいな感じで、
切り取ってメディアの方が拡散しやすいような発信を心がけたみたいな話だったりとか、
あとは、いかに記事にしてもらうかという意味だと、記事にするときのハードルをどれだけ下げられるかというところも勝負なんですよね。
そのためにプレスキットみたいな形で資料とか手紙のコピーとか、そういうものをまとめてメディア側に送付をして、
それによって、普通は当時はあまり文字起こしとかいうことも自動でできる時代ではないので、
それをいちいちテープを聞き直して、それを文字にするみたいなことが手間だったらしいんですが、
それをあらかじめ資料とかでどういう発言をしましたみたいなことを書き起こした上で送りしてっていうことをすると、
そういう手間が減るみたいな、そういうことを意識してプレスキットっていうことを用意して先方に送り付けるとかいうこともしていたらしいです。
もちろんそれ以外にも、ボスニアのファックス通信みたいなものを作って独自に配信をしたりとか、
いずれもこのメディアがいかにして記事にしてもらえるか、その記事にする上でのハードルをどれだけ下げられるかみたいなことを念頭に書く意図とコミュニケーションを取っていたというところは印象深い話でした。
効果的なコミュニケーション
その他にも話し方として、シライジッチっていう人がボスニアの首相なんですけれども、流暢な英語で話せるらしいんですよ。
またその方が、これは幸運なことにメディア映えするようなイケメンだったっていうこともあって、
非常に画面移りも良かったということがあって、画面上切り取られやすいような英語でわかりやすく話すみたいなことをされていたと。
言葉も磨いたというのが一つポイントで、当時ですとホロコーストがあったんですよね。ドイツナチスのいろんな迫害がありましたけれども、それを連想させる言葉で、
ホロコーストというとモロハの剣なんですけれども、それをあえて言わずに民族浄化ですね、エスニッククレンジングという言い方を言葉を、当時はまだなかったらしいんですけれど、
あえてここで作って、こういう言葉でもって連想させて発信をするみたいなこともしていました。言葉にこだわるということが非常に大事なんですね。
あとはその相手が、戦争自体には興味を持たないにしてもですね、相手というのはここで言うと興味を持ってほしい人、アメリカですね。
アメリカ人は当時も環境問題とかそういうことには非常に関心が高いと、国としてもそれに取り組まざるを得ないということだったので、環境問題にどう訴えるかみたいなことを考え、
実際空爆を受けるとその土地の環境が破壊されるわけで、それによって環境が問題が起きてますよという話を特にフォーカスして伝えたりとか、
実際殺戮よりも環境問題の方が当時のアメリカ人には刺さったということらしいです。
分かりやすさという意味だと他にもあって、文字で伝えるとか話して伝えるというのもありますけれども、一番良かったというか伝わりやすかったのは、
有志鉄線の中の痩せた男性の写真みたいな、これはセルビア側が不当にですね、このボスニア側の人間を捕らえて強制収容施設に格納したみたいな、そういうのが事実としてあったらしいんですけれども、
それについて写真を用いてですね、こんなひどいことが起こっているんですよみたいなことを写真で、絵で人々の心に語りかけたことがあると。
ボスニアのPR手法
どういうふうに要点をまとめるかというと、コネクションをうまく生かすという話もそうですし、いかに危機時にしてもらうか、情報を拡大再生産してもらうかという話もそうですし、
相手の言葉とか、いかにですね、相手が気にしている言葉に訴えかけるか、あるいは意義で発信するかみたいなところでしょうね。合理性よりも感情とかそういったところに配慮したようなPRを行ったというのが、
このボスニアの紛争の工夫だったかなというふうに言えるところでしょう。
ちなみにですね、このボスニアの首長の白井自治さんという方、実は女たらしらしくですね、PR会社の秘書の方に手を出そうとしたり、実際に触ったりとかそういうこともあったらしくですね、
そういうことがもし仮にでも表に出てしまうと非常にマイナスなイメージなので、厳しくやめてくれというふうに言われていたみたいな逸話もありました。
あるがままの話をですね、そう報道すればいいという話でもないということがわかるかと思います。
いろいろしゃべりましたけれども、これが戦争広告代理展という本の概要でして、これを仮に経営企画として転用するのであればどんな話になるのかというのをちょっと考えてみたんですけれども、
私もですね、いろんなテーマの取り組みをしていますと、今の会社でいろんなテーマ、いろんな子会社でしたりとか、そこに関わることをやっていますと、
常にリソースは足りないんですね。やりたいことはたくさんあるけれども、そのやりたいことに対してリソースが足りない。
だから獲得しないといけないんですけれども、獲得するには経営人の関心がそこのテーマに関してはあまり高くないというのはよくあることなんですよね。
これはボスニアが米国のアメリカのですね、関心をなかなか得ることができなかったということと、あまりひも付けていいかわかりませんけれども、似たような状況と考えることもできるかもしれません。
なので、自分の仕事でリソースを得るためには経営にとって関心が高くないとダメであるという意味では、社内でPRをして、この自分の取り組みとかプロジェクトについて関心を得るためにどうすればいいのか、そういうふうに考えていくことが動き方としては重要だなというふうに思うところですね。
つまりそうするためにはですね、社内の方でこのプロジェクトに、社長じゃなくていいんですよ、いきなりなんですけど、社内のいろんなキーパーソンに関わってもらう、別にそれががっつりプロジェクトに入ってもらうとかではなく、知っておいてもらうとか、ふとした時に彼こんなことやってるよっていうふうに言ってもらえるような、そういう関係性をどれだけ社内に持てるかっていうのも一つポイントかもしれません。
それは、いわゆる拡大再生産ですね。さっきの情報の拡大再生産的な話を意識すると、そういった行動もできるかもしれません。
いろんな方に、こういうことをやってるんですけれど、誰か繋いでくれませんかとかって言ってみると、意外といろいろ繋いでくれたりもしますし、共感をしてくれる人はたくさんいると思うんですけれども、こういうこともしやりたいんだったらこの人を紹介するよとかですね、そういうことをやってくれる方がいかにいるか、いないんであれば、とりあえず騒いでみるみたいな話。
そういう話もやる価値はあるかなと思います。
その拡大再生産ですね、情報の拡大再生産という意味では、スライドを書かないという話をこないだしましたが、ここではあえて書くっていう選択もできるかと思います。
スライドがあるとないとで何が違うかというと、なければ自分が喋らなければならないんですけど、仮にそういうものがあれば、そのスライドが代わりに喋ってくれると言いますか、
このスライドが一人歩きしても情報がどこかで再生産されていくという、そんな構造ができていきますよね。
なので、それをきれいに書くことが目的ではないんですけれども、自分自身この問題にこれだけコミットしてますよみたいな、そういう覚悟を示すっていう意味も込めてですね、
そういったものを作ってみて配布してみるというのも一つの手かもしれません。
こういうことはリソースの獲得競争という意味では社内政治と呼ばれるのかもしれません。
けれども、本当に自分がそれについてやりたいとか、やる意義がこの会社にとってあるのであると思うのであればですね、多少の虚勢を張っても、
こういったリソースの競争、獲得競争みたいなところに参加するのは悪いことではないと思います。
条件としてあるのであれば、自分が本当にそれをやるべきだと思っているかどうかっていうところかもしれませんけれども、
こういう社内でのリソースを獲得する、誰かの協力を得ないと大きなことはできませんという話ですので、
この戦争広告代理店という話、戦争とか紛争とかそういう話から学ぶっていうのは、こういうビジネスの面でも学ぶことはあるかもしれませんねという、
そんな話ができたら今日はいいかなと思いました。
あまりうまく話せた気はしていませんけれども、もし皆さんも興味があればですね、ぜひ手に取っていただければと思います。
以上とさせていただきます。もしよろしければ、高評価やコメント、フォローなどをいただけますと大変励みになります。お疲れ様でした。
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