1. 心理学論文を毎日紹介するラジオ
  2. #653【陰翳礼讃】日本人はなぜ..
2025-05-07 14:50

#653【陰翳礼讃】日本人はなぜ陰と暗さを尊んできたのか

spotify apple_podcasts

【今後の対談日程】
5月16日(金) 【渡辺道治さん】ドイツ講演会公開打ち合わせ (仮)

【研究サポーター募集中!】
https://academist-cf.com/fanclubs/358

【6月1日「教え方」と「コーチング」を学ぶ会】
https://edu-hamburg.peatix.com/

Summary

谷崎純一郎の名著『陰翳礼讃』では、日本人が陰や暗さを美として捉え、その背景に日本の自然環境や文化があることが述べられています。特に、肌の色や精神性との関連性が、日本独自の美意識に影響を与えていると指摘されています。このエピソードでは、日本人がどのように陰や暗さを尊ぶ文化を持っているのかを探求しています。自然環境や建築、そして仏教的な思想が、日本の美意識に与える影響について論じられています。

日本の環境と文化
おはようございます、心理学者のじんぺーです。
普段は心理学の最新論文を紹介しております。
今日は本を読んだというか、久しぶりに開いたので、それについて話してみようかなと思います。
谷崎純一郎さんの【陰翳礼讃】という名著といいますか、
名著でいいかなと思います。
田中慶子さんの御著書を読ませていただいて、
昨日対談も行ったので、そちらも聞いていただきたいんですけど、
その中で【陰翳礼讃】の一節があり、
かつ結構慶子さんの本の中で、
陰とか暗さとか、光とかそういうキーワードが結構あったなと思って、
久しぶりに読みたくなって読んだという感じです。
読んだといってもオーディブルで聞きました。
本当に短い本なのでサクッと聞けますのでおすすめです。
あと青空文庫、誰でもアクセスできると思いますので、
著作権がもう切れてるのかな、あまり詳しくないんですけど、
誰でも読めると思いますので、ぜひ興味ある方は読んでみていただきたいなと思います。
ここでは簡潔に陰翳礼讃で書かれていること、
特に簡単に言うとタイトルのままなんですけど、
陰翳、陰とか暗さとかそういったものをめちゃくちゃ雷散する褒めたタイトルみたいな本です。
素晴らしいよねと。
西洋の文化と比較して日本文化、日本の環境の中でそういった暗さとか、
そこから芽生えてくる美意識みたいなものが書かれている本です。
ここではどういうまとめ方をしたいかというと、
なぜこの日本とか日本人というのが陰翳、陰とか暗さというものを求めるようになったのか、
あとはそこに美を見出すようになったのかということをちょっとまとめて、
ここで言語化をしておくことによって自分の理解が分かれるという、そういう算段でございます。
なのでお付き合いいただけると嬉しいです。
3つぐらいの角度というか方向性で話してみようかなと思っているんですけども、
まずは自然環境という話、あと自然環境と建築が1つ目かな。
2つ目が日本人の肌の色、皮膚の色ということ。
あとは精神性との結びつきみたいな3本立てで簡単に紹介したいなと思うんですけど、
わからないです。もしかしたら他の求め方もあるかもしれないんですけど、
自分はなんかその辺りが特に重要かなと思ったのでお話ししてみます。
まず自然環境と建築の話なんですが、
ご存知の通り日本は高温多湿というか、最近は暑い。
多分谷崎純一郎が生きていた、というかこの本を書いていた1938年とかだったかな、
初版が。そのぐらいだったような気がするんですが、
その辺りの時代より今は多分暑いと思うんですよね。
とても暑いでとてもジメジメしているみたいな状況の時に、
建築に影響を与えるわけですよね、そういう環境というのは。
木とか紙、障子とかも通気性がいいわけじゃないですか。
ガラスの窓とかレンガとかで家を作るよりも。
そうなった時に木とか紙とかっていう素材を使うと、
軒が深くなったりとか日差しができたりとかして、影ができるんだと。
雨を据えたりとか風通しをよくするためにみたいな目的だったと思うんですけど最初は。
そこに影が生まれると。
一方で西洋の自分の今住んでいるところとかもそうですけど、
そういう木とかほぼできないですよね。
というかレンガを積み上げていくとそうはならない。
木だからこそそういう屋根になりうるのであって、
なかなかレンガでそういう屋根を作ろうと思うのは難しいと思うんですけど、
あとはセメントとかね。
でも木だとそれが簡単にできると。
影がまずはできやすい環境建築であったということが、
日本の大きな特徴であったということです。
そうなると家がどちらかというと暗くなって影が踏まれやすくなって、
そこで生活をする。
余儀なくされるみたいな書き方もされてたんですけど、本の中では。
そうだ、これそのまま読もうかな。
暗い部屋に住むことを余儀なくされた我々の先祖は、
いつしか陰影のうちに美を発見し、
やがては美の目的に沿うように陰影を利用するように至った。
というようなことが書かれていたりして、
環境的な制約が最初はあって、
それがむしろいいなってなって、
むしろ使うようになった、目的になってきたと。
陰影をうまく使ってやろうというようになってきたというのが、
まずとても重要なところかなと思います。
肌の色と精神性
そうですよね、納得いただけるんじゃないかなと思います。
最近の家というか、
東京とかもそういう木の家って少ないのかな、だいぶ。
どうなんだろう、あんまり意識してみたことないな。
自分の実家は結構木な感じでしたね、まだまだ、と思います。
まず、わからない。
どこからどこまでが木なのかよくわからないですが、
風通しはすごいよかったかなと思いますね。
2つ目いきましょう。
肌の色というところで、
谷崎さん曰く、
日本人の肌は白い中にもかすかな陰りがある、そうです。
ホワイトの白人の方々と比べれば、
確かに言わんとしていることはわかる。
まず、白い中にもって言うほど白いかと言われると怪しいんですけど、
黒くもないので、こういうふうに書いてるんだと思います。
こういう肌の色をしている私たちは、
明るい場所よりも、
暗がりの中でその美しさが際立つと考えていたみたいです。
これはね、
すぐにはピンとこないけど、
言わんとしていることはわかるというか、
言いたいことはちょっとわかるかなというところで、
この肌の色はすごく重要だったのではないかということです。
暗闇の中で、特に女性の話とかが多いんですけども、
女性の白い肌が見えたときに、
その美しさが際立って、かつ白さが際立って、
より魅力的になるであろうということが書かれていたりするし、
これはちょっと違うニュアンスかもしれないですが、
全てが見えないような状況で、
その人の肌とかが見えたときに、
それを補うような想像を膨らませたりとか、
より神秘的にミステリアスな感じで映ることによって、
その人がより美しく感じられるのではないかというようなことが
書かれていたのではないかなと思います。
肌の色ね、これがなかなか面白いところですよね。
あんまり意識しないとわからないなと思いますし、
言われてみてもちょっとどうだろうと思うんですけど、いかがでしょうか。
最後、精神性との結びつきというところで、
これは仏教的な話とか禅の話とかなのかなと思っていて、
和美サビの話も出てきます。
そういった感性をそもそも持ち合わせている、
意識的か無意識的かはわからないですが、
持っている私たちははっきり見えるよりも、
日本人の陰と暗の美意識
暗がりの中で想像されるものに価値を見出すと。
ただ陰影のある空間の方が明るくきらびやかな空間よりも、
瞑想的な静けさをもたらすであろうと。
これは本当にそのまま日本の精神文化と合致するような、
整合性があるような環境であるということだと思います。
トイレ、川屋の話が出てくる。
川屋が一番そういう静けさがあって、
さらに自然とか、外の音とか、匂いとか。
匂いはちょっとあれか。
そういう互換を使って精神を統一するために、
最も優れた空間なのではないかということも書かれていたりして、
最近のトイレは明るすぎて良くないみたいな話とか。
すごい端的に言うと。
ことも書かれていて、とても興味深いなと思います。
もう一つ言うと、3つ言いました。
この方向で日本人とその暗さと影が関係しているというところで、
自然環境と建築、日本人の肌の色、
最後は先進性とか仏教的な思想的なところとの結びつきが
強かったというようなあたりでまとめられるんじゃないかなというふうに思います。
おそらく名著中の名著であるし、
考察の資料は短い本ではあるものの無数にあると思うんですけども、
今日はこのぐらいにしておこうと思います。
文化的背景と心理学的考察
いろんな角度から日本人の美意識とかが面白いなと思い、
心理学的に研究を今しているつもりなんですよね。
曖昧さとか。
曖昧さと陰影なんてめちゃくちゃ同じようなものって言ってもいいぐらい
結びつきはあると思うんですけど、
曖昧さというキーワードで僕は研究をずっとしてきたし、
最近は対称・非対称性の話もそうだし、
不完全さ、
朽ちたものとか、
わびさびみたいなものも研究を始めているし、
どれも似てるっちゃ似てるんですが、
切り口はいろいろあるかなと思っていて、
今回この陰影、
あとは暗さっていうのも面白いですよね。
ドイツの人とかヨーロッパの人、欧米の人が
暗いものをどう思うか。
暗いものをそのまま実験とかで使ったとしても、
おそらく評価は下がるんですよね。
日本人であっても。
どうなんだろう。
割とそこのデザインは難しいし、
あとは谷崎さんもおっしゃっているように、
西洋文化を取り入れすぎているというか、
西洋文化をウエスタナイズされている、
西洋化されていると思うんですね。
環境もそうだし、我々の精神性の部分であっても、
もちろん奥底では東洋思想みたいなのが眠っているというか、
渦巻いているとは思うんですけど、
でもやはり西洋化している部分は多いので、
これは心理学の実験でやろうとしても、
なかなか差が出にくいと思うんですよね。
だからこの辺は腕の見せどころでもあるし、
どうなんでしょうね。
あんまり考えてないですけど、
陰影も一つ面白いキーワードかなと思っているは思っています。
あとこれも最後雑談みたいになりますけど、
この本はこの間ヨーロッパの学会であった、
同じような研究をしている、
美しさとか芸術を研究している心理学者の人も、
谷崎ってやつの本はやっぱりすごく日本っぽくていいよね、
みたいなことを言ってくれたんですよ。
だからインターナショナルに読まれている本なんだなというのを
その時に改めて感じて、
嬉しい気持ちにもなりましたし、
知っているんだったら、
何さら研究したら興味持ってもらえるのかなと思いますし、
やりたいこといっぱいですね。
そういうこともちょっと頭の片隅に置きながら言いたいなと思います。
改めて今日は陰影雷さんという名著を紹介させていただきました。
繰り返しになりますが誰でも読めますので、
もしよかったら読んでみていただけるといいんじゃないかなと思います。
集中して読んだら本当に30分とか1時間とかでも読めると思います。
どうだろう?はい、読めると思います。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
今日もいい1日にしていきましょう。
陰影雷でした。心を込めて。
14:50

Comments

Scroll