リスキーシフトの解説
おはようございます。心理学者のじんぺーです。心理学に触れる一日一語のお時間です。この番組では心理学の専門用語を毎日一つずつ紹介しています。論文も併せて紹介しています。
今日の一語は、リスキーシフトという言葉です。
このリスキーシフトというのは、集団になると一人の時よりもリスクを取りがちである、リスク方向にシフトするというような現象のことです。
今日の論文は、このリスキーシフトを脳科学的に検討した研究になっています。シンプルにお伝えできればと思います。
集団といっても、今回は3人組で実験に参加してもらうそうです。
3人組と言ったんですけど、この3人は初対面で、パソコン画面の前に座って実験に参加するんですけど、やってることはすごくシンプルで、2つの選択肢が画面に出てくるんですよね。
1つの選択肢はコップがあって、コップの中身はわからない。1つの選択肢はコップが1つしかなくて、そこにプラス5元。5元っていくらですか。中国のお金です。お金がもらえる。
もう1つの選択肢は、例えば2つコップがあって、どちらかが当たりであると、どちらか当たったら15元もらえるみたいな感じで選ばせるという感じです。
これ皆さんどちら選べますか。確実に5元もらえる方か、2択で15元もらえる方か。これは結構簡単というか、わからないですけど、期待値で言うと、2分の1で15元もらえた方がいいじゃないですか。
だからそっち選ぶといいのかなと思うんですけど、例えば3択になって15元になる。これは3分の1の確率で15元もらえるので似たような感じになるかなと思いますし、今度4択になって25元もらえるってどうなるかとかね。
4択になったのに10元しかもらえないとか、このリスク度合いがどんどん変わっていくようなことをひたすら選ばせるっていう48回選ばせるっていうことをしています。
これを1人で選ぶっていうタスクと、さっき言った3人、初対面の3人で10秒間話し合う時間が48回毎回あるんですけど、10秒間で話し合って1つ同意したものを決めて選ぶっていうことをします。
いけてますかなここまでね。なかなか言葉だけ進めるのが難しいんですけども、リスクを取るか取らないかということを簡単に実験ベースでやるとそういうふうになるということです。
その間に脳の活動を測ります。今回ニールスという機械を使って、MRIとか脳波とかいろいろあるんですけど、ニールスはすごくざっくり言うと真ん中ですね。
MRIってめちゃくちゃ正確に脳の深くまで測れるんですけど、結構お金もかかるし時間もかかるし負担も大きいです。
脳波っていうのはもう少し簡便に測れたりするんですけど、脳波はそんなに正確には脳の領域を区別することができない。
ニールスは真ん中ぐらい、簡便さもそれなりにあるし、脳のある程度細かく分かる、深くまでは測れないんですけど、そういう機械があってニールス、Fニールスというので測る、そんな実験になってます。
選んでる時の脳の活動ももちろんそうなんですけど、3人分同時に測れるので、その3人の動機具合、どれくらい活動のパターンが似てるかみたいなことを調べることもしています。
結果いきましょうかね。結果をお伝えすると、やっぱり先行研究で言われていたようなリスキーシフトが起こったそうです。
これがまず大事な行動ベースの結果です。
具体的に言うと、1人で48回の選択をするよりも、3人でやった時の方がよりリスクのある選択を取りやすかったという研究結果です。
面白いですね。これもどこまで紹介するか迷ったんですけど、リスキーシフトという言葉、今日それだけにしようか。
起きました。今ちょっと抱っこしながら喋ってるんですけど、忘れちゃったな。
コーシャスシフトという安全思考の人がいると、安全な方に偏るという逆のパターンもあるんですけど、
逆って言ったんですが、極端な方に触れるという意味では結構似てる。
極性化って言ったりします。これもまた別の言葉でね。今日はリスキーシフトだけ覚えてください。
集団になるとリスクを取りやすいという現象が見られたと。
実験の方法と結果
今回脳を測ってるので、どこの脳領域がリスキーシフトに関係していたかというところなんですけど、
これもいくつかあるんですけど、特に面白いなと思ったところだけピックアップします。
左…元気だね。
左TPJというね。TPJって日本語だとなんて言うんだ。
頭頂速頭結合部かな。ちょっと待ってください。
急に話し始めたから起きちゃったのかな。
速頭頭頂結合部か。そうか、テンポロパリエタルジャンクションだからTPJって訳します。
まあいいや、名前は。
この左TPJというところがどういう脳領域かというと、他者の心を推測する。
相手が何を考えているかとか、相手の意図がどうなのかとか、何を感じているのかみたいなことを考えるときに活性化する。
それと関係するような脳領域であるという風に言われているそうです。
この左TPJというのがまさに3人で判断するときに同期した脳領域だということで、
本当に何を相手が考えているかというのを推し量りながら人は意思決定を行っているんだろうということがここでは明らかになったそうです。
面白いですよね。結果はここまでかな。
最後、なんでリスキーシフトが起こるかというところなんですけど、これにはいくつかの理由があるんですが、
例えば社会比較みたいな説明がなされているみたいで、グループに所属したときに自分はこのグループで適切な正しい方向に合わせたいという動機が働く。
それがリスクが取りがちな人が多い集団だったら、みんなより少し前向きに見せたいみたいな、相手からどう見られるかとか、
どういう立ち位置を取りたいかみたいな、そういうモチベーションが一人の時はないはずなんだけども、
集団だと出てくるので、リスクになったりとか、逆に言うと安全志向の人が多いと安全な方に行くみたいなシフトが起こるそうです。
リスキーシフトの理由
他の理由としては情報的な影響ももちろんあるだろうと、集団の中で話し合うことによって、
自分が知らなかった、一人では考えつかなかった極端な方向を正当化する理由が集まると。
そうすることにて、意外といけそうだなみたいなことを思ってリスクを取る方向にちょっと触れるというのが説明してなされているそうです。
どっちもあり得るというか、ありますよね。
今日はすみません。
フンスコと一緒に話させていただきました。
リスキーシフトという言葉と、ちょっと具体的に説明したニールスというのを測る機会とか、覚えてもらえるといいのかなと思います。
社会心理学系の言葉とか研究とかっていうのは、実生活と紐づいている部分もあるかなと思っていて、
何をということではないんですけど、こういうリスキーシフトみたいなことがあるんだとか、バイアスがあるんだということを覚えておいてもらえるだけでも、
自分の選択とか意思決定を俯瞰できる機会が増えるのかなと思いますので、もしよかったら参考にしていただけると嬉しいです。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
今日もいい一日にしていきましょう。
していきましょう。
ちんぺいでした。心を込めて。