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2025-10-31 07:16

小児・周産期医療の転換点:MFICU届出減少と移行期医療の課題を分析【令和7年度分科会報告】

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令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会は、小児・周産期医療における重要な課題を明らかにしました。分科会は、出生数の減少が続く中で小児の受療率が増加している現状を報告しました。同時に、周産期医療体制では母体・胎児集中治療室管理料の届出施設数が令和6年に減少に転じたことを指摘しました。さらに、医療の進歩により長期経過をたどる小児患者が増加し、成人医療への移行を支える体制整備の必要性を強調しました。

分科会の分析により、小児・周産期医療では3つの重要課題が浮かび上がりました。第1に、周産期医療体制では母体・胎児集中治療室管理料の届出施設が減少しており、医師の配置要件を満たせないことが主な要因となっています。第2に、母体搬送受入件数や多胎妊娠分娩件数には地域差があり、一部の地域では実績が少ない施設が存在します。第3に、小児慢性特定疾病に該当するが指定難病に含まれない疾患では、成人医療への移行時に診療報酬上の評価がなく、適切な紹介先が見つからないケースがあります。

小児受療の増加と周産期医療を取り巻く環境変化

小児の受療動向は、成人と対照的な様相を示しています。15歳以上の受療率が横ばいから減少傾向である一方、0-14歳の受療率はやや増加傾向にあります。分科会は、医療の進歩により長期経過をたどる小児患者が増加していることを指摘しています。

周産期医療を取り巻く環境は、大きく変化しています。出生数は減少しており、分娩を取り扱う医療機関も減少しています。この減少傾向により、周産期医療体制の維持が課題となっています。さらに、妊婦の高齢化に伴い、合併症の頻度が増加しています。

母体・胎児集中治療室管理料の届出減少と医師配置要件の課題

母体・胎児集中治療室管理料の届出状況は、近年横ばいから減少に転じました。届出治療室数・病床数は近年横ばいで推移していましたが、令和6年に減少しました。この減少は、周産期医療体制の維持における課題を示す重要な変化です。

届出変更の背景には、医師の配置要件の課題があります。全国周産期医療(MFICU)連絡協議会のアンケート調査によると、令和6年度改定以降に届出変更を行った医療機関では、「医師の配置要件を満たせない」ことが主な理由となっています。この要件により、周産期医療を提供する意欲がある医療機関でも、人員体制の維持が困難になっています。

母体・胎児集中治療室管理料の届出施設における実績には、地域差が見られます。母体搬送受入件数が0件の施設は関東信越に所在しており、1-9件の施設はそれぞれ関東信越、東海北陸、近畿に1施設ずつ所在していました。多胎妊娠分娩件数が0件の施設は関東信越に所在しており、1-9件の施設はそれぞれ北海道、東北、九州に1施設ずつ所在していました。帝王切開実施件数が49件以下である施設はなく、50-99件である施設は北海道、東海北陸、近畿に1施設ずつ所在していました。分娩時週数33週以下の分娩件数が0件である施設はなく、1-9件である施設は北海道、東海北陸に1施設ずつ、近畿に2施設所在していました。これらの地域差は、周産期医療体制における地域の実情を反映しています。

移行期医療における診療報酬評価のギャップと受入体制の課題

成人医療への移行時における診療報酬評価には、重要なギャップが存在します。小児科を標榜する医療機関において、小児慢性特定疾病等の患者に対して必要な生活指導を継続して行った場合には小児科療養指導料を算定します。一方、指定難病等の患者に対して計画的な医学管理等を実施した場合は難病外来指導管理料を算定します。小児慢性特定疾病の指定疾病数と比較して、指定難病の指定疾病数は少ないため、小児科療養指導料の算定対象となる患者と比較して、難病外来指導管理料の算定対象となる患者は少なくなっています。

移行期医療における診療報酬上の課題は、具体的な形で現れています。小児科医療機関において小児科療養指導料を算定していた患者が、成人移行期となり小児科以外の医療機関に紹介された場合、その患者が難病外来指導管理料の算定対象でない限り、紹介先医療機関においては同様の管理料を算定することができません。この評価のギャップにより、受入医療機関における診療報酬上の評価がない状態が生じています。

小児科以外の医療機関における受入状況は、課題の深刻さを示しています。小児科以外の医療機関における、定期的に小児科に受診していた患者を紹介により受け入れた人数及び小児慢性特定疾病に罹患している患者数は、いずれの区分においても、その人数は少数でした。この少なさは、分科会が指摘する移行が困難となるケースの存在を裏付けています。

分科会では、移行期医療の体制整備の必要性が強調されました。医療の進歩により長期経過をたどる小児患者が増加しており、成人医療への円滑な移行を支える移行期医療の体制整備が求められています。特に、小児慢性特定疾病に該当するが指定難病に含まれない疾患については、適切な紹介先が見つからず、移行が困難となるケースがあるとの意見が出されました。成人移行期に相当する小児について、小児慢性特定疾病に該当するが、指定難病には含まれていない疾患については、受入医療機関における診療報酬上の評価がない等の課題があるとの意見も示されました。

まとめ

分科会の分析により、小児・周産期医療では周産期医療体制の維持と移行期医療の体制整備が急務であることが明らかになりました。母体・胎児集中治療室管理料の届出施設減少への対応、地域差の解消、移行期医療における診療報酬評価のギャップ解消が、今後の診療報酬改定における重要な検討課題となります。医療の進歩により長期経過をたどる小児患者の増加に対応し、成人医療への円滑な移行を支える制度設計が求められています。



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サマリー

今回のポッドキャストでは、日本の小児・周産期医療が直面しているMFCUの届出減少と医療の進歩に伴う移行期医療の課題が分析されています。特に地域差や診療報酬制度に起因する問題が強調されており、今後の医療制度の進化が求められています。

MFCUの現状
さて今回は、日本の小児・周産期医療が、まさに今直面している変化についてですね、令和7年度の分科会報告をもとに、少し深く見ていきたいと思います。
手元の資料を見ると、子どもの数自体は減っているわけですけども、医療を必要とする子ども、特にケアが必要な期間が長くなるようなケースは、むちろん増えていると。
これ一見すると、何か矛盾しているような気もしますが、この裏には一体何があるんでしょうか。
この報告書がですね、特に光を当てているのは、大きく2つの現代的な課題と言えるものですね。
2つの課題ですか。
1つは、お母さんと赤ちゃんの、いわば集中治療の取り出であるMFCU。
はい、MFCU、母体胎児集中治療室ですね。
その通りです。その届出がここへ来て減り始めているという、周産期医療体制の足元に関わる問題、これが1つ。
届出が減っている。
そしてもう1つはですね、医療の進歩によって、命を救われる子どもたちが増えた結果、長くケアが必要になった子どもたちが、そのお隣の医療へとうまくバトンタッチできていない。
移行期医療の壁とでも言うべき問題です。
なるほど。どちらもこれからの医療提供体制を考える上で非常に重要なテーマですね。
ええ、そうですね。
ではまず、そのMFCUの現状から少し詳しく見ていきましょうか。
はい。
届出施設が、令和6年に減少に転じたというのは、これはちょっと驚きですね。なぜ今減っているんでしょうか。
報告書が指摘する主な理由はですね、医師の配置要件を満たせないことなんです。
医師の配置要件。
つまりその設備とか、あるいは治療への意欲はあっても、専門性の高いMFCUを維持するために必要な数の専門医ですね、これを確保し続けることがまあ難しくなっている医療機関が出ていると。
これは単に数合わせという問題ではなくて、その高度な集散期医療を提供する体制そのものの、なんて言うんでしょう、持続可能性に関わる結構大きな変化点と言えるんじゃないでしょうか。
医師の確保ですか。さらに資料を見ると、地域による偏りも、これかなり大きいようですね。
ええ、そうなんです。
母体搬送の受け入れが全くない施設とか、あるいは多体妊娠、二子とか三子とかですね、その分娩実績がほぼゼロという施設もあると。
はい。
この地域差というのは、単に人口の問題だけでは何か構造的な要因もありそうですね。
ええ、おっしゃる通り実績のばらつきはかなり顕著です。
例えば報告書によれば、母体搬送がゼロ件だった施設も、多体分娩がゼロ件だった施設も、どちらも関東新越地方に見られました。
関東新越で。
ええ、これは地域によってそのハイリスクな集散期医療に対するニーズとか、あるいはそれに応えるためのリソース、つまり医師や設備の集約の度合いですね。
これが大きく異なるという現状を示唆しています。
下手をすると必要な時に必要な医療にアクセスできないという事態にもつながりかねないわけです。
移行期医療の課題
それは深刻ですね。
MFICUの維持はもちろん重要ですけれども、報告書はもう一つ非常に現代的な課題も指摘しているんですよね。
ええ。
それが移行期医療。
はい。
医療が進歩したからこそ生まれた、ある意味では嬉しい悲鳴とも言えるような課題かもしれませんけど。
まさにそうですね。
かつては救えなかったかもしれない命が救えるようになって、小児期から長期にわたって医療的なケアを必要とする子どもたちがですね、無事に成人期を迎えるというケースが増えています。
はい。
しかしそこで小児科から今度は成人診療科への移行がなかなかスムーズにいかないという問題が起きているわけです。
その移行の壁というのが診療報酬制度にあるということですね。
具体的にはどういうことなんでしょうか。
はい。
小児科ではですね、特定の病気に対して小児科療養指導療という形で、計画的な療養指導とか相談支援に対する診療報酬が認められているんですね。
しかしその病気が成人向けの難病外来指導管理療、つまり国の指定難病ですね、これになっていない場合があるんです。
ああ、指定難病とはまた別だと。
そうなんです。
そうすると成人科に移行した途端に、これまで小児科で受けていたような同様な継続的な管理とかサポートに対する評価が制度上なくなってしまうというケースがあるわけです。
それはつまり、小児慢性特定疾病としてずっと支援を受けてきたとしても、成人向けのその指定難病の基準とはちょっと違うから対象外になってしまうケースがあるということですか。
おっしゃる通りです。
小児慢性特定疾病というのは、子供の長期療養を支えるための比較的幅広い制度なんですけれども、成人向けの指定難病というのは診断基準とか、あるいは重症度の要件がより厳格な場合がありまして、
なるほど。
すべての病気がそのまま移行対象となるわけではないんですね。
その結果、適切な紹介先がなかなか見つかりにくかったり、あるいは受け入れる側の成人化としても、継続的なケアに対して診療報酬上のインセンティブが働きにくいという構造になっているんです。
うーん、医療技術の進歩で救われた命が、今度は大人になる段階で制度のいわば谷間に落ちてしまう危険があると。
そういうことですね。
いやー、それは患者さんとかご家族にとってはすごく大きな不安ですよね。
報告書でも実際に移行が困難になっている事例とか、受け入れ先の診療報酬上の評価がないといった課題がはっきり指摘されています。
はい。
実際にデータを見ても、小児科以外の診療科でこれらの患者さんを継続的に受け入れているという実績は、まだ非常に少ないというのが実情ですね。
うーん、今回の資料をこうして見てくると、周産期医療体制の維持という足元の課題と、それから医療の進歩に伴って出てきた移行期医療の体制整備という未来への課題、この2つがはっきりと浮かび上がってきましたね。
未来への医療制度の進化
まさにそうですね。MIYCUにおけるその医師の確保と、あと地域偏在の是正、これがまず1つ。
そして、移行期医療における診療報酬のギャップの解消ですとか、あるいは成人診療科での受け入れ体制をどう作っていくか、これらが今後の非常に重要な検討課題になってくると思います。
救われる命が増えて、子どもたちが成長していく、その未来に合わせて医療制度もやはり進化させていく必要があるということですね。
最後に、これを聞いているあなたに少し考えてみてほしいことがあります。
医療の進歩が子どもたちの可能性を確かに広げました。
その一方で、その成長した先にある大人としての医療を社会全体としてどうデザインして、どう支えていくのか。
承認医療が生み出したある種の成功をですね、成人医療、そして私たち社会全体がどううまく引き継いでいくのか、その点が今はこの報告書から強く問われているように思いますね。
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