承認欲求の理解
こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学をポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマは、こちら。
「承認欲求、人それぞれのお好み。ドライブのお好みもそれぞれ。」。今回は、承認欲求、人それぞれのお好み。ドライブのお好みもそれぞれ。」のお話です。
お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての日常的で身近な話題とも自然とつながっています。その見方、活かし方をご紹介します。今回は、「承認欲求、人それぞれのお好み。ドライブのお好みもそれぞれ。」について。
誰もが持つ原点である承認欲求ですが、人それぞれお好みがあります。このポイントを知ることで、何が起きているのか、どうしたら良いのか、気づくヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」、第4回目「人とつながる、心のドア」、第16回目「心のドア、お好みの入り方」、第17回目「承認欲求、人それぞれのお好み」ともリンクするお話です。
学生の頃、仲の良い友人から、ドライブに誘われた時のこと。
「ドライブに行こうよ。」、そう誘われ、「何しに行くの?」そう聞きました。
「だから、ドライブ。」
「いや、だから、ドライブで何しに行くの?」
「え~、だからドライブしに行くの。」
「えっと~、ドライブするけど、それでどこかに行ってピクニックするとか、観光するとか、何か目的があるわけでしょ?」
「え~、車に乗ってドライブするだけだよ。それが楽しいでしょ?」
「え~、ただ車に乗るだけ?」
「そう。」 「それが楽しいの?」
「うん」、楽しい。
こんな流れの会話。
その時は、ただ車に乗るだけで、一体何が楽しいのか、今一つわからず。
とは言え、仲も良かったので、「友人はただ車に乗ってドライブするだけ。」
「私はドライブした先で、確か、何かお買い物をする。」
そんな風に、お互いの落とし所を見つけて、楽しくドライブをしました。
このエピソードを、タイプ別の考え方で見てみます。
タイプ別というのは、3つのタイプ。
ポジティブな交流の重要性
私たちは、行動タイプ、思考タイプ、感情タイプ、大きく3つのタイプに分かれるようです。
そして、承認要求についても、それぞれのお好みがある。
行動タイプは、行動が入り口=心のドア。
思考タイプは、思考が入り口=心のドア。
感情タイプは、感情が入り口=心のドア。です。
具体的には、行動タイプは、まず行動。
それによって刺激を求めたり、遊び心やユーモアで人と関わったり、
人によっては、自分の中に籠るという行動が落ち着く人もいる、そんなタイプ。
思考タイプは、まず思考。
自分の信念や仕事を評価されることを、好む。
目的思考が強い、とも言えるタイプ。
感情タイプは、まず感情。
ありのままの自分を、無条件に認められたい。
人との関わり、交流を好むタイプ。
ドライブで、「何しに行くの?」
ドライブした先に、ピクニックとか観光とか、何か目的、目標を求めるのは、思考タイプの可能性が高い。
ゴールや趣旨があるわけでもなく、ただ何かをする、過ごす、というのは苦手かもしれません。
「ただ車に乗って、ドライブするだけ。それが楽しい。」
ドライブに誘ってくれていますから、一緒に過ごす時間を楽しむ、人と関わるのを好む、感情タイプの可能性が高い。
とは言え、もし高速道路でスピードを出して、スカッとしたいとか。
ドライブの最中、ずっとふざけてジョークやダジャレのウケねらいを繰り返すとか。
車でのドライブは、一人の空間が居心地良くて好き、とか。そのあたりならば、行動タイプかも。です。
このタイプ、明確に1タイプの人もいれば、相手や状況、場合によって、違うタイプとなることもある。
仕事では思考タイプでも、プライベートでは感情タイプ、そんなこともあります。
ただ、通常、承認欲求のお好みが同じ人は理解しやすいものの、違う人はなかなか理解しづらい。
そんな時は、「行動・思考・感情、3つのタイプがある。そして、それぞれ承認欲求のお好みが違う。」。それを、まずは意識してみることをお勧めします。
その上で、尊重し合えればと思います。
注意点は、理解しづらいタイプと交流するのは、それなりのエネルギーが必要、ということ。
承認欲求を満たす刺激=ストロークが、私たちの心のエネルギー源。
このストロークで、心が満たされていることが肝心。そして、そのストロークの中身も大切。
ストロークは、何もないよりは、ネガティブでも何でもあったほうがマシ。
ポジティブなストロークがなければ、ネガティブでも何でも取りに行ってしまう。そんな特質があるからです。
ただでさえ、エネルギーを消費する中、理解しづらいタイプからは、お好みのポジティブなストロークも得られにくい。
ポジティブなエネルギーの補充が、なかなかない。そんな悪条件が重なると、「何もないよりはマシ。ネガティブでも何でも取りに行く。」。こじれる交流を、してしまいやすくなります。
それなりのエネルギーが必要な、理解しづらいタイプと、ポジティブで建設的な交流をしたいなら、
自分自身の心の中を、ストロークで満たしておくこと。それも、ポジティブなストロークで。
例えば、最初にあげた、ドライブの例。
ただ車に乗るだけで何が楽しいのか、今一つわからなかったものの、「友人は、ただ車に乗ってドライブするだけ。」
「私は、ドライブした先で、確か、何かお買い物をする。」。そんなふうに、お互いの落とし所を見つけて、楽しくドライブ。
これはお、互いの心の中が、ある程度ポジティブなストロークが蓄えられた状態だったから。
もしこれが、ストローク不足、あるいは、ネガティブなストロークでいっぱいの状態だったら、
「ただ車に乗るだけで楽しいなんて、意味がわからない。やめとく。」となったり、
「何かしなくちゃダメなの?ドライブだけで楽しいでしょ?」となったり、
もしかしたら、お互い賢悪になって睨み合ったり、そんなことにもなりかねないかも。
自分自身のタイプを知り、承認欲求のお好みを知ることで、自分にとってのポジティブなストロークを、積極的に心の中に蓄えたい。
この蓄えは、別の相手、場所、状況などからのものでも有効。
心の中のポジティブなストローク貯金を活用し、違うタイプ、理解しづらいタイプとも、ポジティブで建設的な交流をできる状態でありたい。
少なくともせめて、ネガティブでこじれる交流に突入するのは、避けたいものです。
では、今回覚えていただきたいポイントは、「承認欲求、人それぞれのお好み。ドライブのお好みもそれぞれ。」
まずは、気づくこと。そして、いつもと違う変化を味わってみませんか?
ここまで聞いていただき、ありがとうございます。最後に、番組からのお知らせです。
気づくと変わる心理学を、また聞きたいと思った方は、お聞きのポッドキャストアプリで、番組フォローとレビューをお待ちしています。
フォローしていただけると、最新話が更新された際、通知がきます。
また、レビューしていただくことで、番組の改善につながりますので、できれば、★5評価をお待ちしています。
そして、お聞きのあなたからの疑問・質問・感想も、様々な媒体でお待ちしています。
Spotifyでお聞きの方は、エピソードごとのQ&A画面、「番組へのメッセージは、こちら」から。
Apple Podcastでお聞きの方は、「レビューを書く」から、コメント付きでレビューできます。
来週も、火曜日の朝6時に更新されます。
お相手は、遠藤美保でした。ありがとうございました。