人生のプログラム=脚本の概念
こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学を、ポッドキャストでお伝えしていきます。
ポッドキャスト歴1年、ただいま2年目です。今回のテーマは、こちら。「人生のプログラム=脚本。偶然を活かす。」今回は、「人生のプログラム=脚本。偶然を活かす。」のお話です。
お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての日常的で身近な話題とも、自然とつながっています。その見方、活かし方をご紹介します。今回は、「人生のプログラム=脚本。偶然を活かす。」について。
子どもの頃に書き、大人になっても従っていると言われている、人生のプログラム=脚本。その中での「偶然」には、どんな意味があるのか、どうしたら良いのか、気づくヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」、第3回目「子どもの自分が書き、今も従っている人生脚本」ともリンクするお話です。
以前、ある方の講演会に参加した時のこと。その方は、ある偉業、記録を達成した方。子どもの頃から、自分にはこれしかない!そう思い、努力。それを実現させた方。
具体的な情報はほぼ覚えていないのですが、例えて言うなら、子どもの頃にテレビに出た宇宙飛行士のすごいところを目にし、宇宙飛行士になる、そう決めて、実際に宇宙飛行士になり、宇宙に行って目的の星にたどり着いた。というような、そんな流れです。
実際のところ、宇宙とは何の関係もない分野だったと思いますが、そのような、まっすぐなお話だったことは覚えています。
この時、「自分にはこれしかない!そんなものがあるなんて、そうまで信じられるなんて、羨ましい。そうまで思えるものがあったら、まっしぐらに進めるんだろうなあ。」その方が実現させた偉業、記録よりも、そのことの方こそ、憧れの気持ちとともに印象に残りました。
ここで改めて、「脚本」とは。承認欲求を満たす刺激=ストロークを得るため、私たちが小さな子どもの頃、自分で書き、大人になったら、その存在すら覚えていないのに、そのまま今も従っている。始まりがあって、終わりがある、物語。人生のプログラム、と言えるもの。
合理的ではない「行動・思考・感情」をしている時、この脚本が関係している可能性が高い。それほど、私たちの土台になっているものです。
参加した講演会。ある偉業、記録を達成した方。子どもの頃から自分にはこれしかない、そう思い努力。それを実現させた方。この方などは、まさしく、小さな子どもの頃に脚本を書き、大人になった今も従っている、そしてその脚本を実現させている。そう言えるのではないでしょうか。
ただ、ここまでの強い脚本を書いている、書ける方、ばかりではないのでは?
実際、あれこれ憧れるものがあっても、これしかない!とまでは、私はなかなか。「他にもっといいものがあるんじゃないの?」とか、「これって、ずっとやっていけるものなのかな?」とか。次々、色々なことを思い浮かべてしまうもので。
わかりやすく誇れる、筋の通った具体的な脚本はないような。これしかない、そう信じられるもの、脚本に憧れながら、それが見つかっても見つからなくても、現実の時間は流れます。
特に、学校を卒業して、仕事に就く。これは、大きな区切り。その頃どうだったかと思い返すと、そこは気持ちと可能性のバランスを取りつつ、活動。ご縁のあるところで、社会人生活スタート。当時、そこでは、それなりの人数の新卒が採用されていて、最初の研修後、配属先を決めるという流れ。
配属前には、短い面談。その面談で、何か決まるのか、決まらないのか、一体、どんな影響があるのかないのか。まったくわからないものの、皆ドキドキ。
そんな中、私の順番。「職種としては、何を希望しますか?」そう、ご質問を受けました。
これしかない。そう思えるものがあるなら、迷わずその職種名を挙げ、「これを希望します。ぜひお願いします。」そう言えるのに、特になし。
そもそも・・・。そんな思いや気持ちが、瞬間浮かびましたが、何分、面談中。すぐお答えしなくては。
「人事とか、総務とか、営業とか、もう本当にイメージだけで、実際に何をするのか、自分が何に向いているのか、すみません、具体的にはよくわかっていないもので、
たくさんの方をご覧になった、人事の方から見て、私は何に向いていますか?」
その時、あげてくださった候補は、2つの職種。そして、「それぞれ50%ずつかな」と、コメントがありました。
「ありがとうございます。」そんなやりとりがあった上で、結局、その時の候補の一つ、営業職として配属となりました。
配属後は、まず、目の前のことを一生懸命。スタートの職種が営業だったことで、その後、「良かったぁ、助かったぁ」と、思ったことも数知れず。仕事って、どれも基本は営業だな、そんなふうに感じてもいます。
いかがでしょうか。配属前の面談、そして、実際の配属、これはある意味、偶然。偶然をきっかけに、そこからつなぐ、つながる、つなげる。そんな脚本も、あるのでは?
自分で書いていた脚本の大筋は、「成長して、大人になって働く」。これは確実だったと思うのですが、大筋だけで、そこでの具体的な素材や内容に乏しい、それが、情報や経験の不足だったり、そもそも自分のことがよくわかっていなかったり。
それなら、偶然をきっかけに準備を整え、少しずつ脚本を書いたり、書き直したり、加えたり、広げたり。上書きしたり、一旦消して方向性を変えたり。いずれにしろ、人生のプログラム=脚本を書いたのは、自分。書き直すこともできます。
現実は、脚本に当てはめて、見えるもの。偶然を活かしてポジティブにつなげることで、見える現実も、ポジティブなものに変えることができる。スタートの職種が営業だったことで、その後、「良かったぁ、助かったぁ」と思ったことも、数知れず。仕事って、どれも基本は営業だな、そんなふうに感じてもいる。
それは偶然を活かし、実際にやってみて、経験してみて、集めた情報を、つなげて書いた脚本から見える、ポジティブな現実です。
脚本の再構築と柔軟性
それこそ、子どもの頃から大切にし、一直線に進んできた脚本も、<今、ここ>では合わない、居心地の良くないものになっているなら、無理に従う必要はない。変えても良い。自分で決断すれば、変えられる。
人生のプログラム=脚本は、絶対的で不変のものではなく、相対的で変えられるもの。活用できるものはすべて、偶然も含め、活かす。そして、<今、ここ>に合う、居心地の良い脚本にしていくことを、おススメします。
では、今回、覚えていただきたいポイントは、「人生のプログラム=脚本。偶然を活かす。」まずは、気づくこと。そして、いつもと違う変化を、味わってみませんか?
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お相手は、遠藤美保でした。ありがとうございました。