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2025-11-12 05:57

入院時の光熱水費398円、18年ぶりの見直し検討へ【中医協総会速報】

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令和7年11月7日に開催された中央社会保険医療協議会総会(第625回)において、入院時の光熱水費の見直しが議論されました。現行の基準額398円は平成18年の制度創設時から据え置かれています。近年の光熱・水道費の高騰により病院経営が圧迫されている状況があります。令和6年8月施行の介護報酬改定で介護保険の居住費が引き上げられ、医療保険との間に自己負担の差が生じています。今回の議論は、基準額の見直しの必要性を検討することを目的としています。

今回の議論では4つの重要なポイントが示されました。第一に、現行制度では療養病床に入院する65歳以上の者について1日当たり総額398円(自己負担370円、保険給付28円)が設定されています。第二に、平成18年以降、基準額が一度も改定されていない中で光熱・水道費が大きく高騰しています。第三に、令和6年8月施行の介護報酬改定では多床室の居住費が60円引き上げられ、医療保険との間に自己負担の差が生じています。第四に、家計における光熱・水道支出を勘案した基準額の見直しが論点となっています。

入院時の光熱水費制度の現状

入院時の光熱水費は、療養病床に入院する患者と一般病床に入院する患者で評価方法が異なります。療養病床に入院する65歳以上の者については、入院時生活療養費として1日当たりの総額と自己負担を国が定めています。一般所得者の場合、総額398円のうち自己負担が370円、保険給付が28円です。一般病床、精神病床、療養病床に入院する65歳未満の者については、光熱水費を入院料中で評価しています。

この制度は、介護保険との均衡を図る観点から平成18年10月に創設されました。介護保険では平成17年10月より、介護病床を含む介護保険3施設における食費および居住費が原則として保険給付外とされました。この改定に伴い、同じ「住まい」としての機能を有する介護病床(介護保険)と療養病床(医療保険)の患者負担の均衡を図るため、入院時生活療養費が創設されました。制度創設時の基準額は総額398円(自己負担320円)でした。平成29年10月には、介護保険の居住費に係る基準費用額を勘案し、基準額(総額)を維持した上で自己負担額を50円引き上げ、370円としました。

光熱水費を巡る現在の課題

現行制度には3つの課題が指摘されています。第一の課題は、基準額の長期据え置きです。入院時生活療養費の光熱水費の基準額(総額)398円は、平成18年の創設時から据え置かれています。この間、光熱・水道費は大きく高騰しました。基準額が据え置かれていることが、病院経営に少なからず影響を及ぼしている状況です。

第二の課題は、介護保険との負担差の拡大です。介護保険では、令和6年8月施行の介護報酬改定において対応が行われました。家計調査によると、高齢者世帯の光熱・水道費は令和元年調査に比べて上昇しています。この状況を踏まえ、介護保険では在宅で生活する者との負担の均衡を図る観点から、基準費用額(居住費)を60円引き上げました。この結果、介護保険の居住費の自己負担(430円)と医療保険の光熱水費の自己負担(370円)の間で、60円の差が存在しています。

第三の課題は、医療機関の経営環境の悪化です。昨今の光熱・水道費は特に足下で大きく高騰しています。基準額が据え置かれている中での費用増加は、医療機関の経営を圧迫する要因となっています。療養病床を有する病院にとって、光熱水費の実費と基準額との乖離が経営課題となっています。

今後の検討の方向性

今回の中医協総会では、基準額見直しに向けた論点が示されました。論点は、近年の光熱・水道費の高騰を踏まえた対応を行う観点から、基準額の見直しについてどのように考えるかというものです。具体的には、家計における光熱・水道支出を勘案して行われた令和6年8月施行の介護報酬改定による多床室の居住費の基準費用額の引上げを踏まえた検討が求められています。

検討にあたっては、複数の要素を総合的に勘案することが必要です。第一に、家計調査における高齢者世帯の光熱・水道費の動向です。令和4年の家計調査によれば、高齢者世帯の光熱・水道費は令和元年調査に比べて上昇しています。第二に、介護保険との整合性です。医療保険と介護保険は同じ社会保障制度の中で、患者・利用者の負担の均衡を図る必要があります。第三に、病院経営への影響です。療養病床を有する医療機関の経営実態を踏まえた検討が求められています。

今後の診療報酬改定に向けて、これらの論点について議論が深められることが予想されます。基準額の見直しは、患者負担と病院経営の両面に影響を与える重要な課題です。中医協での議論を注視していく必要があります。

まとめ

中央社会保険医療協議会総会において、入院時の光熱水費の基準額見直しが議論されました。平成18年の制度創設以来据え置かれてきた基準額398円について、近年の光熱・水道費の高騰と令和6年8月施行の介護報酬改定を踏まえた対応が検討されています。家計における光熱・水道支出、介護保険との整合性、病院経営への影響を総合的に勘案した見直しが論点となっており、今後の診療報酬改定に向けた議論の動向が注目されます。



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サマリー

日本の病院における入院時の光熱水費が18年間変わらず、398円の基準額が見直しを検討しています。中央社会保険医療協議会では、介護保険制度との不整合や実際のコスト上昇が問題視されており、今後の議論に注目が集まっています。

入院時の光熱水費の現状
こんにちは。えっと、今日はですね、皆さんがもし病院に入院した時にかかる費用、その中の一部、光熱水費に注目してみたいと思います。
この基準額、1日当たり398円という数字なんですけど、これがあの平成18年、つまり2006年からもう18年間もずっと変わってないっていうのは、ちょっと驚きじゃないですか?
そうなんですよ。まさにそこなんです。最近になって、この長年末を置かれてきた基準額をそろそろ見直すべきじゃないかと、そういう議論が中央社会保険医療協議会、
まあ中協ですね。そこで始まったんです。もちろん背景には、あの近年の光熱費とか、あと水道代の口頭がありますよね。
なるほどなるほど。ということで、今回はですね、いただいた資料、入院時の光熱水費398円、18年ぶりの見直し検討へ、中京総会速報がありまして、これをもとに、なぜ今このタイミングで見直しなのか、
その背景にある課題、それから今後どうなりそうか、そのあたりを詳しく見ていきましょう。まず、えっと、今の制度ってどうなってるんでしたっけ?ちょっと確認したいんですが、
療養病床、比較的長く入院される方向けのベッドですね。そこに入院する65歳以上の方だと、光熱水費が1日合計で398円、
そのうち自己負担が370円、残りの28円は保険から出ていると、こういう理解でいいですか?
はい、その通りです。この仕組み自体は、平成18年、2006年ですね、介護保険制度とのバランスを取るという目的で導入されたものなんです。
当時、介護保険施設の方で居住費が保険給付の対象外になったんですね。それを受けて、じゃあ医療保険の療養病床でも同じような考え方で、ということで、
入院時生活療養費の一部として設定されたと、そういう経緯があるんです。
ちなみに当時の自己負担は320円だったんですよ。それが、平成29年、2017年に一度、介護保険側の基準費用額を考慮して370円に上がったんです。
でも、その総額の398円というのは、ずっとずっと変わってないんですね。
なるほど。そこで、今回の見直し議論が、今な理由が見えてくるわけですね。
見直しの背景と課題
課題の一つ目は、やっぱり18年間末置きの間に、実際の高熱費とか水道代はかなり上がったと。
ええ、そうです。
これは、じわじわと病院経営を圧迫してきた。
そうですね。それはもうずっと言われてきたことです。
でも、それだけじゃないということですか。
ええ、もう一つ、これが今回の直接的な引き金と言えるかもしれないんですが、それが介護保険制度との負担の、なんていうか、ずれですね。
ずれですか。
はい。実は、令和6年、つまり2024年の8月に、介護報酬が改定されまして、介護保険施設の多少室の居住費、基準費用額ですね。
これが、最近の物価高を反映して、1日当たり60円引き上げられたんです。
ああ、60円。
ええ、その結果、介護保険施設での自己負担額、これが、非額430円になったんですね。
一方で、医療の療養病床の自己負担は、さっき言ったように370円のまま。
ということは。
そうなんです。ここに、新たに1日当たり60円の差がドーンと生まれてしまった。
なるほど。18年間変わらなかったものが、介護保険側が動いたことで、急にバランスの悪者が目立ってきた。
そういうことなんですね。
おっしゃる通りです。
で、もちろん、その根本には、実際のコストと、この基準額が、もうかけ離れてしまっているという現実があると。
特に、療養病棟を多く持つ病院にとっては、経営がかなり厳しいと。
まさに、はい。
ですから、中医協では、これらの課題、特に、ずっと言われてきた高熱水道費の高騰の実態と、
今回、はっきり見えてきた介護保険制度との整合性の問題。
これらを総合的にどう考えるか、というのが大きな論点になっています。
具体的には、家計調査なんかを見て、高齢者世帯の高熱水道費が実際どう動いているのかとか。
あとは、先ほどの介護保険とのバランス。
そして、もちろん病院経営の影響。
これらを全部、テーブルに乗せて検討していく必要がある、ということですね。
単純な値上げの話だけじゃない、複雑な要素が絡んでいるわけです。
ということは、今回のこの入院時の高熱水費398円の見直しというのは、単に値段を上げましょうという話じゃなくて、
長年の物価上昇と、制度間の縦紙というかズレ、それから医療現場の経営、
こういった複数の要因が複雑に絡み合っている、非常に大きな問題だということが、よくわかりました。
ええ、まさにそうなんです。
患者さんの負担をどう考えるか。
それから、医療を提供する側の経営の持続可能性ですよね。
これをどう担保するか。
そして、社会保障制度全体として、ちゃんと整合性が取れているか。
これらのバランスをどう取るかという、これは非常に重要な課題だと思います。
今後の診療報酬改定に向けて、中維境でどういう議論が進むのか、本当に目が離せないですね。
そうですね。
最後に、これを聞いてくださっている皆さんに一つ問いかけてみたいなと思うんですが、
入院って、多くの場合は一時的な住まいだと思うんですけど、
そこでかかる高熱費みたいな生活コストって、
誰がどの程度負担するのが一番公平だと皆さんは考えますか。
特に療養病床みたいに長期になって、住まいとしての性格がより濃くなる場合、
その負担の線引きってどこにあるべきなんでしょうか。
ちょっとこの機会に立ち止まって考えてみるのも面白いかもしれないですね。
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