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こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学をポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマはこちら。心のドアと、お好みの入り方。今回は「心のドアと、お好みの入り方」のお話です。お伝えしている心理学ですが、皆さまにとっての日常的で身近な話題とも、自然とつながっています。その見方、活かし方をご紹介します。
今回は、心のドアとお好みの入り方について。コミュニケーションを図る際、お好みの入り口ドアがある。加えて、お好みの入り方もある。このポイントを知ることで、起きているコミュニケーションの問題を解消するヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は、誰もが持っている原点」。第4回目「人とつながる、心のドア」ともリンクするお話です。
心のドアについて、簡単に振り返ってみます。人の心を形作る「行動・思考・感情」、この、どれか一つが、実はその人にとって、人とつながる入り口、ドアになっている。相手にとってのお好みの入り口、ドアから入ること。コミュニケーションでは、それが大切です。
お好みの入り口ドアが、「行動」なら行動を認めるコミュニケーション、「思考」なら思考を認めるコミュニケーション、「感情」なら感情を認めるコミュニケーション、がそれぞれ有効になります。
もちろん状況やその相手、場面などで、同じ人なのに、違うドアが入り口になることもあるかと思います。身近なところでは、仕事とプライベートでは違う、というような場合。
第4回目から、かなり時間が経ちましたので、心のドアをイメージしていただけるよう、簡単な例を一つあげたいと思います。
ある時、急いで連絡を取る必要がありまして、スマホに電話をかけました。
その際、まず自分の名前を名乗りまして、「今、お時間よろしいですか?」と確認して、話し始めました。
これについて、皆様は、どう思われますか?
肯定的な意見としては、丁寧に都合を聞いてくれて良い。あるいは、そう聞いてもらえれば、もうすぐ外出するから1、2分程度なら、と言えて良い。などでしょうか。
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これは本当に、もう、実例なんですけれども、ある人から「時間がよろしくなければ、そもそも電話に出ないから。」
「出た時点で良いに決まってるし、そんなことをわざわざ聞かれて答える時間自体が無駄」というふうに言われ、「なるほど。そうなるのか。」と驚いたことがあります。
諸々想定した上で、相手の都合を確認したのは、入り口のドアが「思考」だから。「話せるから電話に出てる。確認は時間の無駄、」としたのは、入り口のドアが「行動」。
入り口のドアがもし「感情」でしたら、「すみません。大丈夫ですか?急ぎでお話したいことがありまして。」などになるでしょうか。
そして、最初に、「認めるコミュニケーション」という表現をしましたけれども、認められたと感じるかどうか。そこにもお好みがあります。
せっかくお好みの入り口から入ったとしても、認められた、というふうに感じるお好みの入り方でなければ、残念な結果になってしまうこともあるんじゃないでしょうか。
例えば、先ほどの、スマホに電話をかける際も、入り口のドアが相手が「行動」だからな、ということで、「行動を認めるコミュニケーション」を意識しようと、もし、こう話し始めたらどうでしょうか。
「あ、出てくれたってことは、今、話せるってことですよね。それじゃ手短に話しますね。1、2分くらい大丈夫ですか?」
入り口のドアが「思考」の人の場合、「行動」を意識したとしても、こうなってしまう可能性も高いかと思います。
良かれと思って、頑張って「行動」のドアを意識するものの、どうしても普段の自分好みの入り方の癖が出てしまう。
これでは、「この時間が無駄」というふうに思われてしまうんじゃないでしょうか、ということです。
お好みの入り方のポイントは、その態度。
入り口が「行動」の場合には、2種類。具体的な行動や目標がストレートに伝わる指示・命令などか、あるいは遊び心をくすぐるユーモアがあるか。これは同じ「行動」でも、お好みが分かれるところになります。
次に、入り口が「思考」の場合には、1種類。考えを尊重する質問や依頼、提案、確認などか。
ただし、全体として物事をうまく進めたいのか、本人の信念・考えに比重を置いて進めたいのか。ここは、これまた、お好みが分かれるところになります。
最後に、入り口が「感情」の場合、この場合、1種類。気持ちを思いやる共感的・養育的な態度が必要になります。
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せっかくなので、スマホに電話をかけた例から、考えてみたいと思います。
話せるから出たんだという「行動」タイプの人は、具体的な行動や目標がストレートに伝わる指示・命令などがお好み、手短にすぐ要件を言えばいい、ということになるかと思います。
そして、同じ「行動」タイプでも、遊び心をくすぐるユーモアを好む、そんなタイプの方は、関係性にもよりますけれども、「やった~!つかまえた~!」などのノリ突っ込み、この辺りもお好みかもしれません。
そして、入り口が「思考」の場合には、1種類。考えを尊重する質問や依頼、提案確認など、「今お時間よろしいですか?」や、「ご相談したいのですが、これこれこういう状況でどうしたらよろしいですか?」などもお好みかと思います。
おそらくですね、スマホへの電話くらいでは、本人の信念・考えに比重を置いて進めたい「思考」タイプの例というのは、ちょっと難しいかと思うんですが、こんな感じではいかがでしょう。「担当として、どう対応すべきでしょうか?」などの質問、この辺りは、この、信念・考えに比重がある、そういう態度になるかと思います。
そして、入り口が「感情」の場合にも、1種類。気持ちを思いやる、共感的・養育的な態度がお好みなので、「暑い中、お疲れ様です。すみません、今、大丈夫ですか?」こんな態度というのも、有効かと思います。いかがでしょうか。
入り口となるドアは、どれも、私たちが承認欲求を満たそうとお互いの存在を認める刺激、ストロークの交換をするうちに磨いてきたドアです。周りの環境に適応する中で、生き抜くために磨いてきたドア、良いも悪いもない、一人一人にとって、大切なドアです。
そう考えると、大切なドアとして理解・尊重しているなら、入り口と入り方が矛盾せず、自然と一致するはず、なんです。そこが不一致になるというのは、本当の意味で、理解・尊重していないから、ということになりまして、
特に、自分にとって慣れない入り口、というのは、自分にとって、慣れた別の入り口での入り方になってしまいやすいんじゃないかと思います。スムーズにつながるには、相手のお好みの入り口・ドアから、そして、お好みの方法・入り方で入ること。
慣れない入り口・慣れない入り方というのは、安心・安全な場所・相手で、少し練習を重ねてみることをお勧めしたいと思います。
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では、今回覚えていただきたいポイントは、「心のドアと、お好みの入り方」。入り口となるドアと、お好みの入り方。同じ相手は理解しやすいけれども、違う相手は難しい。ポイントを知り、少し練習をしてみること。それが大切ではないでしょうか。
まずは気づくこと、そして、いつもと違う変化を味わってみませんか?
ここまで聞いていただき、ありがとうございます。また、番組への疑問・質問・感想を、直接お寄せいただいている方、本当にありがとうございます。
どのような形でお答えをしたらいいのか、引き続き、検討しているところです。もう少々お待ちいただければ、と思います。
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お相手は、遠藤美保でした。ありがとうございました。