じゃがいもの香りの正体
飲食を言語化するラジオFOOD'S WORDSと題してお送りしていきます。
ソルクラーの黒沢峰明と申します。
実は私、子供の時に昔からレゴブロックで遊ぶのが好きでした。
小さな部品をたくさん組み合わせては、機械のようなものとかロボットのようなものを作っていました。
そして、バラバラにしては、また作り直してという、ずっとエンドレスで遊んでいたんですけれども、
この間、札幌駅に行った時に、展示のイベントというか、祭事をやっていて、あるモニュメントがあったんですが、
そのモニュメントに近づいてみたら、なんとそれがレゴブロックでできていて、とてもワクワクしました。
そんなお話と近からず遠からずなんですが、
今日は香りの正体についてお話ししていきたいと思います。
タイトルにつけた、「じゃがいもはなぜじゃがいもの香りがするのか?」ということを題材に考えていきたいと思います。
ではまず、じゃがいもの香りを皆さんぜひ想像してみてください。
想像してみてください。
じゃがいもの香り。
土のような香りがしたり、ふかしたじゃがいもがホクホクして、
あのじゃがいもの香り。
想像できましたでしょうか。
いきなり香りの正体についてお話ししていくんですが、
あのじゃがいもの香り。
実は、あのじゃがいもの香りそのものを表す香り成分というものは存在しないんです。
同じように、いちごの香りを想像してみてください。
甘酸っぱいようなフルーティーでいて、
おいしそうなジューシーな香りがするいちご。
あのいちごの香り。
あのいちごの香りそのものを表す香りの成分は存在しないんです。
話をじゃがいもに戻しまして、
じゃあじゃがいもはなぜあのじゃがいもの香りなのかということが不思議になってきます。
実はじゃがいもの香りもそうですし、香りを発するものすべて、
実はあの香りの正体はまさにレゴブロックと作品のような関係になっていて、
たくさんの組み合わせによってじゃがいもの香りというものが完成するという関係になっています。
なぜバラバラな成分でじゃがいもの香りという感覚が作られるかというと、
4つ以上の香り成分の混合したものというものは、
それぞれ一つずつを判別することができない、もしくはしにくいということがわかっています。
先ほども言いましたが、香りは組み合わせによって特有の感覚を生むことによって、
いろいろなものの香りを特徴的なものにしているということになります。
じゃがいものを持つ複数の香り成分が、まさにじゃがいもとして一つのじゃがいもの香りにまとめられるという作用は、
香りの統合過程
実は脳の様々な部位に作用しています。
そして作用することによって、初めてじゃがいもの香りという知覚になって現れています。
これは香りの統合過程と言われていて、他に3つの作用があります。
じゃがいもそのものをまず認知するという認知的な働き、
そして一つ一つの香り成分がブロックのように組み合わさって、初めてじゃがいもの香りが完成するということによって、
じゃがいもの香りは記憶と結びついていきます。
そして3つ目、環状を司る場所に作用すると、
昔アルバイトでじゃがいもの収穫作業をしたときのことを思い出して、
暑くて大変だったなということを思い出したりします。
これらすべてが結びついているという過程を香りの統合過程と言われています。
おさらいすると、香りを組み合わせとして感じる嗅覚、
そしてじゃがいものというものの認知、
じゃがいものを持つ香りという記憶、
じゃがいもと紐づく感情、
嗅覚、認知、記憶、感情、
それらすべてが統合されていく過程ということが嗅覚に深く関わっています。
この認知、記憶、感情などによって、
統合されたじゃがいもの香りというものは、
皆さんが持つじゃがいものイメージを思い浮かべさせると思います。
だけど実はじゃがいもの香りというものは、
レゴブロックのようにバラバラに分解することができるというのがわかっています。
えっ、黒沢さっき4つ以上の香りの混合は判別できないって言わなかったって思われるかと思うんですけれども、
これには実は方法があるんです。
ということで今回は前編として、
香りの正体について、
じゃがいもはなぜじゃがいもの香りなのかということを題材にお話ししていきました。
この香りの統合過程についてはとても複雑でわかりにくいので、
別途文字起こしに資料をつけてノートとしてリンクを貼っておくので、
もうちょっと詳しく知りたいという方はそちらをぜひご覧ください。
概要欄にリンクを記載しておきます。
次回は香りの正体後編として、
香りの分解についてお話ししていきたいと思います。
本日もありがとうございました。