組織の未来地図の描き方
Hyper-collaborationがお届けするポッドキャスト、組織の未来地図、ナビゲーターの寺嶋です。
ナビゲーターの吉田です。
この番組では、デジタル時代における組織の経営やマネジメントは、どのような視点で考え、デザインするのか、
また、それをどのように導入していくのか、皆さんと一緒に地図を描くように進めていきます。
吉田さん、通常この番組では、高田さんによるハイパーチームマネジメント勉強会の内容を受けて、
それを吉田さんと僕とでいろいろお話をするという流れで行っているんですけども、
今日はちょっと趣向、構成を変えて、Hyper-collaboration、内側ではどういうことをやっているのかっていうのを、
ちょっとご披露しながら、組織の未来地図の描き方みたいなのにアプローチしていきたいと思うんですけども、よろしいでしょうか。
いいですね。
最近ですね、朝会とか振り返りでみんな、リモートですけど集まるじゃないですか。
人増えたなーって思いますよね。
もうめちゃくちゃ、だってこの間まで3人しかいなかったのに。
詳しく言うと、2020年に4人で立ち上げたんですけども、ちょっと調子が悪くなって休養する方だったり、
1人入社してくれたんですけども、その直後に別のメンバーが3級で自然火になくなったりと、なんかいつもジャグリング状態でしたよね、3人で。
そう、ジャグリングでした。
それが2月に1名今回入っていただいて、4月に2人復帰してきて、さらに4月にもう1人入社していただいた。
これで7人だと、一気に3人から7人ですもんね。
すっごい賑やかになりました。
後々皆さんにもご紹介できると思うんですけども、すごいユニークな経歴の方々が入ってきてくださって、これからのハイパーコラボレーションの未来がとても楽しみですよね。
楽しみです。めちゃくちゃ手前味噌ですけど、本当にすごい人材が揃ったなという感じがしてます。
人が増えたことの感想、増えたねっていうだけじゃなくて、これだけユニークなタレントが集まった中で、じゃあ経営としてどういうふうにこの方々を生かしていく。
そんなことを戦略的に吉田さんはどう考えているのかを、ちょっと組織の未来地図という視点でお伺いしてみたいんですけども、
やってみて分かったっていうのが、吉田さん以外のメンバーの感想だと思うんですけども、この間タレントアーキテクチャというフレームワークを用意していただいて、
そこに僕らの能力であったり、ミッションであったりというのを当てはめていきながら、ここはきちんとできてるね、できてないねとかっていうような当てはめをしていくという行為をしたじゃないですか。
これをみんなでやろうと思ったきっかけであったり、もともとエンタープライズアーキテクチャを学んでいて、アーキテクチャだって言ってからもう済んだっていう吉田さんが、
今回これを会社の中で導入してきちんとみんなで実行までできたという裏側にあった考えとかっていうのを改めて聞いてもいいですか。
ありがとうございます。エンタープライズアーキテクチャの考え方に純粋に則るだけだと、
多分、ハイパーコラボレーションが社内で描いている人の役割、ロールの定義だったり、構造的な人材の配置っていうのは、タレントアーキテクチャとして描くっていうのは、少し観点が違うかもしれないですね。
うちの会社の中でやっているタレントアーキテクチャの設計の背景にある一つが、ペースレイヤリングっていう考え方を応用しようということを、ハイパーコラボレーションを立ち上げた当初ぐらいに気づきまして、それを応用してるっていうのが、
エンタープライズアーキテクトの方々が通常ロールのアーキテクチャを描くみたいな時とはちょっと違った観点かもしれないです。
役割の定義と戦略的アプローチ
2020年か2021年ぐらいだったと思うんですけれども、アトラシアン社の方々とフラーツさん、うちのパートナーの会社さんもありますけど、3社合同でイベントを一緒にやったじゃないですか。
オンラインのやつですね。
あの時にちょっと発表させていただいてるんですけど、ハイパーコラボレーション始まってすぐ、私ばっかり引き受けてる仕事が多いような気がするけど、何が問題なんだろうと思って、会社の中で生成されているドキュメントを調査していったら、圧倒的に戦略的なドキュメントが少ない。ほとんど私が書いてるっていうことに気がついて、
その戦略的なことを担えるようなフレームワークであるとか、考え方を導入していかないと、どこまでも考える人と手を動かす人に別れちゃうなっていうのが最初に気がついた大きな課題だったんですね。
なので、その時の学びをタレントアーキテクチャにも活かしていって、ハイパーコラボレーションのタレントアーキテクチャは4階層のレイヤーで分けるということに注力しました。
もちろん一番下、変化が遅い。ペースレイヤリングをご存知な方とご存知ない方と聞いている方の中にはいるかもしれませんが、ここでそれを全部紹介すると時間がなくなっちゃうので、ペースレイヤリングって検索するかAIに聞いて欲しいんですけれども。
はい、スチュワート・ブランドさんが考案された考え方でありモデルです。その中でですね、変化の早い時代に確かになっているけれども、変化が早く起きるためにはそれを支える、とてもゆっくりと変わる、土台となるレイヤーが必要だっていうコンセプトが紹介されているわけなんですね。
組織の中の役割の分担ということにおいても、長くても今の時代3年も4年も変わらないということはないとは思いますけれども、経営層が今日と明日で違う方針を打ち出したら、そりゃフロントラインで活動する人は何を指標に動いたらいいかわからなくなりますので、一番ゆっくりと決めた意思決定したこと、あるいは発表された戦略というのが変わるのが遅いレイヤーとしてその経営層。
それを受けてビジネス的な戦略に落としていくミドルレイヤー。ミドルレイヤーが構築した戦略をサービスに転換するためのサービスデザインレイヤー。そしてサービスデザインされたものを実際お客様に届けるデリバリーファシリテーションレイヤーという4階層に分けて、それぞれの役割を定義していったという階層がまず特徴的だろうなと思います。
これをですね、描いてみてほんと気がついたのがですね、最初、まずとてもこのタレントアーキテクチャを描くときに重要なのが、誰に何やってもらおうかなって考えていくと、そういったレイヤリングだとか、ビジネスの提供に必要な役割を漏れなく導き出すってことができなくなるので、誰がいるかとか誰が何ができるかっていうのはもう頭にちらつきながらもちょっと横に置いておいて、
私たちのサービスをお客様に価値として提供していく。それによって社会に貢献していくためには、どんな役割の構成があるとちゃんとデリバリーまで行き着くかなっていうのを抽象化しながら考えていくっていうところがすごく重要な点になるわけなんですね。
4階層に分けてみたらですね、もちろん3人でジャグリングしていた時代が長かったので、もうなんかね、私とか寺嶋さんがやってるところばかりがやたらとある。そもそもミドルレイヤーとかなかったので、なんとなくそこをやりくりしながらやってたなっていうのがありました。
でもここがですね、すごく大きなポイントだと思うんですね。その役割の箱を階層で分けるということと、さらに横軸でいろんな種類。言ってみたら事業戦略、テクノロジー戦略、人材戦略っていうのがおそらくどの企業でもあると思うんですけど、横にレイヤーを、そして縦に事業、テクノロジー、人っていうところを大まかに言うと、置いてもらえるとですね、マトリックスが出来上がるはずです、どの企業でも。
それに必要な役割を置いてみると、一人が担っているものがいくつの箱に分割できるかっていうのが見えてくるわけなんですね。
それぞれの役割に対して、この人は何をする人なのかっていうのを、役割の定義を明確に端的に文言にする、言葉にするっていうのと同時に、どのような範囲で責任を持っているのかっていうのを書き出すっていうことをやっていくとですね、きれいに人がどう活動すると我々の価値が社会に提供できるのかっていうのが見えてくると思います。
やっぱり経営者の役割っていうのは、入社してくれた社員の人がどのように活躍できるのかっていうその活躍のステージを準備するのが私たちの仕事だと思いますので、舞台だけあって役割定義がないっていうのは、「さあ、好きに踊ってみろ!」みたいな乱暴なことになってしまうので、きちんと活躍できるステージを今準備できたかなと思いました。
皆さん、頭の中にこういうことかなって思い描いてらっしゃるかもしれないんですけど、トップマネジメントのレイヤーが一番下で、一番上がフロントラインのレイヤーなんですよね。組織図だと逆でトップマネジメントが上に来るっていうのがあるので、それを逆にして考えていただくのは重要かもしれません。
さっき冒頭で言ったペースレーニングの考え方なんですね。やっぱり社会の中でお客様に接している部分っていうのが、一番その変化を直に受けるところ、外と接するところを一番変化が早いっていうところをスチュワート・ブラントンに習って、一番外側のレイヤーにしたっていうのが、必然的に経営層が下側になったっていう感覚ではあったんですけど。
ヒエラルキーというのを見慣れていると、上か下かっていう感じがするかもしれないですね。
しますよね。スポーツに例えるとみたいな話もちょっとしたじゃないですか。サッカーでも言えるかなと思っていて、よく子供のサッカーという例えをしますけども、ボールがあるところに全員が行っちゃう。ポジションがなくて全員がボールをかけちゃうっていうようなことがあると思うんですけど、
そういうようにならないようにフォーメーションをきちんと組んで、それぞれの役割でボールを回して、戦略的に前に進んでいくっていうことですよね。
そうですね。プロジェクトマネジメントを勉強している方だと、レーシーマトリックス、RACIと書いてレーシーと読みますけれども、レスポンシブル・アカウンタブル・コンサルティング・インフォメーションっていう、インフォーム化っていう4つの責任の範囲だったり、役割の定義みたいなものを作ったりしますけれども、誰が実行責任なのか、誰が命令責任を持っているのかっていう、
責任の範囲と同時にどういうふうに相談していくのか、どういうふうにコミュニケーション、情報共有を取っていくのかっていうのを、そのマトリックスの中でも考えながら何か決めるときに誰と相談しなきゃいけないのかなっていうのが、私たちも確認しながらアキテクチャを紹介していったわけですけれども、
今の子供がボール、サッカーに集まっていくっていうのはすごい良い例だなと思うんですけど、よく私、お客様に、吉田さん、そうやって役割定義しちゃうと、自分の持ち場だけを見て、他の人、他のところにボールがポトッと落ちちゃうのを取りに行かなくなるんじゃないですかって言われることがあるんですけど、
ある意味、ボールだけ見てると、ボールが来たところをめがけてみんな走ってて忙しいかもしれないけど、そうじゃなくて、ボールをうまくキャッチできるように戦略を考えてる人とか、キャッチしやすいトレーニングを提供する人とか、あるいはキャッチするための型をデザインしてる人とか、いろんな人がいるからこそ適切な人が球を投げる、取る、打つ、みたいなことができるんだと思うんですよね。
すべての人がボールをめがけて走ってるのが、役割定義がない世界なんじゃないかと、今、寺嶋さんの例を聞きながら思いました。
はい。タレントアーキテクチャーっていう言葉、日本でも聞き慣れないわけじゃない言葉になってますけれども、導入がうまくいかないって話もよく聞くと思うんですが、うまくいかない理由っていうのはどういうことだと推測されますか。
タレントアーキテクチャーの重要性
ありがとうございます。これが、もしかすると一部日本の雇用の仕方に影響があるのかもしれないんですけれども、タレントアーキテクチャーのものすごく重要な観点は、自分たちの部署とか会社とかチームが提供しているサービスは何で、
そのサービスをより価値あるもの、あるいは確実なものにしていくためにどんなタレントの構成が必要だろうかって考えていかなきゃいけないんですけれども、多くの場合、日本の場合は、人はともかく頭数がいる。
その人をどうやって使ってサービスを実現していこうかって考えるので、今の話し方で伝わったかどうか若干自信がないんですけど、考え方が逆から来てるんですね。人が頭数一定量います。
その中に経験値のある人が何割、あるいは未熟なこれから育成していくような人が何割ぐらいいて、その人たちで頑張ってサービスを提供していこうっていう、人を数える頭の使い方とサービスを提供する頭の使い方が全く切り離されているケースが多いんです。
そこをやっぱりサービスを提供するためにどんな役割がいるかって考えていくと、うちなんかも人数が斜めに増えましたけど、決して十分いるわけではないので、一人が二役目、三つの役割になっているケースもありますし、必ずしも一人が一つになるってことにはならないですけれども、誰が何をやるっていうのがとてもはっきりわかるようになる。
けれども、そういうサービスの設計から組み立てていく人材構成っていうのにちょっと慣れてないので、一体どんなものなのかなって想像できないっていうのはあるかもしれないですね。
なるほど。ある種、みんな能力開発すると同じように活躍するというような幻想としまっては乱暴かもしれませんけれども、そういう育成の仕方をしているので、みんなどこにいても同じように活躍できるよっていう前提になっちゃってるんでしょうね。
そうですね。やっぱり人事権を持っている人たちが、あいつもそろそろ新しい経験をさせてやろうって言って、次の部署に動かしていくので、サービスっていうのはどこか別のところでまた事業の中で考えていくっていう、タレントの構成とビジネスっていうのがきっちり結びついてないっていうのが大きな課題じゃないかなと思います。
若い人が何のためにこの仕事をやっているかわかんなくて辞めちゃうっていうのもある意味そこに紐づいている感覚はありますね。
そうですよね。労働人口が足りないって言われて人材の流動化を進めなきゃいけないって言ってる中、やっぱりここは外せないような考え方なんだなっていうのを改めて思いますね。
やっぱりうちの会社の中でもアーキテクチャーをちゃんとタレントアーキテクチャーとしてしっかり見せた、そして権限の範囲あるいは役割の定義をしっかり皆さんに共有した上で、誰がここに一番適しているだろうか、あるいはチャレンジしたいのは誰なんだろうっていうのを半分は推薦、半分は手挙げみたいな形でみんなで議論しながらアサイメントを決めていきましたけれども、
その後ですね、変わるがある社員の方々に言われたのがですね、あのタレントアーキテクチャーができたことでやりたいことが増えたとか、もっとチャレンジしていきたいと思ったとか、お子さんできるあれもやりたいっていう声が次々と上がってきて、本当にありがたいなと思いました。
やっぱりこういったものをきっちり社員と共有して、私たちのビジネスっていうのはどのくらい価値のあるもので、それを皆さんがこうやって構成していく、デザインをしてるんですっていうのは、それをやるっていうことがやっぱりデジタル経営の中で会社を経営する人、マネジメントする人の責任の一つになってきてるんじゃないかなとは思いますね。
インターナルモビリティの活用
そうですね。インターナルモビリティという言葉がありますけれども、これ主に欧米で使われていた言葉ですけれども、もう日本でもインターナルモビリティをきちんと考えて、人材を社内で流動させて、ジェネラリストではないけれども、インターナルモビリティを活用することによって、全員の能力を組織的に引き上げていくっていうのが必要になってきているような気がしますね。
はい。インターナルモビリティという言葉が盛んに言われるようになった理由の一つは、欧米の転職、自分のキャリアを考えると、そろそろこの仕事から違う仕事に移った方がいい、だから転職しようっていう、自由に転職する文化、あるいは仕組みが社会の中にあるっていう欧米流の考え方が一つありますけど、もう一つの重要な要素は、スキルアップとかリスキリングとかいろんな新しいスキルを手にするっていうことが盛んに言われている中で、
スキルっていうのは、研修受けたりオンライントレーニング受けたり、誰かに教われば身につくのではなくて、やっぱり実践の経験があって初めてその人に備わっていくもの、能力を構成するピースなんだって考えると、経験する場を提示してあげないといけないわけなんですよね。
うちの会社でやった時も、さっきやりたいです、ここでもっと学びたいです、あるいはチャレンジしてみたい、自分にはできるっていういろんな声が社内から上がってきたように、人はやっぱりどこかで自分を成長させる、高めるってことを望んでいて、同時にそれがどこでできるんだろうっていうのを探してはいるんだと思うんですね。
あなたが求めている経験したいことっていうのは、ここでできますよっていうのを見せてあげることで、より意欲のある人がより高い能力を持つことができますし、ちょっと無理って思ってるような人たちも、ここで一緒に経験しようっていうのを明確に見せてあげることで、ブラックボックスに急に放り込むのではなくて、この範囲だから足りない能力はトレーニングを提供できますよとか、
最初は2人、2人、3脚ぐらいでやっていこう。うちもやっぱりそういうチャレンジする方にはベテランが横につくっていう形にしてますけど、そういう構成も考えられたりして、どんどんチャレンジを後押しすることができるものだなっていうのを、社内でも実感することができました。
いや、今回本当にやってよかったですね。
やってよかった。本当によかった。社内でも評判よかった。
どこかで皆さんにこういった情報をちょっとご体験いただくような機会が作れるといいですね。
そうですね。勉強会みたいなのを企画したいと思いますし、今聞いた話のハイパーコラボレーションのタレントアーキテクチャ見たいんだよって方がいらっしゃったら、
ハイパーコラボレーションのウェブサイトのお問い合わせ欄に、タレントアーキテクチャ見たいって書いていただければ、ちょっと個別にご紹介する時間も取りたいと思いますので。
全然、やりたいです。
はい。そういうことで、今回はちょっとテーマを変えて、組織の未来地図という考え方で、ハイパーコラボレーションの内側でやっていることをご紹介してみました。
吉田さんありがとうございました。
ありがとうございました。
ではまた皆さんお目にかかりましょう。ありがとうございました。
ありがとうございました。