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2025-05-24 11:26

#43 権威に負けないためのミルグラム実験

◆エージェントとしての危うさ◆

ミルグラム実験を紹介しながら、「上からの命令」に従うだけの姿勢が人間をいかに容易に非人道的な行動へと導くかを解説。命令に服従し、自らの意思を手放すと、善良な人でも異常な行動を取ってしまう。これは経営企画の仕事にも通じる深い問題である。

◆経営企画に求められる主体性◆

経営企画が本社の意向をそのまま子会社や現場に押し付けていないか、自問する必要がある。現場に適さない施策であれば、情報を持つ当事者として調整・翻訳し直すことが求められる。単なる命令の伝達者=エージェントではなく、意思を持った橋渡し役となるべきである。

◆「言われた通りにやる」からの脱却◆

マニュアル通りにしか対応しない店員のように、無批判な姿勢は信頼を失う。現場と本社の意見を受け止め、双方の納得解を模索することが経営企画の本質。エージェントではなく、状況に応じて考え、行動する個としての在り方が重要である。


◆Personality:きりん

外資系コンサルティングファームやBIG4系FASにて、新規事業立案プロジェクトに多数従事し、事業計画策定やビジネスケース作成、企業価値算定等に携わる。

ベンチャー・事業会社では経営企画/経営管理として予算策定、予実管理、着地見込や予予管理を中心に企業価値向上を担う。


◆Twitter:⁠⁠⁠⁠https://x.com/kirin_fpa⁠⁠⁠⁠

◆Note:https://note.com/logicalkobo

サマリー

ミルグラム実験は、権威に服従する人々の心理を探求する有名な社会心理学の実験です。この実験を通じて、エージェントとして行動する際に自己の意思に反した行動をとることがあることが示され、経営企画におけるこの問題の影響についても言及されています。このエピソードでは、ミルグラム実験を通じて権威への従属問題と経営企画の役割について考察しています。特に、エージェントとしての立場が意思決定に与える影響や、現場の意見をいかに反映させるかの重要性が語られています。

ミルグラム実験の概要
お疲れ様です。経営企画のたばこ部屋、43回目の配信です。この番組では、戦略コンサルから事業会社の経営企画FP&Aに転身した私、きりんが、今日も経営企画の日知な話題をお届けしております。
今日の話題は、経営企画のエージェント問題と言いますか、ちゃんと意思を持って働くことができていますかということを、少し違った切り口からお話をしてみたいと思います。
ミルグラム実験というものをご存知でしょうか。社会心理学というそういう学問分野では、あまりに有名な実験らしいんですけれども、私は最近知りまして、それについてまずご紹介するところから始められればと思いますけれども、
どういった実験かと言いますと、権威性ですね。偉い人とか、そういう人への服従、そういうことがあった時に、普通その人ならやらないだろうことを、
権威性というものが縦に後ろにあった場合に、やってしまうんじゃないか、ついやってしまうんじゃないかっていう、そんな実験の話なんですね。
ちょっとうまく言えないんですが、例えばですね、具体的な話をすると、何かこう、
2人1組になるわけです。問題を出す人と問題を答える人とに分かれて、あなたは、その被験者はですね、必ず問題を出す側に回るんですね。
問題を答える側の人は、あろうことが電気椅子に座らされます。この電気椅子は偽物なんですけれども、本当に電流が流れているかのような、そんな演技をする人が、そこの回答者として座るんですね。
被験者である問題の出題者は、何問か、何十問か定期的に問題を出していくんですけれども、回答を必ず間違えるようになっていて、何回かに1回は正解して、自然さを保つらしいんですけれども、
問題に対して回答を間違ったり答えなかったりしたら、電流を流してくださいというふうに、その実験の主催者に言われるわけですね。
その実験は、非常に権威があるところが、正しく行うための非常に意味のある実験なのであるという、そういう前提でやらされていて、お金もその実験代、協力代として受け取っているという前提でやります。
最初は微弱な電流なんですけれども、間違えるたびにですね、その電流の強さがだんだん上がっていく。
で、しまいにはですね、もう大声出して痛いみたいな、結構もう人間が受けると、もうかなり、なんだろうな、一応こう死なない程度にはなっているみたいなことだけは断られているんですけれども、
もう相当な苦痛が与えられるような、そんなレベルのボルト、何ボルトまで上がっていくということらしいですと。
普通に考えれば、今これを聞いているとですね、何かこう実験であったとしても、他の人に対して電流で何かクイズ間違えたからといって、
それ、スイッチを押して、その人を苦しませますかというと、いや、そんなんしないわと。もうやめてくれってその人が叫んでるんだったら、もう当然やめるわって思うんですけれど、
その実験に参加する人はですね、実際どうだったかというと、もう最後まで強力な電流を流し続けて、それでこの回答者の方がですね、
演技なんですけれども、もう何か倒れたふりをして、一切喋らなくなったと。喋らなくなったらどうしますか?とか聞いてですね、
実験の監督者に聞くと、喋らない、回答を拒否しているという場合は電流を流してくださいというわけですから、もう黙々と高圧電流を流し続けるみたいな結果になったんですね。
全員が全員ではないんですけれども、そういうふうな普通に考えればやらないであろうことを、実験のエージェントと言いますか、
お金をもらって、ちゃんとやるべきことをやるだけの人になった瞬間に、ある意味非人道的な実験に協力し続けてしまうみたいな、そんな結論が得られたんですね。
こういうミルグラム実験というものがありまして、注意すべきはですね、この被験者の方、もうごくごく一般の方で、普通の方で、何なら善良な方と言いますか、
非常に良識のある方、後ほどインタビューをされるんですけれども、普通の方なんですね、別にサディスティックな人でも何でもないんですが、
結果として、私が全責任を負いますと、実験の運営が全責任を負うので、あなたは言われた通りにやってくださいみたいな、そういう言われ方をすると、
本来自分の意思ではやらないようなことをしてしまったという、そんな心理学的な実験、これをミルグラムさんがやったので、ミルグラム実験という言い方をしています。
かなり端折っていてですね、実際はいろんなバリエーションがあったりとか、もうちょっとこの実験の前提についてお話しするところはあるんですけれども、簡単にまずはご紹介というところでした。
エージェント問題の考察
これで何を言いたいかというと、このエージェント問題というところに帰着するわけですね。
この実験は実際は、実験が権威のある機関によって、研究機関によって行われていて、かつ、被験者としてお金をもらってそれをやるっていうことをあらかじめ意思表示して契約をしたっていう、
そんなある意味の追い目ですよね。それを抱えた状態で何か物事に取り組むということ、これはつまり代理人、エージェントとしての問題への取り組みということになるわけですが、
このエージェントとして何かに取り組むときに、本来自分の意思ならやらないことも、やれと言われたからやらざるを得ない、そんな立場に置かれたときにやらざるを得ないというか、自分の意思に反することをやってしまっていませんかという、そういう問題提起なんですね。
これはどういうことに応用されていたかというと、いわゆるヒトラーの当時の大虐殺ですね。
ああいうところでいろんな方がいろんなところで分業をして、私は鉄道からユダヤ人の方を下ろしただけだとか、私はその方をシャワーに浴びせただけだと、私はそのガシ室に送り込んだだけだと、私は単にボタンを押しただけだというふうに分業をして、
一人一人が別に何ら罪悪感を持つ必要のないような環境を作り上げて、エージェントとして細切れにして、ああいったことを組織的に罪悪感なく持続的にやることができたという、そんなことも言われているんですけれども、こういう話が、こんな必近な話にしてしまって申し訳ないんですけれども、経営企画でも起きてしまっているんじゃないかということが今日言いたい話でございます。
ようやく本題に来ました。
ともすれば、この経営企画というのを本社のCFOとか、本社の経営とかですね、そういう方から本社地点で言われたことをどうしても無思考に子会社とかグループ会社に押し込んでしまいがちなんじゃないかと思いまして、
例えばですね、もちろんガバナンス的に意思決定とか、そういうものは上位下達されなければ秩序自体が破壊されてしまうので、もちろん必要なものは必要だとは思います。
ITだったりセキュリティだったり、そういうことはルールはルールというので守ってくださいというふうにするのは必要だとは思いますが、現場を無視してですね、本社の意思っていうそれだけを理由に何か施策を押し込んでませんかというのは、
中には耳が痛い方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。 ちょっとやりがちだと思うんですね。
経営企画と権威への従属
予算だったりとか、何らか本社から課されている目標を子会社に伝えなければならない時だったりとか、何かのその事業について撤退をせよであったりとか、本社の意向というものを子会社に伝えるとき、
本社の経営陣も全ての情報を持って意思決定をしているわけではないですから、全体的に言えばそうなんだが現場のことを考えると実はそこまで正しい意思決定ではないみたいなこともあり得るわけですね。
そういう時にどう動くのかというのがこの経営企画としての腕の見せ所と言いますか、エージェントなのか意思を持った一個人の人間なのかというのが分かれる瞬間かと思っています。
本社から言われたからといってその問題に自分なりに意見があったとしてですね、ともすれば内心現場のことを考えると賛成できないこともあるかもしれません。
それを本社側が言ったからというふうに無批判に現場に伝えるようになってしまうとそれはもうエージェントの出来上がりですので、本社側の言っていることも考え方としては覆りうるものだと思った方がいいんじゃないかというのが私の意見です。
こうしなさいという命令かもしれませんが、それは今与えられている情報ベースでの意思決定であって、仮にそれを伝えた時に現場からこういう反応が来ました、こういう反論が来ました。
そういった新しい情報を得て改めて考えると別の結論にならないか、あるいは結論は変わらないんだけれどもやり方の時期とか方法とか、何かもう少し緩やかにできないかとかですね。
同じ結論だが進み方に変化があるかもしれないと考えてみたりとか、何かしらとりあえず上が行ったからというふうに押し込むのではなくて、現場のことも上のことも両方知った上でどう落とし所を見つけていくのか。
これが上と下を繋ぐ、縦を繋ぐ経営企画のやるべきことなんじゃないかなと思っています。
単純に上が行ったからやれっていうような、そういう代理人的な立ち位置だと、それこそ本当に電車バトンになってしまいますし、エージェント以上の何者でもありませんので、この人に行っても何もわからんというような感じになっちゃうじゃないですか。
お店に行ってマニュアル対応しかしない人がいたとして、何か問題起きてるのに、目の前で人が困っているのにマニュアル対応しかしない人がいたら店長を呼べとかって言うじゃないですか。
それは目の前の人が代理人だからであって、自分の意思で何かできる方じゃないからこそ意思決定者、思いを持って話せる方を呼べっていうふうに言ったりするわけじゃないですか。
あんまりしませんよ、そんなことはしないんですけど、よくあるシーンとして例を出しましたけれども、そういったエージェントにならずに一個人として動くっていうことが経営企画として重要なのであればですね、
このミルグラム実験というものを一つ例にとって、エージェント問題というものが起こるのであると、自分の意思に反してそういったことをやってしまうる、そういう構造で人間というものは出来上がっているんだというふうに理解をした上で経営企画なり何なり、日々の仕事に当たるというのは有意義な姿勢なんじゃないかなということを今日はお話をしたかったということになります。
意思決定の重要性
ざっとしゃべりましたけれども、ミルグラム実験、この非常に面白い実験ですので、興味のある方はもう少し詳細調べてみていただければと思います。
というところで今日のお話以上でございまして、もしよろしければ高評価やコメント、フォロー等をいただければ大変励みになりますので、よろしくお願いいたします。
以上となります。お疲れ様でした。
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