モラルサークルの概念
おはようございます。心理学者のじんぺーです。 本日も心理学の論文を紹介していきたいと思います。
今日は、前の高橋先生、Voicyのパーソナリティーでもありますし、ベルビング研究の第一人者、日本の第一人者の先生ですが、
前の先生のVoicyの放送を聞いて、これいいなと思った論文があったので、もう丸パクリしています。
ちゃんと読んでます。Nature Human Behaviorに、最近、多分5月ぐらいに載ったばかりの論文で、モラルサークルという概念についての最新の研究ですね。
これを紹介していたんですけど、すごく面白いなと思って、自分も読んで、自分なりの言葉で紹介したいと思うんですが、
前の先生の放送はとても面白いので、ぜひそちらから聞いてもらえるといいんじゃないのかなと思います。概要欄に貼っておきます。
モラルサークルってまず何やねんって話だと思うんですけど、道徳的関心とか道徳的関心の輪っていう、そのまま訳すとそんな感じなんですけども、
これは端的に言いますと、誰または何を道徳的に配慮すべき対象とみなすかっていう、それを示す概念的な枠組みのことであるという風に定義はされています。
ピーター・シンガーという人は有名にしたというふうに書かれてますが、このモラルサークルと、
例えばサークルなので近くにいる人が特にその配慮の力が強くて、外側に行けば行くほどちょっとずつ弱まっていくっていう風なイメージなんですが、
例えばパートナーとかね、親とか子供とか親友とかね、先生とかそういった人がもしかしたら近くにいるかもしれない。
この人たちはモラルサークルの自分の近くにいるので、より道徳的に配慮する。
例えばその人が困っていたら助けるし、共感をするような、素振り、素振りじゃないだけじゃないね、行動を起こすというようなこととかが考えられますということです。
助けるというふうな感じでいいのかなと思います。
その関心の強さだったりとか、あとは義務の強さというふうな聞き方もできると思うんですけど、それを表しています。
外側に行けば見知らぬ人とか外国の人とか、今どこかでもしかしたら困っているであろう、やったことのない人とかね、
もっと行くと動物とか、もしかして動物が近くにいる人もいるかもしれませんが、動物、ペットの犬とか猫とか、
そうじゃなくても動物園で見た動物とか、本当にそういう人に限らずサークルは形成できると思うんですけど、
このサークルの広さみたいなことを発達段階によってどう変わっていくかということを調べたというか、
今回レビュー論文なので一つの実験をしているというよりも、最近の知見をまとめて紹介しているという感じになります。
面白いのが3つぐらいにこの距離というか広がり方の細分化がされていて、それに従って最近の知見とかも紹介できたらいいんじゃないのかなというふうに思っているので、
それを紹介させてください。3つですね。まず3つ、先に言うと関係性の近さ、2つ目が物理的距離の近さ、距離、3つ目が系統的距離、
この3つですね。一つずつ見ていこうと思いますが、まず関係…あ、そうだ、すごく重要な点。
この先ほど紹介した名前を紹介したの理由があって、このピーターシンガーさんという方は、このモラルサークルは年齢が高いほど年をとるにつれて広くなっていくと、
いろんな人をケアする対象とみなすと、幸せになってほしいと願うというようになっていくであろうというような理論を説明されていた、提唱されていたということなんですが、
今回のこの論文はそんなことないんじゃないのかというのが最近の結果で出ているぞということをまとめた論文ですね。
年齢によるモラルサークルの変化
逆に言い換えると、子どもとか特に年少児が一番モラルサークルの範囲が広くて、お互いになるとそれが狭くなるんじゃないかということを言っている、言いたい論文になっています。
ここを踏まえた上で、さっきの3つの細分化の研究を聞いてもらいたいんですけど、まず一つ目、関係性の近さというところで、これは親とか友人とか関係性が近いという人、
あとは見知らぬ人というのは遠いというふうに考えられると思うんですけど、この人たちに対して助ける義務があるかどうかということを聞くというような実験をしたそうです。
そうしたところ、これはあれですね、子どもの中でも結構細かくて、若年児、5歳から7歳の子どもと8歳から10歳の子どもを比べているんですけど、
5歳から7歳の子どもというのは、親、友人、見知らぬ人、すべてに対して助ける義務があると判断した、そうです。
なんて心優しい、素晴らしい心の持ち主だなと思うんですけど、これは5歳か7歳児。
一方で8歳から9歳児になると、親に対しては助ける義務があると考える傾向が強まっていく。
友人とか見知らぬ人への義務感というのは徐々に減少していくというような結果になったそうです。
だから親というとっても近い人に対しては強めるんだけども、外側であろう人たちに対しては助けなくてもいいんじゃないかとか、義務感の度合いが弱まっていくというような結果になったそうです。
ただこれは文化差もあるみたいで、この全国研究も面白そうなので読んでみたいなと思うところですが、文化差もあって、
アメリカで言うとこの年齢とともに義務範囲が狭まる傾向が顕著だったと。
子供においてもその年齢が上の人たちがより原点的、親だけを助ければいいんだというふうに思うようになるという傾向がアメリカはすごく強かったんですけど、
日本とかインドとかは友人とか見知らぬ人への義務感というのも比較的維持していたというような文化によっても違うようです。
あと何かウガンダのデータもあって、ウガンダに対しては年齢が上がるほどむしろ友人とか見知らぬ人の義務感が増加するというところで、これは何なんでしょうね、面白いですよね。
教育なのか。
あとはまあアメリカってすごく個人主義的な国というふうに言われているので、いろんな環境要因とかがあってそういうふうになっていくのかもしれないなとは思うんですけど、
この文化差というのもとても興味深いテーマだなと思うんですけど、今日はちょっとあまり深入りせずに次に行きたいと思います。
二つ目が物理的距離という話をしました。
これは本当に近さですね。
たぶん実験、これも実験詳しく読めてないんですけど、たぶん距離を操作して近くにいるか遠くにいるかという。
文化差と道徳的関心
あれですね、わかりやすく言うと、日本とドイツとかってめっちゃ物理的距離遠いので、なんかドイツにいると助けなくていいとかってなりそうだと。
そういう物理的距離というふうに思ってもらったらいいと思います。
これはジャクレンジ、また年齢の低い子供というのは近くても遠くても等しく助ける義務があるというふうに回答するそうです。
ただ年長児とか大人になっていくと物理的に近い人への義務をより強く認識していくということです。
これも理由が書いていて本当にハートウォーミングなんですけど、若い子供、ジャクレンジというのは相手がとても悲しんでいるから助けなければならないなどと感情や状況の重大性に基づく説明をすると。
距離とか関係ないですね。相手がとても悲しんでいるからと。
年長児になると誰を助けるかは自由であると。
そういう個人の選択権とか義務を回避するようなことを言うようになっていくというような傾向があるそうです。
とっても面白いなと思います。
最後3つ目が系統的距離、これ何かというと動物とかですね、物とかですね、そういうことを指しています。
だから系統で言うと例えば距離なので、人間だともしかしたら猿とかチンパンジーとかが近くて、他の動物はもっと遠くてみたいなことを一応距離で表せるのかなと思うんですけど、
この系統的距離の結果も面白くて、これはまたジャクレンジ、年齢の低い子供で言うと動物の命というのは人間と同等、あるいはそれ以上であるというふうに答えるそうです。
例えば2匹の犬VS1人の人間というような選択を迫られるような課題を出すと思うんですけど、犬の方を選ぶそうですね子供は。
10匹の豚と1人の人間というのを選ぶというふうな、ちょっと課題がわからないですけど、ことを指した時にこれもまた豚を選ぶみたいなのが子供だそうです。
大人というのはこれは常に人間の方を優先するというので、これもどっちが言い悪いということでもないと思うんですけど、
このサークルのことだけで言うと子供の方がこの広いサークル、より人間に限らずいろんな種を道徳の範囲に入れているという点ではとても広いですよね。
面白いなと思います。
補足研究のことも書いてあって、絵を描かせる課題をすると幼児が動物を中心に置いた道徳的関心の円を描くそうなんですけど、年齢が上がるにつれて人間が中心になっていくということだそうです。
あと、子供は動物は弱いから守るべきと明確に道徳的理由を述べたというようなことも書かれています。
めちゃいいよね。子供ってすごいんだわと思います。
もう自分の心の声が漏れてしまいましたが、そういうね、これたぶんまだ議論が始まった最初の段階だと思います。
たぶんピーターシンガーさんがモナルルサークルというのがあって、年齢が大きくなりつめて広くなっていくんだというのに対して最近意義を唱え始めた人が出始めているというのが面白いなと思いますので、
またね、こういう研究の動向を追っていけたらいいんじゃないのかなと思っております。
ちょっと録音しているパソコンの電源が切れそうなので、ここで終わりたいと思います。
いつものようにURL、論文のURLを貼っておきますので、ぜひ覗いてみていただけるといいんじゃないかなと思います。
モナルルサークルという言葉を覚えておくと、もしかしたらどこかでまた聞く機会があるかもしれません。
あと前の先生の操作もぜひ一緒に聞いてください。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
今日もいい1日にしていきましょう。
じんぺいでした。
心を込めて。