心のエネルギーの重要性
こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学を、ポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマは、こちら。『心のエネルギー、消費期限と賞味期限。』今回は、「心のエネルギー、消費期限と賞味期限。」のお話です。お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての日常的で身近な話題とも、自然とつながっています。その見方、活かし方をご紹介します。
今回は、「心のエネルギー、消費期限と賞味期限。」について。承認欲求を満たす刺激＝ストロークで満たされる、心のエネルギー。食べ物と同じく、必要不可欠なもの。そして、一度手に入れれば、その後ずっと、心は満腹。エネルギー満タン。とは、どうも思えない。そこには、どんな意味があるのか、ないのか。
気づくヒントが、得られます。
第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」とも、リンクするお話です。
良いことがあった時、嬉しいことを言われた時、心が満たされる。
良くないことがあった時、嫌なことを言われた時、心もモヤモヤ満たされない。
皆様も、思い浮かぶことはありますか？
ただ、内容や程度などによるものの、いずれにしろ、どちらの場合も永遠には続かない。
たいていは、時間が経つにつれ、薄れたり忘れたり。
高校受験の前、こんなことがありました。
私にとっては、初めての「受験」という体験。
それまでとは別物のプレッシャー、ストレス。
試験に向け勉強していましたが、ついついネガティブな考えが、頭の中に浮かんで消えず、浮かびっぱなし。
何だか、勉強どころではない、手につかない。そんな状態に、ハマってしまいました。
どんよりしながら、気分転換のため、家族のいるリビングへ。
「あぁ、私、たぶん、だめだと思う。
だって、あの学校の制服を着ている自分が、見えない。
イメージできないんだよ。
うわぁ、もう、まったく想像もできない。
もう、無理。」
流れはすっかり、そちらの方向。
すると、それを聞いていた家族の一人が、もう一人に目配せ。
「ほら、あれ。受かってからと思ってたけど。」「あれ？」
奥に消えたかと思ったら、手に何かを持って、戻ってきました。
「はい。」
手渡されたものを見て、「きゃぁあ」。それは、私が欲しがっていたもの。
きれいな緑の文字盤の、腕時計でした。
時代によって、その年頃にとって特別なものは変わるかと思いますが、当時の私にとって、それは特別なもの。
それも、デザインから何から、大好きなタイプ。
「えぇえ、嬉しいっ。」
「いや、これ、合格祝いだから。」
「えっ、いやいや、受かるから。」
「制服姿をイメージできないとか、言ってなかったっけ。」
「できる。イメージ、できる。で、この腕時計をしてる。」
「頑張って。合格するまで、しまっておくね。」
すっかり、その気。もらう気、満々。
その後は、スカッと、勉強に集中。
単純な子だとつくづく思いますが、おかげさまで合格。腕時計も、無事、手に入れることができました。
この体験、まさにその時、そのタイミングでは、かなりの喜び。
MAX、と言っても良いレベル。
心の中のエネルギーとしては、満タン。
そして、もちろん、かなりの期間ウキウキ。
ただ、どれくらいの間、ウキウキが持続していたか、心のエネルギーが満タンだったか。今となっては、よく覚えていません。
あれからずいぶん時が経ち、今、あの出来事は、良い思い出の一つ。
正直、その後に起きた、あれこれ。時系列で、新しい体験の方が思い出されがち。
今回、ポッドキャストの事例を何にしようかな？と手繰り寄せ、そう言えば、と思い出し、味わい直している。
この時点で、心の中のエネルギーとして満タンになるかといえば、大切な思い出に違いはないものの、残念ながら、その当時感じた、そっくりそのまま、同じだけの強烈な刺激とまでは、行きそうもありません。
ストロークの消費期限と賞味期限
さて、このお話、承認欲求を満たす刺激＝ストロークから考えてみます。
ストロークは、誰もが求めているもの。空気や食べ物と同じくらい、必要なもの。
だからこそ、何もないよりはマシ。何もないくらいなら、ネガティブでも何でも良い、取りに行く。それくらい必要、必須のもの。
誰もが求めてやまない、ストローク。認め、認められて、得られるもの。
言葉だったり、アイコンタクトや態度の、非言語だったり。一つ一つ、どれも貴重なストローク。
そして、心の中にある、ストローク銀行。このストローク銀行に、ポジティブなストロークが7、80%以上たまっていれば、私たちは活き活きと幸せ。そう言われています。
心の中を、ポジティブなストロークで満たしたい。
今回のお話。当時、腕時計からの合格体験は、ポジティブなストローク。心のエネルギーを、満タンにしてくれました。
では、そのままずっと永遠に満たしてくれるかと言えば、そうではない。
食べ物と同じ、日々食べて消化。栄養になり、また次の食べ物が必要になる。
一度得られて、終わりではない。
承認欲求を満たす刺激＝ストロークは、生きている間、必要なもの。
ある意味、食べ物のように消費期限や賞味期限と似た感覚があるような。中には、非常食のように消費期限や賞味期限がないも同然のものもあるかも。ですが・・・。
基本は、継続的な人と人とのやりとり、ストローク交換こそが、私たちの心の健康、生きる力を支える大切な栄養源、生命線ともいえるもの。
できれば、複数の場所、相手、多様な交流を確保することが、おススメ。
心のエネルギーという点で、生きるための、最大のリスクヘッジにつながります。
では、今回覚えていただきたいポイントは、
「心のエネルギー、消費期限と賞味期限。」
＜今、ここ＞、新鮮なストロークは、足りていますか?
そして、心のエネルギーの源、複数のストローク源を確保していますか?
まずは、気づくこと。そして、いつもと違う変化を、味わってみませんか?
ここまで聞いていただき、ありがとうございます。
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お相手は、遠藤美保でした。ありがとうございました。
