人生のプログラム=脚本の導入
こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学を、ポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマは、こちら。
『人生のプログラム=脚本。らしい自分と、らしくない自分。』 今回は、「人生のプログラム=脚本。らしい自分と、らしくない自分。」のお話です。
お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての日常的で身近な話題とも、自然とつながっています。その見方、活かし方をご紹介します。今回は、「人生のプログラム=脚本。らしい自分と、らしくない自分。」について。
子どもの頃に書き、大人になっても従っていると言われている、人生のプログラム=脚本。そこに組み込まれているらしい、「らしさ」。そのポイントを知ることで、どんな意味があるのか、何が起きているのか、気づくヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」、第3回目「子どもの自分が書き、今も従っている人生脚本」、第7回目「周囲の期待と人生脚本」とも、リンクするお話です。
皆様は、他の人から、どんな人だと思われていますか?あるいは、どんな人ではない、と思われていますか?長い付き合いだったり、初対面だったり。そう思われるだけの理由があったり、なかったり。そこにギャップのある場合もあれば、その通り、という場合もある。
人とのやりとりの中で、気づくこともある。その人「らしい」と、その人「らしくない」。例えば、私の体験では、こんな具合。何かの講習会、初対面同士が出会って学ぶ場。年齢も性別も、業種業界も、職種も多岐にわたる、色々な方々が集合。
でも、初対面なので、お互いがどんな人かは全く知らない集団。のはず。それなのに、少し会話をしただけで、「あぁ、前の職場でもいたよ。あなたみたいな人。」そんなふうに言われたりして。「それは、どんな人?
一体、どんな共通点を見つけたんだろう?」褒められている気はしないけど、今のところ、そこまでのデメリットもなさそうだから、「その人みたいな人」の枠がある、ってことで、ひとまず了解。
ある時は、こんな具合。社会人になって、お世話にもなっている先輩との飲み会。それなりに、よく会話をしているお付き合い。普段は、面白いと感じたことを共有し、笑い話としてウケてもらえるのが好きだった、ということもあり、自分で言うのもなんですが、明るく元気で楽しい後輩、という枠。
特に無理をしていたわけでも、なんでもない。それがその時の、いつもの自分らしさ、だったかと。
とは言え、その飲み会の時は、あまりにうまくいかないことがあり、がっくり。さすがに元気もなく、面白い話をする気力もない。どちらかといえば、話を聞いて慰めてほしいくらい。それも、本当の自分。
「そんな時も、あるんだな。」 改めて、気づいたタイミング。ただ、その先輩にとって、いつもと違う、暗くて元気がない後輩。それは、どうにも「らしくない」。受け入れがたかったらしく、「面白い話してよぉ。」「いや、今、それどころじゃないんです。」「またまたぁ。そんなの、らしくないよ。」
「いや、らしくないも何も、そうなんですから。」「何、言ってるの。」「いやいや。」
しばらく抵抗してみたものの、全く受け入れていただける気配なし。もう、抵抗する気力がもたない。仕方なく気持ちを奮い立たせ、その方の期待する「らしい」自分で、面白おかしいお話を披露。何とか、その場をやり過ごしました。
が、とにかく、キツイ。普段は、何の無理もない、「らしい」自分。機嫌よく自然に、らしさ全開。楽しく過ごしていたのに。それを維持するのが、こんなにも大変なんて。らしくない時も、ある。
この時はいったん、普段の楽しい「らしい」交流は、お休み。そこにこだわる方の、そこにこだわる流れ。その中で担当していた、「らしい」役割からは、ひとまず離脱することにしました。しばらくして、元に戻るか、そのまま変わっていくかは、わかりませんでしたが。
脚本の変化と修正
らしい自分と、らしくない自分。人生のプログラム=脚本から考えてみます。
改めて脚本とは、承認欲求を満たす刺激=ストロークを得るため、私たちが小さな子どもの頃、自分で書き、大人になったら、その存在すら覚えていないのに、そのまま今も従っている、始まりがあって終わりがある物語。人生のプログラム、とも言えるもの。
合理的ではない、行動・思考・感情をしているとき、この「脚本」が関係している可能性が高い。それほど、私たちの土台になっているものです。
この脚本の中には、登場人物の役割設定もある、らしい。自分はこんな人、相手はこんな人、周りはこんな人。初対面なのに、「いたよ。あなたみたいな人」の枠。
長い付き合いでやりとりされる、らしい自分と、らしくない自分、の枠。これは脚本の中の役割、キャラ設定ともつながる枠。今、目の前の出来事や人物は、それぞれの脚本やその脚本の中の設定、枠にはまって見えてしまう、感じてしまう。
役割を果たし合う者同士が惹きあって、脚本を維持、強化しているとも言える。ポイントは、人生のプログラム=脚本を、書いたのは自分、ということ。だからこそ脚本は、絶対的で普遍のものではなく、相対的で変化させられるもの。自ら決断し、書き直すこともできる。
らしい自分の、居心地が良いなら、OK。居心地が良くないなら、問題があるなら、らしくない自分も、アリ。<今、ここ>に合わないなら、無理に従う必要はない。変えても良い。自分で決断すれば、変えられる。修正できる。居心地の良い脚本にしていくことをお勧めします。
脚本がある。変えられる。それに気づくことが、第一歩。そこからどうするかは、自分次第。いつもの脚本と、距離を置く。その脚本と強く結びついている環境や人と、距離を取るのも、アリ。他の良さそうな脚本を見つけ、試してみる。それも、アリ。
こうなりたいと思う、モデルとなる人を見つけ、真似をしてみる。それも、アリ。
違う脚本の、違う環境に身を置き、違う相手と交流。いつもと違うストロークを、得てみる。それは、「承認欲求を満たす刺激=ストロークは、それを受けた行動が強化される。」、その特質を活用することにつながります。
安心、安全な場所、環境、相手で試す。そこから少しずつでもストロークが得られれば、少しずつその行動・思考・感情が強化され、居心地の良い脚本へと変える、修正する力になります。
では、今回覚えていただきたいポイントは、「人生のプログラム=脚本。らしい自分と、らしくない自分。」脚本は変えられる。修正できる。まずは、気づくこと。そして、いつもと違う変化を味わってみませんか?
ここまで聞いていただき、ありがとうございます。最後に、番組からのお知らせです。気づくと変わる心理学を、また聞きたいと思った方は、お聞きのポッドキャストアプリで、番組フォローとレビューをお待ちしています。
フォローしていただけると、最新話が更新された際、通知がきます。また、レビューしていただくことで、番組の改善につながりますので、できれば★5評価をお待ちしています。そして、お聞きのあなたからの疑問・質問・感想も、さまざまな媒体でお待ちしています。
Spotify(スポティファイ)でお聞きの方は、エピソードごとのQ&A画面「番組へのメッセージは、こちら」から。
Apple Podcast(アップル・ポッドキャスト)でお聞きの方は、「レビューを書く」から、コメント付きでレビューできます。
来週も、火曜日の朝6時に更新されます。
お相手は、遠藤美保でした。ありがとうございました。