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2026-01-15 05:44

【令和8年度診療報酬改定】物価高騰と人材確保への6つの対応策を徹底解説

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中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第640回)において、令和8年度診療報酬改定に向けた議論の整理(案)が示されました。医療機関は、持続的な物価高騰により事業収益が悪化し、全産業の賃上げ水準との乖離から人材確保も困難な状況にあります。このメールマガジンでは、「物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応」について、物件費高騰対策と人材確保施策の両面から詳しく解説します。

今回の議論の整理では、大きく2つの方向性が示されました。ひとつは、初・再診料等および入院基本料等の見直しを含む物件費高騰への対応です。もうひとつは、処遇改善・ICT活用・タスクシフト・働き方改革・基準柔軟化という5つの柱による医療従事者の人材確保施策です。これらの施策は、医療機関の経営安定と持続可能な医療提供体制の維持を両立させることを目指しています。

物件費の高騰を踏まえた対応

医療機関等が直面する人件費や医療材料費、食材料費、光熱水費および委託費等の高騰に対応するため、診療報酬の見直しが行われます。この対応は、初・再診料等の見直し、入院時の食費・光熱水費の基準額引き上げ、食事療養の質向上という3つの施策で構成されています。

初・再診料等および入院基本料等については、これまでの物価高騰による物件費負担の増加を踏まえた見直しが行われます。加えて、令和8年度および令和9年度における物件費の更なる高騰に対応するため、医療機関が担う医療機能を踏まえた新たな評価が設けられます。この評価では、病院・医科診療所・歯科診療所・保険薬局それぞれの費用関係データに基づく配分が行われ、病院の中でも担う医療機能に応じた傾斜配分が実施されます。

入院時の食費および光熱水費については、基準額の引き上げが行われます。食費基準額は1食あたり40円引き上げられ、患者負担については原則40円、低所得者については所得区分等に応じて20円から30円となります。光熱水費基準額は1日あたり60円引き上げられ、患者負担については原則60円、指定難病患者等については据え置きとなります。

入院時の食事療養の質向上に向けては、嚥下調整食への新たな評価が設けられます。この評価は、おいしく安全な食形態で適切な栄養量を有する嚥下調整食を提供する医療機関を対象としています。また、多様なニーズに対応できるよう、特別料金の支払を受けることができる食事の要件も見直されます。

医療従事者の処遇改善

医療従事者の人材確保に向けた取組として、処遇改善施策が強化されます。この施策は、賃上げ評価の見直しと看護職員の夜勤負担軽減という2つの柱で構成されています。

賃上げに係る評価については、より実効性の高い仕組みへと見直されます。看護職員、病院薬剤師その他医療関係職種の確実な賃上げを更に推進するとともに、令和6年度診療報酬改定で入院基本料や初・再診料により賃上げ原資が配分された職種(40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師・事務職員・歯科技工所等で従事する者)についても、ベースアップ評価料の対象職種と同様に、実際に支給される給与(賞与を含む)に係る賃上げ措置の実効性が確保される仕組みが構築されます。

看護職員の夜勤負担軽減については、組織的な取組を促進する見直しが行われます。看護職員夜間配置加算等において、夜勤に係る負担の軽減や処遇の改善に資する計画を立案し、体制の整備が促進されるよう要件が明確化されます。令和6年度改定では、ICT・AI・IoT等の活用による業務負担軽減が「取り組むことが望ましい」項目として位置づけられており、今回の改定ではこの方向性が更に推進されます。

ICT・AI・IoT等の活用による業務効率化

業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用が推進されます。この施策は、看護業務の効率化、医師事務作業の効率化、様式・届出の簡素化、および「様式9」の見直しという4つの取組で構成されています。

看護業務におけるICT機器等の活用については、配置基準の柔軟化が図られます。見守り、記録および医療従事者間の情報共有に関し、業務効率化に有用なICT機器等を組織的に活用した場合に、入院基本料等に規定する看護職員の配置基準が柔軟化されます。実態調査によれば、ICT・AI・IoT等の活用が看護職員の業務負担軽減に「効果がある」「どちらかと言えば効果がある」と答えた割合は約7割に達しており、転倒・転落予測システムAIやスマートグラスと見守りカメラの導入など、具体的な効率化事例も報告されています。

医師事務作業補助体制加算については、ICT等の活用による業務効率化・負担軽減等の業務改善推進の観点から、人員配置基準が柔軟化されます。医師事務作業補助者が実施している業務のうち、紹介状の返書の下書きや診療情報提供書の作成などについては、生成AIによる文書作成補助システムの活用が想定されており、診断書作成支援システムやRPA(定型業務自動化システム)、音声入力なども活用が進んでいます。

様式・届出の簡素化については、診療に係る様式の簡素化や署名・記名押印の見直し、施設基準等に係る届出や報告事項の見直しが行われます。「様式9」については、医療現場の実態を踏まえ、病棟における勤務時間に算入できる内容の見直しとともに、小数点以下の処理方法を含む注意事項の記載が整理されます。

タスク・シェアリング/タスク・シフティングとチーム医療の推進

更なる生産年齢人口の減少に伴う医療従事者確保の制約に対応するため、多職種協働による病棟業務体制が評価されます。この評価は、患者像に合わせた専門的な治療やケアを提供しながら、患者のADLの維持・向上等に係る取組を推進することを目的としています。

重症度、医療・看護必要度の高い高齢者等が主に入棟する病棟において、看護職員や他の医療職種が協働して病棟業務を行う体制について、新たな評価が行われます。実態調査によれば、看護補助者や他職種との業務分担は、看護職員の業務負担軽減策として最も効果が高いと評価されています。入退院支援部門のスタッフ(MSW等)との業務分担、看護補助者との業務分担、病棟クラークの配置、PT・OT・STとの業務分担などが、特に効果的な取組として挙げられています。

医師の働き方改革の推進と診療科偏在対策

医師の働き方改革を推進しつつ、診療科偏在の是正を図るための対応が行われます。この対応は、診療科偏在対策と休日・時間外加算の要件見直しという2つの施策で構成されています。

診療科偏在対策については、外科医師の減少等に対応するため、診療科偏在による医師数の減少が課題となっている診療科の医師の勤務環境・処遇の改善を図りつつ、高度な医療を提供する医療機関等への新たな評価が行われます。特定地域医療提供機関および連携型特定地域医療提供機関においては、医師の働き方改革を更に推進しつつ、勤務環境・処遇改善等により医師の診療科偏在を解消して医療提供体制を確保する観点から、地域医療体制確保加算の要件が見直されます。

処置および手術に係る休日加算1、時間外加算1および深夜加算1については、医師の働き方改革を推進する観点から要件が見直されます。令和6年度改定では、交代勤務制またはチーム制のいずれかおよび手当に関する要件を満たす必要があることとされ、令和8年5月31日までの経過措置が設けられていました。今回の改定では、この方向性を踏まえた更なる見直しが検討されています。

診療報酬上求める基準の柔軟化

医療現場を取り巻く人手不足の状況を踏まえ、質の高い医療提供体制の維持と人材確保の両立を図るための基準柔軟化が行われます。この柔軟化は、看護職員の配置基準、専従要件、常勤要件、摂食嚥下機能回復体制加算、およびリハビリテーション提供体制という5つの領域で実施されます。

看護職員の配置基準については、やむを得ない事情による一時的な看護職員確保ができない場合の柔軟化が図られます。公共職業安定所や無料職業紹介事業者、適正認定事業者を活用する等により、平時から看護職員確保の取組を行っている医療機関が対象となります。

専従要件については、医療安全管理加算、感染対策向上加算および入院栄養管理体制加算における基準が見直されます。常勤要件については、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律に規定されている1日当たり勤務時間を踏まえ、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数が見直されます。

摂食嚥下機能回復体制加算については、言語聴覚士の専従要件や実績の計算方法が見直されます。療養病棟入院基本料における経腸栄養管理加算についても、対象となる患者の要件が見直されます。リハビリテーション提供体制については、疾患別リハビリテーションや病棟の業務に専従の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が従事できる業務の範囲が広げられるとともに、明確化されます。

まとめ

令和8年度診療報酬改定に向けた議論の整理では、物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応として、物件費高騰対策と人材確保施策の両面から包括的な見直しが示されました。物件費高騰への対応では、初・再診料等および入院基本料等の見直しに加え、入院時の食費・光熱水費の基準額引き上げが行われます。人材確保に向けた取組では、処遇改善・ICT活用・タスクシフト・働き方改革・基準柔軟化という5つの柱により、医療従事者の賃上げと業務効率化が推進されます。これらの施策は、今後の中医協における議論を経て具体化されていきます。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定は、物価高騰と人材確保という日本の医療機関が直面している課題に対する国の戦略を示しています。料金改定やテクノロジーの活用、働き方改革が含まれており、医療の質を維持しながら持続可能なシステムを目指しています。

物価高騰への対応策
さて今回は、あなたが共有してくださった資料、令和8年度の診療報酬改定に向けた議論の整理案、これを深掘りしていきましょう。
はい。 今、日本の医療機関って、物価高と人手不足っていう本当に待ったなしの二重区に直面してるじゃないですか。
ええ、深刻ですよね。 今回の私たちのミッションは、この危機に対して国がどういう未来像を描いているのか。
資料が示している物価高騰への対応と人材確保、この2つの大きなテーマからその戦略を探っていきます。
まさにこれ単なる料金改定の議論ということじゃないんですよ。 医療現場の働き方そのものを改変してシステムを持続可能にしようっていうかなり強い意志が込められた
一種の設計図と見るべきですね。 なるほど。 私たちが将来も質の高い意欲を受け続けられるか、そこがかかっています。
ではその設計図具体的に見ていきましょうか。 まずは物価高騰への対応ですね。
資料によると初診料とか入院基本料、いわば医療の基本料金が上がると。 はいそうです。
それから入院中の食費も1食あたり40円。 高熱水費も1日60円上がると書かれてますね。
ただここで重要なのは一律に値上げするわけではないという点なんです。 一律じゃない?
はい。病院とか診療所、薬局みたいにそれぞれの機能とかコスト構造を考えてメリハリをつけて配分する
傾斜配分っていう考え方が導入されるんです。 なるほど。より実態に合わせた支援ってことですか?
その通りです。 でも1食40円ですか。正直今の物価高を考えると、その金額で病院側のコスト増を本当にカバーできるんでしょうかね。
なんか少し心もとない気もしますが。 ああ鋭い指摘ですね。
もちろんこれだけでは全ては賄えない。 ですよね。 だからこそ他の報酬も同時に見直されるわけです。
でもう一つ面白いのが、円化調整食。 つまり飲み込みやすい食事への評価が新しくできる点です。
へー円化調整食。 これは単なるコスト補填じゃなくて食事の質の向上にも目を向けている証拠なんですよ。
苦しい中でも医療の質は落とさないというメッセージが読み取れます。 なるほど。値上げの中にもそういう戦略があるわけですね。
そしてお金の問題と同じぐらい深刻なのがもう一つの柱、人材確保。 こちらは5つもアプローチが示されててかなり本気度が伺えます。
まずはわかりやすい処遇改善、お給料の話からですね。 えーここで注目したいのが対象が看護師や薬剤師だけじゃなくて
40歳未満の勤務医とかなり具体的に指定されている点なんです。 40歳未満ですか。
はい。これはキャリアの初期段階で燃え尽きてやめてしまう若手の先生を繋ぎ止めようという国の強い危機感の現れなんですね。
あーなるほど。 えー単なる賃上げじゃなくて特定の世代の定着率を上げるという極めて戦略的な一手と言えます。
賃上げは直接的ですけどそれだけでは現場の疲弊は解決しないですよね。 資料だとテクノロジーにも期待がかかっているようですが。
まさにICTとかAIの活用ですね。 具体的にはどうやって人を助けるんでしょうか。
例えばAIが患者さんの転倒リスクを予測したりとか。 あとは医師が書く診断書の下書きを生成AIが作ったり。
こうして業務が効率化されればその分人は本来やるべきケアに集中できる。 なるほど。
これが資料にあるタスクシフトつまり業務の分担っていう考え方に直結するわけです。
テクノロジーと人の役割分担この2つはセットで考えるべきなんですね。
最後の2つ。働き方改革と基準の柔軟化も気になります。 時に基準を柔軟にするって聞こえは良いですけど一歩間違えればサービスの質の低下につながりませんか。
ああそこが重要なポイントです。
例えば看護師が足りなくてもOKみたいになると現場はさらに大変になりそうですけど。
これは無条件に基準を緩めるわけじゃないんです。
普段からきちんと採用努力をしているにも関わらず一時的に人員が確保できない場合に限りという条件がつきます。
ああなるほど条件付きなんですね。
つまり努力している現場を罰しないための現実的な救済措置なんです。
ルールを現場の実態に合わせて持続可能な働き方を後押しするのが狙いですね。
なるほど。つまり今回の改定案は物価高という外部の圧力には直接的な資金投入で耐えつつ、人手不足っていう内部の問題には賃上げとあとはテクノロジーとかチーム医療、そして現実的なルール運用っていう複合的なアプローチで立ち向かうということですね。
人材確保のための取り組み
その通りです。あなたにとってこれは日本の医療の未来を左右するターニングポイントになり得ます。
現場の負担を減らして働き手を確保するっていうのは、巡り巡って私たち自身が受ける医療の質を守ることに直結するわけですから。
本当にそうですね。
ここで一つ試行実験をしてみませんか。
資料が示すように生成AIが紹介上の下滝をするのが当たり前になった未来。業務効率は劇的に上がるでしょう。
でもそのAIが生成した文章を元に医療が進んだとき、内容の最終的な責任は誰が負うのか。
そして効率化と引き換えに医療に不可欠な人間同士の繊細なコミュニケーションはどう変わっていくのか。
それは深い問いですね。
ええ。利便性の垣にある新たな問いと向き合う必要が出てきそうですね。
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