人生のプログラムの紹介
こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学をポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマは、こちら。
『人生のプログラム=脚本と、パン食い競争』。今回は、「人生のプログラム=脚本と、パン食い競争」のお話です。
お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての日常的で身近な話題とも、自然とつながっています。その見方、活かし方をご紹介します。
今回は、「人生のプログラム=脚本と、パン食い競争」について。私たちが子どもの頃に書き、大人になっても無意識のうちに従っていると言われている、人生のプログラム=脚本。
運動会での人気種目であった、とパン食い競争と比べてみることで、どんな影響があるのか、何が起きているのか、気づくヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」、第3回目「子どもの自分が書き、今も従っている人生脚本」とも、リンクするお話です。
パン食い競争。皆様はご存知でしょうか。体験したことがある方、聞いたことはある方、見たことも聞いたこともない方、などなど。行われなくなったり、最近また復活したり、時代とともに変化しているらしい、パン食い競争。
今は、色々な理由から、抵抗を感じる方もいるかもしれません。ただ今回は、そんなパン食い競争に参加した私の体験から、少し趣向を変え、人生のプログラム=脚本について考えてみたいもので、思い出話としてご容赦ください。
まずはパン食い競争について基本的なところから。
小学生の頃体験したものは、長い棒に一定の間隔で、長さ2、30センチ程度、ブランブランするくらいの長さの紐を結びつけるもの。もちろん、紐の先端にはパン。当時は確か、あんパンだったような。1本の棒に5、6個はぶら下げていたのではないかと。
正直、この辺りはよく覚えていません。
その棒の両側を、大人が持って立っていました。
ある程度離れた距離の場所から、用意、スタート。
ダッシュで走り、パンを口に加え走る。そして、ゴール。
到着順で勝敗が決まる、そんな競技です。
やはり盛り上がるのは、なかなかパンを加えられず、右往左往してしまう、といったところ。
棒を持っている大人が、積極的にこう、揺らすわけでもなかったと思うんですが、なにぶん、小学生の子どもの口。
しかも走ってきて、はぁはぁ息切れした状態で、自分の口よりも、ずっと大きなパンに食いつこうと、ガブッと行くのですが、うまく食いつけず。
かえって揺れて、ブランブラン。パンは跳ねて、バウンド。
すると、余計に難易度が上がって右往左往するものの、さらに食いつけず、四苦八苦。
自爆しがちな難しさがある、だからこそ、面白いわけですけれども。
パン食い競争について、長々と説明してしまいましたが、ご存知なかった方、久しぶりで記憶がおぼろげな方、イメージできましたでしょうか。
いよいよ本題、このパン食い競争に参加した時のお話。
正確には、これから参加しようとしていた時のお話。
パン食い競争。食いしん坊であり、負けず嫌いでもあった小学生の私は、やる気満々。
とはいえ、不安もあり、ドキドキ。
口を大きく開けたり閉じたり、軽く体操したりしながら、ウォーミングアップ。
「うまくやれるかな。あぁ。」「うまくやりたい。」
そこへ、家族の一人が来て、手招きをしています。
近づくと、「パン食い競争、どうしたらいいか、わかるか。」
「えっ?早く走って、口をできるだけ大きく開けて、パンにかぶりつく。」
「ふっ、違う。」
「えっ、違うの?」
「違う。
コツが知りたいか。」
「知りたい。教えて。」
「いいか。パンを狙うんじゃない。紐を狙う。
それも、できるだけ結ばれている根元に近いところを狙うのが、コツだから。」
「紐。」
「そう、紐。紐は口でくわえやすいから、紐をくわえたらくわえたまま、下にずれて、パンに食いつけ。そのほうがずっと簡単だから。」
「そ、そうなの?」
実際のところ、子ども心に半信半疑でしたが、素直に従うことにして、トライ。
結果から言いますと、見事に一番早くゴールを決めることができました。
もともと足は早かったので、真っ先にパンのところまで到着。
他の子が、口よりも大きなパンを狙って、口に入りきらず、パンをブランブラン、バウンドさせまくっているのを横目に、迷うことなく、口よりずっと細い紐にがぶり。
スルスルッと紐をたどって、ある意味、固定させた状態でパンにがぶり。
そのままくわえて、ダッシュ。
一目散に、ゴール。「やったぁ!」、でした。
マインドセットの理解
さていかがでしょうか。
パン食い競争のコツ。
すでにご存知だった方、そんなことするんだと予想外だった方、それより何より、そんなことと人生のプログラム=脚本と、一体何の関係があるの?と思われた方もいらっしゃるでしょうか。
今回は、趣向を変えてと最初に申し上げましたが、勝手ながら、私が感じている共通点をぜひ共有させていただきたい。
人生のプログラム=脚本は、私たちの人生にとって、パン食い競争の紐と同じ。そう感じています。
脚本とは、承認欲求を満たす刺激=ストロークを得るため、私たちが小さな子どもの頃、自分で書き、大人になったら、その存在すら覚えていないのに、そのまま今も従っている、始まりがあって終わりがある物語。人生のプログラムとも、言えるもの。
合理的ではない行動・思考・感情をしている時、この脚本が関係している可能性が高い。それほど、私たちの土台になっているものです。
大人になってからのあれこれは、パン食い競争のパン。紐の先でブランブラン、捉えようがなく右往左往、四苦八苦。けれど、実は紐がついていて、たどっていくと、結びつけられている根元がある。それが子どもの頃に書いた脚本。
パンを捉えるよりも紐、つまり脚本を捉えることで、本質的な理解につながる。そんなイメージ。実際のところ、パン食い競争のコツ、この教え、実は大人になってからも、よく思い浮かべます。
物事の本質、根っこの部分を押さえないと、よくわからないまま振り回されるだけ。そんな実感。もしかしたら、このエピソードとそんな実感自体、自分自身の脚本の一部になっているのかもしれません。
皆様にも、子どもの頃の印象的なエピソードがあるのでは?もしかしたら、それは、今、目の前の出来事=パンにつながっている、紐のヒント。あるいは、紐そのものかも。なお、脚本だけではない、今、番組でご紹介している理論の数々は、どれも貴重な紐。皆様にとって、汎用的で非常に役立つ、おススメの紐です。
<今、ここ>の目の前の現実、そして、過去の印象的なエピソード。何がどうつながっているのか、探索してみてはいかがでしょうか。
では、今回覚えていただきたいポイントは、「人生のプログラム=脚本と、パン食い競争」。まずは、気づくこと。そして、いつもと違う変化を、味わってみませんか?
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