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2025-11-15 17:14

第7回|「グリーンを仕上げる」とは何か? 春へ逆算するグリーンづくり

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畑
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第7回のテーマは「グリーンを仕上げるとは何か」。 
一見シンプルに聞こえるこの言葉の裏側には、季節をまたいで積み重ねる長い準備と、秋から春へ向けて続く逆算の思考があります。

仕上げとは、表面をきれいに整える作業ではありません。 芝が健全な状態であることを前提として、「正しく反応できる状態」を整えていく、長いプロセスの先にあるものです。

春の仕上げは春にはじまらない。 芽が動き出すより前、秋の段階から組み立てていくことで、 春に狙ったスピード・硬さ・転がりをつくることができる。 

仕上がったグリーンとは何か。
 「見たまま転がる」とはどういう状態か。

現場のリアルな感覚と、長いスパンで芝を見続けてきた思考の流れを、いつも通り率直に語り合いました。

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サマリー

このエピソードでは、芝生の仕上げ方について、特にトーナメントに向けたグリーンの管理と育成がテーマです。畑さんと田村さんの対話を通じて、春と秋の仕上げアプローチの違いやその影響が深く掘り下げられます。芝の仕上げ方に関しては、長期的な計画と逆算の重要性が語られ、特に健全な芝生を作ることが基礎であると説明されます。また、芝の管理技術や次世代育成の考え方についても触れられています。

芝生管理の基本概念
田村
コース管理の現場。この番組は、トーナメントコースをはじめ、様々なゴルフ場を渡り歩いた元キーパーの畑さんと、現場を支える事務員の私、田村が、コース管理の現場で見えること、感じることを率直に語り合う番組です。
よろしくお願いします。
これ今日、2本目の録音になるけど、2本目になると、もう私の喉がガラガラになるっていうね。
喉弱い。
がんばりがわかります。
田村
ほとんど喋ってないから、畑さん喉強いよね。
ということは、なんでガラガラになるの?
田村
おかしいな。
おかしい。
田村
今日は、仕上げるって何よっていうことについて話したいと思ってて。
グリーンを仕上げるってよく言うでしょ。いついつまでに仕上げるとか。何をもって仕上げたっていうの。
「トーナメントがあるからグリーンを仕上げました」って聞くと、なんか簡単だから、「そうなんだ、仕上がったんだ」って思うけどさ、「仕上げるってどういうことだ?」って言われたら、ものすごく難しいよね。
田村
トーナメントとかだったらさ、このぐらいのプレイヤーたちが来るから、グリーンスピードはどれぐらいとか、コンパクションはどれぐらいとかっていう目標があるじゃない。
なんかわかりやすいんだけど、そうじゃないところもいっぱいあるじゃない。
そうだよね。
田村
なんかその、いつまでに何をしなきゃみたいなのもなかったりとかするとさ、何をもって仕上げたって言うんだろうと思って。
まず仕上げるっていう概念っていうのが、どういうことかって考えたときに、総合的に考えたら健全な芝生を作ること。
うん。
っていうのが、まず大前提。
田村
うん、大前提としてね。
春の仕上げ方と目標
芝生っていうのはゴルフ場と言わずしても、イネ科の植物っていうのが育つ/育たないっていう概念から言うと、成長とイコールだと言う事だよね。
で、まず第1回目、仕上げられる期間。
3月下旬から5月の下旬。
第2回目が10月の上旬から11月の上旬。
この2回、グリーンを仕上げることが可能である。
っていうのがまず一つ。
この中で、仕上げるとはなんぞやって、ちょっと考えてみると、
お米に喩えて言うなら、いいお米が収穫できるっていうことが最終的な目標になってきて、そのために健全な稲を育てる。
田村
そうだね。
いい米って何なんだって言ったときに、米の粒がとろっているとか、
欠けやひび割れがないとか
っていうのがお米に関しては、他もいろいろあるんだけど、言えることですよね。
これを芝生で言えば、最終的に何を求められるのかっていうと、パッティングクオリティを求められる。
これがお米の収穫と同じ状況に置かれるんじゃないかな。
田村
それは春も秋も変わらず、いいパッティングクオリティであること。
いいパッティングクオリティっていうのは何?
まずいろいろあって、例えば凹凸がないこと。
田村
凹凸がないこと。
100%は難しいから、少ないこと。
芝芽の大きさが揃っていること。
田村
芝芽の大きさが揃っていること。
芝芽が立っていること。
見た目通りの転がりをすること。
田村
なるほど。
プレイヤーがグリーンに立って思った状況で、早そうなグリーンだねって言ったら、早いグリーンであること。
田村
そういうのも感じるんだ、ゴルファーの人っていうのは。
重そうだなって見えて、実際転がしたらものすごく早く転がった。
それってあまり良くないよね、私は思う。
田村
なるほどね。
それも手法って言えば手法なんだけど、やっぱりアンティアであってはダメ。
このアンフェアの概念って難しいと思うんだけど、そういうこともちょっと言えるかな。
最終的にグリーンって何を求めるのかっていうと、
プレイヤーが狙ったラインにボールを打ったときに、狙った通りにその通りに転ぶ、
っていうのが、どれだけのプレイヤーが思った通りに打てるかは別として、
この場所で打ちます、この速度で打ちますって言ったものが、ドンピシャ行ったときにカップに入る。
田村
そうか。ちょっとデコボコがあったり、刈り残しがあったりとかしたらそこで曲がっちゃったりするから、そういうのがなく平らで。
これがトーナメントであろうが、一般営業であろうが、全てにおいて統合的に求められる。
田村
それは春と秋の仕上げの目標の状態でしょ?
夏とか冬とかっていうのは仕上がってないってこと?
これは、例えば梅雨から夏にかけては春に仕上げた状態のものを維持管理している。
田村
維持管理してるのか。
でも夏のストレスとか、そういうのでちょっと落ち込んできたりとかするのを、また秋に戻して、もう一回仕上げるのか。
なるほどね。
このダメージが激しいと、秋に仕上げるっていうことはできなくなってる。
秋の仕上げ方と維持管理
田村
夏のダメージが激しいとね。なるほど。
それはもう入院状態から回復して、リハビリ状態ぐらいまでは持っていけるかもしれないけど、運動まではいけない。
田村
春の仕上げと秋の仕上げの仕上げ方って違うの?
植物の成長のプロセスっていうのが違うから、仕上げ方、アプローチの方っていうのは変わってくると思う。
春は若い。
田村
青年っていう感じだけど、秋はね、もうこれから年取ってくるからね。
春は新しい芽が、子供が生まれて分げつしていって株が大きくなっていって、っていう状況。
秋はどちらかといえば冬のために充実していく、この2つが考えられる。
まあ、春は攻める仕上げ方。
田村
攻める仕上げか。
強引なこともできるし。
けど秋は、やはりある程度強引なところは封印した状態で更新作業をしたり。
田村
強引なことっていうのは、大きい穴でコアリングするとか、刈高を下げていくとか、そういうこと?
刈高を下げるとか。
だいたい思い切って仕上げていくっていうのは、4月の20日ぐらいから5月の20日ぐらいまで。
この1ヶ月間ぐらい。
やっぱり一番仕上げるっていう醍醐味があるわけ。
やっぱり秋の仕上がりとかにも大きく影響がある。
そこの1ヶ月で全てが決まる。
田村
キーパーの人は、春が始まる時とかに、梅雨前まではこのぐらいのグリーンスピード、コンパクションになりたいな、みたいなのを考えておいて、そのためにこうしよう、こうしようっていうのを考えてる?
本来、春に考えても、たぶん仕上がらない。
田村
なるほどね。
例えば今年2025年だけど、2025年の3月に「今年はこうしたいって」考えていったところで、たぶん間に合わない。
5月には仕上がらない。
前年度の秋に春のことを考えてる。
田村
それは何?肥料のこと?
全部。全て。
田村
どういうこと?何?全部っていうのは?
仕上げる方法としては、凹凸のないグリーンを仕上げる。
じゃあ、「凹凸のないグリーンってどういうことなんだ?」っていう時に、一番考えないとダメなのが、「なぜ凹凸ができるのか」。
原因をいろいろ考えると、グリーンが柔らかいとか、いろんなことがある。
柔らかい状態ってなぜ生まれるのかって言ったときに、葉っぱが肥大している。
根っこがない。
それから有機物が多い。
どちらかといえば、地際よりも下側の有機物の根っこが、死んだり新しいのが生まれたりしてくるときに残る根っこの死骸。
田村
コアリングじゃないと取れないの?
取れない。バーチカルでしか取れないとか。
それともう一つは、更新作業の不具合とか。
じゃあ、これだけのマット状態になっている葉の肥大がある、こういったことを解消したように「何をすべきか」っていうことを今度は考える。
栄養管理をする。運動を管理する。
田村
運動管理?
これって肥料、それから刈込、サッチング、このバランスを取りながらメンテナンスを取っていく。
例えば根がないのであれば透水性をあげる。
例えば有機物のコントロールをする。
それを解消するにはコアリングとか水分管理をするとか、こういうことを全て統合的にやっていく必要があるよね。
ここまでやれば通常のグリーンの仕上げっていうのは大体できてくる。
田村
今の話ってさ、春の仕上げを春に考え始めたら遅くて、秋に考えなきゃいけない。
春に固い芝を作りたいんだったら、秋のうちに肥大管理とかいろいろやって、固くなるための基礎を作っておかなきゃいけないっていう話だよね。
だからこれを大体春にやるのか秋にやるのかは別として、
芝の逆算と仕上げ方
例えば2025年の6月1日にこういうグリーンに仕上げたいと考えます。
グリーンスピードは12フィートで、グリーンの硬さは24㎜で、グリーンの刈高は2.3㎜で、みたいなことを考える。
そうすると、こういう原因が頭の中に入った状況で逆算していくと、いつから仕上げていかないとダメかっていうのが分かってくる。
田村
長いね、話が長いね。
畑さんの話が長いんじゃないよ。考えなきゃいけない期間が長い。
だからどういう仕上げにするかによって大きく取り組む先が変わってくる。
だから1年内に仕上げられる方法もあるし、2年も3年もかかる方法もあるし、
まず全てを解消した状況で、初めて表面の仕上げができていく。
田村
何?「表面の仕上げ」って。
例えば肥料を1g巻いた時に1gの効果が生まれる。
不健康な芝生であれば、1gの食べ物を与えても1gを食べることができない。
それが反転してしまうから、1gの仕上げ方ができない。
イコール、コントロールができなくなってしまう。
意図的に仕上げることはできない。
そこで、グリーンキーパーがグリーンを見ない状況で想像で肥培管理をしたり、
1gしか要求をしていない芝に対して2g与えたり。
2024年の春にこういうことをしないと、秋にはこうならないから、
2025年の6月1日には仕上がらないよね、という逆算をしている。
田村
めっちゃ長いスパンで考えてるんだね。
そうですよ。やっぱり3年後ぐらい。
トーナメントであったり、大きな競技会であったり、
そういう時はやっぱり逆算していかないと。
田村
プラスアルファがない時は、春だったら、
夏に向けた元気な耐えられる芝を作る、みたいなのが仕上げになるの?
うん。それもそうだけど、主治医さんがしっかりと、
田村
診断をした状況で不備のあるところは解消していく。
不備のないようにしておくっていうのがベースになってくる。
それは最初に言った健全な芝生を作るっていうことが大前提になる。
管理技術と育成の重要性
健全な状態で仕上げていく。
田村
なるほどね。
っていうことですよ。
田村
なんかわかりました。
わかりましたか?
田村
わかりました。なんかわかりました。
そんな長いスパンで考えてるんだ。
よく、春のことは春から考えてもダメみたいな話は聞いてたけど、
いや、そんな長い期間なんだと思って。
そうですよね。
もう季節はどんどん流れていって、芝振って、
はい、伸びなさいって言って、ポンと伸びない。
じわじわ、じわじわ。
だから悪くなるときもじわじわだから何が原因だったのかわかりづらいとかもある。
例えばね、今年の夏にオリンピック出るから、
しがったら練習しますって言ってるのと一緒。
田村
確かにそうだね。できないよね。
できないよね。
それなりにできるんだけど通用しないじゃん。
田村
通用しないね。
通用しない。
それでも仕上がるっていうことにはなるな。
田村
そうだね、今の状態よりは仕上がってるよね。
何かすれば。
置き換え方が悪いかもしれないけど、
なんか本当にそういうことだと思う。
田村
わかりました。
日の長い作業をするんですよ。
田村
本当だね。すごいね。
これが醍醐味なんですよ。
田村
はい、わかりました。
寂しそうな顔しないで。もう時間だから。今、わかりましたって言った瞬間、すごい寂しそうな顔をした!
はい、この番組は畑さんの経験をもとにお話ししています。
芝草学的には謝りや異なる解釈があるかもしれませんが、
こういう考え方もあるんだなと一つの現場の声として聞いていただけたら嬉しいです。
感想や質問などお気軽にメッセージをいただけると嬉しいです。
Xやインスタグラムの方は、
概要欄のお問い合わせフォームからも送っていただけます。
ここが気になった、こんな話が聞きたいなど、一言でも大歓迎です。
もしこの番組が気に入っていただけたら、
ぜひフォローやレビューなどもよろしくお願いします。
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また、畑さんは現在ゴルフコース管理アドバイザーとして活動しています。
現場の改善や品質向上の支援に加え、
次世代のグリーンキーパー育成にも力を入れています。
芝の管理技術だけでなく、
なぜそうするのか、どう考えるのかといった考え方の継承を大切にし、
現場のスタッフとともに学び合うスタイルで指導を行っています。
番組を聞いて、一度話を聞いてみたい、
うちのコースも見てもらいたいと感じた方は、
概要欄のお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
はい、以上です。
はい、ありがとうございました。
田村
ちょっとこの2回は本当音声が、
もしかするとお聞き苦しいところもあったかもしれませんが、
ご容赦ください。
田村
はい、よろしくお願いします。
もうちょっとね、この音質的にもね、
よくできるといいんだけど、
なにぶん、畑さんが機械音痴だからね、できないことも多くてね。
その通り。
田村
もう田村さん、頼りにしておりますんで、よろしくね。
音声をよくするようにいろいろいじってみます。
田村
畑さん、今回ちょっとカンペ作ったから、
結構話がまとまってた気がする。
田村
ありがとうございました。
はい、ありがとうございました。
17:14

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