桜の魅力と意味
こんにちは、74才 薬膳&料理研究家の木下賀律子です。
皆さんの地域では、桜はまだ咲いていますが、私の住む愛知県では、先週まで満開だった桜が、ここ数日の雨で、すっかり葉桜になってしまいました。
毎年のことながら、桜の儚さに胸がちょっと寂しくなります。
そんな桜について、最近読んだ本、桜が作った日本が、とても面白かったんです。
著者の佐藤俊樹さんは、日本人が桜イコール日本の象徴と感じるようになった背景を、明治以降に広まったソメイヨシノの普及と重ねて解説しています。
桜が一斉に咲いて潔く散る、そんな姿が、私たちの美意識や日本らしさと結びついていったのは、実は近代に作られた伝統だったのだと。
興味深いでしょう。桜には人の心を動かす不思議な力がありますが、実は私たちの食や健康にも深く関わっているんですよ。
例えば、春になると和菓子屋さんやスーパーに桜のお菓子が並びますよね。
あれは桜の花を塩漬けにしたものや、葉っぱの塩漬け、桜葉漬けを使って作られています。
桜餅はもちろんのこと、桜アンパン、桜クッキーやケーキ、桜洋館など、春の香りをまとった甘みたちは、もう見るだけで心がふわっと華やぎます。
あの独特の桜の香りは、葉の塩漬けによって生まれるクマリンという成分によるものです。
クマリンにはリラックス効果や睡眠促進の効果があるとされています。
桜餅を包んでいる葉っぱに含まれているので、葉っぱは剥がさないで食べてみてくださいね。
そして、薬膳の視点から見ても、桜はただの鑑賞用ではないんです。
実は、山桜の樹肥は幹の皮ですね。樹肥は、大肥桜の皮という名の商薬として江戸時代から日本の漢方で使われてきました。
大肥は下毒肺の生み出しですね。
そして咳を沈める陳害などの作用があるとされ、吹き出物や湿疹、喉や咳の炎症など幅広い不調に用いられていたんです。
今でも、柔味肺毒糖という漢方薬の抗生症薬の一つとして、皮膚のトラブルに処方されています。
こうしてみると、桜は目にも、下にも、体にも働きかけてくれる、まさに万能な存在ですね。
薬膳講座の紹介
さて、そんな自然の力を毎日の暮らしに生かす日々の薬膳講座、5月からは夏コースが始まります。
テーマは、夏の体を整える薬膳として、料理及び理論をもとに展開していきます。
心が疲れやすいこの季節に、食でうまく心や体をクールダウンさせるコツを、季節の食材とともにお伝えしていきます。
オンラインの開催などで、全国どこからでもご参加いただけますよ。
薬膳が初めての方も大歓迎です。
詳細は次回の放送でご案内させていただきます。
それでは、今日もお聞きいただきありがとうございました。
季節の変わり目、どうぞお体に気をつけて、また次回の配信でお会いしましょう。