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2025-11-13 06:50

短期滞在手術の外来移行促進:中医協が示す診療報酬見直しの3つのポイント【2026年改定】

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令和7年11月7日に開催された中央社会保険医療協議会総会(第625回)で、入院から外来への移行に関する診療報酬の見直しが議論されました。2026年度診療報酬改定に向けて、短期滞在手術における入院と外来の評価体系を見直し、医療の効率化を図ることが目的です。本稿では、この見直しの背景、具体的な検討内容、医療機関への影響を解説します。

中医協では短期滞在手術等基本料の見直しが3つの視点から検討されています。第一に、主として外来で実施される手術について入院と外来の点数差を縮小します。第二に、複数の算定方法が混在している現状を統一します。第三に、短期滞在手術等基本料1の包括評価を診療実態に合わせて調整します。これらの見直しにより、特に内視鏡的大腸ポリープ切除術と白内障に対する水晶体再建術の外来実施率向上が期待されます。

短期滞在手術等基本料3の見直し:入院・外来の点数差縮小

短期滞在手術等基本料3の対象手術のうち、主として外来で実施される手術について、入院と外来の点数差を縮小する方向で見直しが検討されています。現状では、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満)と水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合、その他のもの)について、入院で実施した場合の総請求点数が病院の外来で実施した場合より高くなっています。

この点数差が、臨床的に入院で実施する必要性が乏しい症例でも入院を選択する要因となっています。医療機関ごとの分析では、外来実施率が0パーセントの医療機関が一定数存在します。特に白内障に対する水晶体再建術については、第165回社会保障審議会医療保険部会において、OECD諸外国と比較して日本の外来実施率が低いことが指摘されました。

点数差を縮小することで、医療機関が臨床的必要性に基づいて入院・外来を選択しやすい環境を整備します。これにより、患者の利便性向上と医療資源の効率的活用が両立します。

短期滞在手術等基本料の算定方法統一化

短期滞在手術等の算定方法については、短期滞在手術等基本料をはじめ、複数の算定方法が混在しています。病院がDPC対象病院であるかどうかにより算定方法が異なり、医療機関の事務負担が増大しています。

中医協では、病院がDPC対象病院であるかどうかにかかわらず、短期滞在手術等基本料3を算定するよう見直すことが検討されています。算定方法を統一することで、医療機関の事務処理が簡素化されます。患者にとっても、医療機関の種別によらず同じ評価体系で診療を受けられるため、わかりやすい制度になります。

この統一化により、医療機関は診療報酬の算定業務に要する時間を削減できます。削減された時間を患者ケアの質向上に振り向けることが可能になります。

短期滞在手術等基本料1の評価適正化

短期滞在手術等基本料1については、令和4年度診療報酬改定において施設基準等の見直しを行った結果、特に診療所での算定回数が著しく増加しました。短期滞在手術等基本料1は検査料等を包括した点数として設定されています。

短期滞在手術等基本料1を算定する場合と算定しない場合の手術実施月の総請求点数の差は、短期滞在手術等基本料1の点数と同程度でした。短期滞在手術等基本料1が一部検査料等を包括して評価している一方で、包括評価による効率化の効果は限定的でした。

中医協では、手術実施月の点数の差等を踏まえ、診療の実態に見合った評価とすることが検討されています。評価を適正化することで、包括評価の本来の目的である医療の効率化を実現します。医療機関にとっては、適切な診療報酬を得ながら質の高い医療を提供できる環境が整います。

入院実施の臨床的背景と今後の課題

内視鏡的大腸ポリープ切除術と水晶体再建術を原則外来で実施している医療機関が入院で実施する理由として、「臨床上、入院での周術期管理を行う必要性が高いため」が最多でした。具体的には、前者については出血リスクの高い症例等が、後者については全身麻酔を行う必要性が高い症例等が挙げられました。

水晶体再建術を全身麻酔で実施する理由としては、「臨床上、局所麻酔での実施が困難であるため」が最多でした。具体的な理由としては「認知症により安静を保つことが困難」といった回答が多くみられました。

今回の見直しは、こうした臨床的必要性を否定するものではありません。臨床的必要性が高い症例では引き続き入院での対応が可能です。一方、臨床的必要性が乏しいにもかかわらず点数差により入院を選択している症例については、外来への移行を促します。医療機関は、個々の患者の状態を適切に評価し、最適な診療形態を選択することが求められます。

まとめ

中医協が提案する短期滞在手術の外来移行促進策は、入院・外来の点数差縮小、算定方法の統一化、評価の適正化という3つの柱で構成されています。これらの見直しにより、医療資源の効率的活用と患者の利便性向上が期待されます。医療機関は臨床的必要性に基づいて入院・外来を適切に選択し、質の高い医療を提供することが求められます。



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サマリー

2026年度の医療改定に向けて、中医協は短期滞在手術の外来移行を促進しています。この取り組みでは、入院および外来の医療費の見直しや、費用計算の統一化、包括評価の見直しが求められています。

短期滞在手術の外来移行
こんにちは。さて、今回はですね、あなたからお預かりした資料を、特に中医協、中央社会保険医療協議会ですね、ここでの議論に関する記事があります。
これをもとに、日本の医療における短期滞在手術、この扱いがどう変わろうとしているのか、ちょっと一緒に見ていきたいと思います。
2026年度の改定に向けての話ですよね。 これまで入院が多かった、あの、白内障の手術とか、大腸プリープの切除とか、こういったものがもっと外来で、という動きがあるみたいですね。
えー、そうなんです。 これは、あの、医療の効率化、それからあなたの利便性を高めるっていう点でも、注目すべき動きだと思います。
資料を見ると、この見直し、主に3つの柱があるようです。 なぜ今こういう変更が議論されているのか、そしてそれがあなたにどう関わってくるのか、この3点を中心に少し掘り下げていきましょうか。
はい、お願いします。 では、早速1つ目の柱ですが、これ、入院か外来かで、その医療機関に入るお金が変わる、費用が変わるという点が大きいんでしょうか。
まさにそこですね。重要なのは、短期滞在手術等基本料3っていう、まあ入院した時の費用区分の見直しなんです。
特に、入院と外来での点数差、これを縮小しようという動きです。 この点数っていうのは、まあ医療サービスの価格みたいなものなんですけど、現状だと、例えば大腸プリープ切除、
2センチ未満のものとか、あとは、白内障の手術ですね。 これらは入院で行った方が、外来でやるよりも、医療機関に入る点数が高くなりやすいという傾向があるんです。
なるほど。 ということは、もしかして医学的には外来で全く問題ないですよっていうケースでも、その点数が高いから入院を選ぶみたいな、そういうインセンティブが働きやすい構造になっている可能性があると資料は言ってるわけですか。
その可能性は、資料でも指摘されてますね。特に、白内障子率、これに関しては、日本は他のOECD諸国と比べると、外来での実施率がかなり低いというデータも示されています。
なので、この点数差を小さくして、純粋にその医学的な必要性に基づいて、入院なのか外来なのかを選べるようにするというのが狙いですね。
なるほど。インセンティブの是正ということですね。では、手続き面での課題、これもあったようですが、2つ目のポイントは何になりますか。
それが、算定方法の統一化です。今、この短期滞在手術の費用計算というのは、病院の守衛、例えば、DPC、包括的な支払い制度を導入している病院かどうかで、計算方法が異なっていて、病院側の事務作業がちょっと複雑という問題がありました。
複雑だったんですね。それで、どう変わる見込みなんですか。
それが、資料によると、今後はもう病院の守衛に関わらず、この短期滞在手術は短期滞在手術等基本料3という、その区分で費用を計算しましょうと、そういう方向に統一する案が検討されています。
これによって、病院の事務負担が軽くなるというだけじゃなくて、あなたにとっても、どの病院で手術を受けても、その費用の仕組みがわかりやすくなるという、そういうメリットが期待されるわけです。
わかりやすさは大事ですね。では、3つ目いきましょうか。短期滞在手術等基本料1という、また別の費用区分、これについて教えてください。これは、包括評価と関係があるんですよね。
はい、そうです。3つ目は、短期滞在手術等基本料1の評価の見直しですね。
この基本料1っていうのは、検査なんかも含めたいわばセット料金、包括評価なんですけども、資料によれば、特に診療所なんかでこの区分での請求が増えたんだけれども、期待されたほどのその医療費の効率化には必ずしもつながっていないんじゃないか、という実態が見えてきた、ということのようです。
つまり、セット料金にしたはいいけど、思ったよりコスト削減効果が出ていないと、そういうことですか?
うーん、そういう分析結果が出ているわけですね。ですから、この基本料1についても、実際に行われた手術の内容とか、コストに見合った評価になるように、見直しが検討されているということです。
包括評価、つまりセット料金の本来の目的である効率化をしっかり機能させるため、ということですね。
なるほど。でも、効率化効率化といっても、やっぱりどうしても入院が必要なケースってありますよね。その点はどうなんでしょうか?資料にも確か少し触れられていたような気がしますが。
もちろんもちろんです。その点は非常に重要で、今回の見直しっていうのは、その医学的に入院が必要な患者さんを無理に外来に移しましょうっていうものでは全くないんです。
資料にもある通り、例えばポリープ切除でちょっと出血リスクが高い方とか、あるいは白内障手術でも全身麻酔が必要な場合、例えば認知症で安静が保てない方とかですね、こういう場合は引き続き入院での丁寧な管理が適切です。
あくまでその点数差だけが理由の、医学的には外来で十分なんだけれども入院というケースを減らしていく、そういう方向性ですね。
よくわかりました。ありがとうございます。今回の話をちょっと整理しますと、短期滞在手術をより適切に外来で行えるようにするために中共は、まず1、入院と外来の点数差を縮める。
医療費の見直し
2、費用計算の方法をシンプルに統一する。それから3、もう一つのセット料金である基本料1の評価を見直すと、この3つの方向から検討を進めている。
で、その狙いは医療資源の有効活用とあなたのような患者さんの利便性向上、こういうことですね。
ええ、おっしゃる通りです。これからは医療機関側にも、まあ一人一人のあなたの状態をより的確に見極めて、入院が本当に必要なのか、それとも外来で安全に行えるのかという判断が今まで以上に求められるようになりそうですね。
あなたがちょっと考えを巡らせてみるための問いかけを一つお願いできますか。
そうですね。こうした医療の効率化とか、あるいは治療の場の見直しっていうのは、今後他の病気とか治療にも、まあ広がっていく可能性は十分あると思います。
今回の短期滞在手術の話をまあ一つのきっかけとして、将来あなたやあるいはご家族が医療を受けるときにどんな変化がありそうか、あるいはどんな変化が望ましいのか、なんてことを少し想像してみるのも面白いかもしれませんね。
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