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2025-11-01 06:40

診療報酬における業務簡素化の最新動向【2026年度改定に向けた検討内容】

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医療現場では、計画書作成や署名・押印といった診療報酬上の書類業務が大きな負担となっています。入院・外来医療等の調査・評価分科会の実態調査では、施設の44.2%が計画書作成の簡素化を求めており、病棟では61.8%がこの業務負担を感じています。規制改革推進に関する答申でも、医療機関の負担軽減の観点から署名・押印の不要化検討が求められる状況です。こうした現状を踏まえ、診療報酬上の書類や手続きを見直し、医療現場の業務効率化を図ることが急務となっています。

業務簡素化に向けた具体的な対策が、令和7年度の検討で明らかになりました。計画書作成と署名・押印の簡素化が最優先課題として位置づけられています。リハビリテーション計画書の様式統合やDPCデータ入力の見直しも検討されています。電子署名やIT機器を活用した効率化の推進も、導入費用への配慮とともに議論されています。

医療現場が求める簡素化の実態

実態調査が示す簡素化ニーズは、施設全体と病棟で異なる特徴を持ちます。

施設全体の調査では、「計画書作成」を簡素化すべきとする回答が44.2%で最多でした。入院診療計画書、退院支援計画書、リハビリテーション総合実施計画書などの作成業務が、医療機関全体の負担となっています。次いで「DPCデータ(様式1)の作成」が38.2%を占めており、データ入力の負荷が課題です。

病棟における簡素化ニーズは、より明確な傾向を示しています。「計画書作成」の簡素化を求める声が61.8%に達しました。病棟は患者と直接向き合う現場であり、計画書作成の実務負担が特に大きいことがわかります。「患者や家族等による署名・記名押印」の簡素化を求める回答も45.1%に上りました。入院時には患者が何度も署名を求められる実態があり、形式的な署名手続きが患者・医療者双方の負担となっています。

署名・押印見直しの背景と方向性

署名・押印の見直しは、規制改革の文脈で推進されています。

規制改革推進に関する答申では、医療機関等又は医師等の負担軽減の観点から具体的な要請がありました。診療報酬上の書面について、署名又は記名・押印を不要とすることの可否を検討すべきとされています。この答申を受けて、中央社会保険医療協議会の入院・外来医療等の調査・評価分科会で議論が進められました。

現在の様式では、医師・患者双方の署名が必要なものが多数存在します。入院診療計画書、リハビリテーション実施計画書、目標設定等支援・管理シート、職場復帰の可否等についての主治医意見書、短期滞在手術等同意書では、医師と患者・家族の双方の署名が求められています。医師のみの署名が必要なものとして、診療情報提供書、訪問看護指示書、介護職員等喀痰吸引等指示書があります。患者・家族のみの署名が必要なものには、緩和ケア実施計画書、生活習慣病療養計画書、認知症療養計画書、地域包括診療加算に関する同意書などがあります。

分科会での議論では、署名の必要性を慎重に検討する姿勢が示されました。入院すると患者は何度も署名を求められますが、形式的なものも多いため、患者負担軽減の観点から検討すべきとの意見がありました。ただし、訪問看護指示書のような医師の署名は入院診療計画書等とは性質が異なるため、各様式の趣旨を考慮しながら簡素化を検討する必要があるとの指摘もありました。

具体的な簡素化の対象と課題

簡素化の対象として、3つの重点項目が浮かび上がっています。

入院診療計画書は、入院後7日以内に患者に説明を行う文書です。病名、症状、治療計画、検査内容及び日程、手術内容及び日程、推定される入院期間等を記載する必要があります。入院診療計画書等の様式には署名欄が設けられており、主治医や患者又はその家族等の署名が必要です。また、入院支援計画書は全ての入院患者に作成し、説明に用いた文書は患者に交付するとともに、その写しを診療録に添付する必要があります。

リハビリテーション計画書は、様式の複雑さが課題となっています。リハビリテーションに関する計画書の様式は複数存在し、重複する項目が多いのが実態です。いずれの様式においても署名欄が設けられており、説明者や患者又はその家族等の署名が必要となっています。分科会では、リハ計画書の説明は重要であるものの、適時に医師が患者や家族に説明するのは難しい場合も多いとの意見がありました。医師の指示を受けた療法士等が説明して同意を得る仕組みも必要ではないかとの提案もなされています。

DPCデータの様式1は、入力負荷が特に大きい項目が存在します。DPCデータ等の様式1において入力を求めているデータのうち、主として診療報酬改定のために必要な情報には課題があります。入院全期間の評価が必要な項目や検査値等、入力の負荷が特に大きいと考えられるものが一定数存在しています。

今後の改善に向けた論点

業務簡素化の推進には、複数の視点からの検討が必要です。

分科会では、業務の簡素化を積極的に進めるべきとの基本方針が示されました。患者負担軽減の観点からも、形式的な署名の必要性は見直すべきとの認識が共有されています。

電子化・IT活用の推進は、効率化の重要な手段として位置づけられています。電子署名やIT機器を活用した業務の簡素化は重要ですが、導入費用がかかることも認識して検討する必要があるとの意見がありました。医療機関の規模や経営状況に応じた、実現可能な方策を検討することが求められます。

各様式の趣旨を考慮した段階的な見直しが、現実的なアプローチとなります。訪問看護指示書の医師の署名は入院診療計画書等とは性質が異なるため、各様式の趣旨を考慮しながら簡素化を検討する必要があるとの指摘は重要です。医療安全や患者の権利保護といった本来の目的を損なわない範囲で、実務負担を軽減する方策を探ることが求められています。

まとめ

診療報酬における業務簡素化は、医療現場の切実な要望を受けて具体的な検討段階に入りました。計画書作成と署名・押印の簡素化を最優先に、リハ計画書の様式統合やDPCデータ入力の見直しが進められています。電子署名やIT活用による効率化も、導入費用への配慮とともに推進されます。各様式の趣旨を踏まえた段階的な改善により、医療従事者と患者双方の負担軽減が期待されます。



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サマリー

2026年度改定に向けて、日本の医療現場では書類作成の負担を軽減するための具体的な検討が進んでいます。特に、計画書や署名の簡素化については、医療の質を損なわないように慎重に見直されています。

医療現場の書類負担の現状
日本の医療現場、やっぱり書類作成の負担って大きいという声がありますよね。 特に計画書とか、あと署名応印。
今回はですね、あなたが共有してくれた資料を見ながら、この診療報酬にも関わる業務負担、これをどう軽くしていくのか。
2026年度改定に向けた動き、これを一緒に掘り下げていきたいと思います。
はい、いただいた資料、現場の負担に関する調査結果とか、あとは規制改革推進会議の答申、これを受けた注意協での議論が中心になってますね。
どの業務が特に問題になってて、どんな簡素化策が考えられているのか、その革新部分を見ていきましょう。
これ単なる事務作業って話だけじゃないんですよね。
ああ、そうですよね。医療の質にも関わる。
確かに医療スタッフの方々の負担が減れば、その分患者であるあなたへのケアにもっと時間をかけられるようになるかもしれないですよね。
では、まず現状の負担感、ここから具体的に見ていきましょうか。
データを見ると、これかなり切実な声が上がってますね。
施設全体で見ても44.2%、特に病棟だとなんと61.8%のスタッフが計画書作成、これの簡素化を望んでいると。
入院診療計画書とかリハブリの計画書とか、確かに種類たくそうですもんね。
そうなんです。それに加えて、DPCデータ、様式1の作成、これは診断名とか診療行為を元にした包括評価支払い制度のためのデータですね。
全国統一の。これも施設全体の38.2%が負担だと感じている。
やっぱり入力の手間っていうのは無視できないんですね。
さらに病棟では、患者さんやご家族等による署名、記名、応印、これの簡素化を求める声も45.1%と、これも高い水準です。
何度もサインを求められる、その現状への疑問というか、ちょっと形式的になっている部分もあるんじゃないかという、そういう指摘が背景にありそうですね。
なるほど。その中でも特に議論になっているのが、署名、応印の見直し、これですね。
規制改革推進会議からも、原則不要とすべきじゃないかみたいな、かなり踏み込んだ要請も出ていると。これはどう考えたらいいんでしょう。
ここが非常に興味深い点でして、全ての署名とか応印を一律になくしましょうっていう、そういう単純な話ではないということなんですね。
現状、医師と患者さん双方の署名が必要な書類、入院診療計画書とか、リハ計画書とかですね、それから医師のみ、例えば診療情報提供書とか、あと患者さん側のみ、緩和ケア計画書とか、さまざまあるわけです。
例えばですね、治療方針への同意を示す署名と訪問看護指示書みたいな、医師の責任を明確にするための署名、これやっぱり性質が違うじゃないですか。
確かに重みというか、意味合いが違いますね。
ですから、後者の方を単純になくすっていうのは、それはそれで問題があるだろうと。
つまり、簡素化するにしても、その書類がもともと持っている目的、例えば患者さんの権利を守るとか、医療の安全とか、そういう大事な点を損なわないように、慎重に見極めが必要だということですね。
まさにおっしゃるとおりです。
簡素化に向けた具体的検討
具体的に特に見直しの操縦に乗っているというか、検討されているのはどの書類になりますか。
主にですね、3つの領域が挙げられていますね。
1つはまず、入院診療計画書。入院するから7日以内に説明して同意を得て署名をもらうという流れですが、そのタイミングとか、そもそも署名が本当にいるのかというところが論点です。
2つ目がリハビリテーション計画書。これは様式が複数あったりして、内容も結構重複しがちで、作成とか説明の負担が大きいんですね。
なので医師の指示の下で、例えば療法士さん、理学療法士とか作業療法士の方が説明して同意を得る、みたいなそういう形も検討されているようです。
なるほど。そして3つ目が、さっきも少し出ましたけど、DPCデータの様式1。
これは単に入力する量が多いってだけじゃなくて、その診療報酬改定の検討とか、そういう目的のために集めている情報という側面が、ちょっと現場の負担感を増しているみたいな部分もありそうですね。
ええ、まさにそこですね。今後の方向性としては、まずこうした業務負担の軽減というのは、積極的に進めていこうという点では意見は一致しているようです。
特に形式的になってしまっているような署名、これについては患者さんの負担を減らすという観点からも、見直しの優先度は高いんじゃないかという意見が強いですね。
電子署名とかIT機器の活用っていうのも当然視野には入ってますよね。ただ資料にはその導入コステへの懸念みたいなことも書かれているようですが。
そこがまあ現実的な課題ですよね。すべての医療機関がすぐに最新の高度なシステムを入れられるわけではないですから。
ですからそれぞれの様式の趣旨、つまり何のためにその書類とか署名があるのかっていうその本質はちゃんと保ちつつ、
医療機関の規模とか、実情に応じた段階的な見直し、実現可能な方策を探っていくということになるでしょうね。
では今日の話ちょっとまとめてみましょうか。
2026年度の診療報酬改定に向けて、医療現場の書類業務、特に計画書の作成とか署名、応援、この負担を減らすための具体的な検討が進んでいると。
リハビリ計画書の様式統合とか、DPCデータの項目の見直しなんかも焦点になっているということですね。
そういうことです。単になくすとか減らすとかだけじゃなくて、電子化なんかも含めてそれぞれの手続きの意義っていうのを改めて考えながら、段階的でかつバランスの取れた改善を目指していると、そう言えると思います。
これがうまく進めば、医療従事者の方々、そしてもちろん患者さん、双方にとってメリットがあるはずです。
さて、最後にあなたにもちょっと考えていただきたい問いかけです。
今回の医療分野での動きのように、私たちの身の回りにもデジタル化が進む中で、形式的にはまあ続いてるんだけど、本来の目的から考えると、もっと効率化できる手続きって案外ありませんかね?
少し立ち止まって身近な例を探してみるのも面白いかもしれません。
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