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2025-11-06 09:08

#817【気候不安】気候危機を防ぐために心理学ができること (Cutler et al., 2025)

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【本日の一語】
気候不安(climate anxiety):地球温暖化や環境破壊による将来への恐れや無力感を感じる心理状態。

【本日の論文】
Cutler, J., Contreras-Huerta, L. S., Todorova, B., Nitschke, J., Michalaki, K., Koppel, L., Gkinopoulos, T., Vogel, T. A., Lamm, C., Västfjäll, D., Tsakiris, M., Apps, M. A. J., & Lockwood, P. L. (2025). Psychological interventions that decrease psychological distance or challenge system justification increase motivation to exert effort to mitigate climate change. Communications Psychology, 3, 148. https://doi.org/10.1038/s44271-025-00332-4

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サマリー

このエピソードでは、気候不安という心理状態の定義と、それを軽減するための心理的介入方法を探ります。特に、心理的距離を近づけることや、ネガティブな感情を喚起することが行動変容に与える影響について議論します。

気候不安の定義と研究
おはようございます。心理学者のじんぺーです。
心理学に触れる一日一語のお時間です。
この番組では、心理学の専門用語を毎日一つずつ紹介しています。
論文も紹介しています。
今日は、気候不安という一語を紹介したいと思います。
気候不安というのは、地球温暖化とか環境破壊による将来の恐れや無力感を感じる心理状態であるというふうに定義されています。
最近は、行動をうのがす感情としても注目されているというところで、今回の研究は、気候変動とか地球温暖化とか、今は避けられない、みんなが考えないといけない地球規模の問題だと思うんですけど、
これを心理学者はどうやって介入するか、心理的にどういう試み、なんて言ったらいいの、声かけじゃないし、介入が一番いいか、介入すると人は行動するようになるのかということを調べた論文になっています。
こういう研究がいっぱいあるんですけど、最新の研究、そして手法がなかなか面白いので、その手法も紹介できたら嬉しいなと思っています。
まずは、介入の方法なんですけど、11個。多いな。11個の要素に分けていると、どれが効くかなということを調べています。
これね、結論も踏まえながら、交えながら紹介できたらと思うんですけど、11個の中でどういうのがあったかというと、そのコンセプトに基づいて動画を作っているんですけど、
まずは2つ主に聞いたのがあって、そのうちの1つが心理的距離というテーマの介入です。これは気候変動を遠い未来の話ではなくて、自分の身近な問題として感じさせるような映像を使ったと。
洪水とか熱波とかいろんな国で日々、今まさに起こっている問題としてニュースになったりするわけなんですけど、それが自分の国とか自分の地域とかになると距離が縮まって、より環境に行動しようと。
今回は環境に対する寄付と、あとは飢餓に関する寄付で分けて、どういう介入がより環境の方に向くかというところで調べているんですけど、こういう心理的距離を近づけるような介入が聞いたというのが1つの結果です。
もう1つがちょっとさっきよりややこしいんですけど、体制を正当化するという。体制というのは大きな国とか行政とかそういった体制を正当化するというテーマですね。
正当化じゃないよね。揺さぶる方ですね。現状を守ることがいいことだという信念を揺さぶるようなメッセージを放つと、映像を作るということですね。
それが自分の愛国心と繋がるとより良いということですね。環境を守ることが自分の国を守るんだとか、国をより良くするような行動なんだということをメッセージすると良いというふうに効果があったというふうに書かれています。
この2つが主に効いたことですね。効いたというのは効果があったということです。確かに効きそうだなと思いますよね。
あと、今日の気候不安というキーワード1語と関連するんですけど、ネガティブな感情を喚起させるというのも、ある指標によっては効果があったということですね。
シンプルですね。気候危機の深刻な映像とか語りを通じて、罪悪感とか不安とか悲しみを喚起して行動を促すという、これも効果があったというふうに効果があった指標もあったということですね。
こういった映像とかで介入することによって、人というのはその気候変動に対して行動が変わるというふうに結果が出ました。
実験方法と結果
ちょっと結果を先に言っちゃった。他にあまり効果がなかった話もせっかくなのでしようと思うんですけど、今回の研究の方法が面白かったので、そっちを先に言った方が良かったな。
効果がなかった介入でいうと、例えば未来の自分とか子供世代を思わせる。未来と今、自分が繋がっているという連続性を認知させることが繋がるか、行動に繋がるかというとあまり繋がらなかったということとか、
あとは多言的無知、これもまた後で紹介したいですけどね。今後紹介したい言葉ですけど、みんな無関心に見えるんだけども、実は多くの人が気候変動に対する行動を望んでいますよという。
他の人もやってないからいいよねって思っているのを、ちょっと是正するようなメッセージを放つというのも試みたんですけど、あまり効果がなかったということとかが調べられたみたいです。
面白いですよね。いろんな方法がありそうだなということも知っていただけたらいいんじゃないかなと思います。
前後したんですけど、どういう風に気候変動に対する行動を測ったというところなんですけど、これめちゃくちゃフィジカルな実験をしていて、実はクリック数を人の努力量の指標にしているということです。
10秒で、まずは自分の基準を作るんですよね。人それぞれクリックできる回数が違うので。
自分とかは、昔ゲームボーイアドバンスとかやってたんで結構できると思うんですけど、そうじゃない人もいると思うので、まずはこの10秒くらいでめちゃくちゃクリックして皆さんがどれくらいできるかということを調べると。
20回くらい寄付先を決めるということを繰り返したりするんですけど、そのうちに10秒間でクリックということを何回もさせるんですよね。
さっきも言ったように、2つの選択肢があって、気候変動に対して寄付するか、飢餓とか、別のテーマに対して寄付するということを選ばせて人それぞれにクリックをさせまくるということなんですけど、疲れるじゃないですか。
だから休んでもいいんですよ。
仮に自分が10秒間で20回クリックできるとしたら、10秒間で10回しかクリックしないときって50%の努力量なんですよ。そういうふうに指標化するんですよね。
全くやらない、休むこともできるんですけど、やればやるほど寄付額が上がっていくということをしてます。
もっと面白いのが、寄付額を実験の中で使うんじゃなくて、実際に人が努力すればするほど、研究グループから支援団体とか気候変動に対して活動している団体の寄付をするということなんですよね。
だからそれを先に生き化されて、自分が頑張れば頑張るほど本当にそういうところにお金が行くんだということを意識させた状態でクリック頑張るということをするっていう。
それが自分が気候変動に対してどれくらい努力をしているかということを示すタスクであるというのがとっても面白いところだなというふうに思いました。
前後しましたが、結果でいうと、特に努力量、簡単に言うとクリックを頑張るという量を増やしたのは心理的な距離、遠い未来の話、遠い国の話じゃなくて、自分の周りで起きていることなんだって思わせることとか、
あとは現状を守ることは良いことなんじゃなくて、現状を変えていくことが良いことなんだっていう、その体制システムかな、英語で言うと。システムの認知を変えていくということですよね。
ある仕様ではネガティブ感情も効くという、その3つぐらいが特に効いたということなので、面白いなと思います。
このネガティブ感情については、気候不安という言葉を紹介させてもらって、その不安をある程度ポジティブな方に変えていくという意味では、確かに効くという、今回の結果もポジティブな使用結果が出たところもあるんですけど、
注意しないといけないのは、あまりに強い恐怖を感じさせるとか、そうするとむしろ何もしなくなるという研究結果があったりとか、あとは長期的に見てそういう恐怖を煽り続けるというのはどうなんだということも、別の議論としてはあり得ると思うので、注意していただきたいなと思います。
そんな感じです。最後まで聞いてくださってありがとうございました。今日もいい一日にしていきましょう。
じゅんべいでした。心を込めて。
09:08

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