1. 岡大徳のポッドキャスト
  2. 重症度、医療・看護必要度の改..
2025-09-17 06:57

重症度、医療・看護必要度の改革:B項目見直しと内科系症例への対応

spotify apple_podcasts youtube

令和7年度第11回診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会において、重症度、医療・看護必要度の評価体系に関する重要な議論が展開されました。現行制度では、B項目(ADL評価)の測定負担が医療現場の大きな課題となっています。内科系症例が外科系症例と比較して基準該当割合が低く、適切な評価を受けにくい状況も明らかになりました。今回の分科会では、これらの課題解決に向けた具体的な改革案が検討されています。

改革の焦点は、B項目の測定頻度の見直しと内科系症例への評価強化の2点に集約されます。B項目については、入院4日目以降や術後7日目以降の変化が少ないことから、測定間隔の緩和が提案されました。内科系症例については、救急搬送件数や協力対象施設入所者入院加算の算定数を重症度評価に反映させる新たな指標の導入が検討されています。これらの改革により、医療現場の負担軽減と適正な患者評価の両立を目指します。

B項目評価の現状と測定負担の実態

B項目の評価は、患者の状態と介助の実施を組み合わせた指標として機能しています。入院初日のB得点3点以上の割合は、特定機能病院で約10%、急性期一般入院料1で約30%と低く、地域包括医療病棟では66%と高い値を示しています。この差は、病棟の機能と患者像の違いを反映しています。

測定負担について、病棟看護管理者の約半数が「看護職員による記録忘れが多い」と回答しています。「看護必要度に関する職員研修に手間がかかる」という課題も、必要度Ⅰでは35.5%、必要度Ⅱでは31.8%が指摘しています。これらの負担は、日々の看護業務に影響を与えている実態が明らかになりました。

要介護度とB得点の相関関係も重要な知見として確認されています。要介護4-5の患者では、入院時と退院時でB得点の分布にほとんど変化がみられません。これは、元々の介護必要度が高い患者では、疾病による身体機能の変化よりも、既存の介護ニーズが評価に大きく影響することを示唆しています。

経時的変化から見るB項目測定の最適化

B得点の経時的変化の分析から、測定頻度を最適化できる可能性が示されました。手術非実施症例では入院4日目以降、手術実施症例では術後7日目以降、前日から変化しない患者の割合が約7割に達します。この安定期における毎日の測定は、必ずしも必要ではない可能性があります。

A項目との連動性も明らかになっています。A項目が変化しない場合、B項目も変化しない患者の割合が高く、特に安定期では75%に達します。一方、A項目が3点以上変化した場合は、B項目も同方向に変化する傾向が観察されました。この関係性を活用した効率的な測定方法の開発が期待されます。

予定入院と緊急入院の比較では、異なるパターンが観察されています。予定入院では入院3-7日目にB得点が改善する傾向がある一方、緊急入院では初期から変化が少ない傾向があります。これらの特性を踏まえた、入院形態別の測定プロトコルの検討も有効と考えられます。

内科系症例の評価課題と新たな指標の提案

内科系症例は外科系症例と比較して、A項目2点以上の該当割合が約15ポイント低い状況にあります。C項目(手術等)では、内科系症例の該当割合はわずか1.3%に留まっています。この評価格差は、内科系患者を多く受け入れる医療機関にとって深刻な課題となっています。

救急搬送や緊急入院の約8割を内科系症例が占めているという事実も重要です。内科系症例で割合が高いA項目の下位項目は、呼吸ケア、免疫抑制剤の使用、緊急入院等に限定されています。現行の評価体系では、内科系診療の負荷が十分に反映されていない構造的な問題が存在します。

新たな評価指標として、病床あたりの救急搬送件数と協力対象施設入所者入院加算算定数の活用が提案されています。これらの指標を重症度該当割合に加算することで、内科系症例を多く受け入れる医療機関の負荷を適切に評価できます。例えば、1床あたり年間20件の救急搬送等がある場合、該当患者割合に4%程度の加算を行うという具体的な計算例も示されました。

今後の改革に向けた具体的方向性

日本病院会からは、B項目評価を不要とする要件緩和の要望が提出されています。施設基準の要件でない入院料等については、B項目評価を不要とすることで、看護職員の負担を大幅に軽減できるという提案です。この要望は、現場の切実な声を反映したものといえます。

内科学会からは、A・C項目への追加候補リストが提示されました。中心静脈注射用カテーテル挿入、脳脊髄腔注射、吸着式血液浄化法など、内科系診療で頻回に実施される処置の追加が提案されています。これらの追加により、内科系症例の該当患者割合が約3.5ポイント改善するというシミュレーション結果も示されています。

測定間隔の緩和については、段階的な実施が検討されています。まず安定期(入院4日目以降、術後7日目以降)での測定頻度の削減を検討し、その効果を検証した上で、さらなる緩和を検討するという慎重なアプローチが提案されています。

まとめ

重症度、医療・看護必要度の改革は、医療現場の負担軽減と適正な患者評価の両立を目指す重要な取組みです。B項目の測定頻度の最適化により、看護職員の業務負担を軽減しながら、必要な評価精度を維持することが可能となります。内科系症例への新たな評価指標の導入により、急性期医療における公平な評価体系の構築が期待されます。



Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

サマリー

今回のエピソードでは、日本の病院で使用される重症度や医療・看護必要度の評価システムについて詳しく述べられています。特にB項目の見直しや内科系患者の評価基準の改善が取り上げられ、現場の負担を軽減しつつ公平な評価を目指す方向性が示されています。

重症度評価の課題
こんにちは。今回はですね、日本の病院で使われている重症度、医療・看護必要度っていう評価システム、これについて資料をちょっと深く見ていきたいと思います。
これ、患者さんの状態を見て、適切なケアとか、あと人員配置とかにつなげる大事な仕組みなんですけど、でも現場からは記録が大変すぎるとか、あと特に内科の患者さんの大変さがちょっと見えにくいんじゃないか、見たらそういう声が上がってたんですよね。
今回の資料は、まさにその問題をどう解決しようかっていう、専門家会議の議論がまとめられてるんですね。特に日常生活の介助の度合いを見るB項目、これの負担をどう減らすか、それから内科系の患者さんの評価、これをどう見直していくかが焦点になってます。
この評価って、病院の収入、つまり診療報酬ですね。これにも直接関わってくるので、すごく重要なテーマなんですよ。今回の議論の一番のポイントは、現場の負担を軽くしながら、どうやって患者さんの状態をより公平に、実態に合わせて評価できるかっていう切実な問題ですよね。
切実ですね。
早速ですけど、具体的なポイントを見ていきましょうか。
はい、お願いします。まずB項目。これ、患者さんの移動とか食事とか着替えとか、日常動作の介助の状況を見る項目ですよね。
資料を見ると、看護の管理者の半分ぐらいが記録忘れが多いって感じてるとか、これは測定の負担が相当大きいという証拠ですね。研修も大変そうですし。
そうなんですよね。特に注目したいのが、このB項目って、入院して日数が経つと点数があんまり動かなくなる傾向があるっていうデータがあるんですよ。
そうなんですか。
具体的には、手術しない患者さんだと、入院4日目以降。手術した患者さんでも、術後7日目以降は、約7割の方で、前の人スコアが変わらないっていう。
えー、7割も。それはちょっと驚きですね。
ということはつまり、毎日測らなくても良いケースが結構多いっていうことですか。
そういうことになりますね。
これは現場の、本当にこれ毎日必要なのかなっていう疑問を裏付けるような数字ですね。
まさに。ですから測定の頻度を減らせないかっていう、そういう議論につながってくるわけなんです。
負担軽減の、これは大きなヒントになりそうですよね。
なるほど、なるほど。負担軽減大事ですもんね。そしてもう一つの大きな課題。これが内科系の患者さんの評価ですね。
はい。資料だと、外科系の患者さんと比べると評価基準を満たす割合が低いと。
で、特に手術に関連するC項目では、内科系の患者さんで該当するのはたった1.3%だとか。
うーん、1.3%。これはかなり実態とズレがある可能性がやっぱりありますよね。
1.3%ってちょっと低すぎますよね。
ええ。実際には、救急搬送される患者さんの8割近くが内科系だなんていう話もあるぐらいですから。
8割が内科系。へー。
でも今の基準だと、例えば呼吸器の管理とか、一部の薬を使ってるかどうかみたいなそういう限られた項目でしか、内科特有のケアの大変さっていうのがちょっと評価されにくい構造になってるんですね。
なるほど。そうすると、内科系の患者さんをたくさん見ている病院ほど、その実際の手間とか重症度に見合った評価が得られにくいみたいな状況が生まれちゃうわけですね。
そうなんです。
いやー、それはちょっと不公平感にもつながりそうですし、病院の経営とかにも影響しそうですね。
まさにその通りです。そこでですね、出てきたのが新しい評価軸の提案なんです。
新しい軸ですか?
ええ。例えば、病院全体で年間に受け入れている救急車の搬送件数。
ああ、救急搬送の数。
はい。それとか、地域の他の病院とか診療所とか、そういう協力施設から紹介されて入院してくる患者さん、その数を評価に加えるっていう案ですね。
協力施設からの紹介。なるほど。救急搬送の数っていうのは確かに、内科系の患者さんを多く受け入れる病院の負荷を反映しそうですね。
ええ、そう考えられますよね。
資料には、年間病床あたり20件の救急搬送があれば、評価割合に4%ぐらいプラスするみたいな具体的な計算例も出てますね。
そうですね。そういうシミュレーションも行われています。
あと、他にも内科学会の方からは、内科でよくやる処置。
例えば、中心静脈下低テル送流っていう、心臓近くの太い血管に入れる特別な点滴ラインのことですけど。
はいはい、CVですね。
それを評価項目に追加する案も出ています。
シミュレーションしてみると、これで該当する患者さんの割合が3.5ポイントほど改善する可能性があるとされてますね。
3.5ポイント改善、なるほど。そういう具体的な処置を加えるっていうのも手なんですね。
一方で、現場からはもうB項目自体をなくしてはどうかっていう声もあるんですね。
これは日本病院会からの提案ですか?
ええ、そうですね。やはり負担軽減を求める切実な声なんだと思います。
ただ、B項目の測定頻度の見直しについては、いきなりなくすというよりは、まずは変化が少ないとされる安定期、
つまり入院4日目とか、述語7日目以降から思考的に頻度を減らしてみてはどうか、そういう慎重な意見も出ていますね。
なるほど、段階的にということですね。いきなりゼロはちょっと影響も大きそうですし。
ええ、影響を見ながらということだと思います。
いやー、今回の資料を通して、この重症度・医療・看護必要度っていう仕組みが、現場の負担を減らしつつ、
より公平で実態に合った評価を目指して、まさに変わろうとしている、その最前線が見えた気がしますね。
そうですね。
B項目の見直しとか、内科系の評価の新しい軸とか、これは今後の医療の質とか、病院の在り方自体にも結構影響を与えそうですね。
ええ、本当にそう思います。これらの改革案が、じゃあ具体的にどういう形で現場に導入されて運用されていくのか、
そしてそれが巡り巡って患者さんのケアとか、病院の経営にどう影響していくのか、ここはしっかり見ていく必要がありますよね。
内科系患者への対応
そうですね。今後の動きに注目ですね。さて、最後にあなたにもちょっと考えてみてほしい問いかけです。
こうした病院の中の評価の仕組みが変わるっていうことは、私たち患者が将来受ける医療の質とか内容に具体的にどんな変化をもたらす可能性があると思いますか?
少し立ち止まって想像してみるのも面白いかもしれません。
06:57

コメント

スクロール