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中国出身妻はスパイか?台湾「反浸透法」裁判の余波
2026-09-07 12:47

中国出身妻はスパイか?台湾「反浸透法」裁判の余波

毎日新聞特派員や外信部長の経歴をもつ元RKB解説委員長・飯田和郎が、中国をはじめ東アジア情勢について、歴史的・文化的背景についても触れながら解説します。

田畑竜介
Groooooow Up

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サマリー

台湾では、中国大陸出身の女性配偶者「ルーペイ」が約30万人いる。近年、台湾の「反浸透法」違反でルーペイが有罪判決を受ける事例が発生し、台湾社会に動揺が広がっている。これは、台湾の安全保障と人権のバランス、そして中国による認知戦の可能性を示唆している。

中国出身の妻「ルーペイ」とは
この時間は、日替わりコメンテーターが独自の切り口で多様な視点を提案するCatch Up。 月曜日は、元RKB解説委員長で福岡女子大学副理事長の飯田和郎さんです。
飯田さん、おはようございます。
はい、おはようございます。
さて、今日は中国と台湾に関するお話なんですけども、男女の結婚に関する話題ということですが、どんなお話でしょうか。
はい、大陸といえば台湾では中国本土のことを指します。台湾にはこんな言葉があるんですよね。この大陸の陸という漢字に配偶者の配、配るという字、陸配と読む漢字二文字でですね、中国語の発音でルーペイという発音をするんですよ。
このルーペイとは中国大陸出身の女性配偶者のことを指します。
政治的には対立する中国と台湾なんですけど、人が交流すれば時としてそこには恋愛感情が生まれることはありますよね。
そうなると主に台湾人男性と中国大陸出身の女性が結婚します。
出会いの場は様々ですね。例えば台湾企業が中国大陸へ進出して台湾の男性が中国にできたオフィスや工場に派遣されると。そこで中国人女性と知り合うケースですよね。
また中台以外の第三国へそれぞれ留学して知り合うケースもありますよね。
そのルーペイと呼ばれる中国出身の妻っていうのは台湾にどのくらいいるんですか。
およそ30万人と言われるんですよ。
ちょっと変な比較なんですけど、久留米市の全人口がおよそ29万人。福岡市東区の全人口が32万人。その規模なんですよね。
台湾海峡を挟んで結ばれた30万組もの中台カップルがこうやって存在するわけなんです。
最近は台湾男性の結婚難という背景もあって、こうした中台のカップルを結婚圧戦する仲介業者もたくさんあると言われてますね。
その30万人の女性たちのほとんどが台湾各地で暮らしていますね。
ほとんどは家族を支え、同じ中華民族といえ文化や習慣が違う台湾という異境に馴染もうと努力はしています。
だけどですね、こういう彼女たちが時として中台間の政治の波間に漂うこともあるんですよ。
今日はそんな話をしたいと思っています。
台湾「反浸透法」と裁判事例
まずこのニュースを橋本さんに紹介してもらいます。
台湾北部新北市の地方裁判所は8月、反浸透法に違反したとして、中国出身の女性に懲役7年の一審判決を言い渡しました。
中国上海出身で台北に住むこの女性はたびたび中国へ渡航し、中国共産党当局者と長期にわたり接触、
また共産党組織からの指示を受け台湾で特定の候補者への選挙応援を行ったなどとされています。
今出てきた反浸透法ですね。日本では馴染みがないと思います。台湾ではこの場合浸透とは外部の敵対する勢力の工作活動なんですよね。
思想や情報が台湾の内側へ染み込んで知らず知らずのうちに広く行き渡ることを指しています。それを防ぐのがこの反浸透法という法律なんですよね。
この法律は具体的には外部の敵対勢力から支持や資金の援助を受けて選挙運動、政治資金、国民投票の妨害などを行うことを禁じています。
台湾では2020年、今から6年前にこれが施行されました。
その外部の敵対勢力っていうのが台湾においては中国になるっていうのは明らかなことですよね。
そうですね。外部の敵対勢力とは台湾からすると中国と対立して台湾の主権を脅かす国を指します。そうなるとやはり中国ですよね。
話はこの女性被告にもとるんですけど、彼女は台湾人男性と結婚して1993年に台湾に渡りました。
その後台湾の正式な身分証を取得しました。
彼女はやがて自分と同じように台湾人男性と結婚した中国出身女性の権利の拡大などを目指す運動を始めたということですね。
どうもその過程で中国共産党当局との接点ができたよと言われてますね。
台湾で中国と対立する民進党が政権についてちょうど今年で10年になりましたけども、習近平指導部が台湾への圧力を強めるにしたがって、今のその賴伊政徳政権も反発を加速させてますよね。
そうですね。よくわかるのが軍事演習。中国の侵攻を想定して軍事演習が繰り返されています。
ですけどね、今日話したように台湾に住む中国人妻たちも警戒の対象になっているわけですよ。
よく似たケースとして同じ8月に今度は台湾南部高雄の地方裁判所でも別の中国出身女性がこの反浸透法違反で懲役1年6ヶ月の一審判決を受けました。
さらにはちょっと違うケースなんですけど、こんな事例もありました。
台湾東部の花蓮県の集落で昨年8月、中国国籍を保持し続けているとして村長だった女性が職を解かれました。
女性は2022年に村長に当選しました。台湾の当局は公職に就任してから1年以内に他の国の国籍法規証明を提出しなければならないとする法律に違反したと説明しています。
村のリーダー村長を解任されたというわけなんですよ。
ただ中国と台湾はお互いを国家として認めていないので、中国側が台湾在住の中国出身女性に中国の国籍がなくなったという証明書を発行すること自体は不可能なんですよね。
いずれにせよ中国出身者は台湾で公職にはつけない。公の仕事にはつけないというわけなんです。
台湾社会の動揺と認知戦
当然ながら中国側はこの反浸透法についてこんな風に言ってます。正真正銘の悪法だと非難してますね。
先ほど台湾人男性と結婚した中国人女性が30万人いるというふうにお話しされてましたけれども、その数が増えると、増えれば増えるほど台湾社会で活動する場も増えるということになるんですかね。
そうですね。有罪判決を受けた彼女たちに共通するのは台湾において自分たちと同じ中国出身女性の助け合い・補助組織を立ち上げて運営したり、またの影響力を持つ地位にあることなんですよ。
台湾では司法の独立が存在します。とはいえ、事案を立憲するかどうか、基礎するかどうかの判断は、その時の政治的要素が加味されることもあると思いますね。
それにですね、もう一つ厄介に思えることがあります。
何でしょう、その厄介なことっていうのは。
中国の脅威に日々さらされている台湾の市民たちが、この中国出身の妻たちへの向ける視線に疑念を伴うことなんですよね。
自分たちの周りにこの中国出身の妻が増えている。また今日紹介してきたように、彼女たちに対する反浸党法が適用されて有罪判決が出ると。
それがメディアを通じて広く知れ渡ってきたわけですね。
そういうことになれば、中国出身女性は中国共産党のスパイじゃないかっていう疑念も広がるわけですよね。
少し考えてみたいんですけど、台湾では戦後国民党による独裁体制が長く続きました。
やがて民主化を求める運動が起こり、それが今日の自由な台湾につながっているわけなんですよね。
その民主化要求運動の原点とするのが、今の政権与党民進党なわけですよ。
独裁体制当時の民主活動家や運動を支えた弁護士たちが中心になってきました。
彼女たちが最も大切にしてきたのが人権なんですよね。
この中国出身妻たちへの有罪判決や反浸党法の適応を見ていると、
その人権と台湾の安全のバランスが今問われているような気がしますね。
そのバランスが崩れると、それを利するのはどこの国かなっていうのが気になるところですよね。
そうなんですよ。
ルーペイと呼ばれる中国出身妻たちの活動は、中国共産党による工作活動なのかどうか。
そして、こういう女性たちが工作員、つまりスパイなのかどうか。
中国はもちろん否定するんですけど、ただ私は真相云々よりも、
彼女たちをめぐって台湾の中で広がる動揺こそがですね。
ざわざわ感こそが中国側が望む成果かもしれない。
そんなふうに思ってしまうわけですよね。
このコーナーでも何度も紹介しました認知戦。認める知らせる戦い。認知戦。
中国が絡む国際政治で最近多く用いられるキーワードですよね。
武力を持ちずに、使わずに他の国や地域の世論や社会を分断し、政策決定に影響を与える新たな戦術を指すんですけど。
こう見てくるとこの認知戦は、この30万組の中台カップルにも向けられているのかどうか。
人権と台湾の安全、これをめぐる問題が今浮上してきているのかなというふうに感じてしまいますね。
まとめ
なるほど。今日は中国出身妻という切り口から色々お話をしてもらいました。
飯田さんありがとうございました。
12:47

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