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こんにちは。本茶本茶へようこそ。
毎回一種類のお茶を味わいながら、一冊の本をきっかけに、ゆるやかに語る時間です。
静けさのデザインとケアを通して、創造性の器を育む、スタジオスティルネスのFuyutoがお送りします。
毎週水曜日19時に更新しています。
ナシキカホのエッセイの紹介
今日ご紹介するのは、ナシキカホさんという方が書かれた、『炉辺の風おと』という一冊になります。
このナシキさんはですね、デビュー作が、『西の魔女が死んだ』という小説で、非常に有名になった方かなと思うんですが、
このナシキさんが八ヶ岳に山小屋を買ってですね、そこで自然に囲まれた暮らしを過ごす中で、その暮らしについて記録していくエッセイ。
このタイトルにある炉辺というのは、まさにその八ヶ岳にある山小屋の暖炉、その辺りで起きた出来事。
例えば訪れる鳥や小動物のことだったり、周りにある植物のこと、そこからご自身のことやご家族のこと、様々なことに触れているエッセイになっています。
そしてこのエッセイはですね、もともと毎日新聞だったですかね、に連載をされているものがまとめて書籍化をされたもので、
三部作今出ているものになっています。
一番初めにこの炉辺の風音というものが2020年に出て、次に歌わない霧滝というのが2023年に、そして去年2025年に小さな神のいるところという書籍にまとめられています。
僕は実はですね、この一番最後の小さな神のいるところっていうものをまず手に取ったんですよ。
ただですね、あのすごい内容は僕自然も好きなので面白いんですけど、なんかなかなか読み進められなくてずっと途中まで読んでつんどくになっていたというのがありました。
そんな中ですね、今回ある読書リトリートの企画の中でこの炉辺の風音に出会って読むことになりました。
これはオーサーズレジデンスという名前の読書リトリートで、群馬県の北軽井沢というところにある焚火場というですね、焚火をテーマにした宿泊施設で行われたものなんですが、
そこに普段は群馬県の高崎市でレベルブックスという書店さんをやられている小木原さんという方も参加をされていてですね、
そのオーサーズレジデンスに参加をされている著者の方の作品、著作であったり、この北軽井沢でのイベントにふさわしい本をいくつか選書してですね、
出張型の書店をその会場でやってくださっていたんですね。
その中でまさに焚火であったりとか、薪のストーブの前で読むのにぴったりの作品として紹介をされていたので、
この炉辺の風音を手に取って、私自身は二拍の大罪だったんですが、一気にその中で読み切ってしまったというものになります。
すごい面白いのがですね、小さな紙のいるところは去年買ってなかなか進まなかったんですが、
今回のこの炉辺の風音はおそらく大自然の中、薪ストーブの前で読んでいるという環境が作用したのか、
すごいあっという間に読めてとても面白かったので、今日ご紹介したいなというふうに思っています。
三つのポイントの考察
紹介するポイント、今日も三つで、一つ目は愛情を注ぐための目に見えない受け皿。
二つ目が一人だけで満ち足りる。
三つ目が山はいつも山の正気を保っている。
では今日もまずは一緒に楽しむお茶から。
今日はですね、北海道旭川市にあるリアンファームというところのオーガニックハーブティー。
これ名前が面白いんですが、静香という名前のお茶をいただいています。
このリアンファームというのは、フランスで農業学校のハーブ科を卒業されたり、
有機のハーブ農園の経営をされていた方、女性の方なんですが、
生まれた北海道旭川市にUターンをして始められたハーブ園のハーブティーなんですけれども、
ホーリーバジルとかレモンバーメナ、ラベンダー、それぞれ有機のものを使って調合されているハーブティーになります。
今日飲んでいるのは静香という名前なんですが、それ以外のブレンドも面白い名前がついていて、
お腹とかですね、おやすみとか、そういった素敵なユニークな名前がついているハーブティーになっています。
ではここから本の紹介に戻ろうと思いますので、皆様もお気に入りの飲み物とともに聞いてください。
一つ目のポイントが、愛情を注ぐための目に見えない受け皿。
これは名式さんが様々な家を見ながらどこに住もうか、どこに拠点を構えようかを検討しているタイミングで書かれていた一節になりまして、
引用すると、
生活の道具でも、言葉でも、そして住まいでも、
長く使われるものには愛情を注ぐための目に見えない受け皿が備わっているように思う。
使い手は日々の生活の中でその受け皿を見つけ、また作り出してもいく。
なんかこの言葉はですね、本当にほんちゃほんちゃ始めたときの第一回の書籍修繕の話じゃないですけれども、
自分が長く使われてきたものとか、古くから使われ続けているものに興味が湧く理由を一つ言語化してくれたような、そんな一文になっています。
これまで長く使われてきたものには、その目に見えない受け皿がしっかりと備わっていて、
手入れをするっていうことは、その受け皿を維持するような、もしくは広げていくような、そんな行為なのかもしれないなぁと思いながら、
一方で、物だったりとか住まいだったりとか言葉に、そういう目に見えない受け皿を使うことは、
二、そういう目に見えない受け皿がどれぐらいあるかということを理解する能力が、まさに目利きと呼ばれるものなのかな、そんなふうに感じた一文になります。
二つ目のポイントが、一人だけで満ち足りる。
これは、なしきさんのご友人の旦那さんの話が語られている場所で、何かその旦那さんというのはですね、
常に褒められていないというか、機嫌をよく周りからしてもらわないといけないような方だそうで、
世の中には常に持ち上げてもらわないと、生きる意欲まで減退していくタイプの人間がいるのだ。
そんな話をしている中にある一文になります。
誰の手も時間もとらず、一人だけで満ち足りて機嫌よくしていられるというのは、実は最も尊い才能の一つではなかろうかと思っている。
これは、もしかしたら自分も耳が痛い話かもなぁと思いながら、
人の注意を引くための一つの手段としての不機嫌ってありますよね。
まあ、多くは子供の頃に親の注意を引くために不機嫌になるということが、どうしてもずっと残ってしまう部分があるというか、
何か不機嫌であることが目的というよりも、その先に注意を向けてもらいたいとか、
その寂しさみたいなものからくる不機嫌さってあるなというふうに思います。
よく、自分の機嫌は自分でとるみたいな話って多いと思うんですけれども、
単純にその機嫌をとるという言葉だけではなくて、一人だけで満ち足りることができるというのは、
一つ面白い知ってんだなぁと思うとともに、もしかしたらこの八ヶ岳で様々な自然や動物と一緒に暮らしている中での知恵なのかなというふうにも思いました。
最後に、山はいつも山の正気を保っている。
これは、なしきさんが久しぶりに八ヶ岳の方の家に帰ってきた時の一文になります。
引用すると、
人間の側に何があろうと、いつも天に向かって変わらない山を見ると、その存在感と高豪しさが胸に迫る。
意識せず、山のしざから自分自身を定点観測するようなことをしているのかもしれない。
そしてそのちょっと後に、山はいつも山の正気を保っている。という一文が語られます。
これはですね、やっぱりこの大サズレジデンスにいた二伯にとても実感したことで、
この北軽井沢という場所からはですね、浅間山が非常にきれいに見えるんですよね。
浅間山は独立法なので、周りに何もなく、富士山のようにドカンと鎮座をしていると。
毎朝毎晩、その山を見ながら暮らしていると、何か非常に安心感というかですね、落ち着くというのはすごい感じました。
これどういう感覚かなと思い起こすと、だいぶ前、10年以上前ですね、
僕は仕事の都合で北海道に2年間ほど住んでいたことがあるんですけれども、
そこも似たような状態で、陽亭山というですね、江戸富士と呼ばれる、これはもう本当に形も富士山にそっくりな山の近くに住んでいたんですね。
毎朝起きたり、通勤途中、あるいは会社からもその山が見えるという中で暮らす安心感。
あるいは山はいつも山の正気を保っている感じ。
自分の視点をぐおーっとそっちに持っていけるような、何かそういう懐の深さみたいなものの脇で暮らす豊かさというのがあったなぁなんていうことを思い出していました。
何て言うんでしょうかね。
もちろん山なので、中に分け入ってみれば、いろんな動物がいて、川が流れて、木が枯れて倒れて、雪が降って、
いろんなことが起きていると思うんですけれども、ちょっと遠くから見ると、山は山として静かにそこに佇んでいると。
何かその動きの中での静けさというか雄大さみたいなものが何か、訴えかけるのかなぁということであったり、
また今回のこの本を読める環境、読めた環境みたいなものもこの浅間山近くの焚火あるいは薪ストーブの前だったからなんだろうなぁということを思いながら取り上げさせていただきました。
ぜひこの後、次回作の歌わないきびたきと去年買った小さな神のいるところをもう一度読んでみたいなというふうに思うんですが、
何かこの東京の家の中ではないところに持って出かける、そんなことをしてみたいなと思わせてくれた一冊になります。
このオーサーズレジデンスという企画もですね、今年はもしかしたらもう難しいかもしれないですが、来年以降ももし開催されることがあれば、ぜひ皆様ご興味ある方は参加していただければと思います。
特に目的を持っていくというよりも、ふらっと日頃読んでいなかった、読みたかった本を持っていくもよし、その旅先で出会う本と時間をともにするもよしの素敵なイベントだったのでとてもおすすめです。
はい、今日は北海道浅干川市リアンファームのオーガニックハーブティー「静か」を飲みながら、羅式嘉穂さんの「路辺の風音」をご紹介しました。
また、ノートにて書き起こしと本のご紹介、そして収録後期を投稿しております。そちらもぜひ概要欄からご覧ください。
それではまた。