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2025-10-30 06:54

災害時の医療提供体制を守る3つの課題と解決策|入院・外来医療等調査分科会

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令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会で災害医療についての検討が行われました。この検討では、令和6年能登半島地震での医療支援における課題が明らかになりました。具体的には、派遣時の情報収集や交通手段確保の困難さ、労務管理の複雑さ、施設基準維持の問題が指摘されています。加えて、診療所における事業継続計画(BCP)の策定率が約30%にとどまっている現状も明らかになりました。分科会では、災害時の施設基準の取扱いを事前に明確化すべきとの意見や、BCPの義務化を含めた検討が必要との提言がなされています。

この検討結果から、災害時の医療提供体制を維持するための制度改善の方向性が見えてきました。本記事では、災害派遣における実態と課題、施設基準の柔軟運用の必要性、BCPの策定推進という3つの重要なポイントを詳しく解説します。さらに、医療機関における具体的な対応状況と、今後求められる制度整備についてお伝えします。医療機関の経営者や管理者の方々にとって、災害対応力を高めるための重要な情報となるでしょう。

災害派遣の現状と課題

災害派遣医療チームの設置状況は医療機関の種別によって大きく異なっています。分科会の調査によると、特定機能病院で90.7%と最も高い設置率を示し、次いで急性期一般入院料1算定病院で59.1%となっています。この設置率の差は、医療機関の規模や機能、人員体制の違いを反映したものです。

令和6年能登半島地震支援では、実際のスタッフ派遣において多くの課題が浮き彫りになりました。派遣を検討した医療機関が困難と感じた事項は、「現地の状況把握と情報収集」「派遣にあたっての交通手段の確保」「派遣中の労務管理」「派遣中に自施設のスタッフ配置基準が満たせなくなること」などでした。これらの課題は、急性期一般入院料1算定病院では、施設基準の維持が16.4%、情報収集が31.3%、交通手段確保が46.4%、労務管理が50.4%の医療機関で困難であったと報告されており、迅速な災害対応を困難にする要因となっています。

派遣された職種については、看護師、医師、事務職員、薬剤師が多くを占めました。これらの職種は医療提供の中核を担う人材であり、派遣による自施設への影響も大きいものです。新型コロナウイルス感染症対応での他施設への派遣においても、同様の課題が報告されており、災害時だけでなく感染症対応においても共通の構造的な問題が存在することが明らかになっています。

施設基準の柔軟運用の必要性

大規模災害発生時には、被災者の受け入れや被災地への職員派遣により、入院基本料等の施設基準を満たすことができなくなる場合があります。この事態に対して、厚生労働省は適宜、事務連絡を発出して対応しています。しかし、この事務連絡は発災から数日後に発出されることが多く、迅速な災害対応の妨げになる可能性が指摘されました。

分科会では、施設基準の緩和内容を事前に明確にしておくべきとの意見が出されました。この意見は、被災地支援には迅速かつ継続的な対応が求められるという認識に基づいています。災害の規模などの一定の要件を定めた上で、災害発生時に一時的に施設基準を満たせなくなる場合の対応について、事前に整理・提示しておくことが重要であるとの提言がなされています。

現行制度では、新型コロナウイルス感染症の影響により夜勤時間数や看護要員数に一時的な変動があった場合、最初の月から3か月以内に限り、施設基準の届出区分の変更を不要としています。この特例措置の考え方を、災害時にも適用できるよう制度化することが求められているのです。

事業継続計画(BCP)の策定推進

診療所における災害に備えた事業継続計画(BCP)の策定状況は、「策定している」と回答した割合が約30%にとどまっています。この低い策定率は、医療提供体制の継続性確保の観点から大きな課題です。災害拠点病院以外の医療機関においても、BCPの作成に努めることとされていますが、実際の策定は十分に進んでいない状況が明らかになりました。

BCPは、平常時の組織内の対応能力では応急対応できない事態を想定して、診療の継続や復旧を目指して行うための対応策です。医療機関のBCPは、震災などの災害によって損なわれる病院機能を、実行可能な事前準備と発災後のタイムラインに乗せた行動計画の遂行により維持・回復するとともに、発災によって生じた新たな医療ニーズにも対応するための計画とされています。

分科会では、診療所においてもBCPの策定を推進すべきであり、義務化を含めた対応が検討されるべきとの意見が出されました。この提言は、地域医療を支える診療所の災害対応力を高め、医療提供体制全体の強靭性を向上させることを目指しています。今後、BCPの策定を支援する施策や、策定を促進するインセンティブの設計が重要な政策課題となるでしょう。

まとめ

災害時の医療提供体制を維持するためには、3つの重要な取組が必要です。第一に、災害派遣における情報収集、交通手段確保、労務管理、施設基準維持などの課題を解決する具体的な仕組みづくりです。第二に、施設基準の柔軟運用を事前に明確化し、迅速な災害対応を可能にする制度整備です。第三に、診療所を含むすべての医療機関におけるBCPの策定を推進し、義務化も視野に入れた政策展開です。これらの取組により、医療機関の災害対応力が強化され、国民の生命と健康を守る医療提供体制の強靭性が向上することが期待されます。



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サマリー

災害時における医療提供体制には、DMATの設置率や施設基準の柔軟な運用、BCPの策定状況に関する課題があります。これらの課題には、事前のルール整備や地域医療全体での連携が必要とされています。

災害時の医療課題
さて今回は、災害時の医療、特に野党反党自身の経験から見えてきた課題、 そしてその先の解決策、これをちょっと掘り下げていきたいなと思います。
厚生労働省のですね、入院・外来医療等の調査評価分科会、ここでの議論が元になっています。
ここでですね、主に3つ、災害時の医療支援の壁、それから施設基準の柔軟な運用、
そしてBCP事業継続計画、この3つのポイントを皆さんと一緒に詳しく見ていければと思います。
よろしくお願いします。
まず災害派遣の現状なんですけども、DMAT、災害派遣医療チームですね。
この設置率が特定機能病院だと9割超えてるんですけど、旧正規一般入院量1、これを算定している病院だと6割弱くらいですかね。
結構差があるんですよね。
そうですね。
ノートの時も実際にスタッフを派遣する上で、これどんな困難があったんでしょうか。
実際に派遣した、あるいはしようとした医療機関からはかなり切実な声が上がってまして、特に旧正規一般入院量1の病院ですと、現地の情報収集が難しいという声が3割くらい。
3割も?
ええ。あと交通手段の確保ですね。これがやっぱり大変だったと46%。
半数近いですね。
それから派遣中のスタッフの労務管理。これが最も多くて半数超えてるんですね。50.4%。
労務管理ですか。具体的にはどういう?
勤務時間ですとか休憩をどう取るかとか、そういうことですね。
なるほど。
さらにですね、派遣することでこんな自分たちの病院のスタッフが減ってしまうと。
そうですよね。
それで国が定めている施設基準、人員配置のルールとかそういうのを満たせなくなるんじゃないかと、そういう心配をした病院も16%ほどありました。
看護師さんとかお医者さん、事務の方、薬剤師さん、本当に病院に不可欠な方たちですもんね。
そうなんです。派遣する側の負担、特に人の問題はこれかなり深刻ですね。
労務管理が半数以上ってちょっと驚きですね。
ここで注目したいのがですね、これらの課題って、実は新型コロナの対応で他の施設に応援派遣した時にもやっぱり出ていた問題なんですよ。
コロナの時にも?
はい。つまり、なんか個別の災害対応っていうよりは、日本の医療システム全体の構造的な問題というか、予備力とか連携のあり方みたいなものが繰り返し問われているという状況かなと。
なるほど。災害特有というよりもっと根深い、平時からの体制の課題が浮き彫りになるというわけですね。
BCPの重要性
そういうことだと思います。
では次にその制度面の問題、施設基準についてですね。スタッフを派遣したり、逆に被災地の患者さんを受け入れたりすると基準を満たせなくなる。
ええ。
今はことが起きてから事務連絡で対応ということだと、ちょっと遅いんじゃないかという指摘ですね。
まさにその通りで、災害時って一時的に例えば看護師さんの配置基準とか、満たせなくなることがあるんですね。
はい。
現状だと災害が送った後に厚労省から通知が出て、こういう場合は特例ですよとなるんですけど、それだとやっぱり対応が後手に回る可能性がある。
現場は不安ですよね、それだと。
ええ。そこで文化会では、事前にもうちょっと緩和ルールをはっきりさせておくべきだという意見がかなり強く出ていましたね。
事前に。
はい。災害の規模とか一定の条件を満たせば、一時的に基準を満たせなくてもペナルティはないですよ、みたいなルールをあらかじめ整理して示しておくことが大事だと。
なるほど。いざという時に医療機関がためらわずに支援に動けるように、セーフティーネットをあらかじめ作っておくということですね。
おっしゃる通りです。コロナの対応で、一時的に人員が変わっても3ヶ月はその届出区分を変えなくていいという特例があったんですけど。
はい、ありましたね。
これを災害時にも高級的に適用できるように精度化する方向で、今検討が進んでいますね。
事前のルール整備、確かにこれは重要ですね。さて3つ目のポイント。事業継続計画、BCPです。
はい、BCP。
災害時にも診療を続ける、あるいは早く復旧するための計画。これが診療所での策定率が約3割とかなり低い。
低いですね。
この低さっていうのは、地域医療全体で見るとどういう意味を持つんでしょうか。
BCPって、いわば医療機関の災害時のサバイバルプランなんですね。
災害拠点病院なんかは、これ作ることが義務付けられてるんですけど、それ以外の多くの医療機関、特に診療所はまだ努力義務なんですね。
努力義務。
なので、なかなか策定が進んでいないというのが実情です。でも、やっぱり地域の医療って多くの診療所によっても支えられてるわけですよね。
もちろんです。
個々の診療所がもし機能停止してしまうと、地域全体の医療提供能力がガクンと落ちてしまう。
それは困りますね。
そこで、文化会では、診療所にもBCP策定をもっと強く推進していくべきだと、将来的にはもしかしたら義務化も考えるべきじゃないかという議論が出ていました。
義務化の検討まで。それだけ地域レベルでの医療継続っていうのが重要視されてるわけですね。
そういうことです。
これは、個々の医療機関の頑張りだけに任せるんじゃなくて、地域全体でどうやって医療を守っていくのかという大きな問いかけでもあると思います。
なるほど。ではまとめますと、災害時の医療を守るために、まず1つ目が派遣する側の負担軽減と体制強化。
2つ目が支援をスムーズにするための施設基準の事前の柔軟化。
そして3つ目が、地域全体の医療機能を維持するためのBCP策定推進と、将来的には義務化の検討、この3つの方向性が示されたということですね。
そうですね。そして、これらは単なる手続きの改善とか、そういう話じゃなくて、
国の命とか健康を最終的に守るための医療提供体制そのもののしなやかさというか、強靭性、レジリエンスを高まるための本当に本質的な取り組みなんだと思います。
ありがとうございます。非常に重要な視点ですね。
さて、今回の議論を踏まえてですね、最後に皆さんにちょっと考えていただきたい問いがあります。
医療機関側のこうした取り組みはもちろん重要なんですが、それに加えてあなた自身やお住まいの地域コミュニティでは、災害時の医療を守るために何かできること、どんな備えや協力が考えられるでしょうか、少し想像してみてください。
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