おはようございます。心理学者のじんぺーです。心理学に触れる一日一語の時間です。この番組では心理学の専門用語を毎日一つずつ論文と合わせて紹介しています。
今日の一語は、意図的無知という言葉です。 意図的無知というのは、自分の行動が他者に与える不都合な結果を知りたくないがために、
あえて情報を避けて、知らないままにとどまろうとする心の働きのことを指します。
今日はメタ分析の論文なんですけど、意図的無知を使うことが利他行動の低下と関連しているんじゃないかということを調べたような論文を紹介したいと思います。
2023年の論文です。 このメタ分析には22本の研究、合計サンプルが6500人ぐらいの研究が含まれています。
結果自体はとてもシンプルというか、簡単にお伝えしようと思うんですけど、やっていることをここでは一緒に見ていけたらと思います。
典型的な意図的無知の心理実験について紹介をしてみたいと思います。
言葉はややこしいので無視していいんですけど、モラルビグルルーム課題という課題があるそうです。僕も初めて聞きました。
簡単に言うと、自分の取り分を増やすと相手の取り分が減るかもしれない。
相手への影響を確認するかどうかは自分で決められるという状況を作って、わざと確認しないで自分に有利な選択をするかどうかを検討する課題です。
よくわからないと思うので、具体例を出しながら説明したいと思います。頑張ります。
まずは2つの選択肢が提示されます。
いろんなパターンがあるんですけど、典型例としては選択肢A、自分が6ドルもらえる。
相手が1ドルもらえる。自分が6ドル、相手が1ドル。どう見ても自分が有利ですよね。自分に利がある。
選択肢B、これは自分が5ドルもらえる。そして相手も5ドルもらえる。公平でリター的な選択と言えます。
これを見れてたら、どっちを選びますか。1ドル多いからAを選ぼうという人もいるかもしれないんですけど、
これを相手のお金、金額を見れない、デフォルトでは見れないというふうに実験を変えます。
デフォルトでは見れないといったのは、見ようと思ったら見れるというふうなことをその参加者に課すわけです。
先ほどの例で言うと、自分の金額だけは見えるので、選択肢Aが自分が6ドルもらえる。選択肢Bは自分が5ドルもらえる。
相手の方は?みたいになっているという状況です。皆さんはどちらを選びますか。
というか、まずどちらを選びますかの前に、相手のドル数を見ますか。相手の金額を?を開いて見ますか。
これを調べているのが、このモラルウィグルルーム課題という課題だそうです。いかがでしょうか。
簡単に言うと、相手の金額を見なければ、6ドル選びますよね。6ドルと5ドルなんだから、提示されて見えている条件は。
ということなんですけど、相手の金額を見ると、Bの自分5ドル、相手5ドルの公平な方を選ぶのがセオリーというか、選びたくなるというか、なんて言ったらいいんだろうな。
というのを調べる。だから、自分の取り分を多くするなら、自分の取り分を多くするかつ、罪悪感ですよ。ここで重要なのは。
罪悪感を感じにくくするためには、相手のを見ない。そもそも見ないで、絵をポッと取ってしまうのがいいはずなんですよね。
で、さっき言った6千人もの人がこういう事件。バリエーションはいろいろあるんですけど、だいたいこんな感じの課題。
押したときに、意図的無知ですよ。意図的に知らないふりをするということをどれくらいの人がしたかということを調べています。
結果、シンプルにいきましょう。だいたい40%くらいの人が見なかったということです。見ないで、自分の方が高い方を選ぶということですよね。
見なかったらそりゃそうですよね。見ない上に低い方を選ぶのはなかなかよくわからない行動だと思うので、見ないでかつ自分の方を選ぶということです。
この意図的無知の選択ということと、利他的な行動の関係でいうと、だいたいこのマメ田分析なので、このポイントであまり数値上はここで言ってもあまり意味ないんですけど、
15.6ポイントぐらい下がったということです。情報を避けたことによって利他的な行動が減るというふうに、それだけ覚えていてもらったらいいです。
これが何なのかということですよ。日常生活と何の関係があるんだということを思うと思うので、ちょっと説明してみたいんですけど、
例えば服を買うとき、このブランド労働搾取してるかも、みたいな話あるじゃないですか。具体的な会社名はあげないですけど、明らかに自分の頭に思い浮かんでいる会社名はあるんですけど、言わないでおきましょう。
労働搾取してるかもと思うけど、調べると嫌な気持ちになりそうだから、見ないでおこうと、これ以上調べないでおこうというような意図的な無知ってまり得るじゃないですか。
調べなかったら結果的には安い服をそのまま買い続けるという、これが利好的な行動に一応該当する、この場合は。
調べれば労働搾取してたわと、フェアトレードの服を選ぼうとする可能性が上がるわけじゃないですか。これが利他的な行動というふうにここではされるんですけど、
知らないままにする、それを意図的に選ぶということは利好的な選択につながる、その言い訳みたいなことにつながるよねということをこの研究者たちは指摘をしています。
はい、そんなところかな。
あと面白いなと思った考察としては、利他性っていう、利他的な行動とかって結構条件とか要因によって変わるんですよね。
どんな誘惑があるかとか、コスト支払わないといけないかとか、相手が誰かとかね、実験の状況によっても違う。
ですけど、この意図的な無知っていうのは、ほとんどそういった状況とか誰かという条件が影響しないみたいなんですよ。
だから本当に普遍的な現象である。
さっき言ったように40%くらいの人がそれを選ぶっていうので、なかなか真似深い真理なのかなというふうに感じます。
これが示唆するすごく重要なこととしては、さっき環境の話とかしたんですけど、
よく、例えばさっきの例で言うと労働搾取があるかもしれないみたいな情報を提供すれば、
人は良い行動を取る、利他的な行動、地球に優しい行動とか社会のためになる行動を取るじゃないかと思われがちだし、
自分もそう思っている部分があるんですけど、この研究を踏まえるとそうも言えないだろうなというふうに感じます。
というのも情報を与えようとしたとしても、それを見るか見ないか、避けるか避けないかということは、その人によって違うからですね。
人の意図的に見ないでおこうという真理はとても強いものだということが言えるので、難しいですね。
これがとても難しいなと思いました。
例えば、街中でこういう人たちが困っていますみたいな募金活動とか啓発活動をしている人がいるとしても、
自分も結構そういう行動を取ってしまうんですけど、遠回りして、ちょっと外をくさっと歩いて話しかけられないようにしようとかね、
あれも言ったら意図的な無知みたいな、そこで情報を知れる機会はなくはないんだけども、全然選び取らない。
できれば知らないでおこうとするような真理が働いているんじゃないかということがあり得るなと思います。
そうですね、この行動は単なる怠慢みたいなことでは説明できないというふうにも言われている。
自分は善良であると、立候補的な方を選んでいるわけではないというのは、
自己イメージを守るために人的に知らないふりをしているみたいなことも考察されていましたね、そういえば。
面白いなと思います。
試作的ですね、なかなかこれから盛り上がっていきそうな研究テーマだなというふうに思っています。
初めて知った話、その課題自体もとてもシンプルでね、シンプルと言っても音声だけで説明するのはなかなか難しかったんですけど、
少しも伝わっていれば嬉しいなと思います。
意図的無知という言葉を紹介しました。ぜひ覚えていていただければと思います。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
今日もいい一日にしていきましょう。
陣平でした。心込めて。