2025-02-18 12:14

#50 食わず嫌いと心の中身

今回は、『食わず嫌いと心の中身』のお話です。


お伝えしている心理学ですが、
皆さまにとっての日常的で、身近な話題とも自然とつながっています。
その見方・活かし方を、ご紹介します。


今回は、「食わず嫌いと心の中身」について。
食べ物以外にも使われる、「食わず嫌い」。どんな意味があるのか、何が起きているのか。気づくヒントが得られます。

第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」
第2回目「心の仕組みは、世界共通。誰もが持つ、親・成人・子ども。」
第22回目「誤解される、されやすい人。偏見と思い込みとの関係。」
第38回目「心の中身。入れる、流れる、変化する。」
ともリンクするお話です。


まだ聞いた事がない方も、
何本か聞いて番組に興味を持ってくださった方も、
気づくと変わる、いつもと違う変化を味わってみませんか?

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こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学をポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマは、こちら。『食わず嫌いと心の中身』。今回は、「食わず嫌いと心の中身」のお話です。お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての日常的で身近な話題とも、自然とつながっています。その見方、活かし方をご紹介します。
今回は、「食わず嫌いと心の中身」について。食べ物以外にも使われる、「食わず嫌い」という言葉。どんな意味があるのか、何が起きているのか、気づくヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」、第2回目「心の仕組みは、世界共通。誰もが持つ、親・成人・子ども。」、第22回目「誤解される、されやすい人。偏見と思い込みとの関係。」、第38回目「心の中身。入れる、流れる、変化する。」とも、リンクするお話です。
「食わず嫌い」。食べ物についてだけでなく、比喩としても使われる、この言葉。体験してもいないのに、避けてしまう。嫌い。皆様、そんなことはありますか?
もしかしたら、過去に一度は体験、それが原因でずっと避け続け、情報は未更新。それでも、一度は経験しているわけですから、正確には「一度は食ったことあるけど嫌い」。とは言え、この辺りも「食わず嫌い」に含まれるのではないでしょうか。
さて、子どもの頃、こんなことがありました。ハンバーグとか唐揚げとか親子丼とか、ポピュラーなメニューが好きだったんですけれども、料理上手な家族が、あれこれ違うメニューに挑戦し始めた時期。よしっと気合が入ったのか、それとも、いつも同じものを作るのに飽き、好奇心や探求心が刺激されたのか。
本人に聞きはしなかったので、はっきりとした理由は分かりません。今なら、「お、おもしろいね。」とか、「へぇ。おいしそう。」とか。それこそ、自分からこう、食いつくと思うんですけれども、当時は家族一同、毎日の食事を用意してもらえているありがたさを脇に追いやって、確か揃ってこんな反応。
「えっ、何これ。」、「いやぁ」、「いつものが良いなぁ。」と、ドン引き。
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まさに、「食わず嫌い」な反応。
とは言え、その場では他に食べるものがありませんし、お腹も空いていますから、食わず嫌いで食べない、という選択肢はなし。
しつこいようですけれども、料理上手な家族なので、味は美味しかったはず。
そう、「はず」なんですが、食わず嫌いな心の拒否反応が相当だったのか、正直、味どころか、何が出たかも覚えていません。
記憶として残っているのは、何かいつもと違う、チャレンジングな料理が出てきた。
そして、家族一同、ドン引きした。
さらに言えば、その後しばらくして、元の食卓に戻り、ホッとした。
そんな一連の流れのみ。
本当に、申し訳ないことをしてしまいました。
せっかく、あれこれ挑戦してみたのに、随分な反応。
心の中身、「親・成人・子ども」から、掘り下げてみます。
誰でも心の中に、「親・成人・子ども」の状態がある。
「親」は、親や親的な役割の人から取り入れた「行動・思考・感情」が入っている部分。
「成人」は、<今、ここ>にふさわしい「行動・思考・感情」が入っている部分。
「子ども」は、子どもの頃の経験や決断といった「行動・思考・感情」が入っている部分。
この「親・成人・子ども」から見ますと、食わず嫌いの原因はどこにあるでしょうか。
「親」の場合、身近な親や親的な役割の人が、食事をする場面。
いつものメニューを、いつも通り食べる。
そんな姿がしっかりと焼き付いていて、食事とはこうあるべき、と思っている。
例えば、それは和食。カフェメニュー的なものはなし。とか。
あるいは、「この新しいメニュー。むむっ、これは、食べ合わせが悪いと聞いたことがある。
食べ合わせが悪いと言われるものには、先人からの知恵が含まれているはず。
食べるべきではない。」とか。
「成人」の場合、「このメニューでは栄養に偏りが出る」とか。
「成分上、良くないものは取りたくない」、とか。
「いつものメニューには実績がある。
けれど、この新しいメニューは未知の食べ物。避けたほうが良い」とか。
「子ども」の場合、「何、これ。いつものメニューを食べるつもりで座ったのに違う。なんだか怖い」とか。
「味が想像できない。色も見慣れない。嫌。」とか。いかがでしょうか。
子どもの頃の私の例の場合、「親」と「子ども」の合わせ技のような気がします。
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「親」の部分で、いつもの時間、いつもの食卓をイメージ。食事をする準備完了。
「子ども」の部分で、今までのメニューをあれこれ想像しながら、「今日はどれが出るかな。
あれかな。これかな。楽しみ。って、どれでもない。えぇっ、そんな。はぁ。」
かろうじて、「成人」が登場したのは、「その場では他に食べるものがない。
お腹も空いているし、食べないという選択肢は無し。
食べる」。そう判断し、実際に食べたあたりでしょうか。
とは言え、「親」と「子ども」は、不満。最初の、「えっ、何これ。」「いやぁ、いつものが良いなぁ。」と、どんびきしたくらいですから、食べながらも、心なしかどんより、だったように思います。
新しい料理に挑戦した側の、「親・成人・子ども」は、どうでしょうか。
「親」の場合、「いつも同じじゃ、みんな飽きちゃうんじゃないかな。もっと食事を楽しんでほしいし、メニューの幅を広げて出してあげたい。」とか。
「成人」の場合、「この間、新聞で読んだメニュー、栄養もたっぷり豊富だし、体に良いらしい。うん、出してみよう。」とか。
「子ども」の場合、「新しいことをやってみたい。使ったことがないこの食材、どんな味なんだろう。食感も違うのかな。わくわく。」とか。
それなのに、ドン引きの家族の反応を見て、どうでしょう。
「成人」は、「食事を楽しんでもらえず、食欲が落ちては、本末転倒。今後はやめておこう。」、だったかもしれませんが、「親」と「子ども」は、さぞがっかりしたのでは?
「せっかく、メニューの幅を広げて楽しんでもらいたかった」のに。「新しい味や食感を、一緒にわいわい楽しみたかった」のに。
本当のところは、本人に聞いていませんので、ここはあくまで想像です。
そうは言っても、その後しばらくして、元の食卓に戻った。これは事実。
承認欲求を満たす刺激=ストロークは、それを受けた行動が強化される。そんな特質があります。
今回の例では、新しい食事への反応は、ネガティブなストローク。求めていた、ポジティブなストロークは得られませんでした。
その結果、「新しい食事へのチャレンジ」という行動は、強化されず。いつものメニュー、いつもの食事に逆戻り。新しいメニュー、食材、味、食感などなど、出会えるチャンスを失いました。
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大人になった今、新しいメニューを見ると、「どんなだろう?」と、好奇心でワクワク。
すっかり楽しめるようになった身としては、この当時の自分は、残念で仕方がない。本当にもったいない、と思います。
新しいメニュー、新しい食事に、もっとポジティブなストロークを返すことができていれば、新しい楽しみ、可能性が、もっとずっと広がって、いろいろな体験ができたはず。だからです。
これは、食事以外の「食わず嫌い」にも、通じるポイント。
「親」と「子ども」は、過去のデータ。「成人」は、現在のデータ。
過去の「いつも」や、「取り込んだイメージ」、「思い込み」にこだわって、<今、ここ>の可能性を狭めるのは、もったいない。
<今、ここ>の「成人」で、チェック。「食わず嫌い」の中身を、整理してみてはいかがでしょうか。
「食わず嫌い」なまま、経験しないで避けていては、中身のデータも更新されない。
経験してみたら、思わぬ掘り出し物、自分の中の未知の能力や可能性に出会えるかもしれません。
特に「子ども」のワクワク。これは、私たちの心のエネルギー。生きる活力の源です。
「食わず嫌い」を吹き飛ばし、ワクワクする直感を大切にして、新しいことを経験。それは、自分自身へのポジティブなストローク。
ストロークを受けた行動は、強化されます。
心の中身、「親・成人・子ども」を、<今、ここ>にふさわしいものに入れ替えられる。
そんなチャンスも増える、広がる。おススメです。
では、今回覚えていただきたいポイントは、
「食わず嫌いと心の中身」。まずは、気づくこと。そして、いつもと違う変化を味わってみませんか?
ここまで聞いていただき、ありがとうございます。
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来週も、火曜日の朝6時に更新されます。
お相手は、遠藤美保でした。
ありがとうございました。
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