小竹向日葵
ゲストには、学長補佐で、現在、共生社会学科教授の趙 晤衍(じょ およん)先生においでいただきました。どうぞよろしくお願いします。
趙 晤衍
はい、よろしくお願いします。
中村碧美
また、番組ご意見番で、もう一人の学長補佐、国際文化学科の一戸信哉先生にもご参加いただきます。どうぞよろしくお願いします。
一戸信哉
はい、よろしくお願いします。
小竹向日葵
さて、国際教養学科についてですが、2025年5月、今月の9日に新しいウェブページの公開がアナウンスされました。
2月に新学科が発表されたときよりも、さらに情報が加わっているようですが、中村さんご覧になりましたか?
中村碧美
はい、確認しました。ホームページは全体的に白と黄色で統一されていて、イラストも含めてスッキリして見やすいという印象で、コース紹介の文章も非常にわかりやすいと思いました。
一戸信哉
はい、中村さん見ていただいたわけですね。一学科の中に6コースが入るというところを強調しつつ、6つのコースで勉強することとか、そこで体験できることをできるだけビジュアル的に表現しようと思って、いろんな絵をみんなで検討した結果、ちょっと斬新なものになったのではないかなと思いますが、
色も今までのエンジ色とは違う黄色に変えて、ちょっと変わった感じを出そうという意図もあります。
中村碧美
さて、ではここで私中村から、趙(じょ)先生のプロフィールをご紹介させていただきます。
趙 晤衍(じょ およん)先生は中西北道のご出身で、1988年、日本社会事業大学大学院で学ばれた後、2005年より敬和学園大学の共生社会学科で教員として着任されています。
現在の担当分野は地域福祉で、担当科目としては地域福祉論や社会福祉のほかに社会企業論やまちづくり論なども担当され、
ゼミ活動でも地域課題をビジネスの手法で解決するソーシャルビジネス、福祉と農業との連携、農福連携といった取り組みにも積極的に取り組まれています。
小竹向日葵
今、ゼミの活動という言葉が出てきたんですけど、私以前、長ゼミが行っている淡島での活動の会担当させていただいたんですけど、淡島でもたくさん活動されてますよね。
趙 晤衍
そうですね。もともとは農福連携の前から淡島にはずっと長年関わっていまして、敬和に来てですね、長いんですけども、敬和に来てからすぐ淡島に今、ゼミの合宿をずっとやってきて、
それが縁があってですね、淡島と大学とも包括連携協定を結んだり、それが本格的になったのは2014年ですね。なので、16年度から淡島プロジェクトというのを立ち上げて、
しおかぜ留学という子どもたちとの交流会とか、淡島特産品の商品化というところで、多分皆さんも食べたことがあると思いますが、甘どころミルクアイスと、それも一応開発して年間1000個ぐらい売れてますよ。
小竹向日葵
私も甘どころアイス、オープンキャンパスで食べたんですけど、すごくおいしかったです。
韓国ではね、薬草みたいな。美容にいいみたいな。
直近では5月2日の敬和キャンパスレポで幻の大豆を使って一人娘味噌を開発する取り組みについて、ゼミメンバーの山賀玄平さんにインタビューしています。
また、新発田市上山高地区での農福連携については、5月16日のNST、新潟総合テレビのニュースで取り上げられています。
改めて農福連携の取り組み内容、その社会的意義について、趙先生の立場から解説していただけますか。
趙 晤衍
ありがとうございます。農福連携という取り組みは、実は国というか、厚労省も含めて全国的に進めている活動ですけれども、
日本では、おそらく2017年以降から活発にその活動が全国的に行われているというところで、
そもそもこの農福連携という取り組みは、少子高齢化問題による、いわゆる農村の担い手、あるいは後継者の不足に悩む農業の課題というものがあるわけです。
一方、また福祉的課題としては、障害者の就労支援というところが従来のところで限られたところがあって、
もう少し障害者の就労の拡大というところで、今までそういう課題がたくさんあったのですが、
簡単に言えば農福連携というものは、農業の課題と福祉の課題を掛け合わせて、その両方の課題を解決、図っていくと。
言われてみればユニークな取り組みですね。
ただ、近年は障害者だけではなくて、高齢者とか引きこもりとか、不登校の子どもとか、いろんなところで範囲が広がっているという活動です。
中村碧美
さて、新しくできる国際教養学科の地域経営コースですが、ウェブページの表現では、ビジネスの力で地域を支えるというキャッチフレーズになっています。
中村碧美
以下、説明文を読んでみます。
文化的・福祉的町づくりの学びに加え、簿記やマーケティングなど地域経営に必要なビジネスのスキルを学ぶことで、
共生・競争の視点で地域住民や行政と共同で町づくりを実践する力を養います。
地域の課題を発見し解決することで、持続可能な町づくりに貢献できる人を育成します。
小竹向日葵
福祉・ビジネスといった言葉が使われていて、これまでの共生社会学科でのソーシャルビジネスの取り組みが前面に出ている印象がありました。
どのような思いでどんなコースを設計されたのか教えてください。
趙 晤衍
元々、共生社会学科においては、ソーシャルワークコースとソーシャルビジネスコースがそれぞれありまして、
社会的課題をビジネスの手法で解決を図っていく、ソーシャルビジネスの考え方を軸に共生社会学科があったわけであります。
県内の地域社会においては、福祉的課題に収まらない、非常に複雑で多様な生活課題が、制度の枠ではどうしても対応しきれない、非常に複合的な課題としてたくさん起きているんですね。
しかもまた地域コミュニティの衰退も加速化されてきていまして、いわゆる人々の生活課題、それを地域コミュニティをベースに解決をしていく必要性というものが出てきているわけですね。
つまり大切なことは、持続可能な循環型のまちづくりが今まさに求められてきていると。
そこで地域経営の視点から、地域の様々な課題をビジネスの手法を用いて解決を図っていこう、そういう人材育成が必要であるという、いわば時代の要請に的確に応えていこう、そのためだと考えています。
小竹向日葵
福祉の面だけではなくて、地域全体を見て様々な問題を解決していこうということでよろしかったですかね。
趙 晤衍
そうですね、それに尽きると思います。
小竹向日葵
ありがとうございます。ということですが一戸先生、どうですか。
一戸信哉
地域課題を解決するというのは、新潟で生きていく限りにおいては避けられないというか、まずそれがど真ん中じゃないですか。
そこに取り組んでいくというのが地域経営コースの課題ですし、今回一つの学科の中に6つのコースを入れたというのは、実際にはそこのコースの人だけがこれを勉強するというわけではなくて、他の分野の人からもアプローチしていくと。
皆さんもその映像制作、情報メディアコースで映像制作する場合でもやっぱりいろんなテーマありますけど、その地域の課題というのが一つやっぱり現代の課題としては真ん中にあるわけで、そうすると地域経営コースで学んだ内容を、その地域の課題を直接解決するのが地域経営コースであるとするならば、我々は逆にそれをちょっと引いた目線で取材して映像の作品にするとかね。
こういうラジオの番組にするとかっていうアプローチもできるじゃないですか。
だからいろいろなやり方をしていこうというのが、6つのコースの中で緩やかにつながりながらやっていくというのが、この国際教養学科の全体としての狙いでもあるということなんですね。
小竹向日葵
そういうことだったんですね。改めて気づきました。
一戸信哉
なるほどなと。
趙 晤衍
はい。
中村碧美
お届けした曲は、ファンシー&趙(じょ)・M・バーバー、サタデイズ・バイブレーションズでした。
今日の敬和キャンパスレポは、2026年4月に敬和学園大学でスタートする国際教養学科。
その中でも、新たなカリキュラムを大幅に取り入れた地域経営コースについて、趙 晤衍(じょ およん)先生においでいただき、お話を伺っています。
情報メディアコースの一戸信哉先生にもご参加いただいています。
後半もどうぞよろしくお願いします。
新しい地域経営コースの説明には、文化的・福祉的街づくりという言葉が入りました。
これまでにあった社会福祉・養成課程は、2025年度入学生までで終了するとのことでした。
今度は、福祉のことをどのように学んでいくことになるのでしょうか。
趙 晤衍
はい、そうですね。
一戸信哉
大学は新発田市にあるじゃないですか。
そうするとやっぱり新潟市内にあるのに比べると、
やっぱりすごく新潟の地域社会としての特性にすごく直面するというか、
その新発田でいろいろ活動すればするほどいろんなことが分かってくる。
私たちは新発田に限らず、うちのゼミだと全県的にいろんなとこ行きますけど、
やっぱり新潟市の街中とはちょっと違う、いろんな社会的な課題がいっぱいあるわけですよね。
そこでそういう問題を自らなかなか解決することはできなくても、
いろんな多面的な角度から考えていくという体験を大学の4年生の間にしてもらいたいと。
とりわけ新潟県から出ていく若者が多い中で、皆さん新潟に残ったわけですから、
だからそこでそれをゆっくりゆっくりじっくり考えてもらいたいというのも一つの狙いとしてあるということですね。
小竹向日葵
福祉のみの知識だけじゃ補えない課題がいっぱいあるから、いろんな角度で解決できる力を養うということですね。
一戸信哉
社会福祉が依然として大きな地域の課題であることは間違いないと思います。
小竹向日葵
地域経営コースの科目名ですが、主要科目としてコミュニティデザイン、伝統文化街並み景観論、観光ビジネス論、
ファンドレイジング、ソーシャルベンチャー企業実践論、かなり新しい科目名が並んでいます。
簿記会計がカバーされるというのも新しいところですね。ちょっとカタカナが並んでて私よくわからなかったんですけど、
中村さんどのあたりに関心がありますか。
中村碧美
ファンドレイジングっていうのは初めて聞く単語なので、何を学ぶのか想像つかないので非常に気になります。
趙 晤衍
そうですね、みなさま初めて聞いている言葉だと思うんですが、一言で言えば資金集めの方法ということでしょうか。
みなさま大学で様々な授業で財源論とかいろいろ学んだと思うんですが、
従来の地域課題を解決するとか国の補助金とか公的な資金に頼るというところが非常に強かったと思うんですが、
でも制度的な枠組みの中で補助金を利用して地域課題を解決していくというところでは、
非常に先ほど申し上げたように課題そのものが複雑で多様化している。
だから制度をはみ出るそういう課題がいっぱいあるんですね。
そういう意味ではそれをほっておくということじゃなくて、今起きている課題にも臨機応変に解決策を考えていく必要がある。
そういう意味ではファンドレイジングということは従来の福祉的に考えると国から支給される補助金で活用するという。
新しいイメージにはなかなか答えにくいというところがあったんですが、
自ら施設の職員がお金をどう集めるかというところで寄付金を集めるとか、
それも従来型ではないんですよね。
ただ待つということじゃなくて積極的に様々な専門的な技術を用いて寄付金を集めるというところが近年非常に流行っています。
そういった資金は逆に自由に活用することができる。
ですので従来の補助金のような財源と独自に集めた資金というか、
そういったものをうまくバランスとりながら地域で自立した経営体制を考えていく。
そこで実は近年ファンドレイジングという手法がかなりあちこちで議論になっているんですね。
一戸信哉
民間企業というよりはもう少し社会企業的な場面で、
どういうふうに資金を調達していくのかというのはまた別のノウハウがありということですよね。
趙 晤衍
そうですね。
それで近年はやはり社会的課題に投資をするという方も増えています。
だけどそれを投資をするためにはやっぱり信頼性というところがあるわけですよね。
納得のいくところには実は市民の方からもお金を投資をしたいという方が増えていますので、
それに見合った専門的な物語とかですね、
一戸信哉
アピールの仕方とかということが実は必要ですね。
そうするとガッチリした事業計画みたいなのを作るのと、
あともう一つ一方でクラウドファンディングみたいなところで、
社会の人たちからどのようにこの課題に関心を持ってもらうかという、
両方の面があるんじゃないですかね。
趙 晤衍
そうですね。そういう意味では寄附金の集めだけじゃなくてファンドレイジングとかですね。
あるいはまた地域経営コースで大事に考えているソーシャルビジネスと、
そういったところをかみ合わせた新しいコースであるというところですかね。
中村碧美
それでは最後にお二人の先生から新しい学科で取り組んでいきたいことや、
高校生の皆さんへのメッセージをお願いします。
では地域経営コースのアピールなど、趙(じょ)先生お願いします。
趙 晤衍
それでは早いですね、もう終わりかというところですけれども、
実は先ほどお話ししたところにつながるかもしれませんが、
近年私たちが暮らす身近な地域社会においてはですね、
本当に前年のないスピードでこれまでのなかった対応で複雑な生活課題、
あるいは地域課題、こういった問題が次々と実は起きているんですね。
このような課題に対してこの従来の制度の枠組みだけでは到底解決できなくなる。
これが実は今の現状でもあります。
そういう意味では引き続きですね、例えば本学の学生たちが主体的にですね、
このPBLという地域に手向いて地域の課題を見つける。
また見つけた課題をですね、どのように解決していくのか。
こういったものをできるだけ主体的に考えてですね、
その考え方を軸にしながら、私で言えば今までやってきている阿波島のプロジェクトとか、
また新発田ではですね、農学連携の取り組み、そういったところを、
例えば今まではどうしても趙ゼミとしてそれを進めてきたんですが、
今回ですね、国際教養学科というところでこの6コースが横断的なつながりということを深めていくわけですので、
そういう意味では今までの活動をですね、地域経営コースの履修者だけではなくて、
他コースの学生たちも含めてですね、みんなが横断的なつながりを持って地域課題に取り組んでいくと。
そういったところをですね、ぜひ深めていきたいというふうに思っています。
そういう意味ではこれまで述べてきたですね、様々な国の地域課題を、
いわゆる地域密着型の新しいビジネスモデルとして解決をしていく、
視点とか考え方、スキル、これは体系的に学んでいくことは、先ほども申し上げたんですけども、
もう時代の要請でもあるんですね。
で、将来的には自分の地域に目を向けて、そこでビジネスを起こしてですね、
持続可能なまちづくりができる夢、これをぜひ地域経営コース、また他コースとの連携の中で、
それが実現できるという、今までなかった学びができますので、
それをぜひ私はこの高校生も含めてですね、地域を巻き込んで、
ちょっとこの地域経営コースで学んでほしいと、そういう風に願っています。
小竹向日葵
情報メディアコースとかにいても、そちらのコースの科目を取れば力になりそうでありがたいですね。
今、地域経営コースについてすごい教えていただいたんですけど、
情報メディアコースとかはどんな魅力があるのか、一戸先生から改めてお話聞かせていただきたいです。
一戸信哉
はい、情報メディアコースは今回そんなに大きく科目はいじってないんですけど、
やっぱり6コースでつながったことによって、いろんな要素が出てきていると思います。
今回の考え方、今までもそうなんですけど、新潟に残った人に他にはない学びを提供しようというのが私たちの考え方で、
なのでいろんな6コース、多様な学びを用意できたかなと思ってますけど、
やっぱりその中でも資格とかね、それからあと高校の科目にひも付いたやつってのは分かりやすいわけですね。
英語とか歴史とか、どんぴしゃでこれが得意だからこれやりたいみたいなのが来るんですけど、
そうではないものっていうか、そこにあんまりつながりにくいけど、社会の側から見ると必要だねみたいなのが、
今回の地域経営とか情報メディアなんかは割とそっちの系統なわけですよね。
それを全部一緒に入れておくことによって、最初高校生の頭では英語がとか歴史がっていうそこを一本で聞いてたんだけど、
入ってみたらこういうことか、新潟でこれから生きていこうとする自分にとって必要なことはこれだなっていうのを見つけていただいて、
それが地域経営とか情報メディアで学ぶっていう形になってもいいし、
そうじゃなくて、今まで自分で最初に初志貫徹でですね、やろうとしていたもともとやろうとしてことに加えて地域経営のようなテーマとか情報メディアでの取り組みみたいなことをやることによって、
複合的な、今回副専攻っていうのができたんですけど、そういうことも加えることによって、
ちょっと自分の力をさらに伸ばしていってほしいなと、そういう考え方でやってます。
だから情報メディアは今まで通り、ITのことをやっているんだけど、ちょっと地域経営、地域の課題にいろいろ踏み込んでいくとか、地域の文化、歴史にも踏み込んでいくみたいにやっていきたいなと思っています。